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55.著作権って、人に対する、おもいやりが必要!

モノを借りたりを貸したりかる場合の礼儀

 先日、ある市民団体からわたしの創作した「キャラクターを貸してもらいたい……」というメールが入りました。最近はこのようなケースも多く、使用するにあたっては必ず許可を気にするようになったとはいえ、かなり一方的なものが多い。

 ほとんどの人が携帯メールを発信するようになり、言葉や文章があまりにも安易に使われているような気がします。特に、メールの共通点としては、あまりにも事務的で淡々と感情表現も少なく、読む人に誤解を与える表現が多いといえます。

 たとえば文章には、その人の人柄が表われるもので、たとえ手紙一通にしても、その人の気持ちが表われます。(本当は恐いこと)

 手紙には喜びを共にしたり、悲しみを分かち合ったり、心のふれあいをもたらす手紙だってあります。一方、おつき合い、お見舞い、あいさつ、お願い、お礼や、公的な手紙であれば、形式に乗っ取り、エチケットを守ることも、人と人との信頼を結びつける大切なことといえます。せめて「前文」「未文」「結語」だけはしっかりとしたい。

 しかし、残念ながら、メール人間が多くなるたびにこれらを失うことにより、手身近に処理し、一方的な発信が目立ってきています。

「○○市民塾の案内パンフレットについて今回は、特別な形式の市民塾となります。このようにキャラクターを使ってみました。許可を得たいと思います。宜しくお願い致します。以上」

 信じられませんが、このような短文と見本パンフレットが送られてきました。一方的ですし、随分失礼な気がしますが。

 もしかするとこの方は日々忙しく、多くの人に業務連絡する以上、短文で相手に要点だけ伝える。さらに一生懸命にやっている人かもしれません。でも、この文章だけで、この心に残る嫌な気持ちは一体何なのでしょう。

 それとも、わたしが変なのだろうか。なぜって、このようなメールばかり入ってくるからです。でも、嫌な気分が残る、感じるというこの気持ちは正直な感情かもしれない。

 もし、あなたがどなたかや他の人にお願い文を送るときは、どうなのでしょう。それに、嫌な気分の残らない文章もあります。自分だったらどうするのでしょう。

 たしかに、無断で無許可でたとえ合法であろうが、自分の著作物を勝手に使用されることは嫌なことでもあります。しかし、合法であり、確認を取れば何でもOKというのも、気分が悪いことです。

 おそらく、この人は当然、悪意もなく、きちんと確認業務を行なっているにすぎないと思いますが、あまりにも冷たい。なぜなら、わたしはこの人のことをあまりにも知らないからです。

 もし、人のモノを借りたり、貸したりする場合はどうなのでしょう。おそらくもっと違った対処をするのではないでしょうか。つまり何かしらの配慮を持って接するはずです。

 ならば、この人はモノや人の財産物と考えていないということがわかります。つまり、あとで文句を言われないための事務的な手順として進めているのでしょう。

「前文、末文、結語」は基本的な礼儀

 ここでは別に手紙の書き方を説明しているわけではありませんが、手紙には基本的な形式があります。この形式にのっとりさえすれば、どなたに出す手紙、FAX、メールでも礼儀を欠くことはありません。ただ目的に応じて形を変えてみればよいのです。

 

 「前文」

〈普通の発信のとき〉

 

 拝啓

 一筆申し上げます

 謹んで申し上げます

 はがきでお許しくださいませ

 FAXで失礼を致します

 

〈初めて人に出すとき〉

 

 初めてで、お目にかかりませんのに失礼とは存じますが

 まことに突然で失礼とは存じますが

 突然のお手紙を差し上げます失礼をお許しくださいませ

〈急ぐとき〉

 

 取り急ぎ申し上げます

 早速でございますが

 走り書きをお許しください

 急ぎお耳に達したいことが生じましたゆえ

 

〈前文を省略するとき〉

 

 前略 省略 冠省

 前文お許しくださいませ

 前略ごめんください

 取り急ぎ前文ご容赦願い上げます

〈重ねて発信するとき〉

 

 重ねて申し上げます

 たびたび失礼かと存じますが

 前便ごらんいただいたと存じますが

 

〈返信のとき〉

 

 拝復

 お手紙懐かしく拝見いたしました

 お文うれしく繰り返し拝見

 お便りありがとうございました

 取り急ぎお返事申し上げます

 ご返事差し上げるのが遅れて申し訳ございません

 おことづけの手紙たしかに拝受いたしました

〈丁重な場合〉

 

 謹啓 謹白

 謹呈 奉呈

 

〈安否のあいさつ〉

 

 ●相手の安否をたずねる

 皆さまお変わりございませんか

 いかがお過ごしですか

 お元気のこと何よりうれしく存じます

 ご一同様ご壮健のよし大慶に存じます

 ●自分の安否を知らせる

 私も元気に暮らしております

 おかげさまで家族全員無事過ごしておりますので、他事ながらご安心ください

〈ごぶさたのおわび〉

 

 心にかかりながら失礼を重ねました

 久しくごぶさたしまして申し訳ありません

 一別以来ごぶさたを重ね、恐縮に存じます

 

〈おわびのあいさつ〉

 

 なんとも申し訳ございません

 おわびの申しようもありません

 お許しください

 なにとぞご勘弁ください


〈お礼のあいさつ〉

 

 いつもお世話になりましてお礼の申しようもございません

 日ごろのご厚情深く感謝いたします


「末文」

〈一般的な結びのあいさつ〉

 

 まずは右まで

 まずは要用のみ

 まずはおわび(お願い、お頼み、お知らせ、ご案内、お見舞い、お悔やみ)まで

 とりあえず近況をお知らせいたします

 右はお知らせかたがたお願いまで

 取り急ぎ要用のみ申し述べました

〈相手の幸せを祈るあいさつ〉

 

 ご自愛のほどを

 時節柄お体おいといあそばしますよう

 なお心からご自愛を祈ります

 末ながらご多幸を祈ります

 

〈伝言を頼むときのあいさつ〉

 

 あなたさまからもよろしくご伝言ください

 よろしくおとりなしのほどを

 末筆ではございますが皆さまへよろしく

 お忘れなくこの旨お伝えくださいませ



〈伝言を取り次ぐときのあいさつ〉

 

 父からもよろしく申し上げるように申しつかりました

 母からもよろしくとのことです

 主人もくれぐれもよろしくと申しております

 

〈返事を求めるときのあいさつ〉

 

 ご返事をお待ちします

 恐れ入りますがご回答をたまわりたく

 失礼ながら返信用封筒を同封いたしましたのでご返事いただければ幸いでございます

 お返事いただけますれば幸せに存じます


〈今後のことを頼むあいさつ〉

 

 今後ともよろしくご指導くださるようお願いいたします

 なにとぞ倍旧のお引き立てをいただきたく存じます

 なお将来とも末長くご高配をたまわりたく

 

〈自分の文章を謙遜するあいさつ〉

 

 乱筆をお許し下さい

 あわただしく筆をとりましたので乱筆をよろしくご

判読くださるようお願い申し上げます

 意中をおくみとりいただきたく


「結語」

〈書き出しが「拝啓」〉

 

 敬白 敬具

 

〈書き出しが「一筆申し上げます」〉

 

 かしこ

 かしく

 

〈書き出しが「謹んで申し上げます」〉

 

 あらあらかしこ

 めでたくかしこ(お祝いのとき)

〈書き出しが「前略」、「冠省」、「前文お許しくださいませ」〉

 

 草々 さようなら

 かしこ かしく ごめんくださいませ


 どうでしょう。手紙上手、下手はこの「前文、末文、結語」にあります。この基本的な形式を守っていればおそらく相手に不快感を与えることは少ないはずです。つまり、形式にこだわりすぎなくとも「礼儀」を欠くことで不快感を与えてしまうことがわかります。

 いざ、手紙を書こうと思って、とまどったことはないでしょうか。そんなとき、前文、末文、結びの言葉、時候のあいさつ、敬語の使い方、慣用語など、相手に気持ちや用件意思を伝えるための基本がここにあります。


「前文ごめんください。FAX(メール)でお許しくださいませ。まことに突然で失礼とは存じますが○月○日市民塾を開催します。ついてはこれらのパンフレットに○○様のキャラクターを使用させていただきたい、と考えております。もし可能であれば使用をお認めくださりますようよろしくお願い申し上げます。まずは右お知らせかたがたお願いまで。かしこ」

 どうでしょう。文章に誠意やあたたかみを感じないでしょうか。このように手紙や文章は基本的なことを取り入れるだけで、たとえ文章が下手だったとしても、文字が下手だったとしても必ず相手の気持ちに届きます。特に頼みごと、願いごと(売り込み等含む)には十充分な役割を果たすはずです。

 言葉とは不思議なもので、人に勇気を与えたり、人を喜ばす反面、人を傷つける場合だってあります。たとえ本人はまったく意識していなかったとしても、文章や手紙は相手に誤解を与えるときもあります。

 著作物というものは、ある部分ものすごく評価が低く、物質的なものの評価のほうに人は傾いている。また、人は一万円のお金には頭を下げて喜びますが、一万円の価値にはなかなか頭を下げることができません。しかし、そのモノの背後に隠れているものが著作物であり、著作権なのです。

 無料・無断で使える著作権活用法も、そのマナーを最低限守ることによって誰もが自由に利用できるものです。しかし、そのマナーを守れなければ著作権侵害となります。

 

無料・無断で著作物を活用するための大前提


 わたしたちは「引用」というと一般的な国語辞典的な引用をすぐに思い浮かべます。しかし、著作権法でいうところの「引用」というのは意味が違うのです。

 引用に関するマスコミ等で使われている言葉には、「悪用」「盗用」「乱用」「流用」「利用」「使用」「借用」「転用」という言葉を使っていますが、それぞれニュアンスが異なります。少なくとも「利用」と「使用」に関してはしっかりと区別が必要です。


「使用」とは、ようがあって使うこと

「利用」とは自分の都合によって使うこと


 つまり、自分の著作物に必要性をもって使用する場合と、自分の都合、己の得となる使用との区別が必要となります。フランス法の山本桂一東大教授は「主従関係を大前提にし、適法な出所明示はもとより、一番大切なことは『著作者の意を害さない』」というところに基準を置いています。(一九六九年、山本桂一著『著作権法』法律学全集五四のⅡ有斐閣より)


 また、引用(quotation)を考える場合、著作権法の第一条では、次のように記載してあります。

第一条

 この著作権法第一条に書かれている「公正な利用」という言葉が重要なことで、これは著作者をどう守るか、しかし著作者を守りながら、利用者はどう利用すればよいかという意味がこの「公正な利用」の意味です。

一見引用を必要とする者のためにあるように思われる言葉ですが、大原則は著作者及び著作権者を保護するための法律だということがわかります。

その上で「公正な利用」の許される範囲として著作権法第三十条以下で著作権の制限というのがあります。

著作権法第三十二条「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」




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