研究者に向いていないのかもと思い続けた数年間|女性研究者のリアル
はじめに|「向いていないかも」と思うのは、弱さじゃないと思う
研究者をやっていると、ふとした瞬間に思うことがあります。
「あれ、私って研究者に向いていないんじゃないかな」
学会で場違いな感じがしたとき。論文がなかなか書けないとき。周りがすごく見えて、自分だけが止まっているような気がしたとき。そういう瞬間に、じわじわとその感覚がやってきます。
この記事では、そういう気持ちと数年間向き合ってきた話を書いてみようと思います。「向いていないかも」と感じながら続けている方に、少しでも届けば嬉しいです。
① 「向いていない」と感じた、具体的な瞬間
漠然とした不安、というより、わりと具体的な瞬間がありました。
たとえば、学会のポスター発表。自分の研究を説明しながら、ふと「この場にいる人たちと、自分はなんか違うな」という感覚になることがありました。うまく言えないんですが、みんなが研究者として「板についている」ように見えて、自分だけが背伸びしているような気がしてしまうんです。
また、自分の研究って、どういう形で社会の役に立つのか?と感じることもありました。論文を書くにあたり、一番しんどいのは仮説と結果が違った場合。こねくり周りして結果を導いた時、こんな回りくどい結果が論文になって、誰がこんな論文見るんだろうと思い悩みました。
(実際、役に立つかどうかはどれだけ引用されるかも一つの評価視点です)
論文を書くのが苦手なのも、ずっと引っかかっていました。「研究者なのに論文が書けない」という事実が、「向いていない証拠」のように思えてしまって。本当は論文が苦手な研究者なんてたくさんいると思うんですが、当時はそう思えなかったです。
あとは、純粋に「研究が楽しい!」という気持ちが、あまり強くなかったことも気になっていました。楽しいと思える瞬間はあります。でも、それよりも「しんどい」「終わらない」「これでいいのかな」という気持ちの方が多かった気がして。「研究者って、もっと研究が好きじゃないといけないんじゃないか」と思っていました。
② 「できる研究者」に見える人たちと、自分のギャップ
同じ分野に、すごいなと思う人がたくさんいました。
論文をたくさん書いている人、学会で堂々と発表している人、研究の話をするときに目が輝いている人。そういう人たちを見るたびに、「研究者ってこういう人がなるものなんだろうな」と思って、自分との距離を感じていました。
特につらかったのは、「研究が好きで好きでたまらない」という人と話すときです。熱量がすごくて、話を聞くのは楽しいんです。でも同時に、「自分はそこまでの気持ちがないな」という引け目を感じてしまって。研究者として、何か大事なものが足りていないんじゃないかって。
今思えば、そういう人たちも悩みを抱えていたかもしれないし、表に出していなかっただけかもしれません。でも当時の自分には、そう思える余裕がありませんでした。
③ それでも辞めなかった理由
「じゃあなんで続けたの?」と聞かれると、かっこいい答えが出てこないんです。
強い使命感があったわけでも、絶対にこの研究をやり遂げたいという熱い気持ちがあったわけでもなくて。「辞めた後、何をするかわからない」という消極的な理由が、正直なところかなり大きかったと思います。
あとは、完全につらいわけでもなかったんですよね。学生と話すのは好きでした。研究のテーマ自体には興味がありました。「嫌なことばかりではない」という感覚が、なんとなく続けさせてくれていたような気がします。
劇的な転機があったわけではありません。気づいたら数年経っていて、気づいたら今の場所にいた、という感じに近いかもしれません。
④ 「向いていない」と「いてはいけない」は、違うんだと思う
最近、少しだけ思えるようになってきたことがあります。
「向いていないかもしれない」と「ここにいてはいけない」は、別の話なんじゃないかな、ということです。
得意じゃないことがあっても、苦手なことがあっても、それでもその場所で何かを積み重ねていることはできる。研究者として「完璧」じゃなくても、いていい場所はあるんじゃないかと、ようやく少し思えるようになってきました。
まだ自信があるわけではないです。今も「向いているのかな」と思う瞬間はあります。でも以前より、その問いに振り回されることが少し減ってきた気がしています。
おわりに|向いていなくても、いていい場所はあると思う
「研究者に向いていないのかも」という感覚は、きっと私だけじゃないと思います。でも、なかなか口に出せないことでもあるんですよね。
この記事が、同じような気持ちを抱えている方の「自分だけじゃないのかも」につながれば嬉しいです。
次回からは、助教の公募に応募した話や、任期付き研究者として生活設計を考えてきたことなど、もう少し具体的な話を有料記事として書いていく予定です。
気になった方はフォローしていただけると嬉しいです。
#女性研究者 #研究者 #向いていない #博士課程 #つらい #アカデミア
#メンタル #大学院 #しんどい #キャリア
