35.note記事を友人たちと共同で創作しています。その場合の著作権はどうなるの?
質問㊱・友人たちと共同で創作しています。その場合の著作権はどうなるの?
ひとつの著作物を何人かで創作する場合、「共同著作物」とか「集合著作物」「結合著作物」なんて言葉が専門的にはよく使われています。
「共同著作物」とは、「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」(二条一項)とされています。
つまり、何人かの共同で論文や何かしらのテーマをもって作成した場合や、シンポジウムや対談、座談会などの記録を含めて、また共同制作でデザインや彫刻などをつくる。その場合、誰かが欠けてしまえば、著作物として成り立たなくなる場合もあります。
このような場合は、発言者全員、論文を書いた人全員、共同制作でデザインや彫刻をつくった人全員は、この共同著作物に当たります。
たとえば友人たちと、それぞれの分野、テーマを分けて全体が構成されていた場合は、それぞれが分離しても個別に利用できるものは「集合著作物」といいます。
また、「結合著作物」は集合著作物に似ているが、絵本のように文章と絵によって構成されて創作されているもので、一体的なものだが、分離しても可能なものをいいます。
質問㊲・私は会社に勤めていますが、私が創作した著作物は会社の権利に帰属するのでしょうか?私自身が創作したのですから、著作権は私にあると思うのですが?また、「法人著作」・「職務著作」とは何でしょう?プライベートで捜索したものも会社に帰属してしまうのでしょうか?
たとえば大手出版社の発行する著作物(出版物)の場合、編集者はもちろん、イラストレーターやカメラマン、コピーライターやフリーライターなど、一冊の本の発行に対して数多くの著作者がかかわっている場合、制作にかかわった全員に著作権があるので、すべての人に了解を得なければ利用はできません。
そのためにその組織が社会的な責任を負うことが慣例となっているようです。つまり、それを法人著作といいます。
だからといって個々の著作者の人格権が法人にあるわけではありません。
著作権はその法人に帰属したとしても、「著作者人格権」は会社内であっても創作した者に残される権利です。
このような場合を「法人著作」、「職務著作」といいます。
そして、このような「法人著作」の場合、次のような要件があります。
一 法人の発意に基づき作成されるものであること
二 法人の業務に従事する者により作成されるものであること
三 法人の従業者の職務上作成されるものであること
四 法人の著作名義の下に公表するものであること
五 法人の内部契約、勤務規約等に別段の定めがないこと
一「法人の発意に基づき作成されるもの」
著作物を作成するという発意(意志)が必ず法人の判断によるものでなければなりません。
つまり、明確な職務命令で著作物をつくる場合や、従業員が自ら上司に提案し了解を得た場合、また直接的な指示がなかったとしても、職務内容から何かが生まれる場合もあり、従業員の職務上に生まれた著作物と考えてもよいかもしれません。
二「法人の業務に従事する者により作成されるもの」
著作物が従業員ではなく、外部(外注)先に依頼し作成された場合には、法人著作者とはなりません。著作者はあくまでも外部の著作物を創作した人にあります。ここで誤解してはならないことは、外部の著作者から著作権を譲渡されれば、その法人に著作権はあるものですが、ここでいう法人著作とは、あくまでも会社内の者によって作成されるものをいいます。
三「法人の従業者の職務上作成されるもの」
たとえば雑誌記者が従事者として記事を書くことは職務ですが、取材の過程で関連したことをメモしたり、まとめたりすることは必ずしも職務とはいえません。
四「法人の著作名義の下に公表するもの」
これは、従業員の氏名を著作者として表示した場合は、公表する著作物の著作者は従業員となり、法人は著作者とはなりません。
法人が著作者となるためには、著作者として自己の名を表示しなければなりません。
著作権法で明確に分けている部分は「法人著作」と「職務著作」の違いで、従業員個人の名義で著作者として表示している場合、また(一)〜(三)の要件を備えている場合は職務著作となり、法人著作とはなりません。
つまり従業員本人が著作者となります。これも著作者人格権の表われのひとつで、その個人の創作性の強いものには、「職務著作」として認めています。新聞記事で個人の氏名が出ている場合と出ていない場合のように、責任を明確にしているのです。
五「法人内部の契約、勤務規則等に別段の定めがないこと」
一、二、三、四の要件を満たした上で、法人内部の契約等に、従業員を著作者とする定めのないものはすべて法人著作になります。この定めとは「契約上、職務上創作した著作物であっても、従業員を著作者とする」「または、しない」と規定をおいてある場合のことです。
しかし現実に、中小企業をひっくるめて、契約等にこの条文をちゃんと記載しているところがあるでしょうか。税理士や社会保険労務士、行政書士等の方々は、具体的にアドバイスしているでしょうか。
また、何らかの著作物を扱ってしまうこの新しい時代に、どの業界も、これらの関連の契約をきちんと行っているのでしょうか。残念ながらその部分はほとんど明確ではありません。
現在はまだこれに関するトラブルは目立たないかもしれませんが、あとあとトラブルになった時にどのように対処するのか心配になります。
著作者人格権を侵害する行為等は、著作者の死後といえども禁止され(六十条)、差止請求権や罰則規定により担保されている(著法第一一六条・一二十条)つまり、著作者の死後であっても一定の範囲で人格的利益は保護されている。
著作権という権利は、その著作物を他人に利用させることによって収益(利益)をもたらす財産権としての性格を持ちますが、もう一方では、著作者の人格的利益をもたらす人格権があります。
人格権とは、身体、自由、名誉、貞操などの人格的利益に基づいて生ずる権利の総称であり、これらの人的利益を侵された場合に、加害者に対して損害賠償、その他の回復請求をおこなうことができる内容となっています。
名誉毀損やプライバシー侵害も人格権としての権利に含まれています。
このように、著作権という言葉は多少なりとも認知されてわかるようになりました。著作者人格権に関しては、多くの人が知らない権利ともいえるものかもしれません。
たとえば、契約上において、この著作者人格権という文章が果たしてどのくらい正式に記載されているかといえば、ほとんど書かれていないのが実情です。
ある弁護士は、著作権ということが契約上に記載されていれば、その中に自動的に人格権の意味合いもあるのだから、あえて書く必要はないという人もいます。
しかし、著作者人格権の意味を正しく伝えるためには、必ず記載する必要性がありますし、決して無駄なことではないのです。

※特非)著作権協会おすすめ電子書籍〈~著作権トラブル110番~「著作権事件簿」③〉①~⑰巻まで好評発売中!note記事には書ききれない物語満載。お時間がありましたらお読みくださいね。下記で目次内容等を検索して見てください。


