【現役大学院生が語る③】文系の大学院進学という選択
こんにちは!名古屋大学中央図書館サポートデスクです!今回は文系大学院生の研究学習生活についてお話しします。
大学院への進学率
文部科学省の統計によると、令和5年度(2023年度)までの時点で、文系学部卒の大学院進学率は理系に比べて明らかに低いことがわかります。文系の中でも代表的な人文科学、社会科学の大学院進学率は、約4.5%、2.5%前後ですが、理系の理学や工学の進学率は約40%に達しています(文部科学省『大学院関連参考資料集―令和6年7月11日時点』p.12 参照)。
文系大学院への進学って?
理系と比べて文系は、就職や将来の収入に与えるポジティブな影響が比較的小さいために、進学しないと考える文系学部生もいるかと思います。
文系の学部生が大学院に進学を決める時は、自分の知的好奇心や目指す研究、大学院生活への適性、キャリアプラン、そして進学先の条件を総合的に考える必要があります。
そこで今回は、名古屋大学法学研究科の修士課程および博士課程で合計約6年間を過ごしてきた私が、文系大学院生の生活について簡単にお話しします。進学を考えている文系学部生のみなさんに、何か参考になれば嬉しいです!
a. 修士学位のみを目指す場合の大学院生活
みなさんが大学院に進学する際には、それぞれ異なる目標を持っているでしょう。修士号取得後すぐに職場に入ろうと考えている人もいれば、博士号取得を目指す人もいます。目標に応じて、大学院生活の時間の使い方も大きく異なります。
まずは、修士号取得後に職場に入る選択肢について話していきます。この場合、一般的には、研究業績を積み上げなければならないプレッシャーはほとんどありません。大学院生活の1年目は、学部時代に学んだ専門知識をもとに、興味のある研究領域の論文や専門書を読み進め、2年目に書くことになる修士論文の内容に関する基本的な構想や分析の方法、論証枠組みなどを決めていきます。通常、1年目の終わる頃に中間報告と修士論文執筆計画書の提出を求められます。
しかし、修士課程終了後すぐに就職をする場合には、1年目から就職活動も同時に進めることになります。
修士課程の標準修業期間は2年間なので、就職活動をするとなると、多くの学生が修士1年目の夏ごろから企業のインターンシップなど就職活動に参加を始めます。そのため、指導教員と十分なコミュニケーションを取りながら、研究活動と就職活動を計画的かつバランスよく進める必要があります。

修士2年目の春学期は、就職の選考が本格化するとともに、ほぼすべての時間を就職活動に使うことになることも少なくありません。そこから打って変わって春学期の終わりには、就職活動が終了すると同時に、研究活動に重点を戻す必要があります。
修士論文の執筆については個人差がありますが、多くの人が7月頃に修士論文の執筆を開始します。よい修士論文を完成させるためには、少なくとも4~5ヶ月の時間が必要なのです。この段階に入ってから、修士1年目から行っていた読書や先行研究の要約、論文の構想の重要性が明らかになるでしょう。
修士論文の最終提出期限は研究科や専攻によって異なりますが、一般的には12月下旬から2月上旬の間であり、修士論文の口述試験は1月から2月の間に行われます。
b. 博士課程進学者の大学院生活
つづいて、博士課程まで進む選択肢について話していきましょう。
博士課程まで進む学生にとっては、大学院での研究生活をより長期的な目で計画する必要があります。修士学位をもって就職する学生と比べて、博士学位を目指す学生は修士課程期間中の就職活動のプレッシャーがありません。そのかわり、自身の研究テーマに限らず関連分野を含む先行研究により広く深く携わり、修士論文を将来の博士論文の一部として構想することが求められます。理想的には、修士2年目から全国的な学会の研究大会などに参加し、広範囲の研究者とのコミュニケーションとネットワークを築く努力が必要です。

博士課程に進んだ後は、なるべく早く博士論文の執筆を始めることが推奨されます。博士論文の執筆は、一見巨大な山のように、どこから手をつけていいかわからないように見えますが、一般的には3~5本の修士論文の分量に相当する論文に分けて、段階的に完成させることが可能です。執筆を始める時点で、自身の論点や論証方法に関する構想が不十分だと感じていても、特に問題ありません。執筆を進めながら継続的に読み、考え、整理すること自体も、自分の学術的な知見を効率的に形成させる方法です。
博士2年目になると、将来大学で教職に就くことを考えている場合、教歴を積み始めることが必要となります。教歴を積む最も一般的な方法は、大学や専門学校などで非常勤講師を務めることです。非常勤講師になる方法は大学や学科によって異なりますが、指導教員や先輩に勤務先を紹介をしてもらったり、募集があれば積極的に応募したりすることが多いです。一般的に、博士号を取得した後間もなく大学で常勤教員として採用される人も、常勤のポジションに就く前に少なくとも3~5年の教育経験を積む必要があります。
大学での教職を目指す場合、博士段階での研究業績の積み重ねがとても重要になります。研究業績は大まかに学会報告と論文発表の2種類に分けられます(が、専門分野や学会、刊行物によって具体的な要求は異なるため一概に言えません)。博士2年目以降では、博士論文の執筆、科研成果の積み重ね、教育経験の蓄積などを同時に進める必要があるため、体力、精神力、時間管理の能力が非常に求められます。

博士課程の標準修業期間は3年ですが、専門分野によって異なるものの、文系の博士課程の学生が標準修業年限内に博士号を取得するのは、「かなり難しい」と思っておいた方がいいでしょう。(満期退学後に博論の執筆を続ける時間を含む場合、)博士号取得者の実際修業期間は4~8年が多いです。
文系の大学院で博士号を取得することは、多くの学生にとって決して容易なことではありません。研究進展のプレッシャー、孤独感、他の研究者からの評価、経済的な負担、未来の不確実性など、さまざまな要因が博士課程の学生の心身健康管理に多大なる悪影響を与えるのも事実です。研究活動以外にも、家族や友人との密接な連絡を保ち、日常的に健康的な趣味を持ち、適度な娯楽や運動を心がけることが非常に重要です。
これにて文系大学院生の生活についての簡単な紹介は以上となります!大学院進学を考えている学部生のみなさんにとって、少しでも参考になれば幸いです。皆さんはどのような感想を持たれましたか?
進学を選んだみなさん、大学院で忘れがたい時間を過ごし、知を求める旅で前人未踏の地への一歩を楽しめますように!お祈りします
それでは、また次回お会いしましょう!
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