苦くて真っ黒
カップの底は見えない
立ち上る湯気は
タバコの煙のよう
埃をかぶった 湿気を含む店内
傷だらけのテーブル
手のひらに収まる本を読みながら
男はカップを口に運ぶ
ごくりと喉を鳴らし
目を細めた
これが大人なのだろう
わたしは床の染みを見ながら
チョコレートパフェを
しかたなく口に運んでいる
男はさくらんぼのヘタを口の中で
結んで 手のひらにのせた
知らないことばかり
気持ち悪い
わたしはペーパーナプキンを
強く口に押し付けた
*ひとこと紹介文
珈琲を飲む男が、どんな人なのかは読む人次第。香り立つ季節に、あえて苦味と違和感を残す詩を書きました。