82.オンラインで録画したものを、勝手に他の人に見せないでほしい!
1.オンラインの問題点(「著作権と肖像権」)
最近は567のせいでオンラインが花盛りです。
三密を防ぎために止むを得ないことですが、どこもかしこもオンラインで会議や講演会を開催しています。
これはとても便利なことなのですが、トラブルや問題も生じています。
具体的にどういう問題なのかといえば、当日の会議や講演会だけの利用であれば何も問題はありませんが、それを録画して当日参加できなかった関係者や、それ以外の人たちに送信してしまうことです。
確かに当日参加できない方々に知らせることは悪いことではありませんが、「最低限度の配慮」が必要になることをほとんどの人は知りません。
では「最低限度の配慮」とはオンラインに登場する講師や、ズームウェビナーの方々の顔、つまり「肖像」が映されていることと、発言内容のすべてには「著作権」が発生していることです。
さらに、撮影した人にも「著作権」があり、「著作権」「著作者人格権」「肖像権」という人格権の集合体だからです。
「最低限度の配慮」の理解のある主催者は、
このような場合、必ず参加者全員の承諾と、講師の承諾を得ています。
特に「口頭」ではなく、文書にて使用方法、利用方法の許諾を取っていることです。
また、オンラインは当日の開催が主たる目的となっているため、その後の「二次使用(利用)」「三次使用(利用)」等に関しても使用許諾が必要となります。
しかし、残念ながら、このような「最低限度の配慮」をしているところはほんのわずかなため、後日トラブルとなっているのが実情です。
どうして、このようなトラブルになるのでしょう?
例えばこれがビデオ映像だとしたら尚のこと、許可なく勝手にユーチューブで流したり、それをコピーしてCD-ROM化して配布したりすれば、完全なる「著作権侵害」となります。
それと同様にオンライン録画したものを、許可なく勝手に他で利用することも同じ「著作権侵害」「肖像権侵害」となります。またそのオンライン講義内容や講師や参加者の発言を文書化して頒布することも「著作権侵害行為」となります。
つい最近になって、注意するようになっていますが、弁護士さんが事件を扱った新聞記事や画像を講演会や講座、勉強会等で利用していましたが、これらはすべて無許可の場合「著作権侵害」となります。(そのため必ず許可を取るようになりました)
また、警察署内においても新聞記事などを複写し署内での配布をやめ、回覧に切り替えるようになりました。(許可を取って複写しているところもあります)
このようにオンライン講座での資料等に関して預かったデータを無断で複写して頒布することは「著作権侵害」となるのです。

2.オンライン等で使用するデータに関して
オンライン等で使用するデータがあります。
オンラインでなければ講義内容等を著作者(講師)の許可をいただき、プリント(複写)して参加者に配布する場合と、画面上のデータの権利はまるで違います。
紙媒体の場合は「必要部数」「予備」等のプリント(複写)は「有限なもの」です。部数も明確になります。
しかし、電子媒体の場合は原版でもあり、鮮度も美しく、図や写真などが見やすいという利点がありますが、そのデータそのものを第三者に提供してしまうことは問題があるのです。
データの場合は原版です。
その原版は鮮度を保ちながら、いつまでも利用することができるものですから、人の手から人の手へ渡りやすくなるものです。
プリントのものはさらにプリントを繰り返せば鮮度は落ちていきますが、データ原版はそのまま印刷物にしたり、何に対しても簡単に利用できてしまう恐れのあるものです。
そのため、原版データとなるものは継続性のあるものとないものに分かれます。継続性のあるデータは簡単ではありません。
そのためにはしっかりとした承諾、契約が必要となるものです。
また、作成データは著作権のかたまりです。
例えばイラストがあれば「イラストレータ」の著作権。
写真があれば「カメラマン」の著作権、文章はそれをまとめて描いた人に著作権、他人の「肖像」があればその人の「肖像権」のあるものです。
さらに、デザイナーに頼んだデザインであれば、デザイナーに著作権があります。
これは「データ」と「映像」の工程を考えれば同じだということがわかります。違いは「動いている」映像か「止まっている」データ画像かの違いです。

3.データ等の取扱い
最近は、どこの行政でも、企業でもデータでください、という時代になりました。プリントでもらうよりもデータで残しておいた方が管理がしやすいからです。しかし、そのデータの扱いには注意が必要です。
では、どのような注意かというと、「記録としての保存」「資料」などであれば何も問題はありませんが、前項のような「二次使用」「三次使用」「四次使用」などに対する問題です。つまり、別の何かに利用したり、印刷して頒布したり、ネット上で利用することです。
これらはすべて許可が必要なものです。
こんなトラブルを良く見かけます。
それは「入札」などでの成果物に対しての原版データの利用です。業者側にしてみれば入札が落とせれば何もトラブルはありませんが、同じ内容で次年度に再入札となり、その業者は落とすことができませんでした。入札は他の業者に決定して当初のデータを使用したところ、その業者からクレームが付きました。それは、
「そのデータの権利は当社にあり、勝手な使用は『著作権侵害』となる。他人の労力のただ乗りは許されない…」
と問題提起しました。
発注側にしてみれば寝耳に水、当時、データ使用も含めた代金を支払っているのだから何も問題はない、と考えていたようですが、弁護士さんとともに話し合い。結果、データの権利は前業者側にあり、発注者側には代金を支払っていたとしても権利はないとしました。
その理由は「著作権譲渡」又は「著作権の使用許諾」を取っていなかったからでした。
ほとんどの人は「代金を支払っているのだから権利は譲渡されている」と勝手な解釈をしていますが、代金を支払っただけでは権利の移動はありませんでした。(「著作権譲渡」「著作権の使用許諾」がなければ権利は移動しない)
このような問題、トラブルがデジタル化の時代に次々と起きているようです。

3.講演会・講座での注意点
私の講座、講演会は特別な要望がない限り、録音や写真撮影、ビデオ撮影はお断りしています。
その理由は自分の姿が嫌いということもありますが、勝手に利用されてしまうことです。
つまり、私の知らないところで録音や映像が流されているからです。
せめて、事前の相談や使用目的が明確であれば良いのですが、相談もなく、知らないところで利用されていることでした。
さらに、困ることは「都合の良い部分だけ編集」されていたり、自分の意としない団体(政治、宗教、思想団体)などでの無断利用です。
これは私だけでなく他の人たちの人格を傷つける行為だからです。
また、私の講演内容を文書化して勝手にその文を変えてしまわれたことでした。こうなると、「著作権侵害」だけでなく「著作者人格権侵害」となります。
こんなこともありました。
選挙での街宣活動をしている人の話を聞いていただけでその候補者のホームページに私が映り込んでいたことでした。
これなどは、まさに「肖像権侵害」といえるものです。(応援している人ならば問題はないのですが)

4.データ上の「著作権」「肖像権」の注意点
「著作権」「肖像権」というものは使用するにあたっての最大の注意点は、人の手から人の手に、無限に使用されてしまう恐れのあるものです。
ですから、第三者に譲ったり、貸す場合はその点の注意が必要となります。
また、「期間の定めのない」ものはトラブルになりやすいものです。
つまり、1回だけなのか、継続して使用するのか、数年間なのか、無期限なのかをしっかりと定めないと永遠に使用されてしまう恐れがあります。
撮影した人には「著作権」が発生します。
撮影された側には「肖像権」があります。
大概は「撮影した人(著作者)」から使用許諾をいただいたり、「撮影された側(肖像者)から使用許諾を取っていますが、「著作者」と「肖像者」の両方から許可を取らねば成立はしません。
これも大切な注意点です。

このようなトラブルや問題がどうして続くのでしょう?一般はもちろんのこと、日本全国の都道府県、市町村などでもこのようなトラブルが続いています。
あくまでも私の私見なのですが「対価の痛み」がわからないからなのかもしれません。「対価の痛み」とは自らが支払いをしていない。
または、その成果物の対価や価値がわからない、というのも理由の一つかもしれません。
私たちはとかく見える形のある物には感謝しますが、平面上の紙媒体とか電子上のデータなどの「労力(製作時間、製作費等)」に関しての評価が低く、なんでも簡単にとらえてしまう考えが強いようです。
しかし、設計図面(著作権がある)と同じ長い時間と労力をかけお金をかけて作られている著作物も同じものなのです。

特非)著作権協会です。みなさま、ごきげんよう!
少し前までは、デジタル化はまだまだ特殊なものでしたが、近年は誰もが手軽で簡単に鮮度を崩さずに美しくコピー(複写)することができるようになりました。
イラストも、写真もPDF、PNG、パワーポイントと簡単にデータや転送をするようになりました。
反面、その特定の人に渡したはずのデータが人から人へと簡単に手に渡り、手に入るようになりました。
このこと自体が当たり前化してしまい、権利に関して安易に使用するようになってしまったのは事実です。
フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどのSNS投稿などの世界なども簡単にコピー(複写)して人の手に渡ってしまう時代となりましたね。
そして、人の手から人の手に次々と拡散することによって本当の「著作者」「著作権者」の存在がわからないくらい複雑な世界となりました。
また、私が「著作者だ」「私が著作権者」だと叫んでも、実際の裁判に発展したときにその事実の証明がとても難しくなりました。
これが少し前の時代であれば、たった1枚の「原版(原画等)」によって、証明できたのですがデジタル化とともにその原版とまったく遜色のない「原版もどき」が無限に作ることができるからです。
写真や映像なども何かの争いとなったときに「私が著作者だ!」という証明がさらに難しくなりましたね。
ですから、「原版」や「データ」を第三者に差し出すときはとても注意が必要となります。そのため、しっかりとした「契約書」や「著作者・著作権者」だという証明も最小限度必要になります。(この著作権noteで改めて特集する予定です)
長い文は、本ではないので、このnote記事には似合わないといわれていますが、たくさんの人が読んでくれていることに心から感謝致します。
今後も、理論的なこと、創作の面白さや楽しさ、著作権活用法の三本立ててで公表する予定ですので、お付き合いくださりますようお願い致します。
まずは、ありがとうございます。
※特非)著作権協会おすすめ電子書籍のご案内「~著作権110番~「著作権事件簿」全17巻好評発売中!下記URLにて検索してください。


