英語の略語abbreviations:頭文字語acronyms, 端折りclippings, 混成語blends (その1)...レイダー"radar"はradio detecting and rangingの略語、知ってた?
本稿はTOEFL Web Magazine の連載コラムFor Lifelong Englishに掲載した記事を(その1)(その2)(その3)に3分割してお届けします。
略語は語形成の一種
インターネットの普及で情報化が進むにつれ、迅速で効率が良い情報交換が求められるようになってきました。言語においては、近年abbreviations(略語)が激増していますが、そうした背景があるのでしょう。
例えば、日本語にもすっかり定着した"laser"(レイザー)、実は、abbreviationなのです。元の"light wave amplification by stimulated emission of radiation"というやや長たらしい名称の頭文字を取った略語です。解りやすいですが元のままでは迅速な情報交換に支障ありと判断されて略されたのでしょう。
最初に"abbreviations"とは何か、R. Quirkほか著のA Comprehensive Grammar of the English Language(1985, Randolph Quirk et al., Longman Group Limited, 1779 pp.)の"Abbreviations"の項目を基に纏めます。それによると、abbreviationsは語形成(word formation)の一種で、(1)Clippings(2)Acronyms(3)Blendsの3種類に分けられます。(*1)以下詳細を引用します。
略語Abbreviationの定義と種類
Qirkらは略語を(1) Clippings, (2) Acronyms, (3) Blendsの3種に分けています。以下その定義です。
(1)Clippings インフォーマル英語特有。複数シラブルの語(特に名詞)を1、2のシラブルに短縮したもの。最初のシラブルを残したものが多いが、例外もある。例:ad(advertisement), demo(demonstration), exam(examination), French fries(French fried potatoes), gents (gentlemen’s), lab(laboratory), lib (liberation), memo(memorandum), mike (microphone), photo(photography), prof (professor), pub(public house), stereo(stereophonic), phone(telephone), plane(airplane), flu(influenza)
(2)Acronyms 主として複数の語で構成される名称の各語の頭文字で作られるもの。科学用語や行政用語や様々な機関名を中心に夥しい数が作られている。主として次の[A][B]2種類ある。
[A]各語の頭文字を取り出したアルファベットの羅列をそのまま発音し、(*2)"alphabetism"と称されるもの。尚、C.O.D.のようにperiodsを付けるケースと、FBIなど機関名として定着したものにはperiodsを付けないケースがある。また、大文字、小文字のどちらを使用するかは、固有名詞、普通名詞、いかんに関わらない。次の[i][ii]の2種類がある。
[i]構成する複数語の頭文字で成るもの。例:c/o(care of),C.O.D.(cash on delivery), DIY(do-it-yourself), eg(exempli gratia meaning “for example” in Latin), ESP(extra-sensory-perception), FBI(Federal Bureau of Investigation), i.e.(id est meaning “that is” in Latin), MIT(Massachusetts Institute of Technology),UFO (unidentified flying object)(*3), UN(the United Nations),VIP(very important person)(*4)
[ii]構成する語の一部を取ったもの。
例:GHQ(General Headquarters), TB(tuberculosis), TV(television)
[B]一語として発音されるもの。acronymsと気付かないケースもある。
例:laser(light amplification by stimulated emission of radiation), NATO(the North Atlantic Treaty Organization = pronounced /neitou/), radar(radio detecting and ranging), UNESCO (the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization= pronounced /yunesko/(*5)), WASP(White Anglo-Saxon Protestant=Used only informally in American English = pronounced /wasp/)
(3)Blends 2つ以上の語からなる混合語を一つにブレンドさせたもの。例えば、motel(motor hotel)やbrunch(breakfast lunch)など。ブレンドされた語の語尾は意味的ベースで、語頭の部分はどのようなものかを特定する、例えば、brunchではlunchがメインで、breakfastはどのようなlunchかを特定する、すなわち、遅らせたbreakfastを兼ねたlunchということになる。その逆なら*lunchfastになっていただろう。
この新造語プロセス(coinages)は、特にビジネス界をはじめ、非常にproductiveである。その特徴は、大胆かつ遊び心に富み、流行とともに無数に作られるが、過度にjargon化し批判を受けるケースが多い。概して短命で長期に残る例は上記2例やcheeseburgerなどは希少な例。
例:breathalyzer (breath analyzer), Eurovision(European + television), heliport (helicopter + airport), newscast(news + broadcast), paratroops(parachute + troops), smog(smoke + fog), stagflation(stagnation + inflation), telecast(television + broadcast), travelogue(travel + catalogue)
− 以上、A Comprehensive Grammar of the English Language "Abbreviations" pp. 1580-1585から抜粋(筆者翻訳)
Quirkらの上記文法書は、1972年に出版されたA Grammar of Contemporary English(*6)の改訂版として1985年に出版されました。現代英語(イギリスおよびアメリカ)の膨大なデータ集(corpus)を基に分析したものです。
但し、データは1985年以前のものに限られますから、それ以後に訪れるインターネット時代の英語は含まれていません。(*7)


A Corpus of English Conversation
(その2)に続きます。
(*1)“Abbreviations”in A Comprehensive Grammar of the English Language(1985, Randolph Quirk, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, Jan Svartvik, Longman)pp. 1580~1585.
(*2)頭文字のみで構成されているので”initialism”とも称されます。下記のインターネットのサイトでもこの名称がよく使われています。Quirkらの[A]項目の分析では、“TV”(=[A][ii])のように必ずしも頭文字のみではないこと、[A]項目にリストされているのは全てアルファベット読みするので"alphabetism"という名称を選んだのでしょう。
(*3)ピンクレディーの名曲「UFO」でお馴染みの“UFO”は、日本語では/yu:fou/と発音されますが、アメリカ英語では/yu:efou/と発音されます(Webster’s Third International Dictionary参照)。一方でイギリス英語では両方の読み方があります(Longman, Dictionary of Contemporary English参照)。日本語の場合はQuirkらの[B]項目に、アメリカ英語の場合は[A]項目に、イギリス英語の場合は [A]と[B]の両カテゴリーに属することになります。
(*4)日本では“VIP”を一語として/vip/と発音する場合がありますが、アメリカでは/vi:aipi:/とアルファベット読みです。
(*5) UNESCOの最初のUの発音は“united”や“union”などのuの発音と同じです。一語として[B]に分類しています。[A]と[B]の混合のようなケースもありそうです。日本の例ですが、“Yokohama City Air Terminal” はYCATのacronymで親しまれていますが、Yのみアルファベット読みですが、残りのCATはcatと同じ発音です。Global Englishのacronymsには色々ありそうです。
(*6)A Grammar of Contemporary English(1972, Randolph Quirk, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech & Jan Svartvik, Longman, 1799 pp.)共著者はいずれもイギリスに本拠を置いた著名な言語学者(英語分析)です。筆者は、1970年代のアメリカにおける英語学の博士論文の重要参考文献の一つとして使用しました。イギリスとアメリカの大学生用にその簡易縮小版、A Communicative Grammar of EnglishとA University Grammar of English(アメリカではA Concise Grammar of English)も出版され、慶應義塾大学在任中は筆者も、TOEFL iBT® テスト, GRE®, GMAT®, LSAT, MCAT®などのテストの受験を考えていた学生に必読書として推薦しました。留学先の授業のwritingにも役立ったはずです。
(*7)A Corpus of English Conversation(1980, J. Svartvik and R. Quirk, eds. Lund Studies in English 56, 890 pp.) 、および、同編集者らによるThe London-Lund Corpus of Spoken English(LLC Corpus, 1953~1987)を参照してください。
For Lifelong English 生涯英語活動のススメ (鈴木佑治Website)
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