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【恋】キミとの、切ない恋物語|第1話「始まり」

20年前の夏。

蝉の声が響く、あの暑い季節。

僕は、恋を知った。


小学生の頃から、sakiのことは知ってた。

同じクラスで。

いつも明るくて。

笑顔が可愛くて。

ひまわりみたいに、周りを明るくする子だった。

でも、ただの同級生だった。


中学に上がって、僕らは同じ中学に進学した。

春休みのある日。

家の電話が鳴った。

「もしもし、kenくん?」

sakiの声だった。

心臓がドクドク鳴ってる。

春の嵐みたいに、急に僕の日常をかき乱した。

「あのね…kenくんのこと、好きです」

受話器を握る手が震えた。

頭が真っ白になった。

「僕も…好き」

それが、僕らの始まりだった。


中学1年生の春から夏へ。

桜が散って。

新緑が濃くなって。

気づけば、蝉の声が聞こえる季節になってた。

僕とsakiは付き合い始めた。

sakiは髪をロングに伸ばしてて。

少し大人びた服装が似合うようになってた。

小学生の頃とは違う。

中学生のsakiは、すごく綺麗だった。

でも、僕には悩みがあった。

母子家庭で、裕福じゃない。

狭いアパートに母、姉と3人暮らし。

思春期の僕には、

sakiを家に呼ぶ勇気がなかった。

恥ずかしかった。

情けなかった。

だから、僕らのデートはいつも外。

プリクラを撮って。

カラオケで歌って。

駅裏の公園のベンチで他愛ない話をして。

それでも。

sakiと一緒なら、どこだって特別な場所になった。

夏の太陽みたいに、sakiは僕を照らしてくれた。


あの日のことは、今でも鮮明に覚えてる。

真夏の午後。

いつものカラオケ店。

あえて家から2番目に遠い店を選んだ。

知り合いに会いたくなかったから。

2階の1番奥の部屋。

冷房の効いた薄暗い密室。

外の灼熱地獄から逃げ込んだ、

僕らだけの秘密の場所。

まだ、僕らは知らなかった。

この日が、全てを変えることになるなんて。

(第2話へ続く)


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