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何も変わっていない毎日を、3センチだけ動かす


こんにちは。しおと申します。

25年の専業主婦を経て、50代で社会復帰。
「今さら」を「今から」に変える、小さな試行錯誤を書いています。


「何か変えたいな」

そう思うことがある。

別に、今の暮らしが嫌なわけではない。

家を飛び出したいわけでもないし、明日からまったく違う人生を始めたいわけでもない。

ただ、なんとなく同じなのだ。

朝起きて、いつもの場所でコーヒーを飲む。

いつもの椅子に座る。

いつもの場所にスマホを置く。

気づけば、見る景色までほとんど同じ。

そんな毎日の中で、

「このままずっと、こんな感じなのかな」

と思う瞬間がある。

ところが「何か変えたい」と考え始めると、途端に話が大きくなる。

何か新しいことを始める?

仕事を探す?

勉強する?

趣味を見つける?

これからの人生を考える?

昨日まで普通にコーヒーを飲んでいただけなのに、数分後には「残りの人生をどう生きるか」まで考えている。

重い。

これでは動けなくなるのも当然だ。

そんなとき、人生ではなく、もっと簡単に動かせるものから始めてもいいのではないか。

たとえば、

椅子を3センチ動かす。


片付けたあと、なぜ少し気分が変わるのだろう

以前、Substackを読んでいて、興味深い考え方に出会った。

物理的なものを動かすことで空間が変わり、空間が変わることで見る位置が変わり、それが思考にも影響する、という趣旨の話だった。

私はこれを読んで、

「ああ、わかる」

と思った。

部屋を片付けたあと。

家具の位置を変えたあと。

旅行先のホテルでひとりコーヒーを飲んでいるとき。

いつもの家では思いつかなかったことを考えたりする。

もちろん、椅子を動かしたから人生の悩みが解決した、なんて話ではない。

でも、いつもと違う場所に座れば、見えるものは変わる。

今まで背中側にあった窓が見える。

真正面にあったテレビが視界から外れる。

棚の端に置いたまま忘れていた本が目に入る。

そして、ふと思う。

「そういえば、これ読みたかったんだ」

その本は昨日もそこにあった。

変わったのは本ではない。

自分が見る位置だ。

昨日まで考えなかったことを、今日の自分が考える。

私は、この小さなズレが案外大事なのではないかと思った。


私たちにも「定位置」がある

50代になるまで、ずいぶん長いこと同じ自分と暮らしてきた。

家の中を見れば、物にはだいたい定位置がある。

お皿はここ。

バッグはここ。

鍵はここ。

いつも座る場所も、なんとなく決まっている。

毎回考えなくていいから、定位置は便利だ。

でも、定位置ができるのは物だけではない。

生活にもある。

考え方にもある。

何時に起きるか。

何を食べるか。

どんな服を選ぶか。

休日をどう過ごすか。

誘われたとき、行くか断るか。

興味を持ったことを、やってみるか諦めるか。

長く生きているうちに、いろいろなことが「いつもの場所」に収まっていく。

そして、いつの間にか、

「何を諦めるか」まで定位置になっている。

「もう、この年齢だし」

「今さら始めてもね」

「私には向いていない」

「面倒だからいいか」

それが本当に今の自分の答えなのか。

それとも、長い間そこに置いてあるから、もう動かせないと思っているだけなのか。

物なら、ときどき気づく。

「どうしてこれ、ずっとここに置いているんだろう?」

考え方だって、同じかもしれない。


自分を変えようとすると、なぜか自分に厳しくなる

何かを変えたいと思ったとき、私たちは真っ先に「自分」を変更対象にする。

もっと早起きしよう。

運動しよう。

勉強しよう。

スマホを見る時間を減らそう。

行動的になろう。

今度こそ続けよう。

つまり、

昨日までできなかった自分に、明日から違う人になるよう要求する。

考えてみると、なかなか無茶な話だ。

昨日までと同じ部屋。

同じ椅子。

同じ時間。

同じスマホ。

同じ生活。

その真ん中に自分だけ置いて、

「はい、今日から変わってください」

と言っている。

それで三日後に元へ戻ったら、

「やっぱり私は続かない」

となる。

でも、変える順番が逆なのかもしれない。

自分を動かす前に、

自分の周りを少し動かす。

それなら、今日できる。

しかも失敗しても、椅子を戻せばいい。


人生を変える前に、実験してみる

ここまで書いてきたのは、

「3センチ動かしたら人生が変わる」

という話ではない。

むしろ逆だ。

人生なんて、まだ変えなくていい。

大きな決断もいらない。

新しい自分になる必要もない。

「今の自分を少し動かしたい」と感じたときに、まず環境のほうを動かしてみる。

そして、自分に何が起きるか観察してみる。
これは片付けでもなければ、自分を変えるためのトレーニングでもない。

小さな実験だ。

捨てない。
大掃除もしない。
収納用品も買わない。
頑張って新しい習慣を始める必要もない。

ここからは、私なら何を「3センチ動かす」かを、5つの実験にしてみた。

今日、「これならできそう」と思ったものを、一つ選んでみてほしい。

1.いつもの席を変えて、「見る位置」を動かす
2.「いつか使う」を目の前に出して、忘れていた「好き」を思い出す

3.毎日目に入るものを一つ消して、「余白」をつくる
4.「もう私には」を一つ動かして、思い込みを少し疑ってみる
5.変えたあとすぐ元に戻さず、違和感ごと少し眺めてみる

最初の3つは、物や場所を動かす実験。

4つ目では、「もう遅い」「今さら」「私には無理」と、いつの間にか定位置になっていた考え方を少しだけ動かす。

そして最後は、変えたものをすぐに元へ戻さず、新しい景色の中に少しだけいてみる。

正解を探すためではない。

人生を変えるためでもない。

「人生を変えるほどではない。でも、このままずっと同じなのも少し違う」

そんな人のための、小さな実験です。
全部する必要はありません。
まずは一つ。
ここから、一緒に3センチ動かしてみませんか。


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