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【循環器を学ぶシリーズvol.17】ECMO装着の患者さんが手術室へ——「SpO2は右手で」、その理由を説明できますか?

ECMO装着の患者さんが手術室へ——「SpO2は右手で」、その理由を説明できますか?

〜 ECMOの導入・管理・離脱、手術室で知っておきたい実際とVV-ECMO 🆘 〜

Vol.17:ECMO装着の患者さんが手術室へ——「SpO2は右手で」、その理由を説明できますか?――手術室で知っておきたい実際とVV-ECMO

こんな場面、心当たりはありませんか?

ECMO装着中の患者さんが手術室に来たが、何を一番に注意すべきか自信がなかった。

「SpO2や血ガスは右手で」と言われたことはあるが、その理由を説明できない。

カニューレの固定の重要性は聞くけれど、なぜそこまで神経質になるのか腑に落ちていない。

この記事でわかること

  • ✅ ECMOカニューレの挿入(カニュレーション)の流れとトラブルがわかる

  • ✅ 「ミキシングゾーン」と「右手でSpO2・血ガス」の理由が理解できる

  • ✅ 管理中のリスク・固定の重要性、そしてVV-ECMOの特徴がわかる

🔍 導入――カニューレはこうして入る

手術室でよく見るダイレーターの役割を、流れで理解しておきましょう。

ガイドの穿刺針を刺し、ワイヤーで血管内に"道"を作ります。いきなり太いカニューレは入らないため、ダイレーターで血管を徐々に広げ、最終的にカニューレを留置します。ワイヤーとダイレーターを抜き、血液回路と接続すればECMOがつながります。

挿入時のトラブルもあります。最終的にカニューレ先端が血管のどこに留置されたか分かりにくい場面もあり、エコー等で代替することもありますが、理想は透視下での導入です。

⚡ VA-ECMO最大の注意点――「ミキシングゾーン」と右手

VA-ECMOでは、**心臓が押し出す血液とECMOが送る血液がぶつかる「ミキシングゾーン」**が体内にできます。

ここが臨床上とても重要です。心臓が動いていても肺の機能が低下していると、酸素化が不十分な"静脈血に近い血液"が、心臓から冠動脈や脳(頭部)へ流れてしまうことがあるのです。

だからこそ、SpO2モニターや血液ガスは「右手」で測定します。右手(右上肢)は心臓から出た自己の血液の影響を最も受けやすく、「自分の心臓から拍出された血液がどれくらい酸素化されているか」を把握できるからです。ラインがあれば両方が理想ですが、なければ右手で——これは現場で繰り返し共有される鉄則です。

🩺 管理――見るべきポイントとリスク

ECMOは異物に血液が触れるため、ヘパリンを使い、ACT(活性化凝固時間)などを指標に抗凝固を管理します。出血しやすいデバイスなので、刺入部や各接続部の観察が欠かせません。

酸素の供給が何より重要なため、**ECMOの流量とヘモグロビン(Hb)**が鍵になります。循環の指標としては、平均血圧(MAP)で最低でも60程度をキープできるよう、流量が出ていることを確認しながら観察します。

リスクとして、出血のほか、ブラッドアクセス(CVライン等)の解放による空気の引き込み事故などもあります。まずは慌てないこと。病棟でECMO管理中の患者が手術に来ることもあり得るため、手術室の看護師もこうした注意点を知っておくことが大切です。

🚀 固定の重要性――「送血管はロケットのように抜ける」

カニューレの固定は、長期管理で皮膚がもろくなるほど重要性を増します。

送血管はロケットをイメージしてください。ロケットがエンジンから燃料を噴射する反作用で上昇するように、送血管も血液を送り出す反作用で常に"抜ける方向"に力がかかっています。固定の糸が切れると勝手に抜け、一面が大出血という致死的事態になり得ます。脱血管は逆に"中へ入り込む"方向に力がかかります。だからこそ固定と申し送りでの声かけが命綱になります。

🫁 VV-ECMO――呼吸を助け、回復を待つ

VV-ECMOは、人工呼吸器を最大限調整しても乗り切れない、重症だが回復が見込める呼吸不全が適応です。心臓がきちんと動いていることが前提になります。

特徴的なのがリサーキュレーション(再循環)。静脈から酸素化して同じ静脈系に返すため、酸素化された血液の一部が再び脱血管に吸われ、回路内をぐるぐる回ってしまう現象です。このときSvO2(混合静脈血酸素飽和度)が異常に高く出ることがあり、体での酸素消費の指標として当てにならない場合があります。装着したままリハビリ(立位など)を行うこともあり、ここでもカニューレ固定が重要です。

📝 まとめ

ECMOは目的によって呼び方が変わり、VA-ECMOは主に循環、VV-ECMOは呼吸の補助です。装置(遠心ポンプ・人工肺)は共通でも、カニューレの留置場所・太さ・長さは患者ごとに異なります。

手術室では、VA-ECMOのミキシングゾーンに注意して**「SpO2・血ガスは右手で」**、そしてカニューレの固定と申し送りでの声かけを徹底すること。原理がわかれば、ECMOは決して怖い機械ではありません。

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