339.超ビンボーだからこんな発想が生まれた「消しゴム付き鉛筆」のアイデア。
【わくわく発想術⑰】
1.「味の素」の売り上げ倍増計画

今も、「味の素」は生活の必需品ー
一般の家庭でも、飲食でも、世界中に愛されている料理の隠し味ー
こんなに素晴らしい商品なのに、リピートが少ないー。みんなが購入している割に売り上げが伸びないー
関係者たちは頭を抱えていた。
そこで、専門家たちはありとあらゆる調査と研究、リサーチを行い続けていた。そうだ、さらに売上を伸ばすためには、『味の素』をどうしても使わざる得ないような、魅力的な料理メニューが必要だと考え続けた—。
「料理の手順を考え直し、使う機会を多くするような工夫をこらす—。」などと知恵を絞ったが、果してそれだけで本当に売上が倍増するのだろうかという疑問だけが残る。
かといって決定的なアイデアなどそう簡単に浮かぶものではない。誰もが簡単に思い浮かぶものならばこんな苦労などない。
「そんなうまい方法なんてない—。」
「そんなの無理だよ—。」
いつのまにか社員全員が袋小路に陥ってしまっていた。
そんな時、入社間もない女性社員が、上司に向かってサラッと答えた。
「売上を2倍にしたいのなら、今までの2倍、使ってもらうようにすればいい」という。
あまりにも単純明快。
ストレート、確かにその通り。
しかし、その具体的方法が思いつかなくて皆、苦しんで頭を抱えている。
「じゃあ、どうすればいいんだ」男性社員達は、その女性に答えを求めてみた。すると、「そんなこと簡単です!」上司も、その他の社員達は思わず絶句、声が出ない答えだった。
「サッとひとふり『味の素』でしょう。
それならば、今までの2倍の量を使ってもらうためには、ひとふりの量を2倍にさせればいいんです。
つまり、『味の素』の内ぶたの穴を大きくすればいいだけの話じゃあないですか!」誰も声が出ない、嘘のような本当の話。
しかし、言われてみれば、その通り。確かに、サッとひとふりする時、出てくる量を倍にすれば、黙ってても売上は伸びる。
小学生でも、誰にでもわかる算数の世界。今まで苦しんで頭をつかい悩んできたことは一体何だったのか。ああだこうだと真剣に考えてきたことがあまりにもバカバカしくなってくるほどのアイデアだ。しかし、今まで苦しんできたからこそ、この言葉が心を打つ。
その後、この女性のアイデアが採用され、ズバリ的中し、大成功をおさめる。味の素の内ぶたの穴を大きくしただけで、今まで以上にたくさん使われるようになり、売上は2倍どころか3倍にも4倍にも伸ばすことに成功したのである。
わたし達の子供の頃「『味の素』をいっぱい食べると頭が良くなる」なんていわれて育ってきた。漬け物や目玉焼き、味噌汁と何にでも入れ育ってきた味の素。
家庭料理にはなくてはならない調味料として不動の地位を築いてきたこの味の素の成功を蔭で支えたのは、単純明快、純真無垢の素人の女性のモノの考え方だった。
専門家たちは複雑に考えすぎて迷路にはまっていたが、この女性のたった一言で運命が変わった、凄いアイデアだった気がする。

2.超ビンボーだからこんな発想が生まれた「消しゴム付き鉛筆」

ハングリーな人達にはアイデアがいっぱい。
恵まれた人にはなかなかアイデアが生まれない。
やはり、現在の生活に満足してしまっている人と不満足な人との知恵の差は大きいものともいえる。
それは貧しさ、不便さ、不自由さ、そして苦しさから生まれるという発想というものには、追いつめられていたり、必要性を迫られていたり、切羽詰った状況が背後にあるために以外と実用的な場合が多い。
今から数十年の昔、ハイヒマン氏という男性がいた。
この男性は売れない画家。いうまでもなく、とても貧乏。
超貧乏だった。
しかし、彼は、貧しさに負けず、夢を見、そして毎日、毎日と絵を描き続けていた。
しかし、ハイヒマン氏は、貧乏ゆえに、画材すら買うこともままならない。そこでいつも、小さく短くなった鉛筆と小さな消しゴムを使ってデッサンをしていた。
描いては消し、消してはまた描く、といったことの繰り返し。
しかし、そこでハイヒマン氏は非常に困った問題を抱えていた。
それは消しゴム。
消しゴムは使えば使うほど小さくなるのは当り前。
その小さくなった消しゴムがすぐに見つからなくなってしまう。
これも大切な仕事の必需品だ。
その小さな消しゴムが、部屋の隅に転がっていたり、紙の下に隠れていたり、うっかりするとゴミとまちがえて捨ててしまったりしてしまうこともある。
たとえ小さくとも、まだ使えそうな消しゴムがなくなると、まったく仕事にならない。この問題はハイヒマン氏にとっては大きな痛手。簡単に新しい消しゴムなど買う金すらない。
そこで—。
「なんとか消しゴムをなくさない方法はないものだろうか」と真剣に考え、今度は絵を描くことそっちのけで、そんなことばかり考え続けた。
この話をセコイ話ととる人もいるかもしれないが、金がない、貧しい者の執念を人は馬鹿にしてはならない・・・・・・・。
そこで考えついたのが、鉛筆の頭に小さく切った消しゴムを、なんとブリキで巻つけるといった方法を考え出した。
ここに「消しゴム付き鉛筆」が世界に誕生した?
ハイヒマン氏はこの発明に狂喜したという。
この時、彼の頭の中には、絵のことなどまるでなかったのだろう。
すぐさま、このアイデアで特許を取得し、ラバーチップ鉛筆製造会社に数万ドルという多額の契約金で特許を売却。その後、ハイヒマン氏は結局、画家としては成功しなかったが、大金持ちになった。
貧しさは知恵を与えてくれる—。現代でも鉛筆は愛され続、優しい筆ざわりにはまだまだ及ばない気がする。今また、鉛筆が脚光を浴び始めたー。

*文具界、日本文具新聞より

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