Bitcoin JapanのAIインフラ事業への投資案件第1号はSpaceX。1.25兆ドルの評価額でIPO前ポジションを確保したスキームと背景
Bitcoin Japan株式会社(東証スタンダード:8105、BJ)が5月27日、「子会社等における新規事業(AIインフラ投資事業)の開始およびファンドへの出資に関するお知らせ」と題したIRを公表。BJが「AIインフラ投資」の第一弾として選んだのはSpaceX社への投資でした。
今回のIRが証明した「最大の本質」
このIRに隠された最も本質的で最大のメッセージは、個別案件の規模や内容以上に、「時価総額数十億円規模の日本の上場企業が、グローバル市場におけるトップティアの投資レイヤーに参加できることを証明した」という事実ではないでしょうか。
今回のディールは、市場に対して以下の3つの事実を証明したと思います。
「機関投資家限定」の壁の突破:通常、SpaceXのような超優良企業のIPO前案件は、限られたプロの機関投資家にアクセスが限定されています。今回、BJは多層ファンド(Layer-2)を経由するという複雑なスキームを用いることで、このアクセス制限の壁を合法的に突破できることを実証しました。
経営陣のエリートネットワークの機能証明:IRには、この案件がフィリップ・ロードCEO自身の米国の金融人脈を通じて持ち込まれたことが明記されています。元ソフトバンク幹部であるアクシャイ・ナヘタ会長を含む経営陣のグローバルなネットワークが、BJという上場企業の「箱」を通じて完全に機能していることが証明されました。
「エリート案件へのパスポート」の獲得:このディールにより、BJはトップティアの非公開案件を実行できる企業としてのトラックレコード(実績)を作りました。これは一過性のものではなく、残された約38.6億円の調達余力を活用し、今後も同等のAIインフラ案件を第2、第3のディールとして獲得できる可能性を市場に示唆していると思います。
この前提を踏まえた上で、今回のディールの具体的なスキームとファクトの説明りに入ります。
この出資に至った背景
AIモデルの大規模化に伴い、計算資源と電力の需要が世界的に爆発しており、地上データセンターの電力供給には環境負荷を含め限界が見え始めています。宇宙空間の太陽光を活用する次世代データセンター構想は、この課題を解決する持続可能で拡張性の高いソリューションとして、極めて高い成長可能性を秘めています。
この世界的案件を時価総額数十億円の日本企業が獲得できた背景には、経営陣の強力なネットワークがあります。IRには、フィリップ・ロードCEO自身が有する米国の金融人脈を通じてこのビバファンドの案件を紹介され、フィリップCEOとアクシャイ・ナヘタ会長が自ら第一次検討(投資判断)を行った経緯が明記されています。
全体総論
BJは、米国に新設した100%子会社「BTCJPN US LLC」を通じて、イーロン・マスク氏率いるSpaceX社に対し、SpaceX株エクスポージャーを持つPEファンドへの出資(初期投資総額として約1,280万ドル、日本円で約20.4億円)を行うことを決定しました。
SpaceX社側は現在、同じくマスク氏が率いる世界有数のAI企業「X.AI Corp.」を2026年2月に買収・統合する方針を公表。さらに、AIコンピューティングのために「スターシップで100万基の軌道上データセンターを打ち上げる」という、宇宙空間を活用した次世代AIインフラ構想を掲げています。今回の投資は、このビジョンに向けたSpaceX/xAI関連エクスポージャーへの投資となります。
出資スキームについて
SpaceX社は現在IPOの準備段階にあり、株主を固定する時期に入っているため、直接株主になることは不可能です。また、直接投資を行うファンド(Layer-1ファンド)に参加できるのは、限られた機関投資家に限定されています。
そこでBJの経営陣は、IPO前の現物株を確保するために、米国籍のPEファンド「ビバファンド(Layer-2)」に対してLP出資を行います。SpaceX社がIPOを果たした際、Layer-1ファンドが解散してビバファンドへ現物株が配当され、それをトリガーとしてビバファンドも解散し、BJ側に「SpaceX社の現物株20,160株」が直接現物配当として割り当てられるという仕組みです。

このスキームの法務デューデリジェンスは、オフショア法務に特化したトップティアの国際法律事務所であるポッター・アンダーソン&コルーンが担当し、Layer-1ファンドの実在性や監査済財務諸表による株式保有の証拠、ビバファンドとの契約関係、そして現物分配条項などについて法務DDが実施され、出資に影響を与える大きな問題点はないと報告されています。

資金について
今回の投資総額約20.4億円の原資は以下の通りです。 株価下落により資金調達が懸念されていましたが、実はこのIR発表の時点で、第1回新株予約権(ワラント)の行使によりすでに約18.5億円の資金調達が完了していました。
この調達済み資金から13億円を充当し、残りの約7.4億円は手元資金から一時的に立て替える形で、合計約20.4億円を拠出します。なお、手元資金から充当した分は、今後の新株予約権の行使が進み次第、調達額から戻し入れを行う予定とされており、会社のキャッシュが枯渇するわけではありません。
特筆すべきは、「為替介入のタイミングを狙った事前ヘッジ」です。必要資金のうち10億円については、日本政府による為替介入公表直後である2026年5月1日の時点で「1ドル=158.24円」で既にドルへの両替(約631万ドル)を済ませており、為替変動リスクを最小限に抑えるプロの財務手腕を見せています。

この出資の価値
今回の出資の価値は、通常はアクセス不可能な超優良企業のエクスポージャーを、第三者機関の評価レンジ下限近辺で取得できる条件で確保した点にあります。
第三者機関の評価によると、現在のSpaceXとxAIの連結株式価値(時価総額)は「1兆2,605億米ドル~1兆4,538億米ドル」と算定されています。今回BJがオファーを受けた取得条件は、時価総額に換算すると「1兆2,500億米ドル」となり、現時点での価値として適切な価格(妥当水準)であると判断されています。
BJは投資ハードル・レートを厳格に「年率12.5%」と定めていますが、SpaceXはIPO時の目標時価総額を約1.75兆米ドルと公表していることなどを踏まえ、1年後の売却を前提とした場合でもこのハードル・レートを十分にクリアできる勝算があるとBJ側は判断しています。
残りの資金と今後
今回の投資において、資金調達のトリガーとなるSpaceX社のIPOは「2026年6月までの上場」を目指していることが公表されており、主幹事にもトップティアの金融機関が指名されていることから、BJ側はIPO実現の確実性が高いと判断しています。IPO後、BJは市場の動向を見ながら現物株を順次売却し、キャピタルゲインを得る計画です。

また、資金面での展望も明るいと見られます。第1回新株予約権による資金調達の差引手取概算額(予定総額)は約57.1億円。今回すでに約18.5億円の調達を終え、そのうち13億円を投資に回しましたが、計算上、未行使のワラント枠にはまだ約38.6億円の調達余力が残されています。
※本記事は情報提供のみを目的としており、特定の株式、暗号資産、金融商品の売買を推奨、あるいは投資助言(投資勧誘)を行うものではありません。
※投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任(DYOR)において行っていただきますようお願いいたします。
※本記事は、公式資料などを元に作成したものです。情報の正確性や完全性を保証するものではありません。正確な内容やニュアンスについては、公式リリースや一次情報をご参照ください。本記事の情報源は以下の通りです。
