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39.建築の著作物は建築芸術といわれるような、美的な思想または感情が創作性をもって表現されている建築物のことをいいます。

建築と著作権
質問㊸・ユニークな建築物の外観を撮影して印刷物にしたらクレームがつきました。また同時にホームページにも掲載しましたが、これって著作権侵害になるのでしょうか。また、建築物を様々な媒体で利用する場合の注意点を教えてください。


著作権法第十条一項五号は、著作物の例示として「建築と著作権」を規定しています。だからといって、建築物のどれもが著作権法の対象になるわけではありません。建築は著作権法上どう保護されているのでしょうか。

著作権法における著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法第二条一項一号)ものでなければなりません。

つまり、建築の著作物であっても、この著作権の定義にあてはまるかどうかの基準があります。つまり、定義にあてはまる建築物は著作権法で保護されていると考えるのが正しく、建築の著作物は建築芸術といわれるような、美的な思想または感情が創作性をもって表現されている建築物のことをいいます。

一般の住宅やビルなどの建築物は該当しないといわれています。

しかし、ここで注意しなければならないことは、建築物だからといって、建築の設計図そのものにも権利がないと思うのは誤りで、設計図には「学術的な性質を有する図面の著作物」(著作権法第十条一項六号)として保護されています。

質問の建築物がどのような建物かはわかりませんが、一般の住宅やビルならば、あえて写真に載ったり、印刷したり、ホームページに掲載しても面白みはありません。ユニークだからそう考えたのだと思いますが、ユニークということは、美的な思想または感情が創作的に表現されているとして建築の著作権に該当する可能性が高いと思えます。

それでは、建築の著作物に該当する場合、このような建築物の外観を写真に撮ることは、著作権法上問題になるのでしょうか。

著作権法四十六条は、「原作品が一般公衆に開放されている屋外の場所または建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置されている美術の著作物、または建築の著作物は一定の場合を除いて、利用することができる」と規定しています。

これは、このように恒常的に屋外で公開されている美術の著作物、または建築の著作物については、一般人による自由利用を認めるのが社会的慣行に合致しており、かつ、多くの場合には、著作者の意思にも沿うと考えられているからです。

このうち、建築の著作物については、「建築により複製し、またはその複製物の譲渡により公衆に提供する場合」(著作権法四十六条二号)つまり模倣建築を建てること、及び「(一般公衆に開放されている屋外の場所または建造物の外壁その他一般公衆の見やすい)屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合」(著作権法四十六条三号、カッコ内は著作権法四十五条二項)つまり、テーマパークのミニチュア建築などには著作権の効力が及びますが、その他の場合は、著作権者の許諾を得ることなく自由に利用することができます。

これに対し、「原作品が一般公衆に開放されている屋外の場所または建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置されている美術の著作物」については、もっぱら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、またはその複製物を販売する場合についても著作権の効力が及ぶ(著作権法四十六条四号)と規定されていますので、その美術の著作物を写真撮影やスケッチ等をすることによって、絵はがきを作成するのであれば、あらかじめ著作権者の許諾が必要になるのです。

このように、絵はがきなど複製物の販売を目的とする複製については、美術の著作物の場合には著作権者の許諾が必要になりますが、建築の著作物の場合には著作権者の許諾が不要となります。

大阪万博会場に設置された「太陽の塔」のように、建築の著作物と彫刻美術の著作物との二面性を有すると解釈できるものについては、美術著作物として、著作権法四十六条四号の適用の可能性があるでしょう。(加戸守行『著作権法逐条講議(三改訂版)』二八八頁)。


ご質問では建物の外観がユニークであるということですが、美術の著作物と認められる場合であっても、著作権法四十六条により、絵はがきの製作・販売をすることについて著作権者から許諾を得る必要はないでしょう。

なお、このように外観がユニークな建築物や製造物を第三者が絵はがきやカレンダーあるいはポスター等商業用に利用する場合、所有者から「物のパブリシティ権」を主張されることがあります。

物のパブリシティ権とは、わが国判例上、自然に認められているパブリシティ権(その者が有する顧客吸引力等の経済的利益について排他的に支配する権利)を物にも適用するという主張です。物のパブリシティ権については、制定法がないだけでなく、裁判例もまだ少ないため断定することはできませんが、一般的には認められることはむずかしいのではないかと思われます。


商品企画と著作権
質問㊹・私は広告代理店ですが、いろいろな著作物を参考にして企画提案やプランを作成し、新しい商品企画を制作していますが、著作権に関する注意点はどんな部分にあるのでしょうか。また、著作権の譲渡に関する注意点も教えてください。


 
いろいろな著作物を参考にするということは、おそらく他人の著作物という意味でしょう。

これはよくある話で、多くの印刷会社や広告代理店、デザイナーも含めて、プレゼンテーション(提案書)のたたき台(見本)として、そのまま他人の著作物を利用している場面が多く見られます。

参考にして別の著作物を創作するのではなく、そのまま利用しています。

これは、見本制作に対して契約が成立する前のため、あまり労力やコストをかけられずそのままを利用していると思われます。


さらに他人の著作物を自分の制作する提案企画内容にあてはめるために修正や改変をします。苦肉の策かもしれませんが、コストや労力、時間短縮ができるため利用しているのです。

よく、「これはあくまでも見本ですから‥‥」「企画書は少量だし、多くの人に見せる訳ではない」といった風潮がどうやらこの業界にはまだまだあるようです。


著作権法第三十条「私的使用のための複製」は、「個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(ごく少数)で使用する目的で複製する場合のことです。

つまり、個人的な参考資料であったり、テレビ番組を私的に録画して楽しむことです。

また、企業内の内部資料として複製部数がわずかで、少量を少人数に渡すものであったとしても、私的複製の範囲には入りません。

それではまったく複製することができないのではないかという問題が残りますが、そこで、著作者、出版社及び学会などの団体によって構成される「日本複写権センター」が平成三年(一九九一年)に結成され、団体傘下の著作物については、日本複写権センターを通じて企業側へ許諾を与えるという仕組みができました。


平成11年10月に文部大臣から社団法人として許可を受けています。また、日本複写権センターにかかわらない著作物に関しては、その著作物を発行している発行元より著作者の使用許諾を取る必要性があります。

また、企画書や提案書の目的は相手との取引契約を前提につくられたもので、他人の著作物を使用することによって、自社の企画力、提案力、商品力が増すことになるわけですから、今後の取引の安全のためにも、著作者から許可を取ることが注意点として考えられるところです。

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