220.黒の商標復活!ブランド乗っ取り商標ビジネスが暗躍しだした~
1.黒の商標復活!ブランド乗っ取り商標ビジネス
昔、小説「黒の商標」という読み物があった。

舞台は日本国内。企業のネーミング (会社名や商品名)の商標調査をし、登録されていないことを知ると自らが商標登録をし、その同名の企業に高く売りつけるといったビジネスで、それを断る企業はその商標を一切使用できなくなるだけではなく、すべての印刷物、看板、商品パッケージ、社名までも改めなくてはならなくなるといった「商標屋」と呼ばれる闇のブローカー達の話だった。
そのため、企業は泣く泣く相手の要求する費用を支払わざるを得なく、膨大な費用を請求され泣き寝入りをしなくてはならなくなる……。

これらの話は現実に日本国内で起こってきたことだったが、今度は中国や台湾が日本の農産品ブランドを狙って「ブランド乗っ取り」、日本側に多額のお金を請求し売りつける「商標ビジネス」が暗躍しはじめてきている。
2009年(平成21年)1月4日、この緊急事態を受け、農林水産省は登録申請を監視する機関「農林水産知的財産権保護コンソーシアム」の設置を決めた。
1月中にも試行を始め、現地商標当局のインターネットサイトを見張ることとなった。
そして、日本の産地名などが見つかると自治体に知らせ異義申し立てをする。
この監視機関は4月に正式発足し、国内の民間調査機関に事務所を置き、中国と台湾の弁護士事務所とも協力しあう。
また、都道府県にも参加を呼びかけ、運営費の負担を求める。
中国や台湾では、申請された商標を当局がネットに掲載し、利害関係者は審査終了から3カ月以内に異義申し立てができることになる。
国内には独自で監視する自治体もあるが、農水省は力を合わせて共同で監視する方がより効果的という。
では現在、どのような問題が起きているかというと、「コシヒカリ」「秋田小町(あきたこまち)」「一目惚(ひとめぼれ)」「讃岐(さぬき)」なども商標登録されていた。さらに、チェックしていてもむずかしい問題があるのは、「コシヒカリ」、「越光」(中国での表記)、「山梨勝沼」の勝が中国では「 」になるため見のがしてしまう可能性も大きい。
さらに大きな問題として、異義申し立てや無効審判は可能だが、取り消しまで4年から5年かかり、なおかつ費用がかかる。まだまだ問題は山積みだ。
ちなみに中国・台湾で現地企業・個人が商標申請した地名に何があるかというと、登録済みは青森・岩手・秋田・福島・群馬・長野・千葉・神奈川・愛知・三重・富山・石川・福井・京都・和歌山・山口・高地・徳島・愛媛・佐賀・熊本・甲府・川崎・博多・加賀・越前・三河・信州・近江・宇治・讃岐・土佐・薩摩・九州。
申請中のものには、北海道・宮城・静岡・奈良・広島・香川・福岡・宮崎・鹿児島・山梨勝沼などがある。
ある日本の酒造会社は、中国に輸出した日本酒の銘柄を登録してある中国人から、1500万円で商標権を買い取ったという。
これは無効審判までに時間がかかりすぎると判断したためだと関係者はいう。
さあ、日本。どうする?
2.キューピーちゃんの著作権は切れているが商標権は利用できない

2009年(平成21年)は「キューピーちゃん生誕100年」を迎えた。キューピーちゃんといえば、キューピーマヨネーズを誰もが思い出す。
しかし、キューピーのイラストを商標登録した男性が本家のキューピーに訴えられていた。この事件、本家のキューピー社が裁判で勝った…。訴えられた男性はキューピーの作者からイラスト使用の許可を得ていたが、知財高裁での判決で商標権は認められなかった。
しかし、変。巷には「キューピーちゃん人形」がそこいら中で出回っているじゃあないか?
その人形とは、かわいらしいキューピーちゃん。キューピーちゃんに様々な洋服を着せたり、頭だけ鉄腕アトムだったり、サザエさんだったり、頭と衣装がウルトラマンだったりと変化に富んでおり、今、若者に大人気でブレイクしているヒット商品でもある。
もっとひどいものになると、グロテスクなキューピー人形だったり、内臓が飛び出していたりと、キモいものもある。
また、日本全国に「ご当地キューピー人形」などもあり、ご当地に合わせた衣装などを着せているものもある。
この知財高裁で争っていた男性とは、「日本キューピークラブ」の代表でテレビや雑誌などでも紹介されている北川和夫さんという人。
北川さんはキューピーグッズの収集家でもあり、2006年に飲料水の商標としてキューピーのイラストを登録した。
しかし、キューピー社は「自社の商品と混同する恐れがある」とし、特許庁に北川さんの商標登録を無効とする審判を申し立てていた。

キューピーのイラストは、もともと米国のイラストレーター、ローズ・オニールさんが著作者で、北川さんは、オニールさんの遺族からイラストの許可を正式に得て、それを商標登録した。
北川さんは、1997年に著者・ローズ・オニール、訳・横森理香、監修・北川和夫「キューピー物語」の本を出版。
彼の著書に「キューピーさん」などがある。また、マスコミなどでもかなり取り上げられている京都市嵯峨野で「思い出博物館」などを開館し、同管の館長も務めている。
1994年に「日本キューピークラブ」を設立。インターナショナル・ローズ・オニール・クラブ日本支部会長。神戸に日本初のキューピー専門のミュージアム&ショップを開くほどのキューピーファン。また、オニールファンでもあり、ローズ・オニール・キューピージャパンの代表も務めている。
ローズ・オニールは、1874 (明治7年)、アメリカ、ペンシルバニアで生まれる。幼い頃から才能を発揮し、19歳のとき単身ニューヨークへ。その間、2度の離婚を経験。1909年末、婦人雑誌にキューピーを発表。その後、キューピーの母として時代の寵児となる。
また芸術作品も数多く残し、1944年に69歳の生涯を閉じた。北川さんは、キューピーファンであることは勿論のこと、日本に初めてキューピーを紹介した人でも知られている。
さて、北川さんはこの裁判に対して「正当な後継者が認められないというのはおかしい」と争ったが、判決では「日本でキューピーといえばマヨネーズが有名」と、キューピー社の主張を全面的に認めてしまった。
また、キューピー社は「当社は、すべての飲料水に広く商標登録している。これを侵害するものは個別に判断し、場合によっては訴える」と強気の姿勢を崩さない。
しかし、ここでもう一度考えてみよう。それは日本全国にあるご当地キューピーちゃん人形のことだ。彼らこそキューピーちゃんを侮辱しているのではないだろうか?
以前、関西から浮上し日本全国に広がっていった奇妙なパロディ人形があった。顔はバカボンパパ、頭はサザエさんの「サザエぼん」、姿はドラえもんで頭はバカボンパパの「ドラぼん」が売られることに対して、サザエさんの美術館や故赤塚不二男さんのフジオプロ、その他が一斉にその奇妙な人形を売り出した会社を著作権侵害で訴えたことがまだ記憶に新しい。
そのくらい著作者を傷つけてしまう恐れもあるご当地キューピーちゃんだ。しかし、この本家と呼ばれるキューピー社は何も訴える気がない。
いや訴えることができない…。
それは著作権が切れているからだ。当時の著作権は著作者の死後50年で切れる。1994年 (平成6年)でキューピーちゃんの著作権は切れているからだ。
問題は商標権であり、商標権は発明と同じ先願主義のため、先に出願したものに権利が与えられるが、それは商標 (顔)としてキューピーを会社のロゴや商品として使用する場合は商標権侵害として扱われるが、キューピーの絵、キャラクターそのものの使用に関しては著作権の範疇のため、すでに著作権の切れているキューピーそのものを商品で扱うことには何も問題はない。
北川氏は裁判のことより「キューピーが残酷にいじられるのは忍びない。
本来のかわいいイメージを崩してほしくない」とマスコミにコメントしていた。しかし、キユーピーちゃん人形は日本全国へ「ご当地キユーピーちゃん」として広がっている。みんなに愛されているキユーピーちゃん、グロだけはやめて欲しい…。
キューピーちゃんの結末~
以下↓

※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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