因地機通信012
某教育機関 教育理念宣言
――静かな破壊と再生のための教育――
我々は知っている。
時はスルスルと指の間からこぼれ落ちていく。
人の未来は、計画された順序など無視して、突然やってくる。
その瞬間に立ち尽くす者と、
その瞬間を飲み込む者がいる。
我々の教育は、その差を生み出すために存在する。
第一理念 大は小を兼ねる
小さな正解に満足するな。
小さな常識に収まるな。
世界は巨大であり、
思考もまた巨大であるべきだ。
大きく考える者だけが、小さな問題をも包み込む。
第二理念 教育は暴力装置である
誤解するな。
それは肉体の暴力ではない。
怠惰、思考停止、安易な共感、空虚な自己愛。
それらを破壊するための、精神の暴力装置である。
我々は優しく破壊する。
そして破壊された場所から、
新しい思考を育てる。
第三理念 空虚を他人に押し付けるな
人に助けてもらう価値がない、
と感じる日があるだろう。
孤独は優しくない。
世界中がうるさい。
しかし覚えておけ。
自分の空虚を他人に押し付けることだけは許されない。
思考せよ。
沈黙せよ。
何も考えない時間に身を委ねよ。
そこからしか、
本当の言葉は生まれない。
第四理念 後悔の教育
どんな選択をしても、後悔はある。
それが人間だ。
ならば我々は問う。
どの後悔を選ぶのか。
教育とは、
正解を与えることではない。
後悔の質を変えることである。
第五理念 決定の倫理
わからないことを、決定することはできない。
だから学べ。
だから調べろ。
だから疑え。
この世界では、
「わからない」は罪ではない。
しかし、
わからないまま決めることは罪である。
第六理念 孤独と尊厳
孤独は優しくない。
それでも我々は宣言する。
私の感情を踏み散らすことは許さない。
思考する者は孤独だ。
しかし孤独は、
思考の王国でもある。
第七理念 静かな日常の哲学
空芯菜の炒め物。
日記はいつ読むべきか。
タイピングの音。
それらは些細なことに見える。
だが、
世界は些細なことの集合でできている。
我々はそこに思想を見る。
最終理念 世を捨てよ、だが世界を見よ
教えに従い、
一度だけ世を捨てよ。
流行を捨てよ。
群れを捨てよ。
空虚なオリジナル礼賛を捨てよ。
そのとき初めて、
本当の世界が現れる。
教育とは、未来の到来に耐える訓練である。
突然やってくる未来に、
ただ立ち尽くすのか。
それとも、
静かに迎え撃つのか。
我々の教育は、
その一瞬のために存在する。
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