見出し画像

「ブランドに人格を与えるために、個人としても発信する」MinimalチョコレートとファクトリエのSNSのつづけ方

企業がSNSのアカウントを持ったり、個人が所属を明らかにして発信することが当たり前となった昨今。しかしいざ「仕事に役立てたい!」という想いでSNSをはじめようとすると、「おもしろいことを書かなきゃ」「この程度の文章力でいいのかな...」といった気持ちがハードルになるという声も聞きます。

そこでnoteでは、「ビジネスに役立つnoteやSNSのつづけ方」というトークイベントをスタート。さまざまな分野で活躍しているゲストをお招きし、noteやSNSとの付き合い方を紐解いていく企画です。

記念すべき第一回のゲストは、Bean to Barという新たなチョコレートづくりに取り組むMinimal(ミニマル)代表の山下さんと、日本の生産者と二人三脚で語れるものだけを届けているブランド、ファクトリエ代表の山田さん。おふたりは個人として、企業としてSNSをどのようにはじめ、つづけてきたのでしょうか? 注目のD2Cブランドを運営するお二人に、noteプロデューサーの徳力さんがお話を伺います。

イベントのアーカイブ動画はこちら

登壇者紹介

001Minimal山下さん

山下貴嗣さん Minimal - Bean to Bar Chocolate - 代表
1984年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、新卒でコンサルティング会社に入社し、新規事業開発やマネジメントなどに関わる。退職後、豆から製品まで一気通貫で製造するBean to Barのチョコレートとの出会いをきっかけに株式会社βaceを創業しMinimal - Bean to Bar Chocolate - (ミニマル)チョコレートを開始した。
note:https://note.com/yamashita0902
Minimal:https://mini-mal.tokyo/

002ファクトリエ山田さん

山田 敏夫さん ファクトリエ代表
1982年熊本生まれ。1917年創業の老舗洋品店の息子として、日本製の上質で豊かな色合いのメイドインジャパン製品に囲まれて育つ。大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務。2012年1月、ライフスタイルアクセント株式会社を設立し、同年10月に「ファクトリエ」をスタートさせる。経産省「若手デザイナー支援コンソーシアム」発起人、毎日ファッション大賞推薦委員。著書『ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命』(日経BP社/2018年)
note:https://note.com/toshio_yamada
ファクトリエ:https://factelier.com/

「ブランドのB面を伝える」「人格を与える」ためのSNS

—— まずは、おふたりはどんなSNSをお使いなのかというところから聞いていきたいです。Minimalさんが会社として、一番注力されているSNSってなんですか?

山下さん Minimalとして一番注力してるのはTwitterとInstagramですね。シズル感のある、食べ物のきれいな写真とInstagramはやはり相性がいいなと感じます。

山田さん ファクトリエはTwitterとFacebookですね。30代後半から40代後半くらいの男性のお客様が一番多いので、ユーザー層との相性がいいのがこの二つかなと感じています。

—— ビジネスの面で、SNSの重要性はどのように感じていますか?

山下さん SNSに本腰を入れ出したのはここ1年〜1年半くらいのことですね。コロナ禍で店舗の閉店も経験して、それまではリアルな店舗でのコミュニケーションが中心だったので、ECやSNSにも注力していかないとということでDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切っているところです。

003チョコレート

Minimalでは、「余分なものを引き算し、カカオそれぞれの風味を引き立てる」ことをコンセプトに、カカオ豆の仕入れから製造・販売までのすべての工程を自社工房で手がけるBean to Barのチョコレートづくりを行っている

—— おふたりとも、個人としてもTwitterとnoteをされてますね。それぞれのSNSの役割や目的はありますか?

山田さん 僕たちは最近、片づけコンサルタントのこんまりさんなどいろんな方とコラボレーションして洋服や収納グッズなどの商品開発をしているんですが、その経緯をちゃんと伝えたかったというのがnoteを書き始めた一番の理由ですね。ただ有名人だからという理由でコラボしているんじゃなくて、ちゃんと意図があるんだということを伝えたくて。noteはいろんなプロジェクトのB面をちゃんと書いて残しておきたい場所という感じです。

山下さん 僕はSNSをこれまでまったくやっていなくて、Twitterをはじめたのも2018年と遅いほうです。自分のことを発信することは苦手なほうだと思っています。ただ、Minimalにはシェフやパティシエのような役割の人を置いていなくて、「チョコレートをこういう気持ちでこんな風につくっています」と伝える個人人格のメディアがありませんでした。そういう、ブランドにぬくもりを与えるような発信をすることが大切だよねという話に社内でなりまして、創業から4年くらいで僕がTwitterとnoteをはじめることになりました。

ただ、SNSをはじめるのには葛藤もあって。Minimalは洗練されたブランドイメージを目指していたので、後からこんな暑苦しい僕が顔を出して発信することでマイナスになるんじゃないかと(笑)。会社のフェーズとして、ものづくりをきちんとやるというブランドのアイデンティティができ上がってきた時期でもあったので、今なら大丈夫だろうということで僕個人の発信をはじめた形です。

丁寧なコミュニケーションの積み重ねが、
SNSで横のつながりを生んだ

—— 山下さんがSNSに苦手意識があったとは意外でした。おふたりがSNSをやる上でこだわっているポイントや、やってよかった取り組みはありますか?

山田さん 僕が印象的だったのは今年で3年目を迎える「COTTON PROJECT」の去年の取り組みですね。ファクトリエでは山梨にオーガニックコットンのファームをつくって、毎年お客さんと一緒に種まきをしたり、汗をかきながら雑草を取ったり収穫などを体験してもらっています。またコットンの種も販売しご自宅でも育てるのを楽しんでいただけるようにしました。そうして自分たちでつくったコットンが入ったアイテムを着るという、ゼロから洋服づくりが体験できるプロジェクトです。それがコロナで、お客さんと一緒にファームでなにかするということがほぼできなくなってしまって。そこで、みなさんがおうちで育ててもらうのをより楽しんでいただけるようオンラインで繋がる取り組みを強化しはじめました。そこで、コットンの種を自宅で育てているお客様とオンラインイベントをしたり、SNSの発信は細かく目を通してコミュニケーションをとったりしました。


山田さん 「リアルでできなくなったから」という気持ちでしたが、1000人くらいの方が種を買ってくださって、TwitterやInstagramなどで「芽が出た」とか「虫対策で木酢酢をかけたら虫が逃げた」とか、みなさんが投稿してくれるようになって。僕も含めみんなでいっせいに育てはじめたので、お客さん同士で情報交換しながら助け合ったり、途中で枯れてしまった方が「あとは自分の分も頼みます」と他の人を応援したりして(笑)、それも含めてすごく楽しかったんですよね。自然発生的でしたがお客さん同士の横の繋がりが生まれたのに加え、SNSでお客さんと一緒に何かに取り組んでいる、お客さんが喜んでくれているという実感が持てたはじめての体験でした。

004ファクトリエ

ファクトリエは、国内700以上の工場に直接足を運び、高い技術とこだわりを持った工場と直接提携。長く愛用できる高品質な商品開発を工場と二人三脚で行う、メイドインジャパンの工場直結ブランド

山下さん おもしろいですね。そういったグルーブが生まれたのって、ファクトリエさんを好きなファンが元々たくさんいたからなんだろうなと。それまでの日々のコミュニケーションの積み重ねが、こういった横のつながりを生んだ気がします。

山田さん たしかに、植物を育てるという日常的な行為が入ったことで、元々そこにいた熱量の高いお客さんがよりSNSで可視化された感じはあります。SNSに苦手意識を持たずに、あくまでひとつの手段として使うことが大事なのかなと実感しました。

—— アパレルがSNSをするとなると、いわゆるインスタ映えのようにおしゃれな見せ方をするプロモーションを考えがちですが、本来ブランドによってやるべきことは違うなと思わされますね。山下さんはいかがですか?

山下さん 僕は個人のTwitterもnoteも、途中で挫折して発信をやめちゃった時期がありました。けれど店舗のスタッフたちがMinimalのSNSを頑張って運用してくれているのに、代表の僕がそんなことでいいのかと思って(笑)。フォロワー数とかは気にせず、とにかく続けるということだけを目標に2019年ごろにnoteを再開しました。

僕はしゃべりも早口なせいか、書くと5000〜1万字のめちゃくちゃ長文になってしまうんです。諦めてそのまま出すようにしたら、noteとは相性が良かったみたいですね。月に最低一本はnoteを書こうと思ってるんですが、正直、続けるのはすごく大変です。合間合間に書き進めたり、何日かに分けて仕上げるというのがどうしてもできなくて。一回筆が止まると出てこないので、10時間くらいぶっ続けて書いてます。とにかく、書き始めたら一気に完成まで持っていくというスタイルです。

noteのテーマ探しとタイトルの工夫

山田さん 山下さんはネタが尽きないのがすごいですよね。

山下さん 僕もネタ探しには困ってたんですけど、マインドマップで「Minimal×ブランド」や「Minimal×ビジネス」などと枝葉をひたすら広げていって、出てきたキーワードを組み合わせてみたりしながら書くテーマを見つけるというのをやってます。

山田さん めちゃくちゃいいこと聞いた! あと山下さんって、「ブランド創りの『2階建て理論』」みたいに、ワーディングもお上手だなと思っていて。

山下さん ありがとうございます。やっているうちに気付いたんですが、noteは26〜28文字以内でみんなが「うんうん」となるような分かりやすいタイトルをつけることがすごく大事だと思いました。それだけでTwitterでの広がり方がぜんぜん変わる。たとえば僕のこれまでのnoteでも、「何が違う?と問われれば、思想が違うと言いたい」はパッと見て意味が伝わりにくいけど、「店舗は『物を売る場所』から『世界観を体感する場所』へ」だと「そうそう、それ私も言いたかった!」という人がいそうじゃないですか。こんな風に、タイトルは共感と未知の割合を8:2にするというのを意識してつけています。

—— なるほど、すごく工夫されてますね。ちなみに山田さんはどんな書き方をされてますか?

山田さん 僕は山下さんと比べるとほんとに不真面目な気がするんですが(笑)、書きたいことを音声入力して、それを編集しつつ写真をたくさん入れて割とささっと仕上げちゃいますね。思ったように読まれない記事も多くて続けるのがしんどいこともあるんですが、最近はスキ数やフォロワー数に迎合しすぎずに、自分が好きなことを発信するのも大切かなと思っています。その方が結果的に長続きするのかなと。

—— 自分に合ったやり方を見つけるのが大切ですよね。山下さんはメディアのように、山田さんはコミュニケーションを重視してそれぞれnoteやSNSを使っているんだなと感じました。おふたりのまったく違うアプローチを伺えて、今日は個人的にも大変勉強になりました。ありがとうございました!

イベントでは他にも、企業としてのSNSの活用法や視聴者からの質疑応答など、さまざまな議論が行われました。詳細はぜひアーカイブ動画をご覧下さい。

***

次回の「ビジネスに役立つnoteやSNSのつづけ方」は7月13日(火)19時から開催されます。ソフトバンクの井上大輔さんと、Facebookの中村淳一さんにご参加頂き、マーケターにとってのnoteやSNSのつづけ方を、noteプロデューサーの徳力が伺います。ぜひご参加ください!

text by mai takeda


*この連載は、日経クロストレンドにも寄稿しています



この記事が参加している募集

ビジネスカテゴリページを定期的に更新しています!ぜひご覧ください。