たのしいぞ郷土資料館「大田区立郷土博物館」
品川区と大田区、はしごした二つの郷土資料館は直線距離で約2km。類似性もなにも違いが出せるのか?心配ですらあったのだが、結論から申し上げると全く別モノだった!改めて郷土資料館っておもしろいとおもった。
1.施設概要
・施設名称 大田区立郷土博物館
・営業時間 午前9時から午後5時まで
・入館料 無料
・休館日 月曜
・写真撮影 OK(企画展の一部にカメラNGマークがありました)
2.まずはホームページで予習
どんな郷土資料館面(づら)をしているのか。まずはホームページで予習していこう。
堂々たる区役所の間借りサイトだ。こりゃぁ郷土資料館らしい郷土資料館が待ち受けているぞ。そんな確信を得るサイトである。
来館者数は「大田区立郷土博物館 年報(令和5年度)」によると2023年度実績で年間13,831人 開館日数289日 一日平均48人。文京区水準といったところだ。
3.この子だれですか?
むむ?あやしい子がいる。

無断転載禁止のため載せられないが、おうちワークショップ「博物館ぬり絵&めいろシリーズ」のページに「はにわ」らしき子が多数登場するのだ。これをオリジナルキャラクターと言わずして何と言う。
武人の埴輪の兜に見えるがおかっぱ頭の可能性もある。ホームページで情報は得られず、名前も性別も来歴も全てが謎だ。これは実態調査をしなければならない。それにしても無断転載禁止とは!わたくし渾身のぬりえをみなさんにお見せできないとは痛恨の極みである。
4.アクセス
最寄り駅の都営浅草線「西馬込駅」からは約450m、徒歩5分程度。郷土資料館にしては破格の好立地だ。
いや待てよ?好立地と見せかけて西馬込が大田区的にどの程度のポジションかにもよるぜ?などと穿った目で見てしまうのは、ひとえにぬりえの無断転載を禁じられた恨みにほかならない。(なんというおとなげなさ)
さておき今回わたしは品川歴史館を見学したその足で約2.5kmを歩いて伺った。
5.外観と周辺環境
道中の「萬福寺」茅葺きの山門が印象的で立ち寄ったら、どえらい由緒のあるお寺だった。



安心の外観(じ、地味・・・)まるで区立図書館のような、しかも本館ではなく住宅地の片隅にひっそりとある「分室」をおもわせる控えめな佇まいが好ましい。気負いのないハコである。「50年もつ郷土資料館」というのはこういう施設かもしれない。

エントランスの植栽に
はにわがいっぱい!

6.いざ、入館
現地でもエントランスから精力的に展開する謎キャラ。だがやはり自己紹介が見当たらない。名前が分からない。一体君は誰なんだ?名前がないのか?

消毒用アルボナースとともに
さっそく謎の埴輪キャラがお出迎えしてくれた
誰なんだ・・・



古墳時代の成人男性の髪型「みずら」をつけて
頭頂部には勾玉ドーン!
様子のおかしいことになっているのに
言わんとすることが分かる
この作者なかなかやりおる
気を取り直して常設展
地味な外観を受け取って館内の展示も楚々と進行する。大田区ってば古墳時代までの出土遺跡の層がめちゃくちゃ厚いのね。坂道シリーズのアイドルグループでもつくれそうなラインナップ。各遺跡を自己紹介形式に展示していく。派手なギミックはなく淡々した展示の中”とっておきのやつ”が円形のお立ち台で回る演出がツボ!なぜ回した笑

誇らしげにぐるぐる回っていた笑
上にある謎キャラのイラストを見てくれい。この鹿の角イラストにも登場するんだから!コイツは絶対にとっておきのヤツだぞ。

お立ち台でグルグルしていた
素人のわたしには
隣の土器との格差がわからず
ただただ困惑した
大田区にあって品川区にないもの、それは古墳なのさ
大森貝塚を品川に奪われているのに(奪ってはいない)随分余裕だなぁとおもったら大田区には古墳があるのだ。しかも、すげーあんの。

現在は神社になっているようなものもあって興味深かった

うち(大田区)には古墳がある!
ま、近いからね一応紹介しておいてあげるけど 的な展示
大田区の古代中世に語るものなし
こちらのコーナー「旧石器時代から中世まで」と言いつつ古墳時代までが展示9割を占めていて奈良時代以降は急激にトーンダウンする。

古代・中世これだけ?!
だが決して飛ばしはしない。律儀に通史をにたどる姿に郷土資料館らしさを感じる。いいよいいよ!わたしが見たいのはこういう郷土資料館よ!

奈良から室町時代はその先のほんのちょっぴり
んで板碑―!板碑あるしー!もー板碑だいすき!

7.企画展「博物館まなびの広場展」
※カメラNGマークのある箇所あり。全てNGというわけではないと思って撮りました。NGが写っていたらごめんなさい。
博物館を拠点に活動する「大田区郷土博物館友の会」「大森麦わら細工の貝」「馬込文士村ガイドの会」という三つの団体の活動報告展をしていた。正直さほどの期待を寄せず覗いたのだが、どっこい!この活動がどれも驚きのクオリティだし、展示内容はしっかりと作りこまれていて見ごたえ満載だった。

縄文土器づくりの会
土を掘って粘土をつくるところからスタート。もちろんちゃんと燃やして仕上げる。え、ちょっと再現度すごいんですけど?

SNSにあげたらバズるやつだよ。
ちゃんと燃やしているのでリアルさに磨きがかかってる
欲しい・・・・
水路の会※こちらの活動報告はおそらく写真NG
興味深かったのは筏道(多摩川上流から木材を筏に組んで河口に納品し帰路をたどった道)を実際に歩いてみたというレポート。筏乗りたちが2日であるいた道のりを彼らは足かけ4年ゆっくりと辿っていく。道中で出会った銭湯の女将さんから「この道、昔から筏道と呼ばれていたのよ」と証言を聞き一同大興奮!のくだりにはわたしも興奮してしまった。
大森麦わら細工の会の作品

手のひらサイズのネズミがかわいかった

気の遠くなるような細工に驚かされるし
デザインや色使いもステキ
何がすごいってこの細工に使う麦わらの麦、資料館の向かいに借りた畑でつくっているんですよっ!
8.豊富なグッズ販売がロックしているぜ
大田区立郷土博物館、地味な「なり」(外観)していて中身はなかなか尖っているんだぜ。オリジナルグッズ、多数取り扱いございます。


事前に「海苔グッズ」があると予習はしていたが
こ、こうきたか!

「誰なのよちゃん」が描かれた
スケッチブックとボールペン
箔押しのゴージャスなグッズにまでしてもらっているのに
名前が(分から)ない
わたくしが購入いたしましたのは海苔グッズより「ふせん」でございます。

こちらにも「誰なのよちゃん」が!
200円なり
9.寄り道は「御菓子司 わたなべ」

郷土資料館めぐりの寄り道で知った。この世には究極に局地的な名物菓子が無数にある。おもしろいね。


馬込三寸人参まんじゅうは確かに白あんがほんのりニンジン風味。馬込の月はフガフガした食感のスポンジにこしあんがサンドされている。どちらもやさしい味わいでおいしかった。
10.最後に

英語版パンフレットなんてのもある
来館記念スタンプのインク補充よろしくです!
「すげー施設ほど紙媒体はしょぼい説」(ごめん!)やはり現地と紙媒体は反比例の関係にあるような・・・
企画展から掃き出しの紙媒体を多数入手したが、とりわけピンクの「旅行用心集」が軽妙な意訳がおもしろくてイチオシ。万事目立つな心を許すな、現地人を敬い神経を逆なですることなかれ。おしなべて現代にも通ずる内容には思わず頷いてしまう。わたしのお気に入りの一文は「他国では、何もしていなくても勝ち目はない」だ!
郷土資料館とは地域住民が歴史・文化を学び、郷土への愛着をはぐくむ場である。開催中の企画展はまさにそれを体現している。立派な建物や展示のギミックがどうだとか年間来館者数が何人かではなくて、郷土資料館のあるべき姿というものを大田区立郷土博物館で見た気がする。感動しちゃった。
大田区立郷土博物館たのしいよ。是非!
で、あの子は誰なのよ・・・・
