すてきな教育をシェアしたい!コミュニティこそAI時代を生き残る価値
「情報発信をしたいけど、つづけられるか心配」「コミュニティ運営をはじめたいけど、具体的なイメージが湧かない」——そんなときはどうすればいいでしょうか?
今回お話をうかがったのは、モンテッソーリ教師として活躍するあべようこさんです。あべさんは月額制サブスクリプション「noteメンバーシップ」で、学びへの意欲が高いひとが集うコミュニティ「モンテッソーリ・エレメンタリー・ネクスト」を運営。全国各地から参加者が集まる、人気メンバーシップへと育てあげました。
あべさんはいかにしてイチからコミュニティを築いたのか。その背景や成功の秘訣を紐解いていきます。
教育現場で受けた衝撃を胸に「モンテッソーリ教育」の発信へ
——なぜ「情報発信」をはじめようと思ったのでしょうか?そのきっかけをくわしくお聞かせください。
あべさん:発信をはじめたのは、2018年の秋ごろです。当時、モンテッソーリ教育(※)でお世話になっていた先生の名著を、先生自身から「マンガ化してね」と託されていました。ところが、出版に向けた編集者さんとの最初の打ち合わせ直後に先生が亡くなられてしまって……。
その後、先生の遺志を受け継ぎ、作品をマンガとして出版しました。先生の大切な想いをどうすれば子育て世代に届けられるのかを考え抜いた末に、たどり着いたのがInstagramでのマンガ発信でした。
当時は、世間でモンテッソーリがちょうど注目されはじめていた時期。それが追い風となり、徐々に発信への反響も大きくなり、フォロワーもふえていったんです。
「このままモンテッソーリ教育をもっと多くのひとに知ってもらいたい!」という想いで投稿をつづけ、noteやVoicyでも発信の幅を広げていきました。
※モンテッソーリ教育……子どもに「自ら育つ力」があることを前提とした教育法
——発信したタイミングが、ちょうど世のなかの関心と重なっていたんですね。当時から発信の主軸となっていた「モンテッソーリ」には、どのように出会ったのでしょうか?
あべさん:もともと「ミュージカル俳優になりたい」という夢があり、高校卒業後はニューヨークに留学しました。その後ご縁があり、子ども番組『ポンキッキーズ』のうたのおねえさんとして活動。そして転機となったのは、パフォーマーとして訪れた小児病棟で、病気と向き合う子どもたちの姿を目にしたことです。
パフォーマンス中、子どもたちは笑顔を見せてくれます。でもその表情の奥では、言葉にならない何かを抱えているようにも感じました。その姿を見て「もう一歩踏み込んで、わたしにできることはないか」と考えるようになって。そんな折に、モンテッソーリ教育を実践している現場に立ち会ったんです。それがとても衝撃的で……!
——どのような点が衝撃的だったんでしょう?
あべさん:モンテッソーリ教育に触れると、子どもたちは自分の意思で動き、みるみる表情が明るくなっていくんです。教育のあり方ひとつで、こんなにも表情が変わるのかと実感しました。「これなら子どもたちの成長に、人間育成や人格形成からの面から、関われるかもしれない……!」と、気づけばモンテッソーリの世界に飛び込んでいました。
当時は2006年。インターネットでも、モンテッソーリの情報がほとんどない時代です。そういった環境下で、アメリカにわたってモンテッソーリの教師資格を取得するなど、正直大変なことが多かった。それでも「子どもたちのために」という一心で活動をつづけてきました。
“有料”というプレッシャーが、発信をつづける力になった
——いろいろな現場を経験した結果、モンテッソーリ教育に出会い、さまざまな壁を乗りこえてきたと……!発信に関してですが、noteではメンバーシップをはじめる前、定期購読マガジン(月額制で記事を販売できる機能)を運用していましたよね。有料で情報発信をしようと思った理由はなんでしょう?
あべさん:複数のSNSで発信をつづけるうちに、仕事が忙しくなると記事の更新が後回しになってしまって……。ただ、小学生対象のモンテッソーリ教育に関する本を出すために、記事は書いておきたいという気持ちもあったんです。
つづける方法を模索していくうちに「もし一人でも購読してくれる方がいれば、毎月更新できるかもしれない」と考え、有料化を決意しました。あえて自分を追い込み、つづけるためのきっかけをつくった感じです。
結果的に読者の存在が大きな支えになり、「絶対に更新をつづける」という強いモチベーションになっています。
——そこからコミュニティ型のメンバーシップへ移行しようと思ったきっかけは?
あべさん:定期購読マガジンをつづけるなかで、今度は「すてきな子育てや教育をしているひとはたくさんいるのに、そのひとたちがつながる場がない」と感じるようになりました。
個別でわたしに相談してくれる方はいたんです。ただそれ以上に、みんなで知見を出しあえば、もっと子育て期がたのしく、いい時間になるという確信がありました。
そこで「熱心に学ぶ方たちが孤立しないように、だれもが発言できて、お互いに学びあえる場をつくりたい」と考え、メンバーシップへの移行を決めました。
参加者目線も活かしたメンバーシップ設計
——メンバーシップを開始するにあたって、何か準備したことはありますか?
あべさん:たくさんあるのですが、最初は気になるメンバーシップに自ら加入してみました。自分と同じ発信ジャンルではなく、もともと個人的に興味があった別ジャンルのメンバーシップに、です。ここで純粋に参加者の気持ちを実感できたことは、いい経験だったと思います。
参加者側に立つことで、あらたなインスピレーションを受けることができました。また「自分がやりたいこと」に対する具体的なイメージを膨らますことができましたね。
——メンバーシップの特典について、くわしく教えてください。
あべさん:まず前提からお伝えすると、このメンバーシップは「6歳以降のモンテッソーリ教育について、もっと知りたい!」という方々を対象に運営しています。
特典は、毎月のZoomレッスンを中心に、メンバー同士が語り合う交流会、定期購読マガジンの全記事の閲覧、音声コンテンツの配信などがあります。また、質問も受け付けていて、できる限り回答。また、レッスンや交流会にリアルタイムで参加できなかった方のために、アーカイブを残していつでもアクセスできるようにしています。今後、特典を見直すことがあるかもしれませんが、現在はこれらのラインナップでおたのしみいただいています。

——とても豪華ですね!特典を考えるコツはありますか?
あべさん:自分がたのしくつづけられそうな内容を選ぶのがおすすめです。
また、すべての特典を新しくつくろうとすると大変ですよね。その場合は、手元につかえそうなコンテンツがないか、ぜひ見渡してみてください。意外と自分が過去に考えたもの、つくったものが利用できるかもしれません。「このままではつかえないな」と思うものでも、編集をしてみると、魅力的なコンテンツに生まれ変わることもあります。
わたしの場合は、これまでたくさんの時間や熱量を注いで書いた定期購読マガジンも、特典に入れています。
——あべさんのメンバーシップは、月額3,800円(2025年10月時点)で、とても多くの方が参加しています。金額はどのように設定したんですか?
あべさん:プラン料金は、オンラインレッスンや交流会、資料作成の準備にかかる時間など、さまざまな点を考慮して設定しました。
さらに、早く加入したほうがお得さを感じてもらえるよう、一期、二期、三期と期間を区切って参加者を募集。一期からなるべく多くの方に参加してもらうために、比較的入りやすい価格に設定しました。その後は募集期間の終了ごとに、新しいプランを作成し、段階的に料金をあげていく方法を取りました(※)。
※編集部注:一度作成したプランの設定料金は変更できないため、料金を変える場合は、あらたにプランを作成する必要があります。
“初日の盛り上がり”を最大化することが大切
——レッスンや交流会など充実したコンテンツがたくさんありながら、月3,800円はお得ですね!先ほど募集期間を区切るお話がありましたが、メンバーシップ開始にあたり工夫した点は?
あべさん:事前告知の方法やタイミングを工夫しましたね。たとえば、クラウドファンディングのように、メンバーシップも初日の盛り上がりを最大化することが重要だと考えました。事前告知は、メンバーシップ開始の1ヶ月ほど前からスタート。さまざまなSNSから、noteのトップに固定してある記事「メンバーシップを始めます」に誘導していました。
メンバーシップ開始までの1ヶ月間、ワクワクした気持ちで待ってもらえるように工夫したことで、開始早々に100人もの方に加入していただけました。そのおかげで、「なんだかおもしろそうなものがはじまったぞ!?」という空気感も醸成できたと思います。

——初日から多くの方が集まったのは、事前告知でさまざまなSNSを駆使し、宣伝にも工夫を重ねてきた結果なんですね!ちなみに、ふだんはどのようにSNSやnoteをつかいわけていますか?
あべさん:Instagramはストーリーズやチャンネルを中心に、軽いアナウンスをする場。noteは、しっかり残しておきたいことや想いをつづる場。さらに音声を通じてよりコアなファンに深く届けたいときは、Voicyをつかうようにしています。とはいえ、きちんとマーケティングをしているわけではなく、感覚的です。
基本的にnoteでコンテンツを公開したときは、ほかのSNSでも宣伝しています。ほかのSNSから、メンバーシップに興味を持ってくださる方もいるので、やはりSNSを組み合わせた発信はとても大事だと思います。
メンバー同士の交流が唯一無二の価値
——メンバーシップを運営するうえで、むずかしい点はありますか?
あべさん:良くも悪くも“一人で運営をしている”という点ですかね。一方で、わたしは、東京都世田谷区にある教室「モンテッソーリ・ファーム」の運営や、2026年4月に開校する「あきる野モンテッソーリスクール」の立ち上げ準備もしている真っ只中です。
それらの事業にはすでにスタッフがいる状態。なので、このメンバーシップは、一人で思うようにやらせてもらおうと思い、のびのびと自由に運営させてもらっています。
それでも「これで本当によいのだろうか」と相談相手がほしくなったり、孤独を感じたりするときもあります。そういうときのためにも、これからメンバーシップをはじめる方は、あらかじめ“壁打ち相手”をつくっておくと安心かもしれませんね。
——メンバーシップを運営していて、よかったことはなんでしょう?
あべさん:かつて自分が思い描いていたようなコミュニティが、かたちになっていることです。参加メンバーは、モンテッソーリ教育が大好きな保護者の方や、学ぶ意識の高い教育者の方など幅広く、前向きに学ぼうとする意欲があります。
実際、メンバーの方からは「周囲には理解されなかったけれど、ここでは同じようにモンテッソーリを真剣に学ぶひとたちと話せてうれしい」といった声もいただいています。
居住地を問わず、モンテッソーリが大好きな方たちが交流できる場をつくれたことが、とてもうれしいです。この輪をもっと広げていきたいなと思います。
——今後あべさんがメンバーシップで大切にしていきたいことはなんですか?
あべさん:情報が溢れるAI時代だからこそ、ここでしか得られない「生身の人間同士のコミュニケーション」を大切にしていきたいです。
情報はAIに聞けばいくらでも手に入るようになりました。けれども、いまを生きる人間同士の交流は、AIでは代替できないことだと思うんです。
孤独になりがちな育児や教育で、近い価値観の方に相談できる場を提供すること。それが、このメンバーシップの唯一無二の価値だと考えています。
——参加者にとってもメンバーシップは、心の大きな支えになりそうですね。最後に、これからメンバーシップを運用したい方に向けて、一言メッセージをいただけますか?
あべさん:いろいろとお話をしましたが、最初からパーフェクトな状態を目指すのではなく“まずははじめてみる姿勢”が大切だと思います。
いざメンバーシップをはじめると、想像以上にたのしく、やりたいことがふえたり明確になってきたりするはず。わたしもはじめて本当によかったと感じているので、これから挑戦する方にも「まずは一歩踏み出してみることが大切だよ」とお伝えしたいですね。
まとめ:あべさん流メンバーシップ運営の振り返り
実体験から「モンテッソーリ教育」に出会い、発信をスタート。有料化によって発信を継続するしくみを整えた
メンバーシップ開始の1ヶ月前から、note以外のSNSでも事前告知。初期募集を盛り上げるための導線づくりにも積極的に取り組んだ
目標としていた「モンテッソーリが大好きで、学ぶ意欲の高いコミュニティ形成」を実現。今後は、AIによる代替がむずかしい人同士の交流をより大切にしていく
あべようこさんのメンバーシップ基本情報
メンバーシップ名:モンテッソーリ・エレメンタリー・ネクスト
ジャンル:モンテッソーリ教育
X:https://x.com/montessorimanga
Instagram:https://www.instagram.com/montessorimanga

Text by 風間夏実
