ダメ院生あるあるを今から言うよ
先日、私と同じく修士号を持つ職場の同僚と飲みに行き、「ダメ大学院生あるある」で大いに盛り上がりました。
かつての「ダメ院生」である私と同僚が語り合った、自虐ネタの数々を、以下にまとめておきます。
※筆者の属性:n年前に地方国立大学で修士(農学)を取得
※職場の同僚の属性:n年前に某旧帝大で修士(理学)を取得
ダメ院生あるある①
いかにサボれるかに知恵を絞る
ダメ院生は、本来取り組むべき研究に精を出すことはありません。
むしろ、「いかに研究に取り組む時間を減らすか」「いかに早く帰宅するか」という点において、驚異的なクリエイティビティを発揮します。
≪私の場合≫
昼過ぎに「ちょっと学食に行ってきます」と爽やかな顔で告げ、自分のデスクにカバンと上着を残したまま研究室を脱出するのが常套手段でした。
周囲の研究室のメンバーは私の荷物を見て「昼食に出ているので、そのうち戻ってくるだろう」と考えている可能性がありますが、実際には、私がその日のうちに帰ってくることはありませんでした。
≪同僚の場合≫
「研究室のゴミを、外のゴミ捨て場に捨てに行くこと」を口実に、研究室から脱出していたそうです。
「気が利く院生」を装ってゴミ袋を手に取れば、「どこに行くの?」「もう帰るの?」などと周囲から口やかましく言われることはありません。
ゴミ捨て場を経由して、しれっと帰宅していたそうです。
ダメ院生あるある②
一丁前に嫉妬する
ダメ院生には、本来取り組むべき研究をサボっている自覚があります。
しかし、プライドだけは一丁前に高く維持されており、研究室の同期の成功を素直に喜ぶことができません。
≪私の場合≫
自分は平日の昼間から映画館へ出かけているくせに、同期が「論文がアクセプトされた」と報告しているのを見ると、胸の奥がチクッと疼きました。 「あいつはテーマに恵まれただけだ」「指導教員に気に入られているだけだ」と、心の中で毒づくのです。
今振り返れば、研究テーマすら決まっていない私に、嫉妬する資格など1ミリもなかったと冷徹に指摘したくなります。
≪同僚の場合≫
同じく「なんちゃって院生」だった同僚も、学会で優秀賞を獲るようなキラキラした他大学の院生を見ては、「あんなの研究に没頭できる環境があるからだ」と環境のせいにして、悔しがっていたそうです。
ダメ院生あるある③
指導教員に会いたくなさ過ぎる
ダメ院生にとって、指導教員は会うたびに「進捗はどう?」と尋ねてくる最も恐ろしい存在です。
その恐怖を回避するために、指導教員となるべく遭遇しないように知恵を絞ります。
≪私の場合≫
「まず敵を知ることから始めよう」をキャッチフレーズに、敵=指導教員のスケジュールをほぼ完璧に把握していました。
「この日は出張、この日は会議、この時間は講義……」と、指導教員が研究室に顔を出せない日時を完全に特定しました。
そして、「指導教員が来られない時間帯」にだけピンポイントで研究室に現れ、指導教員と鉢合わせるリスクを最小限に抑えつつ、「研究室に全く来ていないわけではない」ことを周囲にアピールしていました。
≪同僚の場合≫
指導教員が大学を去る夜の11時頃にあえて登校し、翌朝、指導教員が出勤してくる直前の朝7時頃に帰宅するという生活を徹底していたそうです。
この生活の最大のメリットは、誰にも「進捗どう?」と聞かれないことです。
ダメ院生あるある④
自他ともに認める「問題児」になり、気持ちが楽になる
ダメ院生は、あえて「問題児」というレッテルを甘受することで、研究室での居心地を逆に確保しようとします。
≪私の場合≫
研究テーマが全く定まらず実験を始められない私に対して、M1の10月頃、研究室が推奨する「修士課程における標準的な研究スケジュール」に沿って進めることがもはや不可能だと、指導教員が指摘してきました。そして、その瞬間、それまでの焦りが消え、気持ちが楽になりました。
むしろ、「周囲の同期からちょっとだけ遅れている(けど頑張れば追いつけるかもしれない)」時期のほうが、必死に食らいつこうとしていた分、精神的には一番しんどかったです。
一度完全に振り切れてしまえば、指導教員から期待されないので、TAの仕事を割り振られず、研究室の公式イベントにも呼ばれません。
そんな状況を「期待されていない=究極の自由」と捉え、「研究テーマすら決まっていませんが、それが何か?」と、進捗ゼロの自分をプライドの拠り所にするほど開き直っていました。
≪同僚の場合≫
同僚も、周囲が着々と実験を進める姿を見て、「彼らは自分とは住む世界が違う人種だ」と明確な境界線を引くことで、精神的な安寧を得ていたそうです。
かつては他人の成果に嫉妬していましたが、最終的には「自分は研究室からはみ出したアウトローである」という歪んだアイデンティティを確立し、その「突き抜けたダメさ」を、一種のステータスとして楽しむ域に達していました。
ダメ院生あるある⑤
旅行に行ったり帰省したりして研究室にいない
ダメ院生は、長期休暇や土日だけでなく、本来研究に取り組むべき平日にまで、旅行や帰省に出かけます。
冷静に考えると、研究の進捗が思わしくないダメ院生は、遠出している余裕はないはずです。
しかし、なぜか優秀な院生よりも、頻繁かつ長く研究室を不在にします。
≪私の場合≫
私は旅行が趣味であるのですが、ダメ院生時代には、平日昼間から旅行に出かけることが多かったです。
世間の人々が学校や職場に行っている時期のほうが、旅行の料金を安く抑えられます。
そのため、年がら年中ド貧乏の私は、お盆や年末年始ではなく、なんでもない平日に研究室を留守にしていました。
≪同僚の場合≫
同僚は、実家がかなり遠方にあるにもかかわらず、「頻繁な帰省」を繰り返していました。
片道だけで相当な時間と費用がかかるはずなのに、何かにつけては「地元の用事で……」と理由を作って脱出していたそうです。
ダメ院生あるある⑥
修論提出前の忙しさは同期と変わらない
ダメ院生は、修論提出の直前になってようやく、これまでのサボりのツケを払うべく忙しいスケジュールに直面します。
しかし、そこで意外な光景を目にすることで、なぜか「得をした」という奇妙な幸福感に包まれます。
≪私の場合≫
提出直前、「もうちょっと計画的にやっておけばよかったな」と後悔の念に駆られました。
しかし、ふと周囲を見渡すと、あんなにコツコツと計画的に進めていたはずの優秀かつ真面目な同期たちも、血走った目をしているのです。
指導教員から「この実験もしよう」と次々と追加実験を提案され、その解析に忙しくしていたようです。
その事実に気づいた瞬間、サボり倒した分の「自由時間」がまるまる利益だったような気がして、猛烈に得をした気分になりました。
≪同僚の場合≫
同僚も、修論審査直前に、同期たちと「いやぁ、お互い大変だね」と、まるで対等な立場で戦ってきた戦友のような顔をして語り合えたのが最高の思い出だそうです。
ダメ院生あるある⑦
意外と下には下がいる
自分が一番ひどいだろうな……と肩を落として出席したM2の2月中旬の修論発表会。
しかし、そこで繰り広げられる「ひどい発表」を目の当たりにし、不謹慎ながら「自分はまだマシだったんだ」と救われてしまうのも、ダメ院生あるあるです。
≪私の場合≫
私が目にしたひどい発表は、以下の3つです。
「事前に発表練習しましたか?」と聞きたくなるほど、大幅に発表時間をオーバーしている
(発表場所は室内なのに)なぜか帽子をかぶったまま発表する
審査員からの質問に1分以上沈黙する
あまりにひどい発表を見て、「あ、これでも修士の学位って出ちゃうんだ……」という、アカデミアの広すぎる懐に触れ、それまで抱えていた重苦しい罪悪感が霧散していくのを感じました。
≪同僚の場合≫
同僚は、質疑応答で審査員の答えにくい質問に、「それは私の専門外ですので」と一蹴した猛者を目撃しました。
「お前の研究だろ!」と心の中でツッコミを入れたそうです。
【まとめ】
真面目に苦悩した日々も、開き直って逃走した日々も、今となっては酒の肴になっています。
とりあえず修了してしまえば、こちらのものです。
私は単なる駅弁大学の出身である一方で、同僚は旧帝大出身です。
そのため、「レベルが高い旧帝大でも、一部の学生はダメ院生なんだ」と知り、どこか勇気づけられた気がしました。
