外国人スタッフと飲食店の現場|人手不足だけでは語れない教育とメンタルケアの課題
近年、飲食店などで外国人スタッフを見かけることが当たり前になってきました。背景には飲食業界の深刻な人手不足があります。
先日も、外国人スタッフの増加についての記事を目にしました。
SNS上では「外国人店員の方が愛想がいい」「礼儀正しい」といった好意的な声がある一方で、「日本語が通じないから不快」「外国人を雇っている店には行かない」といった厳しい意見も見られるとの記事です。
この記事を読んで、私は取り組んでほしい2つの課題を感じました。
1つは 教育の「質」を変化させること、もう1つは盲点になりやすい「スタッフのメンタルケアを重視」すること です。
課題① 属人的・感覚的な教育からの脱却
1つ目は記事の中でも触れられていた「教育」の観点です。
日本の従業員教育はこれまで、経験豊富な先輩が感覚的に教えるケースが多く見られました。サービス現場では経験しながら学ぶことが中心でした。
同じ文化圏の日本人同士であれば大きな摩擦はなく通用してきたかもしれません。
しかし、異なる価値観や言語を持つスタッフが増えると、そのやり方の限界が浮き彫りになります。
「見て覚える」「空気を読む」といった属人的な教育だけでは多様性に対応できないのです。
だからこそ、これからは仕組みとして教育を整えていく必要があります。

課題② 盲点になりやすい不当なクレームとハラスメント
2つ目は意外と現場で盲点になりやすいと感じる点です。
私が飲食店などの研修の現場で耳にするのは、次のようなお客様からのクレームです。
「外国人だからサービスが悪い」
「日本語が下手だからレジ操作が遅い」
これを教育不足という観点の受け止めだけではなく、関連性のない点を攻撃する行為にも目を向けることが必要だと思います。
中には人格否定と受け止めざるを得ないような言葉を浴びせられることもあり、これはハラスメントと言っていいでしょう。
接客の改善につながる指摘と、人格を否定する言葉はまったく別物です。
「お客様だから我慢すべき」という考え方では、人は簡単に心をすり減らしてしまいます。
文化の違いとメンタルフォロー
だからこそ大切なのは、教育と同じくらいスタッフを守る意識です。
理不尽な言葉を受けたとき、店長や同僚がその人の感情や思考に寄り添う意識を向けるだけでもスタッフの心は守られます。
私は以前、ブラジルで「日本のおもてなし」について講演をしたことがあります。
その際、日本で働いた経験がある日系の方から「文化の違いがつらくて苦しかった」と打ち明けられました。
異なる文化圏で働くことは、想像以上に大きなストレスを伴います。
だからこそ、近くにいる人たちの関わり方次第で、その経験が「つらい思い出」から「良い経験」に変える力もあるのではないでしょうか。
教育はスキルを育てますが、フォローは心を守ります。
顧客満足を永く築くために必要なのは、この両輪なのです。

安心して働ける環境が顧客満足に貢献する
飲食店が外国人スタッフを採用する流れは、今後さらに広がっていくでしょう。
しかし人材不足を埋めることだけが目的ではなく、日本人、外国人誰もが安心して働ける環境をどう整えるかが本質的な課題です。
サービスを受ける側の私たちも、国籍や言葉で判断するのではなく、人としての関わりそのものを見つめ直す必要があります。
「お客様だから何を言ってもいい」ではなく、「お互いを尊重する関係」があってこそ、良い接客体験は生まれるのではないでしょうか。
だからこそ企業としては、社会に明確な姿勢を示すことでその環境づくりに一役を買いたいものです。
(明確な姿勢を示す大切さを書いた記事はこちら→)
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