Isaac Sim 6.0 のバックエンド PhysX と Newton の違い
「Isaac Sim 6.0」のバックエンド「PhysX」と「Newton」の違いをまとめました。
・Isaac Sim 6.0
1. Isaac Sim のバックエンド PhysX と Newton の違い
「Isaac Sim」を触っていると、物理シミュレーションのバックエンドとしてよく目にするのが「PhysX」です。これまでは、「Isaac Sim」において「物理といえばPhysX」と考えておけば、問題ありませんでした。ただ最近は、そこに「Newton」という新しい選択肢が加わりつつあります。
この2つの違いは、単に新旧の差として片づけられるものではありません。物理シミュレーションを何のために、どう作るかという考え方そのものに、はっきりした違いがあります。
・PhysX
Isaac Sim で長く使われてきた標準的なバックエンド。
今すぐ安定して使いたい人に向け。
・Newton
ロボット学習や接触の多いタスクを意識した新しいバックエンド。
これからの研究や学習用途を見据えたい人に向け。
現時点では、「Isaac Sim」を普通に使うなら「PhysX」が中心です。一方で「Newton」は、これから重要になりそうと感じる存在です。
2. PhysX とは何か
「PhysX」は、NVIDIAが長く開発してきた物理シミュレーションエンジンです。「Isaac Sim」でも、これまでの物理表現の中心にあったのは基本的に「PhysX」でした。
「Isaac Sim」の多くの機能やアセット、サンプルは、「PhysX」を前提に作られています。
この「前提になっている」というのがかなり大きく、「PhysX」の強みは単に物理計算が速い・賢いという話だけではありません。
「Isaac Sim」全体との相性がとても良いです。
たとえば、
・既存のロボットアセットがそのまま使いやすい
・サンプルやチュートリアルの再現がしやすい
・物理周りで困ったときに、既存情報が多い
といった実用上のメリットがあります。
要するに「PhysX」は、「Isaac Sim」における王道の選択肢です。
3. Newton とは何か
「Newton」は、最近注目されている新しい物理エンジンです。特徴を一言で言うなら、ロボティクスや学習用途をかなり強く意識していることです。
「PhysX」が実用的で成熟した既定路線だとすると、「Newton」はこれからのロボットシミュレーションをどう作るかに寄った設計になっています。
特にキーワードになっているのは以下のとおりです。
・GPUを活かしやすい
・拡張しやすい
・微分可能物理を意識している
・接触の多いタスクに強い方向を目指している
強化学習や模倣学習、接触リッチなマニピュレーションをやる人にとってかなり気になるポイントです。
つまり「Newton」は、ただの「PhysX」の代わりではなく、研究や学習をやる人に向けた次世代の土台として見たほうが分かりやすいです。
4. どちらを選べばよいのか
4-1. PhysX が向いている人
・まずIsaac Simを安定して使いたい
・既存サンプルや既存資産を活かしたい
・ROS連携や一般的なシミュレーション用途が中心
・余計な不確実性を増やしたくない
4-2. Newton が向いている人
・ロボット学習を本格的にやりたい
・接触リッチなタスクに関心がある
・研究用途で新しい物理基盤を追いたい
・将来性のある方向を早めに触っておきたい
ほとんどの人にとって、今の第一候補はまだ「PhysX」だと思います。でも、「Newton」を知らなくていい時代ではもうなくなってきています。
5. まとめ
「Isaac Sim」における「PhysX」と「Newton」の違いは、単なる性能差ではありません。現時点では、実務の本命は「PhysX」、将来を考えるなら「Newton」はかなり重要です。
「Isaac Sim」周りを追っていくなら、これからは単に「PhysX」を使うだけでなく、「Newton」がどこまで広がっていくのかに目を向けるのも面白そうです。
