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企業が必死に出した「決算」を、コンセンサスだけで無駄にしていいのか【n+マーケット】


最近の日本株を見ていて、私はかなり腹が立っています。

企業が一年間、一生懸命働いて出した数字があります。

売上を伸ばす。
利益を増やす。
新しい製品を開発する。
工場に設備投資する。
社員が働き、取引先と交渉し、コストを削減する。

そうやって積み重ねた結果が「決算」です。

ところが最近の株式市場では、その決算が良くても、

「コンセンサス未達」

この一言で株価が一気に売られることがあります。

アドバンテストでも、ディスコでも、今回の三井金属でも、似たような違和感を感じました。

もちろん、株価は未来を織り込むものです。

期待が高すぎれば、好決算でも下がる。

そこまでは理解できます。

しかし、私はどうしても疑問に思います。

企業が実際に稼いだ数字より、アナリストが事前に作った予想数字の方が重要なのでしょうか。

コンセンサスは企業の公約ではありません。

企業が、

「必ずこの利益を出します」

と約束した数字でもありません。

第三者である証券会社やアナリストが、

「これくらいだろう」

と予想した数字です。

それなのに、

コンセンサス300億円。

実績290億円。

「10億円足りない!」

――暴落。

こんなことが当たり前になって、本当にいいのでしょうか。

企業からすればたまったものではありません。

前年より利益を増やした。

会社計画を達成した。

将来のために何百億円もの設備投資を決めた。

それでも、

「市場予想に少し届かなかったから失望決算」

と言われる。

では、企業が頑張って出した実績とは何なのでしょう。

そして、この状況が続けば個人投資家の考え方まで変わります。

決算書を読む。

事業内容を調べる。

技術力を見る。

設備投資を見る。

将来の需要を考える。

そんな企業分析より、

「コンセンサスを超えたか、下回ったか」

だけを見るようになる。

その方が翌日の株価を当てやすいとなれば、当然そうなります。

これは株式投資なのでしょうか。

それとも、

「アナリストの予想数字との誤差を当てるゲーム」

なのでしょうか。

そして私は、海外投資家への影響も軽視できないと思います。

海外の長期投資家が日本企業を一生懸命分析しても、

良い決算を発表した瞬間に、

「コンセンサス未達」

という理由だけで10%、15%と株価が飛ぶ。

そんなことが何度も起きれば、

「日本の個別株は分かりにくい」

「決算リスクが大きすぎる」

と思われても不思議ではありません。

その結果、

個別企業を調べて投資するのではなく、

TOPIXやETFだけ買えばいい。

あるいは、

日本株そのものへの投資を減らそう。

そう考える海外投資家が出てきてもおかしくありません。

これは一企業、一銘柄だけの話ではありません。

日本市場そのものへの信頼の問題です。

だから私は、東証や金融庁には一度きちんと検証してほしい。

コンセンサス未達だから下落することを禁止してほしいのではありません。

売る自由もある。

期待が高すぎた銘柄が下がるのも市場です。

しかし、

決算発表直後の数秒、数分で、

アルゴリズム取引がどれだけ株価を動かしているのか。

コンセンサスとの差だけを材料にした機械的な売買が、値幅を必要以上に増幅していないのか。

暴落した銘柄が翌日や数日後に大きく戻っているケースはどれくらいあるのか。

こうしたことは、きちんと調べて公表してほしい。

東京証券取引所は企業に、

「資本コストや株価を意識した経営」

「企業価値を高めろ」

と求めています。

だったら市場側も、

企業価値を正しく評価できる市場になっているのか

を検証する責任があるのではないでしょうか。

企業には企業価値を上げろと言う。

しかし市場では、

企業が必死に積み上げた決算よりも、

誰かが作ったコンセンサスとの差で株価が暴落する。

それでは企業も投資家も納得できません。

私は一番ここが腹立たしい。

企業が社員とともに一年かけて作った「実績」を、第三者が作った「予想」との数%の差だけで、失敗扱いしていいのでしょうか。

コンセンサスは参考資料であるべきです。

主役ではありません。

主役はあくまで、

企業そのものと、企業が実際に出した数字です。

「良い企業を探す市場」から、

「コンセンサスを当てるゲーム」へ。

もし日本市場が本当にそちらへ向かっているのであれば、

私はかなり大きな問題だと思います。

企業の努力を評価できない市場に、長期のお金は集まりません。

東証には、ぜひ問題視してほしいと思います。


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