「学生のときの目標にそのまま突き進んでるの、あなたくらい」と言われた日|女性研究者のリアル
はじめに|久しぶりに会った先輩の一言
先日、久しぶりにお会いした先輩から、こんなことを言われました。
「学生のときの目標に向かってそのまま突き進んでるの、あなたくらいだよ」
その瞬間、少しだけ時間が止まった気がしました。
正直に言うと、そのときの私はかなり消耗していました。論文もなかなか書けない、研究より学生のサポートや教育の方が楽しくなってきている、このまま続けていていいのかな——そんなことを考えていたタイミングでした。「もう仕事、いいかな」と思いかけていた、そんな時期に言われた言葉でした。
この記事は、その一言にハッとさせられた話です。
「突き進んでいる」つもりは、なかった
正直、自分が目標に向かって突き進んでいるという感覚は、ほとんどありませんでした。
迷いながら、なんとなく続けてきた。任期が切れるたびに次を探して、流れに乗って、ここまで来た——そういう感覚の方が近かったと思います。「これをやりたい」という強い意志があって突き進んできたというより、「やめる理由もないから続けてきた」という表現の方が正直かもしれません。
だから先輩の言葉は、意外でした。外から見ると、そう見えているんだ、と。
転職が当たり前の時代に、同じ方向を向き続けること
先輩の言葉を聞いて、改めて気づいたことがあります。
今は、転職が珍しくない時代です。より良い条件を求めて動くことも、やりたいことが変わって方向を変えることも、ごく普通のことになっています。そういう時代の中で、学生のころに思い描いた方向を、ずっと向き続けている人は、思っていたより少ないのかもしれない。
私自身、「やりたいことをやれている」という実感が強いわけではありません。しんどいことの方が多いし、このまま続けていいのかと思う日もある。それでも、気づけばずっと同じ方向を向いてきた。それが、外からは「突き進んでいる」に見えていたんだと思うと、少し不思議な気持ちになりました。
「もう仕事いいかな」と思っていたタイミングだった
論文がなかなか書けない自分への焦り、研究より教育や支援の方に楽しさを感じるようになってきたこと、このままこの仕事を続けることに意味があるのかという漠然とした疑問——そういうものが積み重なって、「もういいかな」という気持ちがじわじわと出てきていました。
そんなタイミングで言われた「突き進んでるの、あなたくらい」という言葉は、思っていた以上に刺さりました。自分では迷ってばかりだと思っていたのに、そう見てくれている人がいた。それだけで、少し気持ちが変わりました。
給料も大事、でもやりたかったことをやる、ということも
先輩の言葉を聞いてから、仕事についての考え方を少し整理してみました。
もちろん、給料は大事です。生活があるし、将来への不安もある。「やりたいことをやる」だけでは成り立たない現実があることも、わかっています。
でも、「やりたかったことをやっている」という感覚は、思っていたより自分の中で大きい部分を占めているんじゃないか、と改めて感じました。完璧じゃなくていい。論文がたくさん書けなくてもいい。研究より教育が好きでもいい。それでも、自分が学生のころに思い描いた方向に、なんとなく居続けられている。それは、決して小さいことじゃないのかもしれない、と。
迷いながら向いている方向が、ある
「目標に向かって突き進む」という言葉には、力強い意志のイメージがあります。でも、私のそれはそんなにかっこいいものではないかもしれない。
迷いながら、しんどいと思いながら、それでも同じ方向を向き続けてきた——それが積み重なって、「突き進んでいる」に見えたのだとしたら、それはそれで悪くないな、と思えるようになってきました。
強い意志がなくても、ドラマチックな転機がなくても、ただ続けてきたことに意味があることもある。そう思えた先輩との再会でした。
おわりに|続けてきてよかった、と思えた日
「もういいかな」と思いかけていたタイミングで、続けてきてよかったと思わせてくれる言葉をもらえた。それだけで、またもう少し続けてみようという気持ちになれました。
やりたかったことをやる、ということの価値を、改めて感じた出来事でした。しんどいことがあっても、迷うことがあっても、それでも続けてきた自分を、少しだけ肯定できた気がしています。
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