たった一度のアイラブユー
今年は寒い冬だった
新年早々の引越し
以前の部屋は暖かくて、エアコンのリモコンを探した記憶も少なかった。
この部屋は、、、
寝ていて夜中に頭が寒くて起きてしまう。
久しぶりに横浜に積もった雪の朝は、心まで凍えた朝だった。
二月生まれの寒さに弱い男。
カーテンを断熱タイプに替えてみた。
なんだか少し和らいだ、、、気のせいだった。
DIYで二重サッシにしようか、真剣に調べた。
めんどうやし、、、
断熱カーテンの隙間から冷気が染みてくる。
サッシの下からかな。Amazonで隙間テープを買ってみた。
2月14日、よし!貼るぞと、カーテンを開けてサッシのどこに貼ろうかと考えた。
上の方に、なんだか見慣れない小窓がある。引っ越してきて始めて気づいた。
右側にスライドするレバー。スライドさせてみた。小窓が閉まって、、、
おいおい、1ヶ月間気づかずに、この小窓から真冬の冷気も、R246の騒音も全部入っとったんかい!
部屋の中にいるのに、外にいるような感覚が、密閉された部屋の安心感に変わった。
ひとり笑うしかなかった。
なんだかうれしくて、午後、川沿いの公園まで歩いてみた。
そろそろ河津桜が咲く頃だから。
やっと咲き始めたピンク色の桜が黒い枝に降っていた。今年も春だった。

この桜を見ると、ふと思い出す。今年と同じ、ある寒い冬のこと。
前日の夜、彼女と、つまらないことで口喧嘩して気まずい朝。
ふたり川沿いを歩いていて、偶然見つけた河津桜。
朝の静寂の中、ピンク色の花が誇らしく咲いてて、急に暖かくなったようで、
ぼくは桜を見上げて何気なくつぶやいた。
彼女は隣でなぜか涙を流していた。だんだん大泣きになって嗚咽するし。
ぼくはどうしていいかわからず、ただ彼女の肩をさするだけだった。
すこし落ち着いた彼女に「どうしたん?子供みたいに泣き出して」
号泣から立ち直った彼女は
「今 何て言ったの」
なんかヤバいこと言ったのかと、自分の言葉を思い出して、もう一度言った。
「オレにはお前しかいないんや」
また泣き出す彼女「その言葉、生きてきた中で一番うれしかった」
また嗚咽するし。
「そんな号泣するなって。帰ろ」
河津桜の思い出。
涙で顔をぐちゃぐちゃにして、あんなに喜んでくれたのに、あの言葉は、あの時だけ、たった一度だけだった。
もっと何度も 言ってあげればよかったな、、、
