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韓国の「2社」が、なぜ日本株まで大きく揺らすのか――日韓市場を結ぶ“AI半導体バスケット”の正体【n+マーケット】

20日の東京株式市場では、日経平均が大幅に上昇した。

その背景の一つとして挙げられたのが、韓国KOSPIの5%を超える上昇だった。

ここで私は、少し違和感を覚える。

なぜ韓国株が5%上がっただけで、日本株までこれほど大きく動かなければならないのだろうか。

しかも、さらに深く見ていくと、これは単純な「韓国株」の話ではない。

現在の韓国市場では、

Samsung Electronics
SK hynix

という、わずか2社の影響力があまりにも大きくなっている。

報道によれば、この2社だけでKOSPIの構成比は約54%にまで達している。つまり現在のKOSPIは、韓国経済全体を映す指数というより、かなりの部分が**「Samsung+SK hynix指数」**に近い状態になっている。

では、なぜその2社の値動きが日本まで伝わるのか。


■世界の投資家から見ると「日本株」と「韓国株」は別々ではない

日本に住んでいると、

「韓国株は韓国株」

「日本株は日本株」

と考えてしまう。

しかし、海外のヘッジファンド、ETF、クオンツ、アルゴ取引から見ると、必ずしもそうではない。

現在は、

NVIDIA

SK hynix・Samsung

Micron

キオクシア

東京エレクトロン
アドバンテスト
ディスコ
レーザーテック

などが、

「AI・半導体」という一つの巨大な投資テーマ

として扱われる。

つまり国籍ではなく、

テーマで株を束ねて売買する。

私はこれを、

「アジアAI・半導体バスケット」

と考えると、現在の不可解な株価連動が非常に分かりやすくなると思う。


■SK hynixが上がると、なぜ日経先物まで買われるのか

例えばSK hynixが大きく上昇する。

すると市場では、

SK hynix上昇

AI向けHBM・メモリー需要は強い

Samsungも上昇

KOSPI上昇

アジア半導体株が強い

海外短期筋が日本の半導体・日経先物を買う

という連鎖が起こる。

実際、7月には韓国株の急落が日本市場にも波及し、日経平均が約930円下落した日もあった。

逆に韓国半導体株が急反発した7月31日にはKOSPIが一時17%上昇し、日本の日経平均も5%を超えて上昇した。

つまり、すでに日韓市場は短期資金の世界ではかなり強く結びついている。


■さらに韓国には「レバレッジ」という増幅装置が付いた

ここからが、現在の相場で最も警戒すべき部分だと思う。

2026年、韓国ではSamsungやSK hynixを対象とする個別株2倍レバレッジETFが登場した。

これらの商品は、

Samsung+5%
→ ETFは約+10%を目指す

という仕組みだ。

ところが、この商品には毎日レバレッジを調整する必要がある。

そのため、

株価上昇

ETFが追加ポジションを作る

さらに株価上昇

逆に、

株価下落

ETFがポジション縮小

さらに売り圧力

というフィードバックが発生し得る。

Reutersは、SamsungとSK hynix関連のレバレッジETFが市場の値動きを増幅し、一部の日にはこの2社関連がKOSPI売買代金の80%以上を占めるほど取引が集中したと報じている。

韓国株では4%以上の日次変動が珍しくなくなり、30日実現ボラティリティは1998年以来の水準まで上昇した。

韓国政府も問題を認識し、新たな個別株レバETFの上場停止や、個人投資家の最低預託額引き上げなどの規制強化に動いた。

これはかなり重要なことだ。

つまり韓国当局自身が、

「少し市場が過熱しすぎた」

と認め始めたとも言える。


■そして、その振動が日本へ輸入される

ここに現在の最大の問題がある。

韓国国内だけで完結するなら、まだ韓国市場の問題である。

しかし、

韓国個人投資家

信用・レバETF

Samsung・SK hynix

KOSPI

海外アルゴ・ヘッジファンド

日経先物

日本株

という経路ができてしまうと、

韓国の投機的な値動きまで日本市場へ伝わってくる。

つまり日本の個人投資家は、

自分はレバレッジをかけていなくても、海外市場のレバレッジの影響を受ける

ということになる。

これはかなり厄介だ。


■なぜ日経平均は特に影響を受けやすいのか

もう一つ、日本側にも事情がある。

日経平均はTOPIXのような単純な時価総額加重指数ではなく、基本的には株価を基準とした価格加重型指数である。日経自身も日経225を「price-weighted equity index」と説明している。

そのため、指数寄与度の高い値がさ株が動くと、日経平均全体が大きく動きやすい。

海外投資家が、

「日本株全部を調べて買う」

のではなく、

「アジア半導体が強いから、とりあえず日経先物を買う」

となれば、

先物

裁定取引

指数寄与度の高い銘柄

日経平均

という動きが発生する。

だから、

日本企業の業績が一日で何も変わっていなくても、日経平均が1,000円近く動く。

そんな相場が生まれてしまう。


■そして私は、メモリー市場そのものにも過熱を感じる

ここでキオクシアの話にもつながってくる。

現在、

AI
→ HBM
→ DRAM
→ NAND
→ SSD

という連想で、「メモリー」が巨大な投資テーマになっている。

もちろんAI需要そのものは本物だ。

SK hynixが世界有数の巨大企業に成長した背景にも、AI向けHBM需要という明確なファンダメンタルズがある。SK hynixの時価総額は2026年5月に1兆ドルを突破した。

私はAI需要そのものを否定するつもりはない。

しかし、

需要が本物であること

と、

株価がどこまで上がっても正当化できること

は別問題である。

現在は、

AI需要

メモリー不足

個人信用

2倍ETF

先物

アルゴ

FOMO

が一緒になっている。

だから、本来なら10、20動くはずのものが、

30、50、100と動いてしまう。


■メモリーは永遠に不足する産業ではない

ここも忘れてはいけない。

メモリー半導体は典型的な景気循環型産業でもある。

不足する

価格上昇

メーカー利益増加

設備投資

生産能力増加

供給増加

価格下落

これを繰り返してきた。

AIが今後10年成長したとしても、

メモリー価格が10年間上昇し続ける

とは限らない。

むしろ需要が強いからこそ各社が増産し、いつか需給バランスが変わる。

そして株式市場は、実際に価格が下落してから売るのではない。

「来年は供給が増えそうだ」

と思った瞬間から株価は下がり始める。

だから私はキオクシアなどのメモリー株を見る場合、

「AIが伸びるか?」

だけではなく、

「現在の株価が、何年分の好況を織り込んでいるのか?」

を見る必要があると思っている。


■韓国と日本の連動そのものは続くだろう

では、この現象はこれからも続くのか。

私は、

連動そのものは続く

と思う。

世界の半導体サプライチェーンは実際につながっているからだ。

NVIDIA
Samsung
SK hynix
Micron
TSMC
キオクシア
日本の製造装置・材料企業

は、お互いに無関係ではない。

したがって日韓台米の半導体株が一定程度連動するのは当然だ。

しかし、

今のような極端な連動が永遠に続くとは思わない。


■相場はいずれ「半導体全部」から「企業選別」に戻る

投資テーマが始まった頃、市場は大雑把である。

AIだから買う。

次に、

半導体だから買う。

さらに、

メモリーだから買う。

しかしテーマが成熟すると、

「HBMとNANDは違う」

「データセンターSSDとスマホ向けNANDは違う」

「設備投資企業とメモリーメーカーは違う」

「利益成長率は?」

「設備投資負担は?」

「PERはいくら?」

と細分化されていく。

そこで初めて、

良い会社と、ただ上がっていた会社

が分かれていく。


■私は今の市場に少し危うさを感じている

韓国の2社が大きく上昇する。

KOSPIが5%上昇する。

海外短期筋が日経先物を買う。

日経平均が1,000円近く上昇する。

しかし、日本企業の利益がその日突然増えたわけではない。

反対も同じだ。

SamsungやSK hynixが10%下落したからといって、日本企業の工場や技術力が翌朝10%悪くなるわけではない。

それでも株価は大きく動いてしまう。

私はここに、現在の市場が

「企業の価値を評価する場所」

から、

「巨大な資金がテーマ単位で高速移動する場所」

へ変わりつつある危うさを感じる。


■N+の視点

現在の日本株を理解するためには、もう日経平均だけを見ていてはいけない。

NVIDIAを見る。

Samsungを見る。

SK hynixを見る。

KOSPIを見る。

米国の半導体指数を見る。

日経先物を見る。

そして最後に、

自分が持っている会社の業績を見る。

この順番が必要な時代になったのかもしれない。

ただし、一つだけ忘れてはいけない。

どれほど資金が世界を高速で移動しても、

最終的に株価を支えるのは、

売上であり、利益であり、キャッシュフローである。

SamsungとSK hynixという韓国の2社が上がったから、日本企業の価値まで一日で大きく変わるわけではない。

だからこそ今のような相場では、

「上がったから買う」
「下がったから売る」

ではなく、

「なぜ今、この株が動いているのか」

を考えることが、これまで以上に重要なのだと思う。

AI・半導体という本物の産業革命の上に、レバレッジと短期マネーという巨大な投機が重なっている。

私は今の市場を、成長相場であると同時に、非常に大きな過熱相場でもあると見ている。

そして過熱相場は、上昇している間は終わらないように見える。

しかし、レバレッジによって上昇した市場ほど、

逆回転するときの速度も速い。

日本の個人投資家が今もっとも警戒すべきなのは、韓国株そのものではなく、

韓国で増幅された「値動き」が、日本市場へ輸入されていることなのかもしれない。

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