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38.note記事に短いけど簡単な言葉があります。これは自由に使ってもいいの?

広告と著作権


質問㊶・わたしは広告代理店ですが、ある量販店から宣伝チラシの注文を受けて広告チラシを作成しました。デザインは当社のオリジナルでクライアントからもかなり好評でしたが、他の同種の店が当社の広告チラシとソックリのものをつくり、当社のクライアントから誤解を受け困っています。これは著作権を主張できるでしょうか。


  
さて、広告チラシは著作物といえるでしょうか。

この広告チラシは主に新聞折り込みなどで利用され、目的は商業用です。

よく、商業用、商業目的の場合は美術の著作物とはいえず、著作権を主張できないという専門家もいますが、広告チラシには、まず商品写真、イラスト、値段、商品や販売店についての説明文、キャッチフレーズ等が記載されています。これらはそれぞれ著作権法上保護されています。

たとえば、写真。単なる商品の正面写真の場合は著作物性がない場合もありますが、本来商品写真であっても、写真を撮影するにあたり、撮影者の創作性が重視されます。

つまり、個性があるかどうか。それは、カメラアングルや露光、フォーカス(構図)やシャッターチャンスといったように、個性が認められるものには著作権を主張できます。

たとえば、その商品をより美しく見せるために光と影の工夫による立体感を出したり、バックの背景を計算または工夫したりするように、創作性のあるものは商品写真であっても著作権があります。

また、イラストは広告用であってもほとんどが美術の著作物として認められる場合が多いものです。

チラシに掲載されている値段は、単なる事実の伝達で、著作権法の定義にあてはまらないものですから、著作権性はありません。

説明文は単なる事実、つまり、性能や効果中心の簡単な説明文には創作性はありませんが、その文章が、「思想または感情を創作的に表現した文章」であれば、著作権侵害を主張できます。


また、広告チラシで使われる「春のバーゲンセール」「特別大売り出し」といったキャッチフレーズやタイトルなどは創作性のない当り前の文章ですから、著作権は主張できません。

しかし、「もうすぐ春、うれしい春、あたたかな春特別売出し」などは、季節感や感情を創作的に表現した語りかけですので、著作物性があります。


最後にレイアウトになりますが、レイアウトはあくまでも配置する方法であって、著作権法上の創作表現にはあてはまらないとされています。


しかし、これに対し、素材が同じようなものだったり、あまりにも似て、かつレイアウトが似ている場合、つまりソックリの場合は、レイアウトを含めた全体の広告チラシの複製権、あるいは翻案権の侵害になる恐れがあります。


また、「混同を招く恐れのあるもの」は〈不正競争防止法〉という法律が適用される場合があります。

キャッチフレーズと著作権

質問㊷・「キャッチフレーズ」や「スローガン」には著作権がないと聞いていますが、ユニークで面白いものがあり、権利がなければ自由に使ってかまわないのでしょうか。


不思議なことですが、「キャッチフレーズ」や「スローガン」に著作物性があるか、ないか、ということに関しては過去の判例がなく、著作権は「ない」とされてきました。

しかし、俳句や短歌のようなものは著作権法の定義にあてはまり、著作権があると認められています。つまり、短文であっても創造性のある文章は著作権があったわけです。


これは、平成13年5月30日の東京地方裁判所(平成13年(七)第2176号)の判決で初めて「スローガン」にも著作権があることが認められました。

これは、「ボク安心 ママの膝より チャイルドシート」(原告スローガン)
そして、「ママの胸より チャイルドシート」(被告スローガン)

という交通標語をめぐる裁判で、原告スローガンがそもそも著作物性があるのか、ないのか。もしあるとすれば被告のスローガンは原告のスローガンの著作権を侵害しているかどうかが争いになりました。

裁判所は、原告のスローガンに著作物性があると認めましたが、被告スローガンは実質的には同一でないと判断し、被告は著作権侵害ではないと判断されました。

この判決では、著作権侵害にはなりませんでしたが、スローガンにも著作権があると判断された日本で初めての判決といえます。

判決では、「原告スローガンは、三句構成からなる、五・七・五調を用いて、リズミカルに表現され、『ボク安心』という語が冒頭に配置され、幼児の視点から見て安心できるとの印象、雰囲気が表現されていること、『ボク』や『ママ』という言葉が対向的に用いられ、家庭的なほのぼのとした車内の情景が明確に描かれているといえることなどの点に照らすならば、筆者の個性が十分に発揮されたものということができる」として創作性が認められました。


しかし、最高裁判所の平成13年6月28日の判決では、著作権法の対象は単なる表現ではなく、「思想または感情を創作的に表現」でなければならず、標語・スローガン・キャッチフレーズ等に著作物性が認められても、その複製権を侵害したと主張するためには、創作性か表現された箇所が複製されてなければならないというのが、あくまでも判例の立場です。


つまり、言語の著作物の場合、侵害したという著作物から既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することが必要といえます。

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