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なぜ人は「普通」を押し付けるのか

― 進化心理学から考える「同調圧力」の正体 ―


「普通にすればいいのに」

ある患者さんが、ぽつりと言いました。

「みんな普通に出来てるのに、
どうして私は出来ないんでしょうか。」

うつ病で休職した30代の男性でした。

真面目で責任感の強い人でした。
だからこそ、仕事を休んでいる自分を責め続けていました。

「普通は働きますよね」
「普通はこれくらいできますよね」


その「普通」が、
彼を追い詰めていました。

医療者として働いていると、
この言葉を何度も聞きます。

普通って、何でしょうか。


私たちは無意識に「普通」を作っている

認知科学者
スティーブン・ピンカー
はこう述べています。

「人間の心は白紙ではない。それは進化の過程で形作られた、驚くべき適応の産物である。」

つまり人間の心は

社会で生き延びるために進化した

ということです。

その中でも特に重要なのが

集団に適応する能力です。


人類にとって「孤立」は死だった


人類の歴史の大半は
小さな集団で暮らす狩猟採集社会でした。

その世界では

 ▶️仲間から嫌われる
 
▶️集団から追放される
 
▶️孤立する

ということは

生きていけない

ことを意味しました。

だから人間は
▶️周囲の行動を観察する
▶️多数派を判断する
▶️それに合わせる

という心理を発達させました。

これは
進化心理学
で説明される重要な特徴です。


「普通」とは生存戦略


この視点から見ると

「普通」という言葉は

単なる常識ではありません。

それは

集団に適応するための行動指針

です。

人は無意識に

「多数派=正しい」

と感じます。

そして

多数派から外れる人に

不安を感じます。

だから

「普通にしなさい」

と言ってしまうのです。


「普通」はとても曖昧なもの

面白いことに

普通は世界共通ではありません。

例えば
「目玉焼きに何を付けますか?」と、
あなたは聞かれたとき、何を選びますか?
▶️醤油
▶️ソース
▶️
▶️ケチャップ

それは、家庭によって違います。

さらに国が変われば

食べ方そのものが変わります。

言語も同じです。

同じ日本語でも
方言が違えばニュアンスが変わります。

つまり

普通とは文化の産物

なのです。


社会で起きる「普通」の圧力

社会では

この「普通」が
患者を苦しめることがあります。

例えば

うつ病の患者に

「みんな仕事してますよ」

発達特性のある人に

「普通は出来ますよ」

不登校の子どもに

「みんな学校行ってるよ」

これらの言葉は
決して悪意ではありません。

むしろ

周りは、社会で生きてほしい

という善意から生まれています。

しかし、当事者には

「あなたは普通ではない」

というメッセージとして届くことがあります。


私たち医療者も「普通」に縛られている


ここで大切なことがあります。

実は

医療者自身も「普通」に縛られている

ということです。

例えば
▶️患者は回復するもの
▶️社会復帰するもの
▶️仕事に戻るもの

こうした前提を
無意識に持っていることがあります。

しかし現実には

人生には

さまざまな形があります。

働けない時期がある人
社会の枠に合わない人
別の生き方を選ぶ人


そのどれもが

人間の生き方の一つ

です。


看護・心理職の役割

私たちの仕事は

人を「普通」に戻すことではありません。

むしろ

その人が安心して生きられる形を探すこと

です。

社会の基準ではなく

その人の人生の基準で考える。

それが

ケアの出発点なのかもしれません。


最後に


人間は

進化の過程で

集団に適応する心を手に入れました。

その結果として

「普通」という見えない圧力も生まれました。

臨床の現場では

その圧力に苦しむ人に
数多く出会います。

だからこそ
私たちは問い続けたいと思います。

その「普通」は誰の普通なのか。

そして

その人にとっての生き方とは何なのか。

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7010nsous|看護師×公認心理師×第一種衛生管理者 応援いただきありがとうございます❗️ いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます‼️ 今後ともよろしくお願いします。