【中身ではなくトレーが足りない】6月に値上げ再燃か?!ナフサ不足の波に備えるリテールの機動力(05/02)
5月2日、土曜日。ゴールデンウィークの連休に入りましたね。
今日は少し先の市場環境を見据える上で、見過ごせないニュースを取り上げます。
これまでも「値上げ」は続いてきましたが・・・
今後はその理由や波及する範囲が少し変わってきそうです。
商品の中身ではなく「外側」が足りなくなるという、新しい課題への備え方を整理してみます。
① ニュース:包装資材の高騰が引き起こす、値上げの「次の波」
日本経済新聞(2026/05/01)によると、帝国データバンクは食料品の価格動向調査をもとに、6月にも値上げラッシュが再燃する懸念があると公表しました。
背景には中東問題によるナフサ不足の影響が川下に出始め、包装資材、エネルギー、物流費の上昇分を価格へ転嫁する動きが強まりつつあることが挙げられます。
【調査と企業の動向】
• 包装資材が最大の要因に: 主要食品メーカー195社への調査では、値上げ要因として「包装資材」を挙げた企業が7割に達し、要因別の集計を始めた2023年以降で最も高い比率となりました。
• 企業の対応: 山崎製パンが原材料や包装資材の高騰を受け、7月から一部商品を値上げするほか、オタフクソースは一部業務用商品の販売を一時休止すると発表しています。
• 原油高の耐性: 原油高がいつまで続くと主力事業の縮小につながるかという問いに対し、食品企業の56%が「半年未満」と回答しました。
あわせて同紙は、外食チェーン「ぎょうざの満洲」が石油由来の食品トレーの品薄を受け、5月1日から関東93店舗で「冷蔵生ぎょうざ(12個入り)」の販売を休止し、トレーを使わない袋入りの「冷凍生ぎょうざ(20個入り)」への移行を呼びかけると報じています。
出典:日本経済新聞、2026/05/01
② 視点:価格だけでなく「売り方」そのものを変えざるを得ない
このニュースから見えてくるのは、ナフサ不足の影響が単なる「価格の問題」にとどまらず、包装資材の不足、商品供給の停止、そして買い方の変化という形で、じわじわと小売の現場に広がっていくという事実です。
食品トレーが足りない、包装資材が高くなる、一部商品が休売になる、物流費が上がる。
こうした変化は店頭での品揃えやどの商品が継続できて、どの商品が一時的に並べられなくなるかという日々の運営そのものに直結します。
ぎょうざの満洲の対応は、そのことを非常に端的に示しています。
商品の中身に対する需要がなくなったわけではなく、包装資材の制約によって「売り方そのものを変えざるを得なくなっている」のです。
不安定になる生活者の購買行動
この影響が広がると、消費者の防衛意識もさらに強まりやすくなります。
もともと節約志向は十分に高い状態ですが、そこへ
「また値上がりするかもしれない」
「商品によっては売り場から消えるかもしれない」
という感覚が重なるとどうなるでしょうか。
必要なものを早めに買っておこうというまとめ買いや、買い控え、買いだめが入り混じるような、非常に不安定な購買行動が起こり得ます。
その反応がどの程度どの商品群にどのタイミングで出るかは読みづらく、小売企業の業績への影響も単純には予測しにくいのが実情です。
コントロールするのではなく、変化を前提にする
リテール企業にとって仕入れ先の見直しや発注精度の向上、代替商品の提案など、現場でできる自助努力はあります。
しかし、ナフサ不足や原油高のように上流から来る大きな波は、小売単独の力では止められません。
だからこそ、これからの対応で問われるのはすべてを自社でコントロールしようとすることではなく、予測できない変化が起きることを前提にして、いかに機動的に動ける体制を作っておくかです。
• どの商品を多めに在庫し、どの商品は代替提案を前提にするのか。
• 価格訴求を続ける商品(PBなど)と、供給の安定を優先する商品をどう切り分けるのか。
• 食品だけでなく、保存袋やトレーに近い日用品、石油由来原料を含む生活用品まで含めて、どこに影響が及びそうかをどう見ておくのか。
これからは定期的な商品構成の見直しと、想定外の事態にしなやかに対応できる現場の機動力の両方が、これまで以上に求められるようになります。
③ 今日のまとめ
ナフサ不足の影響は単なる値上げだけでなく、包装資材の不足や商品供給の変化として、じわじわと広がり始めています。
節約志向がさらに強まる中で小売やドラッグストアには、変化を前提とした機動的な対応ができる準備と、素早い組織内の情報共有が何より大切になります。
④ 観測ログ:中身ではなく資材由来の値上げへ
今回の記事では値上げ要因として「包装資材」が7割に達し、2023年以降で最も高い比率になったとされています。
これは、これまでの原材料高や人件費高に加えて、今後は「資材由来の値上げ」がより前面に出てくる可能性を示しています。
また、ぎょうざの満洲の事例では、価格改定ではなく石油由来トレーの品薄を受けて販売形態そのものを切り替えています。
値上げするか、休売するか、あるいは売り方を変えるか。
今後の小売現場では、そうしたシビアな選択がこれまで以上に増えていくと考えられます。
出典:日本経済新聞、2026/05/01
独り言
「中身はあるのに、それを入れる容器がないから売れない」
モノを売る立場からすると、これほど歯がゆい状況はありません。
世界情勢の変化がめぐりめぐって店頭のプラスチックトレーひとつにまで影響を及ぼす。
サプライチェーンのつながりの深さと、その脆さを改めて突きつけられたような気がします。
大きな波を止めることはできませんが、波が来た時にどう動くかその準備をしておくことはできます。
日頃からアンテナを高く張り、柔軟に対応できるしなやかさを持ち続けたいですね。
それでは素敵な1日をお過ごしください。
N.S.C.Labの荒木伸一郎でした。

