老人賦第7 少年時代のまぼろし
老人賦第7は
8月はじめの
5篇です
62:死者と一緒のまちづくりというテーマで話し合ったことを思い出しています。應典院にて
63:アップライトピアノで赤い鳥などのフォークソングを奏でることが好きでした 「に」の頭韻
64:アフォーダビリティで書いたあと、そうそう、アフォーダンス(創発)も書けばよかったと思いました
65:豆知識的になってしまいましたが「に」の頭韻で、日本は追加すべきかと思ったので
66:もっと自由に寝転びながら言葉が体内を走るようすを復元したくなって
灘中の橋本武先生が発行してくれていた歌集『青空のように』的になれば
老人賦(62)~カーネーションが好きだった~
26.8.1 小暮宣雄
なぜか カーネーションが好きだった
輪廻転生 人工的 紙のような質感
薔薇は恋人に カーネーションは母親に
神は信じない 地獄も涅槃もうつしよの事
仏は死者の累積 死者が蘇ることはない
はずなのだが 実は 死者と生きる者とは
共存できるし 死者との出会いに
幸せがあると
語りあったことがあった
土地に累積し染みつく 草木の水蒸気の匂
家屋の傷 クッションのへこみ 古い地図
事件捜査に似ている 死者への接近 仮想の語らい
歴史文化のまちづくりって結局そういうことだった
芸術文化のまちづくりは 虚と実の交差だから
結局は 死者といまだ生まれぬ者との会話なのね
老人賦(63)~兄ちゃんはうれしいのでした~
26.8.2 小暮宣雄
庭にいる犬のコロが
はーはーする夏
兄ちゃんはうれしいのでした
だから 教えすぎて泣かれる
ピアノの横で 澄まして
聴いていたやっちゃんへ
即戦力等いらない嘘をつかない誓い
忖度は無駄骨 堂々と主張する空気
ジャガイモ輸入圧力に負けない政党
食べ物エネルギー自給率を上げる票
二項対立を疑い二律背反に負けない
にんにん忍者にニュートン力学
人参キノコの煮物 煮魚 煮豆
ニルヴァーナ ニュルンベルク
二人三脚を解いて 涼しい孤立
二番目にしかなれなかったけど
老人賦(64)~カタカナ語が好きだった~
26.8.3 小暮宣雄
老人は カタカナ語が好きだった
ロジスティクスが訳せないと居直った
いまでも 完治していないな
「愛」で始まる歌詞 反射的に
アイデンティティって聞き間違う
手ごろな価格を 市民に
これがアフォーダビリティ
目から鱗なマブダニさんだわ
エレクタビリティの変化
選挙に勝つ候補の波が続くことを祈る
アーツマネジメントを
芸術営に置き換えた
無反応だった
もちろん 芸営者も
芸術を手段にできはしない
でも 芸術営と芸術環境整備は
市場原理主義に対抗する市民の
アフォーダブルな政策である
老人賦(65)~ニホン ニッポン やまと ジャパン~
26.8.4 小暮宣雄
どっちでもいいって
ずっこけてしまう
けど 本当らしい
我が国日本の読み
ニホン ニッポン
日本画 ニホンガ 日本海 にほんかい 日本猿 ニホンザル
日本会議 にっぽんかいぎ 日本維新の会 ニッポンイシンノカイ
日本共産党 ニホンキョウサントウ 日本大学 にほんだいがく
だから ジャパンなのかも知れない 右左対立の兆しを避けて
大和は やまと 邪馬台国も やまとと読む説がある
古代の発音研究はなかなかに興味深いのだ 「と」も二種類
倭国大倭国からの大和国 政府のキレイキレイ政策だった
ジェントリフィケーション ありのみ よしのはら
古代やまとの朝廷では 柏手を打つ慣習を
大陸や半島の使節団には 見られたくない
だから、神社と寺院の拝み方が違うのかも
老人賦(66)~言葉が溢れて止まらない少年になった~
26.8.5 小暮宣雄
一人で寝転んで雲を見ていると 突然に言葉が溢れて止まらない
少年になった 目をつぶると目玉の代わりに火花が出て野原を焼
いてしまう 怖いとは思わないでずんずんと歩いていく 犬と一
緒に叫んでみたり卵を庭に隠したりするのも自由だわ 首輪と鎖
につながれていることを ぼくは忘れてしまったようだ
不自由といえば身体という重み重力引力と胃の痛みに口内炎 軋
む音が身体を麻痺させる恐怖 そうだ言葉は軋まない 声を出さ
なければいつまでも宙に浮いたまま遊べるな ののののののの
あの日の野の花にキスをする風のようなリズム 脳天からはみ出
す脳味噌を商店街の台紙に糊付けて絵日記にしよう かあちゃん
の雷雲から逃げて海苔おむすびを一緒に食べようと 隠れてそっ
と電話をしたくなる君のことを知りたい。
