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47.いろいろな人が、CD・ROM制作にかかわる場合があります。この場合の権利はどのようになるのでしょうか。

CD・ROM制作と著作権
質問58・CD・ROMを制作する場合、外部のイラストレーターやカメラマン等に協力者を依頼したり、外部の方から写真や原稿を提供してもらったり、当社の従業員がCD・ROMの制作にかかわる場合があります。この場合の権利はどのようになるのでしょうか。


まず、外部に協力していただいた方々と契約をして、著作権の問題をクリアすることが大切です。

つまり、著作権を貴社に譲渡したものか、貸与されたものか、利用方法等の処理をきちんとすることです。
これらを単純に、「(一)素材に関する著作権」「(二)プログラムに関する著作権」「(三)CD・ROM自体の著作権」に分けてみます。

(一)素材に関する著作権
これには外部に依頼し制作した写真やイラスト、図等が含まれます。CD・ROMの制作には、静止画・動画・写真・イラスト・図・音楽などの素材が使用され、個々の創作者に著作権が発生します。これらのほとんどが美術の著作物の分野といえるもので、それぞれの素材(著作物)は(著作者)に帰属しています。

そのため、後々トラブルにならないためにも、CD・ROMを企画・制作する側は、素材の著作者・著作権者との間で著作権の譲渡、または利用許諾を受けて権利処理をしておかねばなりません。CD・ROMは様々な素材を利用した著作物のカタマリですから、一人でもこの権利関係が不明瞭であれば、公表、発行する時に支障をきたす恐れがあるからです。

(二)プログラムに関する著作権
さらに、CD・ROMの場合に目的となる収録データ以外に、それを検索するためのコンピューター・プログラムが含まれている場合もあり、原則的には、その素材以外のプログラムを制作た人にも著作権が発生し、制作した人に著作権があります。
そのため、プログラム制作を外部に委託すれば、これも契約により著作権の譲渡または利用許諾が必要になります。

(三)CD・ROMに関する著作権
そして、CD・ROMの内容全体を企画・編集、制作した人、または会社は丁度、出版物の編集人のように、その人に著作権は帰属します。これらは編集者物にあたると考えられています。

これらの質問内容はわたしたちの身近なビジネス上における大切な問題点の一部となっています。

大手企業などは、この「法人著作の要件」をきちんと守っているように思われますが、実態は中小企業と同じように、法人著作があいまいになっています。


特に、法人内部の契約、規則等に別段定めがなく、従業員の著作物はすべて法人側に帰属するという考え方があるために、制作されたすべての著作物が自動的に法人に帰属すると考えています。

法人内部の契約、規則などに関する内容は、著作権に限らず、他の知的財産権も同じような扱い方をされています。法人著作、法人発明を理解して定めないケースと、理解しないまま定めていないケースに分かれますが、ほとんどの企業が「わからないまま定めのないケース」となっています。

また、もうひとつ。企業側の致命的な点は、法人著作が不明確で、たとえ著作権を譲渡させ、その会社に著作権が帰属したとしても、著作権者になったというだけで、著作者人格権を真剣に考えている人がいないことです。

つまり、何でもかんでも著作権を帰属させるのではなく、著作者が外部であろうが、従業員であろうが、大切な著作物については、著作者とともに考え、著作者とともに著作者人格権を活用する戦略が不可欠だということです。

また、前に述べた法人著作の要件にあてはまらない著作物は、すべて従業員に著作権が帰属します。
「法人内部の契約、規則等に別段の定めがないこと」とは、ある意味、法人にとって有利なようですが、実際は不利な部分が多く、知的財産権一般を大切にするためにも、重要な点においては定めが必要と考えられます。

また、従業員が私人として作成したものは法人著作にはなりませんが、この点を明確にできず、アイデアに低い評価を示す会社には、結果として労働意欲、創作意欲、提案意欲が低下し、すばらしいアイデアを期待できなくなります。報酬等の利益をあえて定めに記載することが望ましいと思います。

編集著作物とは、「データ・ベースを除く編集物で、素材の選択または配列によって創作性を有するもの」をいいます(著作権法第十二条)。

辞書や辞典のCD・ROMなど、検索機能がついている場合は、「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索できるもの」として、データ・ベースの著作物になります(著作権法第十二条の二)。

このように編集著作物ないし、データ・ベースの著作物に関する著作権は、CD・ROMを企画・編集し、創作した人や会社にそれぞれ帰属します。

また、会社内で制作したから、会社にすべての著作権が帰属するものではなく、従業員に帰属する場合、会社に帰属する場合もあります。

法人著作とは、「一定の要件を満たす場合には、法人等の従業員が創作した著作物であっても当該法人等が著作者となるもので職務著作といいます(著作権法第十五条)。


実演家と著作権
質問59・平成一四年に実演家に人格権を与える法律改正がおこなわれたといいますが、教えてください。また、著作者人格権との違いも教えてください。


「実演家人格権」という言葉を聞き慣れない人が多いようでが、実演家人格権は、WIPO実演・レコード条約によって初めて認められた権利です。

同条約上では音の実演を対象としていましたが、平成一四年の法律改正により、実演家人格権は、音の実演だけではなく、俳優の演技など視聴覚的な実演も含む実演全般に与えられるようになりました。

著作権法は時代の急速な流れとともに、改正につぐ改正をくり返し、著作権の保護範囲はさらに拡がりつつあります。

そもそも実演家の権利である著作権隣接権制度は、ローマ条約を参考にして作成されたもので、著作隣接権は、当初財産的権利のみでした。

実演家の権利は著作者の権利に比べると種類が少なく、音楽CDを用いて実演が公に再生演奏されても、実演家には演奏権がありません。

また、映画は公に上映されても、実演家に上映権はありません。

しかし、マルチメディア時代の急速な発達とともに著作隣接権に含まれる権利の種類は次第に増え続け、著作権に近づきつつあります。

「実演家人格権」は、〈氏名表示権〉と〈同一性保持権〉の二種類で、著作者人格権に含まれる公表権はありません。実演の場合、公表を前提としておこなわれるもののため、実演家にこの公表権を著作者人格権と同じように扱われてしまえば、著作者人格権との問題も生じる恐れがあり、実演家人格権にはこの公表権がないのだと思われます。

(一)それでは実演家の氏名表示権とはどんなものでしょう。
氏名表示権は、実演家にとっても命ともいえるものですが、実演の公衆への提供または、提示に際して、実演家の氏名もしくは芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示する、または表示しないことに関する権利です。

つまり、実演家自身がそれを決定できるのです。たとえば、実演が録音されたCDの販売に際して、歌手または演奏家としてジャケット等に氏名・芸名を表示、または表示しないことを求めることができます。

実演家の氏名表示権についてこんな例外もあります。
①実演を利用する者は、実演家の別段の意思表示のない限り、既に表示されたところに従って実演実名を表示することができる。

②一定の場合には氏名表示を省略できる。
③情報公開に伴う実演家名の表示に関する規定が、著作者の氏名表示権に準じて定められている。

②については、実演家の利益を害する恐れがない場合と公正な慣行に反しない場合を並列的に掲げており、著作者の氏名表示権より例外が広い。これは多数の実演家が関与するため、実演の円滑な利用に配慮している。

(二)実演家の同一性保持権とはどんなものでしょう。
著作者人格権の場合の同一性保持権は、勝手に改変されない権利で、実演家の同一性保持権の場合は、「実演家の名誉または、声望を害する実演の変更、切除その他の改変を禁止しうる権利」のことをいいます。

これもデジタル技術の発達に伴い、映像や音声の加工、改変がたやすくなり、たとえば俳優の顔の表情を変えたり、体全体、体型を滑稽なものにしたり、俳優のセリフを別のものに入れ換えたり、歌手の声を変えたりするなどの改変に対して、実演家はこの同一性保持権を行使することができます。

これは今まで実演家や俳優が長い間我慢してきた部分でもあり、これまで日の目を見ない道具として扱われてきた実演家にとっては頼もしい味方となる可能性も出てきました。

最近までハリウッドの映画界でも、俳優が自分の姿をデジタル技術で醜くされても文句を言えず、拒否もできませんでしたが、ある有名な女優さんは、自分の姿を滑稽にされてしまう恐れを感じ、その映画をキャンセルしたため、莫大な損害賠償を請求され、自己破産したケースもあります。映画バットマンの悪役の俳優も、自分のイメージが破壊されるダメージを考え、映画出演を辞退したケースもあります。


このように、著作者の人格権の場合の同一性保持権では、著作者の意に反する改変が対象となっているのに対し、実演家の同一性保持権では、実演家の「名誉または声望」を害する改変を対象としています。

著作者人格権と同様に、実演家人格権も、実演家に一身専属的な性質を有し、他人に譲渡することはできません。

また、実演家人格権は実演家の死亡に伴い消滅しますが、著作者の死後における人格的利益の保護と同様に、実演家の死後においても実演家人格権の侵害行為は禁止されています。

この実演家人格権によって、実演家や俳優の発言権も強くなり、今後のビジネス取引上においても有利に働くと考えられます。

つまり、財産的価値が高まったということになるでしょう。

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