【高校生日記】イケメンを友に持つ者たちへ
高一長男は、女の子の友達が割と多い。
モテているわけじゃない。
浮ついてもいない。
ただ、息子の友達がイケメンなのだ。
本丸を落とすために、まず周りにいる友達から落城させるという作戦を立てる女子が後を絶たない。
仲良くなってから、
ねぇねぇ、ところで、〇〇ってどんなコなん?
と質問が飛んでくる。
その度に、
「あぁお前もか」
そう軽く舌打ちをするのである。
中には、イケメンを手中に収めたいがために、隣のクラスに悪口を言いふらす女子もいるのだとか。
おそろしい。
戦国の世なら、悪名高き武将として名を馳せていたかもしれない。
長男は、忘れ物は多いし、高校に入って眼鏡をつけ始めた。
寝ぐせもある。
母親が言うのもなんだけど、
高校生ののびたくんがいたらこんな感じだったろう。
こいつならすぐに落とせる。
そんなふうに思われているのかもしれない。
しかしながら。
残念ながら、魂胆のある女子の選別には鼻が利くのだ。
中学生のころは声変わりも遅く、性を意識せずに気軽に話せる男子として渡ってきた。
彼なりに、女子たちの戦を何度も見てきているのだ。
したがって、陣地を取りに来たな、と察知するやいなや、翻し方をわきまえている。
我らがトモへ、速やかに、包み隠さず報告する。
大きく見せたりもしない。
ただ、ありのままに。
思えばイケメンも大変だろうと思う。
見かけに吸い寄せられてくる大勢の女子を相手にしなければならない。
長男のように優秀な友達を持たなければ、食い尽くされてしまうかもしれない。
端麗な容姿を持ったがために、いらぬ苦労があることだろう。
うら若きイケメンがえらい目にあっては可哀想である。
元・女子高生として、イケメンには全力でエールを送りたい。
「気をつけなはれ」
長男はモテはしない。
でも良かったではないか。
もし、この先、長男を「スキ」と言ってくれる子が現れたとすると……。
それは、外側じゃない。
背も低いし、もれなく寝ぐせもある。
眼鏡も、ハの字の下がり眉も、わたしにはかわいい。
だけど。
そんなところじゃないんだ。
外見に惑わされず、
内側を見てくれるんだ。
ありがたいことではないか。
あっぱれである。
「あんた、よかったなぁ」
わたしは、長男の肩にぽんと手を置き、声をかけた。
すると、長男は、ひくりと笑った。
そして、ひと言。
「だまれ」
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