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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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銀色1章 逢津の峠(←おうつのたわ) 名無しと儀助(ネタバレあり)

ご存じですか?「銀色(ぎんいろ)」というゲームです。
正確に言えば、いわゆる「アダルトゲーム」です。
自分が医者になる事を本格的に志すことになったきっかけである作品の「Narcissu(ナルキッソス)」の作者の「片岡とも」先生が主宰する「ねこねこソフト」というアダルトゲームブランドの作品になります。

銀色は古いゲームで2001年に発売されたゲームです。自分はリアルタイムで知ったわけではなく、Narcissuを知った後、存在こそ知ってはいたものの年齢的にプレイできず・・・と言った形で、大学生になって地方に引っ越すにあたり、住んでいた新宿から引き払う直前、アキバのレトロゲーコーナーからねこねこ作品を片っ端から買って(幸いなことに激安だった)プレイした経緯があります。

銀色は4章で構成されており、各章ごとに時代が異なり、後半の章程現代に近づくといったものになっています。(一応それぞれの章をつなげるような幕間は挟まれる)。

ヤンデレという概念が当時なかったそうですが、今でいうところのヤンデレに近い属性のヒロインも出たりとか(時代の先取り!)。

ネタバレを含みます(出来るだけ少なくなるよう配慮します)。只入手経路が少ないし、意図して新規プレイする方は少ないのかナア・・・と思うので、これをチラっと読んだあと、本編プレイしていただければ嬉しいと思います。
もうずいぶんプレイしたの前なので、あいまいなところもあるかもしれないですがそこはお許しください・・・。気になったら是非、本編をプレイしてみてくださいね。

余談:またいずれ記事にしようと思っていますが、自分はこの手の「アダルトゲーム」には特段忌避する気持ちとかはないです。私は職業に貴賤はないと思っていますし、こういったゲームであったとしても作り手の思いが込められているわけですし、あんまりそういった忌避する気持ちはないです。勿論アダルトゲームクリエイター以外にも、この世におけるすべての職業の方々皆そうで・・・。また、記事にしようと思っています。


〇銀色(ぎんいろ)

各章ごとに共通しているのは、「銀糸(ぎんし)」と呼ばれる存在がある事。
この銀色の糸は、作中ではこういった言い伝えがありまして。
「どんな願いも、その糸に向けて願うと叶う」 と言ったもの。
どの世界においても、いわゆる「おとぎばなし」程度の認識でガチでそう言うものがあるといった感じではなかったようです。

物語のキーとなるものですね。銀糸。

今回は銀色一章に焦点をあてて書きますが、各章ごとの大まかな内容を書いていきますね。大体シリアスです。というかガチシリアスもので、4章以外は・・・。

〇銀色1章 おうつのたわ

時代は・・・ハッキリ描写はありませんが、平安時代?位だと思います。
訳あって野盗(野武士)をしている「儀助(ぎすけ)」とヒロイン「名無し」の物語。銀色1章は片岡先生にとっても思い入れが特に強いようで、のちの作品でも似たような作品が出ています(Narcissu 3rd 小さなイリス)。詳しくは後述します。

〇銀色2章 たたらのやしろ

狭霧(さぎり)ちゃん。巫女さんです。2章のヒロイン。

裕福な生まれの主人公が、兄とのいざこざで地方に出向することになったことから始まるお話。舞台は1章よりは後のはずです。Wikiチラってみたら、鎌倉時代?あたりかもとのこと。。。
地方に出向というか、まあ左遷ですよね。左遷先の神社で面倒を見てもらっていた時、そこにいた巫女さんがヒロインです。

簡潔に言えば・・・。

人柱のお話

人柱ってつい最近まで行われていた(江戸時代位まで?)慣習なんですよ。現代の観点から見ると全然分からん感覚なんですが・・・。

※人柱:簡単に言えばいけにえですね。よくあるシチュエーションだと、大きな川に橋を架けたりする際、橋が壊れないことを願い、生きた人間をいけにえとして埋め橋の安全を願う・・・と言ったようなものです。大体天変地異とか、そういった所謂「人間には到底コントロールしえないこと」に対しての安全祈願的な意味合いで人が生贄にされる事を人柱って言うと思います。そういった意味から転じて、ある事の犠牲になった人をそう呼んだり今はしますよね。

そう言った、人柱のお話です。自分は・・・火の鳥であったり、カムイ外伝でも人柱のエピソードがあるので結構馴染み深いというか、身につまされる話でもありました。

〇銀色3章 朝奈夕奈(あさなゆうな)

左が夕奈(姉):切り盛りもでき、仕事もでき、真面目。
右が朝奈(妹):姉に比べると所謂ドジっ子。故に擁護欲が・・・

時代は飛んで近代。大日本帝国?ぽい軍人が主人公です。軍人の割には優柔不断というか・・・まあ、流されやすいタイプの主人公(このエピソードは男がメイン?というよりは・・・ですけれど・・・)。
亡き両親が遺した食堂を切り盛りする姉妹のお話。姉の夕奈と妹の朝奈がヒロイン()として出てきます。二人とも両親が遺してくれた食堂を大事にし、頑張って切り盛りしているのですが・・・。妹の朝奈が仕事ばかりになってしまっている姉の夕奈が婚期を逃すのではないか?と思い・・・母が遺してくれた形見のネックレスに「願い」をしてしまうのです。結果、坊ちゃん育ちの陸軍将校である主人公が食堂に登場し・・・夕奈とくっつくよう願ったけれど・・・なんとまさかの・・・。と言った感じ。
姉の夕奈がヤンデレ化していくといわれる章ですね。ある意味ではヤンデレの先駆けとして界隈では最も知名度が高いかもしれません。ぶっちゃけヤンデレかどうかで言われたらビミョーに違う気もしますけれど・・・。とにかく互いの思い違いすれ違いの物語です。

リアルっぽくてイイですね(良くはない)。

〇銀色4章 ぎんいろ

4章ヒロインの「あやめ(通称銀子)」。カフェのウェイトレスをやっています。

舞台は現代になります。主人公は大学生。ヒロインは「あやめ」と言う女の子で失語症(言葉を話せない)を患っています。この章はなんというか、まあ普通のギャルゲー(エロゲー)って感じの章かも。まあ勿論暗いは暗いですけど、現代故か・・・ハッピーエンド・・・かも・・・。

〇幕間(実質銀色第5章)

銀糸のエピソード。1章あたりの時代と考えていますけど、匂わせるくらいで断言はされておらず、内容も「後は読んだ人の想像にお任せします」と言った感じです。

〇あやめ(Iris アイリス イリス)の花

今作のモチーフ、というか代表というか・・・あやめが今作を表す花になっています。ねこねこソフトって、結構「花」が要所要所に出てくることが多いんですよね。

あやめは学名が「Iris Sanguinea」と言い、まあ菖蒲(しょうぶ)の花であったり、燕子花(かきつばた)であったり類縁の花は多く、区別が難しいのですが・・・。「アヤメ(菖蒲)」と言う花でいうなれば、それは「Iris Sanguinea」であり、英語では「アイリス」または「イリス」と呼ぶのが正しいのです

あやめの花。季節的には基本的に初夏に咲く花です。

→「Narcissu 3rd 小さなイリス」にもここでつながってくると思います。

西洋版銀色1章 また個別記事はいずれ書きます。Steamでプレイ可能!
全年齢作品です。只精神的に18歳くらい成熟は要るかもしれません。
「人は誰かに必要とされている限りは『ヒト』である」

〇銀色1章 登場するキャラクター(ネタバレあり)

あまり多くの人数は登場しません。
※儀助と名無しがスケベするシーンは一切なく、基本的にアダルトシーンは名無しが娼館回想で抱かれているシーンだけです。

〇主人公:儀助(ぎすけ)

元々はある小さな村の農民だった青年。今は大太刀を携え山越えをしている人間を山頂で容赦なく襲い容赦なく全員殺し、食糧を奪うといった形で生きている人間。
特段金目のものには興味を示さず(→町に降りて買い物すると足がつくため)、山越えしている人たちが持っている食料だけをかっさらって、それを糧に何とか生きている生活を送っている。長く野盗をやっていたせいか、ふいうちも含めれば腕は相当たつ方なようで、割と多人数でも人を殺せる。

皆殺しにしている理由は「自分という存在が知られると困るから」ということと「野盗がいると知れ渡って山登りしてくる人がいなくなるor少なくなると困るから」の二つ。
ただそれだけのためにどんなに小さい子がいようが相手が女だろうが容赦なく全員切り殺し、食糧を漁った後は谷底へ向けて死体を捨てている。

だから得られた食料(→大体握り飯)は血まみれで真っ赤に染まっている。

人殺しした後は自分に言い聞かせるように「弱いから死ぬ、強い奴しか生き残れない」と自分に言い聞かせるように言い聞かせるように思い続ける。

〇過去:元々は農村のとある農家の長男坊の生まれ。両親との仲も良く、幼い弟1人と妹1人がいた。村内の関係も良好で、儀助には本当になんでも腹を割って話せる儀助が心から信頼している親友がいた。親友は庄屋の息子であり、その村内のリーダー的存在の息子であったが特にそういった事を鼻にかけたりはせず、儀助と仲良くしていた。
ある日突然、両親(父→母)が疱(ほう←おそらく天然痘)を発症してしまう。天然痘の治療法はおろか、どういった形で伝染するかもわからない時代(←平安時代だから当然)に、天然痘発症者に対して村内のメンバーが行う方法はただ一つであり・・・それが「家族もろとも全員問答無用で皆殺しにし、土に埋め、家を燃やす」と言った事。既にものごころついていた儀助は、両親が天然痘にかかったとわかると脳裏によぎるのは「皆殺しにされる」という事

どうすればいいのか、悩みに悩み・・・悩んだ末に、何とか治療薬などはないのかどうか、親友で何でも話すことができ、お互いの秘密はしっかり守ってくれる(守り合う)庄屋の息子に悩みの末打ち明けると・・・。庄屋の息子はその場で「分かった、誰にも言わない」と言って約束をしてくれるが・・・。

帰宅した儀助の家の前に、突然大人数の村人がやってきて・・・そしてその中には親友もいた。

「疱が出たぞ」

の掛け声とともにこちらにやってくる村人たち・・・。武器をもった村人たちは儀助に「親父とお袋を埋めろ」と言う。従うしかなかった儀助はまだかろうじて生きている親父とお袋を生きたまま埋める。その後・・・家は村人の手によって放火され、屋内にいた儀助とその弟妹たちは逃げ場を探すものの逃げ場などなく、儀助は弟と妹をかばい、二人に覆いかぶさるようにして何とか弟妹だけでも助けようとするけれど・・・。

妹と弟

「兄ちゃん、熱いよ、熱いよ」
「大丈夫、大丈夫だから・・・大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・」

・・・。

結局火が消えたころには・・・弟妹は息絶えており、奇跡的に背中に大やけどを負いながらも儀助だけが生き残ってしまう・・・。

儀助は親友に裏切られたことに対して「疱だったから、仕方ないんだ」という仕方ないという気持ちと、「何故裏切ったのか」という人間不信の気持ちが渦巻いて・・・結果、「疱なんかにかからなければ両親は死なずに済んだ。弱いから死んだんだ。強くなければ死ぬんだ。」と言った形で歪んでしまう

その後の動向ははっきり描かれていないものの、人殺しを行って生計をたて、現在の山頂で山越えをする人たちを襲うようになった様子。

意図して自身の心を殺し、人殺しをしているところもあり、根自体は元々いい人。只歪みに歪んでしまっており、その歪みの原因が「世界においての理不尽さ(←これは片岡先生のこの世のテーマ)」からおこるものであるが故、怒りのやり場もなく、淡々と人殺しをしている。後述するヒロインである名無しと出会ってから、少しずつ人の心を取り戻すようになる。

☆親友について:親友は・・・特段描写が無かったので想像になりますが、とても思い悩み悩みに悩み抜いた末の行動であったと思います。どんな内容であったって秘密にしておくぞという覚悟は本当だったはず。

只、聡明な儀助と親友であるが故、恐らく親友本人も聡明であったのでしょう。後は庄屋の息子という立場がある事。疱が出たとなれば、村の掟上その一家は消さないと隣家へ広がり、やがて最悪の場合は村内全滅ないしは村の離散等の可能性もあるはず。自分の考え・行動1つで村の運命が決まってしまうことに物凄く悩んだはずです。
そのうえで、その上で・・・。おそらく、恐らく・・・、「世の中の理不尽さ」故に、儀助のお願いをそむく形を取ったのだと思います。彼もきっと、悪いヤツではなかったはず。でもそれは、儀助もわかっていて・・・。親友を恨むというよりは、「疱になる方が弱いんだ、弱い奴は死ぬんだ」という世に対する理不尽さに対する恨みを強く感じるようになったのだと思います。というか、そうであってほしい。深い絆で結ばれていただろう親友が、そういった形で簡単に裏切るとは私は思えないのです。これは私の願望ですが・・・

最近の作品でも似たような境遇の人がいましたね(リンク先ネタバレ注意)。

〇名無し(あやめ→名無し→あやめ 通称:あやめ初号機・サビ子)

物心つく前から現代でいうところの「娼館」に預けられた子(預けたのは誰でしょう?←重要ポイント)。
本人いわく・・・名前は無かった(名無し)。誰も名付けてくれなかったから。誰も・・・出自など分かっていなかった。

ものごころつくころ(→つまり身体を売れるようになるという事)にはもう娼婦として身体を売らされるようになっていた。娼婦としてそこで過ごせば、少なくとも「飢えて死ぬ」ことは無いから。

牢のような部屋で、逃走防止のために右足のアキレス腱は切られ(走れなくなる)、半ば幽閉されたような環境で、日々初対面の客に抱かれる日々を送っていた。客に抱かれているときはただひたすら目をつむる日々・・・。目をつぶっていることで、嫌な事(=抱かれること)は過ぎてくれる・・・。「闇」こそが自分にとっての救いであり、それしか自分には無いと思っていた子。

ものごころつく頃には既に娼館におり、ただ「身体を売るため」に生かされていたため、生きる意味自体が分からないと思っている。というより、自分が「生きているのか」すらわかっていなかった。名前もなく・・・ただ日々することは身体を売る事だけであり・・・。

自分が生きているか死んでいるかもわからない名無しは、「逃げたら殺される」という事も、自分がまずそもそも「生きてるかわからない」と言った形で特段気にせず、ある夜、月の光に照らされながら、月に向かって歩いて行ったらどうなるのだろうという疑問から、足を引きずりながら月の方向へ歩いていく・・・。

そして、人気のない山道を歩き・・・。そして、結果として儀助と巡り合う。儀助に殺されそうになった時も、特段恐怖の顔を見せず、「生きてるかわからないし、死ぬの?」と言ったように、人の心が全くないような(実質無いに等しい)名無しに儀助は面食らい殺すのをためらう。

結果何を考えていたかは分からないけれど、ただひたすら儀助について行くようになる。はじめは鬱陶しがっていた儀助も、なんだかんだ面倒を見るようになり、握り飯などを分けてくれるようになる。

夏、川辺で水浴びをしていると、名無しがホタルが光っているのを見て珍しがっているのを儀助が見て、儀助がなんとなしにホタルを切り殺して見せると・・・「どうして光が消えたの?」と名無しは疑問に思う。
儀助は面食らい、「死んだんだから当たり前だろ」と答えるが・・・「死んだら、光らないの?」と名無しは答える。「そっか、死んだら・・・光らないんだね・・・?」と、名無しは呟く。「私は、光ってるのかな・・・?」と無機質に呟く名無しを見て、儀助は「いったいどういった環境で育ったんだろう」と思う。
こういったあまりにも人としての生の実感がない名無しを、儀助は面倒を見るようになっていく・・・。

「朱くない方が、美味しいね」

この一言に全てが詰まっていて、そして悲しい結末を引き起こすきっかけにもなる。

〇蛍(ほたる)

左の子が蛍。右は名無し

売られて」来た子。恐らくは名無しよりは少し年上、と言ったくらいの年齢で・・・。生まれながらに娼館にいる名無しとは違い、恐らく食い扶持に困った家が女衒に「売った」事によって娼館にやってきた子(江戸時代らへんまではこういった娘の身売りはよくあった)。だからお父さんのことをよく思い出として話していた。名前は「ほたる」。夏に生まれたから・・・。

なまじ普通の人な分、身体を売ることに対して抵抗感を強く覚えており、名無しと同室の部屋で日々を過ごすものの、精神に限界が来て最終的には「自殺」を選ぶ。

〇救われない結末(ここからガチネタバレ)

儀助と名無し、二人とも死んでしまうのですが・・・。印象的なエピソードをいくつか書いていきます。

〇普段

基本的に生活自体は名無し合流後も変わらず、儀助は山越えをする人たちを皆殺しにし、食料だけをかっぱらう生活を続けます。最初は名無しのことを「弱いヤツ」と認識しており食べ物を分け与えることに対して抵抗感を持っていたものの、夏のある日、自身がヘビに嚙まれてしまった際、毒消しの草をわざわざ名無しが探してきてくれたことから少しずつ元の優しい心を名無しにだけは見せるようになっていきます。それでも通りかかる山越えの旅人たちに対しては容赦なく全員殺し、握り飯を奪い食べる・・・と言った生活を続けていくのです。

〇銀糸(?)のエピソード

儀助がとある旅人を殺した後、殺した後に持ち物を色々漁っている時、食べ物を奪った後谷底に旅人を蹴り落とした後、名無しがふっと「朱い糸」を拾っていることに気づきます(多分殺した旅人が持っていた)。

その糸を名無しの髪結い用の糸として、名無しの髪を結ってあげるシーンがあります。

※切られた際の血に染まっていた銀糸だと自分は解釈しています。

儀助は「なんでも願い事を叶えてくれる銀糸」のおとぎ話を名無しにし、「お前だったら、何を願う?」と尋ねますが・・・名無しは「・・・・・・。」と返すばかりで、儀助が「やっぱり、分からないか?」と尋ねると、「・・・・・・うん。」と答えるばかりでした。

そして、儀助はポツリと名無しの髪に結わえられた朱い糸に向けて

これが銀糸だったらな・・・

とつぶやくのです。

〇夏の水辺と蛍のエピソード

夏、水浴びをしようという事で谷底にある川辺に降り、水浴びをした後、蛍が名無しの周りをふわふわと光りながら飛ぶシーンがあり・・・。少しからかってやろうとおもった儀助は、蛍の1匹を刀で一刀両断します。当然切られた蛍は絶命しますが、名無しは特に死んだことに対しては疑問を持たず、「どうして、光らないの?」と率直に疑問を述べるのです。

面食らった儀助は「死んだら、光らないだろ」と答え、蛍の一匹を手で握りつぶします。「ほら、光らなくなったろ?」と言うわけですが・・・。

名無しは「光っていたら、生きているの?」「死んだら、光らないの?」と言うばかり。

そして、「そっか、死んだら、光らないんだね・・・」と言ったシーンを覚えています。
儀助は「どれほど過酷な環境で生きてきたんだ」と思うようになるのです。

〇冬が近づいて

いつもの如く山越えの旅人を殺そうとするとき、いつも通り殺すだけであるはずなのに、儀助らしくないことをします。

見逃すのです。

「モノを全部おいていけ」と言うだけで、初めて見逃すのです。自分の首を絞めることになるのもわかっていたはずなのに、何故か儀助はそういった行動をとってしまうわけです。

そして置いて行かれた血に染まっていない握り飯を二人で食べるシーンがあって・・・名無しがふっと呟いた内容は、「(血で染まっていない)朱くない方が、美味しいね・・・」という事。

儀助は「ああ、そうだな・・・」と答えたのでした。

〇山越えの旅人がめっきり少なくなる話と、武装集団

山越えの旅人を逃がし、その後はめっきり山越えする人が減りました。

そりゃ当然ですよね、今までは山に「野盗がいる」と知られないようにするために子供まで皆殺しにしていたわけですから、助けてしまったら下山した人が「山に野盗がいる」と広めるのは避けられない話です

その為めっきりその山道を使って山越えをする人が減り、それはつまり食料供給源が絶たれたも同義でした。

そして真冬に近づく中、移動もままならなくなった時期に・・・ある夜山越えを強行する必要があった商人一行が山越えを敢行します。

勿論野盗の話は耳にしていたでしょうから、武装した武士のような集団が護衛としてついていて(確か3人)。

通常であれば分が悪すぎると儀助も考え、いつもなら手を出さないけれどめっきり人の往来が減った山道で飢えかけている自分達、リスクを知りながらも襲うしかなかったのです。

何とか武装した護衛兵は殺せて食料を手に入れることができた儀助ですが、名無しが背中に袈裟懸けを喰らい、傷を負ってしまいます。幸い致命傷にはならなかったものの、栄養不足もあり傷の治りは遅く・・・。

〇弱った名無しの為に山里に降りる決意をする儀助(1回目)

慢性的な栄養失調に加え寒さもあり、背中の傷がなかなか癒えずどんどん弱っていく名無しに対し、儀助は山を下りることを決意し、ふもとの村から物資を奪ってくることを強行します。

ふもとの町へ降り、裕福そうな家の蔵に忍び込んだとき・・・。「名無し」と同じくらいの年齢だろう、恐らくはその裕福な家の子に見つかってしまうのです。

そして、「だれにも言わなければ、見逃してやる」と過去にしてしまった失敗があるにもかかわらず・・・何故か、何故かその子のことを信じてしまうのです。過去にもこうやって親友を信じた結果一家を失った経験があるにもかかわらず、名無しとであって以降人の心が少しずつ戻って来て、非情さが薄れてしまったが故の行動でした。1回目は何とか成功し、米を奪うことに成功します。

〇弱った名無しの為に山里へ再び降りる儀助

食欲もあまりない名無しはどんどん弱っていき、「薬が必要だ」と判断した儀助は再度山のふもとの村へ向かうことを決意します。
蔵を例の如く漁って、薬を見つけ懐に入れた矢先、また1回目の時と同じように娘に見つかってしまいます。同じように脅し、誰にも言わないよう伝えた後見逃しますが、今度は追手が来てしまいます。

追手がガンガン迫ってくる中、儀助は何とか逃げおおせますが・・・逃げる最中に足を切られてしまいます。

出血が止まらない中、名無しのことだけを想い山を登っていくのです。

・・・。

〇残された名無しと「銀糸」

名無しは、薬なんていらないから、傍にいてほしいと思っていました。

・・・ずっと私のそばにいてくれたあの人。
・・・なぜか私にやさしくしてくれたあの人。

「どうやら、この世界とお別れみたい・・・」

薬を取って来てくれるというけれど、本当は傍にいてほしかった・・・。

「今まで私生きてたのかな・・・」

夏、あの渓(たに)で見た蛍は綺麗だった。みんな一生懸命に光っていた。
(儀助:死んだら無理だろ)
・・・そうなんだ?
(儀助:そりゃ当たり前だろ)
・・・うん。死んだら光らないんだね?
・・・だから、生きている証に夜を照らしていたんだね・・・。
(儀助:似合ってるぞ・・・)
そう言って朱の糸を結んでくれた。私の髪に奇麗な朱の糸を結ってくれた。
(儀助:これが銀色だったらな・・・)
・・・うん・・・そうだね・・・。
(儀助:お前なら何を願う?)
・・・う~ん・・・・・・。
(儀助:どんな願いもかなうんだぞ?)
・・・う~ん、う~ん・・・。
(儀助:・・・やっぱり分からないか?)
・・・うん。
・・・いつか・・・私に教えてくれたおとぎ話。変わった銀の糸のおとぎ話。
・・・哀しそうな顔で話してくれた。寂しそうな顔で朱の糸を結ってくれた。

・・・そっと髪に触れてみる。あの人が結ってくれた朱の糸に触れてみる。

(儀助:お前なら何を願う?)

銀色に光る朱の糸

・・・ぼんやりと手の上で光っていた。
・・・月明かりを浴びて朱の糸が光っていた。
(儀助:・・・朱の糸じゃ駄目だろ?)
・・・死んだ蛍は光らなかった。
でも、弱々しくても精いっぱいに生きていた。こんなに嫌だった世界なのに、みんな精いっぱいに光っていた。
(儀助:どんな願いも叶うらしいぞ)
・・・私・・・光ってた・・・?
(儀助:これが銀色だったらな・・・)
・・・私・・・生きてた・・・?
(儀助:お前なら何を願う?)
・・・私・・・
(儀助:お前なら何を願う?)
・・・わたし・・・わたし・・・
(お前なら何を願う)

わ た し な ん か で も ね

・・・生きた証が欲しい・・・。

・・・誰も気づかなくても良いの。
・・・弱々しくてもね・・・光っていたんだよ・・・。
・・・こんな・・・私でもね・・・。
・・・確かに・・・確かに・・・生きていたんだよ・・・。

〇戻ってきた儀助

何とか傷を負った足を引きずりながら名無しのところに戻る儀助ですが、そこにいた名無しは既に、息絶えていました。

何度も揺さぶったり、声を書けたりするも、名無しは答えず。ようやく薬を手に入れたのに、治してやれると思っていたのに・・・。

「ハハ、弱い奴は死ぬんだよ!」
・・・そうさ、いつものことじゃねえか、ずっと自分に言い聞かせてきた言葉じゃねえか・・・と儀助は思います。
「そう、弱い奴から死ぬんだ」
そう言いながら、ずっと覚悟はしていたことじゃないかと、いつかは来ることだと自分に言い聞かせる儀助・・・。

「・・・そう・・・当たり前のこと・・・じゃねえか・・・」といって名無しを抱きかかえます。

「弱い奴は死ぬ・・・なのに・・・何故俺は・・・哀しいんだ・・・」と言って、涙を流すのです。

〇あやめ

名無しを埋葬するために、名無しの好きな場所であった渓に降り、そこに埋葬しようと思ったときに・・・また儀助の顔に涙が溢れます。

「なんだよ・・・墓を作ろうにも・・・名前もねえじゃねえかよ・・・」
世の理不尽さを嘆きふっと目をやった先には、季節外れのあやめの花が咲いていました。一凛でありながらも一生懸命に懸命に懸命に咲いていました。

季節外れ、雪の最中に咲く一凛のあやめを見て、以前に名無しとなんとなしにしていた会話でかつてあった、「名前」について思い出します。

「なあ・・・名前・・・。あやめなんて、どーだ?」
何気なく名無しに尋ね、何気なくいいんじゃないかと言ったあの会話。

そして・・・。

眩しかった日のこと・・・そんな夏の日のこと・・・。

ここでお話自体はおしまい。

〇生きた証が欲しい

これが1章のテーマだと思います。というより、片岡先生の生きる命題とも言ってもいいテーマだと思います。

これに尽きるんだと思うんです。

誰の目にも止まることなく、誰からも覚えてもらえることは無いかもしれないけれど、ただ、ただ弱々しくても懸命に生きていたんだということを、伝えたかったのだと思います。

最後に名無しは、「あやめ」としての名を与えられて・・・、誰にも気づかれないながらも、名前という「生きた証」を手に入れられたのだと思っています。ささやかな、本当にささやかな願いですが・・・銀糸が叶えてくれたのか・・・。それとも偶然か・・・。

・・・。

人は死んだらどうなるんでしょう?
死ぬって言うのはどういうものなんでしょう。本当に人が死ぬときというのは、よく言われますが「人に忘れられた時」と言いますよね。

カムイ伝よりスダレ(右のキャラ)のセリフ。
ワンピースのDr.ヒルルクのセリフ。有名ですよね。

じゃあ儀助と名無しはどうだったんでしょうか・・・。

そして今を生きる私たち、私を含めた有象無象の大衆の一人という存在は・・・死んだら何が残るのでしょうか?

私は、それを最近、よく考えます。自分という存在が死んだら、どうなるのか。無にはなるとはすれど、この世に生きた証は残せるのだろうか?と・・・。私が臨床の場で見送ってきた人たちは皆、生きた証を残せたのだろうか?と・・・

私がこういった考えを持つように至った経緯には、この作品もありますし、片岡先生全般の作品から言えることでもあります。

片岡先生がリアルで体験した経験をもとに、この作品群が作られているので・・・。

又、「生きた証が欲しい」ということについては、別記事で書こうと思います。

銀色、本当にイイ作品なので、是非買ってプレイしてみてくださいね。
本編はバックで流れる音楽も最高ですし、何よりヒロインはフルボイスなので。ぜひ、一人でも多くの人にやってほしいと思える作品です

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