萎えた。それでも、やめなかった。
「萎えた」
その一言に、一瞬、心が縮んだ。
昨年、中3だった長男も、バスケで総体に出場しました。
あれから、もうすぐ一年になります。
そのことをnoteで書きたかったけれど、書けませんでした。
実は、3月にKindle出版した本にも書けなかった。
どう言葉にしていいか分からなかったからです。

長男はクラブチームに所属しながら、一方で部活もしていました。
時間のやりくり、体力的なこと、しんどいことが多かったと思いますが、両立しよくがんばっていました。
総体を翌週に控えたある土曜日、練習試合がありました。
そこで、親子共に、愕然としました。
長男は、ほとんどプレイタイムをもらえなかったのです。
試合中ずっとコートに立ち、出ている子は、みんな汗だく。
持ってきていた水がなくなって走るお母さん達。
一方、長男は長袖のジャージを着たままずっとベンチに座っていました。
「次こそは、次こそは」
そんな期待をしながら過ごす数時間。
出場したのは、わずか数分。
その場にいるだけで、エネルギーがどんどん削られていく気がしました。
そこに、わたしのいる場所はありませんでした。
練習試合の後、車内で息子に聞いてみました。
「今日の試合どうやった?」
と。
すると、一言だけ返ってきました。
「…萎えた」
ポツリと。
どんな時も涙を見せない長男。
だけど、その時ばかりは涙声でした。
わたしは、一瞬言葉に詰まりました。
だけど、このままにしたら良くないことだけは分かった。
なんとか励まそう。
そう思うより先に、言葉が出ていました。
「そりゃそうやね。
しんどかったね。
お母さんも、すごく残念やったし、辛かったわ。
だけど、基礎練見てても、めっちゃ上手になってるで。
ディフェンスは本当に素晴らしいと思う。
小さい体で勇気あるわって、チームメイトも褒めてくれてたやろ?
総体には、もしかしたら出れんかもしれん。
でもそれは、現時点の状況やから仕方ないやん。
高校生になった時に、
『え!
こんなうまいのに出してもらえんかったん?
うそやろ?』
って言われるくらい、小柄な子達の希望になれるようにがんばろう!」
半分は、自分に言い聞かせていた言葉だったかもしれません。
だけど、珍しく、長男もうなずき、高校に向けてどんなプレイをしたいか、一回洗い出してみると言ってくれました。
自宅に帰り、素直に9つのやりたいことをリストアップしました。
その内容は知りません。
だけど、自分なりに考えた様子。
まだまだ素直さがあり、ほっとしたのを覚えています。
とは言うものの・・・
母としてはどうにも悔しい。
顧問の先生に対しては、
「もう少し出してくれてもいいのに、許すまじぃ〜」と、心で文句を言いました。
そして、強い部活でもないのに出られないなんて。
当日クラブチームの親には会いたくないなぁ。
そんな見栄も湧いてきました。
そうやって、心がドロンドロンしているわたしに、追いうちをかけるように、あるLINEが。
それは、総体当日の保護者の送迎依頼でした。
応援は、保護者も一緒に行こうということになり、車を出してもらえないかと打診されたのです。
既読してからも、すぐに返信できませんでした。
正直、「どうしてわたしが?」
という疑問が浮かびました。
こういう場合は、キャプテンやスタメンの子の親が乗せて行ってくれるもんだと勝手に考えていたのです。
「おかしい…」がぐるぐる回りました。
だけど、ふとした瞬間、ある考えが降りてきました。
「自分がキャプテンの親だったらどうするかな?」
何も感じず、わたしに配車をお願いするだろうか。
わたしだったら、「自分がやる」と、もちろん言うはず。
わたしが依頼されたということは、依頼せざるを得ない状況だったのではないか。
それだったら、
気持ちよく「送迎するよ」と返事しよう。
未熟なわたしは、そう決断するまでに、数時間がかかりました。
だけど、納得して、その状況を受け止められると、気持ちが少し軽くなりました。
どんな形でも試合に参加させてもらえること。
3年間部活にいさせてもらえたことに、ありがたいなぁと自然と思えました。
ふぁっと心が晴れていったのです。
初めて味わう不思議な感覚でした。
さて、当日。
今日は多分出られないかもしれない。
だけど、コートに入る子ども達は、みんなの代表。
全力で応援しよう!
長男には自宅を出る前にそう話していました。
お母さん方とは近所の公園で待ち合わせ。
車内では、みんな緊張と興奮が溢れていました。
今日は、子ども達の頑張る姿をしっかりカメラに収めよう。
わたしもそれだけを考えて、無事に7人の母達を送り届けました。
独特なエネルギーに包まれた体育館。
コートでは、入念にアップをしながらも、ベストメンバーの子達の顔はこわばっていました。
そうして、試合開始。
ところが。
思いもよらないことが、起こったのです。
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