第114回 看護師国家試験 午前問題【問91~120】徹底解説
こんにちは、なんでなんだナーシングです!
看護師国家試験の過去問を一緒に解いていきましょう!
このシリーズでは、過去問を解きながら正答の根拠と関連知識を確認できます。
正解した問題も解説まで確認し、曖昧な知識や苦手な分野を見つけながら学習を進めていきましょう!
■ おすすめの使い方
①まずは問題に挑戦する → ②正答と30秒ポイントを確認する → ③詳細解説で各選択肢の根拠を理解する → ④DL特典で苦手な問題を拾い直す
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問91~120の「正答+30秒ポイント」をまとめた復習シートです。
「覚えた・あいまい・苦手」のチェック欄を使い、復習が必要な問題の整理に活用してください。
記事の一番下にある「ダウンロード」から受け取れます。
問91~105
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
【問91】このとき、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報として最も適切なのはどれか。
服薬の状況
食事の摂取量
右上下肢の筋力
他者との交流の頻度
【正解】3
【30秒でわかる!ポイント解説】
左片麻痺のあるAさんが転倒しそうになった際、体を支えるために最も重要な役割を果たすのは「健側(右側)」の手足です。右側の筋力が十分に維持されているか、あるいは低下していないかを確認することは、今後の転倒リスクを評価し対策を立てる上で最も直接的で重要な情報となります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
服薬の状況: 不正解。降圧薬などによるふらつきもリスク因子ですが、今回の「転びそうになった」という具体的なエピソードに対して、まずは身体機能(特に体を支える力)の評価が優先されます。
食事の摂取量: 不正解。低栄養は長期的な筋力低下につながりますが、直近の転倒リスクの評価としては優先度が低いです。
右上下肢の筋力: 正解。 左片麻痺の患者さんが歩行や立位を維持するためには、健側である右側の機能が頼りです。右側の筋力が低下していると、とっさの時に体を支えきれず転倒につながるため、最優先で確認すべき項目です。
他者との交流の頻度: 不正解。社会的要因も重要ですが、身体的な転倒リスクの直接的な評価ではありません。
【さらに深掘り!関連知識】
健側機能の重要性: 片麻痺患者のADL拡大や転倒予防においては、患側の機能回復だけでなく、健側の機能をいかに維持・強化し、活用できるかが鍵となります。
【問92】退院から2か月後、Aさんは杖歩行が安定し、時間をかけて調理や買い物を自分で行うようになった。看護師が訪問したとき、Aさんから「最近トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうことがあるんです。恥ずかしいので排泄だけは人の世話になりたくないんです。良い方法があれば教えてください」と相談された。
このときの訪問看護師のAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
「パンツ型オムツを使ってみましょう」
「ポータブルトイレを使ってみましょう」
「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」
「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」
【正解】4
【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは左半身麻痺があるため、トイレ動作に時間がかかり間に合わない「機能性尿失禁」と尿意を感じてから間に合わない「切迫性尿失禁」が考えられます。「人の世話になりたくない」という自尊心を尊重し、まずは失禁を予防するための行動(行動療法)を提案するのが最も適切です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「パンツ型オムツを使ってみましょう」: 不正解。「人の世話になりたくない」という自立への思いが強いAさんに対して安易にオムツを勧めるのは自尊心を傷つける可能性があります。
「ポータブルトイレを使ってみましょう」: 不正解。これも有効な対策の一つですが、まずは現在のトイレで排泄を続けられる方法を検討するのが先決です。
「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」: 不正解。夜間の尿失禁対策としては有効ですが、日中の尿失禁に対しては直接的な解決策になりにくいです。
「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」: 正解。 自分の排尿パターンを把握し、尿意を感じる前に計画的にトイレに行く「膀胱訓練(計画的排尿)」は尿失禁を予防するための最も基本的な行動療法であり、Aさんの自立を支援する助言として最も適切です。
【さらに深掘り!関連知識】
尿失禁のタイプ別ケア:
腹圧性: 骨盤底筋訓練
切迫性: 膀胱訓練、薬物療法
溢流性: 自己導尿、原因疾患の治療
機能性: 環境整備、トイレ誘導、着脱しやすい衣服
【問93】退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。
訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
食事内容を見直す。
腹部の温罨法を勧める。
市販の浣腸液の使用を勧める。
主治医に緩下薬の処方を相談する。
【正解】1
【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんの便秘の原因は①活動量の低下による腸管運動の低下、②「同じものばかり作っている」ことから推測される食物繊維や水分摂取の不足、が考えられます。薬や処置に頼る前にまずは生活習慣、特に便秘の直接的な原因となっている食事内容を見直すよう働きかけることが、最も基本的で重要な対応です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
食事内容を見直す。: 正解。 便秘の改善には、バランスの取れた食事、特に食物繊維や水分を十分に摂取することが基本です。Aさんの発言から、食事内容に問題がある可能性が最も高いため、ここからアプローチするのが適切です。
腹部の温罨法を勧める。: 不正解。温罨法は腸管運動を促す効果が期待できますが、対症療法であり根本的な原因解決にはなりません。
市販の浣腸液の使用を勧める。: 不正解。安易な浣腸の使用は、依存性や腸粘膜への刺激のリスクがあり、看護師が主体的に勧めるべきではありません。
主治医に緩下薬の処方を相談する。: 不正解。薬物療法を検討するのは、食事や運動などの生活習慣の改善を図っても効果が見られない場合の次のステップです。
【さらに深掘り!関連知識】
高齢者の便秘ケア: ①食事(食物繊維、水分、発酵食品)、②運動(散歩など)、③排便習慣(食後の排便トライ)、④環境(プライバシーの確保)、⑤薬剤の調整という多角的なアプローチが必要です。
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆嚢摘出術の目的で入院した。看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。
【問94】Aさんの妹が発症した合併症はどれか。
肺炎
胆汁瘻
皮下気腫
深部静脈血栓症
【正解】2
【30秒でわかる!ポイント解説】
腹腔鏡下胆嚢摘出術後、3週間以上も食事ができなかったというエピソードから重篤な合併症が考えられます。この手術に特有かつ絶食期間が長引く原因となる合併症は、胆管が損傷して胆汁が腹腔内に漏れ出す「胆汁瘻」です。胆汁漏は腹膜炎を引き起こすため、長期間のドレナージと絶食が必要になります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
肺炎: 不正解。術後肺炎は全身麻酔の合併症として起こり得ますが、3週間以上の絶食の原因となることは稀です。
胆汁瘻: 正解。 胆嚢管や胆管の損傷によって胆汁が漏れ、腹膜炎や膿瘍を形成する重篤な合併症です。治癒まで長期間のドレナージと絶食が必要となるため状況に最も合致します。
皮下気腫: 不正解。気腹(腹腔内に二酸化炭素を送気)の影響で術後に皮下に空気が溜まることがありますが、通常は数日で自然に吸収され、長期絶食の原因にはなりません。
深部静脈血栓症: 不正解。術後の長期臥床などで起こりうる合併症ですが、食事摂取とは直接関係ありません。
【さらに深掘り!関連知識】
腹腔鏡下胆嚢摘出術後の観察: 術後の腹痛の部位や性状、ドレーンからの排液の性状(胆汁様でないか)、発熱や黄疸の有無など、胆汁瘻や胆管損傷の徴候を早期に発見することが重要です。
【問95】Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けている。
手術中のAさんに最も生じやすいのはどれか。
体温の上昇
心拍出量の上昇
腹腔内圧の低下
動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO₂〉の上昇
【正解】4
【30秒でわかる!ポイント解説】
気腹法では、腹腔内に二酸化炭素(CO₂)を注入してスペースを作ります。この注入されたCO₂の一部が腹膜から吸収されて血液中に移行するため体内のCO₂濃度が上昇し、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)が上昇します(高炭酸ガス血症)。
【なぜ?がわかる詳細解説】
体温の上昇: 不正解。全身麻酔下では体温調節中枢が抑制され、体温はむしろ低下しやすくなります(術中低体温)。
心拍出量の上昇: 不正解。気腹による腹腔内圧の上昇で下大静脈が圧迫され、心臓に戻る血液量(静脈還流量)が減少するため心拍出量は「低下」します。
腹腔内圧の低下: 不正解。手術操作のスペースを確保するためCO₂を送気して腹腔内圧を「上昇」させます。
動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO₂〉の上昇: 正解。 腹腔内に注入したCO₂が吸収されることにより高炭酸ガス血症をきたす可能性があります。麻酔科医は、換気量を調節してPaCO₂を正常範囲に保ちます。
【さらに深掘り!関連知識】
気腹によるその他の影響: 腹腔内圧の上昇は静脈還流量の低下だけでなく、横隔膜の挙上による換気障害や腎血流量の低下などを引き起こす可能性があります。
【問96】Aさんの術後の経過は良好で、退院した。その後の外来受診で「下痢をすることが多いです」という訴えがあった。
下痢を予防するために控えるもので正しいのはどれか。
塩分
脂質
糖質
蛋白質
【正解】2
【30秒でわかる!ポイント解説】
胆嚢は肝臓で作られた胆汁を濃縮・貯蔵し、食事(特に脂肪)の摂取に応じて胆汁を十二指腸に放出する役割があります。胆嚢を摘出すると濃縮されていない薄い胆汁が持続的に流れ込む状態になるため脂肪の消化・吸収能力が一時的に低下し、脂肪分の多い食事を摂ると下痢をしやすくなります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
塩分: 不正解。塩分摂取と胆嚢摘出後の下痢との直接的な関連はありません。
脂質: 正解。 脂肪の消化を助ける胆汁の調節機能が失われるため一度に多くの脂質を摂取すると消化不良を起こし、下痢(脂肪便)の原因となります。
糖質: 不正解。糖質の消化と胆汁は直接関係ありません。
蛋白質: 不正解。蛋白質の消化と胆汁は直接関係ありません。
【さらに深掘り!関連知識】
胆嚢摘出後の食事指導: 退院後の食事指導では一度にたくさんの脂肪を摂ることは避け、低脂肪食から開始し、徐々に普通の食事に戻していくよう説明します。この状態は数か月から1年程度で体が慣れてくることがほとんどです。
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO₂〉98%(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。
【問97】Aさんの意識レベルは、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で評価するとどれか。
Ⅱ-10
Ⅱ-20
Ⅲ-100
Ⅲ-200
【正解】2
【30秒でわかる!ポイント解説】
ジャパン・コーマ・スケール(JCS)は、意識障害のレベルを評価するスケールです。「大声で話しかける」という"普通の呼びかけより強い刺激"で「開眼」し、「刺激をやめるとすぐに眠り込む」状態はJCSのⅡ群(刺激すると覚醒する)-20に分類されます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
Ⅱ-10: 不正解。これは「普通の呼びかけで容易に開眼する」状態です。
Ⅱ-20: 正解。 「大きな声または体を揺さぶることで開眼する」状態に合致します。
Ⅲ-100: 不正解。Ⅲ群は刺激しても覚醒しない(開眼しない)レベルです。Ⅲ-100は「痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする」状態です。
Ⅲ-200: 不正解。「痛み刺激に対し、手足を動かしたり、顔をしかめたりする」状態です。
【さらに深掘り!関連知識】
JCSの3-3-9度方式:
Ⅰ群(覚醒している): 1, 2, 3
Ⅱ群(刺激すると覚醒する): 10, 20, 30
Ⅲ群(刺激しても覚醒しない): 100, 200, 300
数字が大きくなるほど意識レベルが低いことを示します。
【問98】Aさんは、CT検査の結果、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血と診断され、クリッピング術を受けてICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、 呼吸数22/分、脈拍78/分、血圧126/60mmHg、フェイスマスクによる酸素投与下5L/分で経皮的動脈血酸素飽和度 SpO2 98%であった。3時間後、Aさんは 開眼して「頭が痛い」と訴えた。バイタルサインに変化はなく、脳槽ドレーンからは 淡血性の排液がみられている。
このときの看護師の判断で正しいのはどれか。
端座位にする。
枕を高くする。
鎮痛薬の適応である。
ドレーンをクランプする。
【正解】3
【30秒でわかる!ポイント解説】
術後の頭痛は手術侵襲による当然の反応であり、患者にとって大きな苦痛です。バイタルサインが安定しており脳圧亢進を疑う徴候もないため、まずは患者の苦痛を緩和するために医師の指示に基づいて鎮痛薬を使用することが最も適切な判断です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
端座位にする。: 不正解。術後早期に急激な体位変換、特に頭部を高くすることは血圧変動を招き、再出血のリスクを高める可能性があるため危険です。
枕を高くする。: 不正解。頭部を挙上(15〜30度程度)することは脳圧のコントロールに有効ですが、頭痛の訴えに対する直接的な対応としては、まず疼痛緩和が優先されます。
鎮痛薬の適応である。: 正解。 術後の疼痛は患者に多大なストレスを与え、血圧上昇などを介して状態を悪化させる可能性もあります。バイタルサインが安定している現在の状況では苦痛緩和のために鎮痛薬を使用すべきと判断するのが適切です。
ドレーンをクランプする。: 不正解。脳槽ドレーンは血性髄液を排出して脳圧をコントロールし、水頭症などを予防する重要な役割があります。自己判断でクランプすることは急激な脳圧亢進を招くため禁忌です。
【さらに深掘り!関連知識】
くも膜下出血術後の3大合併症: ①再出血(術前・術後早期に最も危険)、②脳血管攣縮(スパズム、術後4〜14日頃がピーク)、③正常圧水頭症(慢性期)。これらの合併症の徴候を念頭に置いた観察が重要です。
【問99】Aさんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院1か月後の外来で、Aさんに生活状況を聞くと、会話に対する反応は鈍く「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。家族は「最近物忘れが激しく、歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がAさんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。家族は「入院前と変わらない字で書けています」と言った。
Aさんに起こっている可能性が高いのはどれか。
脳血管攣縮
正常圧水頭症
脳動脈瘤の破裂
Parkinson〈パーキンソン〉病
【正解】2
【30秒でわかる!ポイント解説】
退院後に見られる①認知機能障害(物忘れ、反応が鈍い)、②歩行障害(歩くのが遅くなった)、③尿失禁という3つの症状は「正常圧水頭症(NPH)」の典型的な三徴候です。くも膜下出血の慢性期の合併症としてよく知られています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
脳血管攣縮: 不正解。脳血管攣縮(スパズム)は術後2週間以内にピークを迎える急性期の合併症であり、退院1か月後の症状としては考えにくいです。
正常圧水頭症: 正解。 くも膜下出血後に髄液の吸収障害が起こり、脳室が拡大することで発症します。歩行障害、認知機能障害、尿失禁の三徴候が特徴です。髄液シャント術で症状の改善が期待できます。
脳動脈瘤の破裂: 不正解。これは「再出血」を意味し、発症時と同様の激しい頭痛や急激な意識障害を伴うため状況と異なります。
Parkinson〈パーキンソン〉病: 不正解。歩行障害は共通しますが、パーキンソン病に特徴的な安静時振戦や筋強剛、姿勢反射障害などの記載がなく発症の経緯からも考えにくいです。
【さらに深掘り!関連知識】
正常圧水頭症(NPH)のアセスメント: 歩行障害は、足が開き気味で歩幅が狭くすり足になる「磁石歩行」が特徴的です。また、書字などの上肢の巧緻運動は比較的保たれることが多いのも特徴でAさんのエピソードと合致します。
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(87歳、女性)は1人で暮らしている。難聴のため補聴器を使用している。自宅で転倒して痛みで起き上がれなくなり、救急搬送され入院した。搬送先の病院で右大腿骨頸部骨折と診断され、全身麻酔下で人工骨頭置換術を受けた。術後は前腕部に点滴静脈内注射と右大腿の創部に吸引式ドレーンが一本挿入されている。
手術直後の検査所見:赤血球410万/μL、白血球7800/μL、Hb12.0g/dL、総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素20mg/dL、Na145mEq/L、K3.8mEq/L。
術後のドレーン出血量は少量である。創部痛に対して非ステロイド性抗炎症薬の坐薬と内服が処方され、手術当日の21時に坐薬を使用した。
【問100】術後1日。朝6時のAさんのバイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数18/分、 脈拍64/分、血圧120/82mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 SpO2 97%(room air)であった。膀胱留置カテーテルが挿入されていて夜間の尿の流出は良好であった。腸蠕動音が確認できたため朝食が開始された。食事時にAさんが顔をしかめていたため、夜勤の看護師が鎮痛薬の内服を勧めたがAさんは「痛みはそれほど強くない」と言った。朝食後に点滴静脈内注射と吸引式ドレーンが抜去された。
午前9時の看護師の観察項目で優先度が高いのはどれか。
意識レベル
酸素飽和度
創部痛
血圧
尿量
【正解】3
【30秒でわかる!ポイント解説】
術後1日目の高齢者。バイタルサインは安定しています。この後、離床を進めていく上で最も重要なのは「疼痛コントロール」です。痛みが強いと離床が遅れ、せん妄や深部静脈血栓症、肺炎などの術後合併症のリスクが高まります。Aさんは痛みを我慢している可能性があるため、創部痛の正確なアセスメントが最優先です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
意識レベル: 不正解。朝6時の時点で安定しており、急変のリスクは低いと判断できます。
酸素飽和度: 不正解。これも朝6時の時点で安定しています。
創部痛: 正解。 Aさんは「痛みはそれほど強くない」と遠慮していますが、食事時に顔をしかめていることから実際には痛みがあると推測されます。適切な疼痛管理は早期離床と合併症予防の鍵であり、優先度は非常に高いです。
血圧: 不正解。朝6時の時点で安定しています。
尿量: 不正解。夜間の尿流出は良好であり、緊急性は低いです。
【さらに深掘り!関連知識】
高齢者の疼痛アセスメント: 高齢者は痛みを訴えるのを遠慮したり、認知機能の問題でうまく表現できなかったりすることがあります。表情や行動の変化(顔をしかめる、動かなくなるなど)といった非言語的サインを注意深く観察することが重要です。
【問101】術後1日。午前中に看護師がAさんのバイタルサインを測定しているときは眠っていた。昼食後に看護師が訪室すると、Aさんは多弁で、落ち着かない様子がみられた。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
医師に抗不安薬の処方を依頼する。
ベッド上で安静に過ごしてもらう。
膀胱留置カテーテルを抜去する。
ベッド周囲をカーテンで囲む。
補聴器の装着を確認する。
【正解】3, 5
【30秒でわかる!ポイント解説】
高齢者の術後せん妄への対応は、「原因の除去」が基本です。Aさんの場合、不穏や興奮の原因として考えられるのは、「膀胱留置カテーテルなどの侵襲デバイスによる違和感」と、「難聴によるコミュニケーション障害(感覚遮断)」です。これらを取り除くケアが優先されます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
医師に抗不安薬の処方を依頼する。: 不正解。薬物療法は、非薬物的なアプローチを試みても改善しない場合や、患者自身や周囲に危険が及ぶ場合に検討される手段です。まずは環境調整や身体的要因の除去を行います。
ベッド上で安静に過ごしてもらう。: 不正解。過度な安静や活動制限は、せん妄を悪化させる要因となります。安全を確保しつつ、可能な範囲で離床を促すことがせん妄の予防・改善には有効です。
膀胱留置カテーテルを抜去する。: 正解。 膀胱留置カテーテルによる違和感は、せん妄の誘因となります。留置の必要性(尿閉リスク、尿量管理の要否など)を評価し、不要または早期抜去が可能であれば、医師に確認の上で抜去を検討します。
ベッド周囲をカーテンで囲む。: 不正解。閉鎖的な環境は不安や見当識障害を助長します。
補聴器の装着を確認する。: 正解。 難聴の患者にとって、音が聞こえないことは大きな不安と混乱を招き、せん妄の直接的な原因となります。補聴器を装着し、コミュニケーションが取れる環境を整えることは極めて重要です。
【さらに深掘り!関連知識】
せん妄ケアの基本: 「身体的要因(痛み、カテーテル等)」「環境要因(感覚遮断、見当識が保ちにくい環境)」「薬剤性要因」の3つの側面から原因を探り、除去することが第一選択です。
【問102】術後2週。Aさんは杖歩行の練習をしている。見守りをする看護師に「早く家に帰りたいけど、また転びそうで怖いし、元のように歩ける自信がない」と話した。
Aさんへの声かけで最も適切なのはどれか。
「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」
「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」
「少しずつ歩けるようになってきていますよ」
「退院先は介護老人保健施設にしましょう」
【正解】3
【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは、退院への期待と転倒への恐怖というアンビバレントな感情を抱えています。このような不安の表出に対して看護師はまずその気持ちに寄り添い、できている部分を具体的に伝えて承認する(勇気づける)ことが最も重要です。「少しずつ歩けるようになっている」という事実に焦点を当てた声かけはAさんの自己効力感を高め、リハビリへの意欲を引き出します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」: 不正解。不安の訴えに対して安易に訓練量を増やす提案をするのは、本人の気持ちを無視した押し付けになりかねません。
「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」: 不正解。骨粗鬆症の予防として重要ですが、今Aさんが抱えている心理的な不安に対する直接的な応答にはなっていません。
「少しずつ歩けるようになってきていますよ」: 正解。 Aさんの不安な気持ちを受け止めつつ、リハビリの成果という客観的な事実を伝えることでAさんを勇気づけ、前向きな気持ちを支える最も適切な共感的・支持的な関わりです。
「退院先は介護老人保健施設にしましょう」: 不正解。「早く家に帰りたい」というAさんの希望を無視し、一方的に退院先を決めるような発言は信頼関係を損なうため不適切です。
【さらに深掘り!関連知識】
自己効力感(セルフ・エフィカシー): ある課題に対して「自分ならできる」と自分の能力を信じられる感覚のこと。リハビリテーションにおいては、この自己効力感をいかに高めるかが患者の主体的な取り組みを引き出す上で非常に重要です。
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aさん(76歳、男性)は妻(72歳)と2人で暮らしている。ベッドからトイレに起きようとしたところ右上下肢にしびれと脱力感があり、動けなくなったため救急車で来院した。頭部CTで左中大脳動脈領域のラクナ梗塞と診断され、緊急入院し血栓溶解療法が施行された。
既往歴:53歳で高血圧症と診断され内服治療を継続している。
生活歴:60歳まで食品会社に勤務していた。
入院時の身体所見:身長168cm、体重65kg、体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍 78/分、血圧210/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 <SpO2>97% (room air)、右上下肢麻痺を認めた。
入院時の検査所見:白血球3,600/µL、赤血球420万/µL、Hb 11.2g/dL、総蛋白6.2 g/dL、アルブミン3.6g/dL、空腹時血糖108 mg/dL、CRP 0.1 mg/dL。
【問103】入院2日、Aさんは全身状態が落ち着いてきたため、主治医から離床開始の指示があった。
Aさんの離床開始時の観察項目で優先度が高いのはどれか。
血圧
見当識障害
下肢の知覚障害
夜間の睡眠状況
【正解】1
【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは脳梗塞の急性期であり、入院時の血圧が210/88mmHgと著しい高血圧です。このような患者が離床(ベッドから起き上がる)する際には、体位変換に伴う血圧の急激な変動(特に起立性低血圧)のリスクが非常に高いです。血圧の変動は脳血流に影響し、病状を悪化させる危険があるため血圧のモニタリングが最優先です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
血圧: 正解。 離床に伴う起立性低血圧は、めまいやふらつき、失神を引き起こし転倒や脳虚血のリスクとなります。安全に離床を進めるため体位変換前後の血圧測定は不可欠です。
見当識障害: 不正解。高次脳機能障害の評価として重要ですが、離床「開始時」の身体的安全確保という点では血圧より優先度は低いです。
下肢の知覚障害: 不正解。麻痺に伴う感覚障害のアセスメントも重要ですが、離床時の急変リスクに直結する観察項目としては血圧が優先されます。
夜間の睡眠状況: 不正解。せん妄のリスク評価などで重要ですが、離床開始時のフィジカルな安全確保とは直接関係ありません。
【さらに深掘り!関連知識】
脳梗塞急性期の血圧管理: 発症急性期は、脳血流を維持するためにある程度の高血圧が許容されることもありますが、離床時には慎重な管理が求められます。降圧薬を使用している場合は、その効果と離床のタイミングを考慮する必要があります。
【問104】入院5日。Aさんは座位訓練の後、車椅子に座って食事を摂取することになった。食事動作は自助具を使用すれば少しずつ自分で摂取できるようになったが、時間が経過すると上体が右側に傾くため、体幹の右側にクッションを入れて食事をしている。
Aさんが安定して食事ができるための援助で適切なのはどれか。
座位時間を徐々に短縮する。
テーブルの高さを高くする。
背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする。
Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する。
【正解】3
【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは右麻痺があり、体幹の支持性が低下しているため疲れてくると麻痺側に傾いてしまいます。安定した食事姿勢を保つためには、体幹を安定させることが重要です。背部にタオルなどを入れて骨盤を少し前傾させることで体幹が安定し、上肢の操作もしやすくなります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
座位時間を徐々に短縮する。: 不正解。座位耐久性を高めることがリハビリの目標であるため安易に時間を短縮するのは適切ではありません。
テーブルの高さを高くする。: 不正解。テーブルが高すぎると肩が上がってしまい上肢の操作がしにくくなります。適切な高さは肘を90度に曲げた位置です。
背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする。: 正解。 背部の腰あたりにタオルやクッションを入れることで骨盤が後傾するのを防ぎ、体幹が安定します。軽い前傾姿勢は嚥下にも適した食事姿勢です。
Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する。: 不正解。麻痺がある患者に意識的に姿勢をコントロールし続けるよう求めるのは困難であり、食事への集中を妨げます。環境調整によって安定した姿勢を保てるように援助するのが適切です。
【さらに深掘り!関連知識】
食事時の姿勢調整: 基本は「足底が床につく」「膝・股関節90度」「体幹安定」「テーブルの高さは肘と同じ」です。麻痺がある場合は、クッションやタオルを用いて個別に調整します。
【問105】入院2週、Aさんは自宅への退院を目指し、回復期リハビリテーション病棟へ転棟することになった。Aさんは、座位姿勢での右側への傾きが徐々に改善され、食事や作業療法の時間は車椅子での座位保持が可能になってきた。Aさんは看護師の介助で車椅子に移乗が可能となり、車椅子でトイレに移動できるようになった。看護師はAさんのADLの拡大を目標に、看護計画を修正することにした。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準における評価で、Aさんの生活状況はどれか。
ランクJ
ランクA
ランクB
ランクC
【正解】3
【30秒でわかる!ポイント解説】
「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」は、J→A→B→Cの順に自立度が低くなります。Aさんは「介助があれば車椅子に移乗できる」状態です。これは「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ」という「ランクB」の定義に合致します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
ランクJ: 不正解。「何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており、独力で外出する」レベルです。Aさんは介助が必要です。
ランクA: 不正解。「屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない」レベルです。Aさんは屋内での車椅子移乗にも介助が必要であり、屋内生活が自立しているとは言えません。
ランクB: 正解。 「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ」レベルです。Aさんは「介助で車椅子に移乗が可能」であり、食事やトイレのために車椅子を使用していますが、基本的には介助が必要な状態であるため、ランクB(特にB2:介助により車椅子に移乗する)と判断されます。
ランクC: 不正解。「1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する」レベルです。Aさんは離床して車椅子で活動できているため該当しません。
【さらに深掘り!関連知識】
ランクBのイメージ: 「寝たきり予備軍」とも言える状態です。ここからリハビリによってランクA(屋内自立)を目指すか、ランクC(寝たきり)に移行してしまうかの分岐点であり、積極的な離床支援が重要です。
問106~120
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aちゃん(1歳4か月、女児)は、午前9時ころ、ポータブル型のゲーム機用の直径10mmのボタン型電池を誤飲し、午前10時に両親に付き添われ外来を受診した。看護師がAちゃんを観察すると、機嫌は良くバイタルサインも安定していた。Aちゃんに成長や発達の遅れはない。
待合室にはAちゃんの他に3人の患児が診察を待っていた。それぞれは以下のとおりである。
B君(1歳3か月、男児):今朝、カーペットの敷かれたフロアで歩行中に転倒。バイタルサインは正常、顔色良好。母親に抱っこされて遊んでいる。
Cちゃん(3歳、女児):体温39.5℃、呼吸数23/分、脈拍100/分、鼻汁多量、機嫌良好、顔色良好。
D君(9か月、男児):自宅で痙攣したため受診。初めての痙攣で、5分間継続したが、受診時には止まっている。待合室にて3回の嘔吐。体温38.7℃。声かけで開眼するが、すぐにうとうとする。
【問106】このときの看護師のトリアージで診察を受ける優先度が高いのはどれか。
Aちゃん
B君
Cちゃん
D君
【正解】4
【30秒でわかる!ポイント解説】
小児救急のトリアージでは、緊急性の高い症状(意識障害、痙攣、呼吸困難など)を見逃さないことが最優先です。D君は、痙攣後の意識レベルの低下(うとうとする)と嘔吐があり、頭蓋内圧亢進など重篤な状態の可能性があるため最も優先度が高いと判断します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
Aちゃん: 不正解。ボタン電池の誤飲は緊急性が高いですが、現時点でバイタルは安定し機嫌も良いためD君よりは優先度が下がります。ただし、緊急度はD君に次いで高いです。
B君: 不正解。転倒というエピソードはありますが、バイタルは正常で元気に遊んでおり緊急性は低いと判断できます。
Cちゃん: 不正解。高熱と感冒症状はありますが、バイタルは年齢相応で安定しており機嫌・顔色も良好なため緊急性は低いです。
D君: 正解。 「痙攣後」「嘔吐」「傾眠傾向(うとうとする)」という3つのキーワードは髄膜炎や急性脳症などの中枢神経系感染症を疑う危険なサインです。緊急の診察と検査が必要です。
【さらに深掘り!関連知識】
ボタン電池誤飲の危険性: ボタン電池は食道などに停滞すると粘膜と接触して放電し、短時間(1〜2時間)で組織を融解させ、重篤な穿孔を引き起こす危険があります。症状がなくても緊急の対応が必要です。Aちゃんの優先度も非常に高いことを念頭に置く必要があります。
【問107】Aちゃんは、腹部エックス線撮影で胃内にボタン型電池が認められ、全身麻酔下での内視鏡でボタン型電池を摘出し、消化管粘膜に大きな問題はなかった。摘出後、小児病棟に1泊入院した。小児病棟に入院1時間後、看護師が訪室するとAちゃんは覚醒しており、図(別冊No.3)のように「ママー、ママー」と言いながら大声で泣き、ベッドから両親の方に手を伸ばしている。両親は戸惑った様子で、ベッドの傍に立っている。
このときの看護師による安全な療養環境の整備で適切なのはどれか。2つ選べ。

ぬいぐるみを取り除く。
毛布をベッド柵にかける。
柵を半分の高さまで降ろす。
点滴ルートの長さを延長する。
点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。
【正解】1, 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
1歳4か月の幼児の安全対策では「転落」と「誤飲」のリスクを常に考える必要があります。Aちゃんは興奮して身を乗り出しているためベッド柵を乗り越える足場になるぬいぐるみは危険です。また、点滴ルートが短いと体の動きが制限され、ルートの自己抜去や点滴スタンドの転倒につながるためルートを延長して遊びの範囲(セーフティゾーン)を確保することが重要です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
ぬいぐるみを取り除く。: 正解。 興奮したAちゃんが、ぬいぐるみを踏み台にしてベッド柵を乗り越えようとする「転落」のリスクがあります。安全確保のため一時的に取り除くのが適切です。
毛布をベッド柵にかける。: 不正解。ベッド柵に毛布などをかけると子どもの視界が遮られ、不安が増強する可能性があります。また、それを足場にしたり、首が引っかかったりするリスクもあります。
柵を半分の高さまで降ろす。: 不正解。Aちゃんは身を乗り出しており、転落のリスクが非常に高い状況です。ベッド柵は最も高い位置まで上げておく必要があります。
点滴ルートの長さを延長する。: 正解。 ルートが短いとAちゃんが動いた際にルートが引っ張られ、自己抜去や点滴スタンドの転倒、ルート閉塞のリスクが高まります。延長チューブなどでルート長を確保し、安全な行動範囲を作ることが適切です。
点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。: 不正解。点滴スタンドを倒したり、輸液ポンプを操作したりする危険があるため手の届かない位置に置くのが原則です。
【さらに深掘り!関連知識】
分離不安への対応: Aちゃんの行動は、入院や処置による不安からくる「分離不安」の現れです。安全を確保した上で両親が抱っこしたり、そばに付き添ったりできるよう環境を整え、安心感を与える関わりが重要です。
【問108】翌日、Aちゃんは退院することになった。看護師は、Aちゃんの誤飲予防のための教育的支援を両親に行うことにした。
両親に伝える内容で最も適切なのはどれか。
Aちゃんから目を離さないこと
Aちゃんにやってはいけないことを教えること
家の中でのAちゃんの行動範囲を柵で区切ること
大きさが4cmよりも小さいものはAちゃんの手が届かないところに置くこと
【正解】4
【30秒でわかる!ポイント解説】
子どもの事故予防の基本は「子どもの発達段階を理解し、危険を予測して環境を整備すること」です。幼児は何でも口に入れてしまう特性があるため「小さいものは子どもの手の届かない場所に置く」という具体的な環境整備の方法を伝えることが最も効果的で実践的な指導です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
Aちゃんから目を離さないこと: 不正解。「目を離さない」ことは理想ですが、24時間365日実行するのは現実的に不可能です。保護者に過度なプレッシャーと罪悪感を与える不適切な指導です。
Aちゃんにやってはいけないことを教えること: 不正解。1歳4か月の幼児に言葉で危険性を理解させ、行動を抑制させることは困難です。
家の中でのAちゃんの行動範囲を柵で区切ること: 不正解。行動範囲を制限することは安全対策の一つですが、家全体から危険物を除去する方がより根本的な対策です。
大きさが4cmよりも小さいものはAちゃんの手が届かないところに置くこと: 正解。 トイレットペーパーの芯(直径約4cm)を通る大きさのものは、子どもの喉を通過し窒息する可能性があるという具体的な目安があります。この基準を伝え、子どもの手の届く範囲(高さ1m程度)に小さなものを置かないよう具体的な環境整備を指導することが最も適切です。
【さらに深掘り!関連知識】
チャイルドマウス: 子どもの口の大きさを再現した誤飲チェッカー。直径39mm、長さ51mmの円筒で、これにすっぽり収まるものは誤飲のリスクが高いとされています。
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(41歳、初妊婦、会社員)は夫(42歳、会社員)と2人で暮らしている。身長は158cm、非妊時体重55kgである。Aさんは妊娠16週3日に妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。妊婦健康診査後「夫から、高齢妊娠だから安静にするよう言われ、夫が家事をしてくれています。妊娠前はバスケットボールを週3回、毎日夕方に夫とウォーキングをしていました。今は仕事に行く以外は、家でなるべく動かないようにしています」とAさんが看護師に話した。
【問109】Aさんへの活動に関する助言で適切なのはどれか。
「仕事は辞めましょう」
「ウォーキングを再開しましょう」
「週1回バスケットボールをやりましょう」
「ご家族の言うように安静にしていましょう」
【正解】2
【30秒でわかる!ポイント解説】
妊娠経過が順調な場合、過度な安静はむしろ体重増加や体力低下、血栓症のリスクを高めます。Aさんはもともと運動習慣があったため転倒や接触のリスクが低いウォーキングなどの適度な運動を再開するよう促すのが、心身の健康維持のために最も適切です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「仕事は辞めましょう」: 不正解。順調な経過であり、仕事を辞める医学的な理由はありません。社会的な役割を奪う不適切な助言です。
「ウォーキングを再開しましょう」: 正解。 ウォーキングは、妊婦にとって最も安全で推奨される有酸素運動の一つです。体重コントロール、体力維持、ストレス解消、血行促進など多くのメリットがあります。
「週1回バスケットボールをやりましょう」: 不正解。バスケットボールは、他者との接触や転倒、急な方向転換による腹部への衝撃のリスクが高く妊娠中の運動としては不適切です。
「ご家族の言うように安静にしていましょう」: 不正解。夫の心配する気持ちは受け止めつつも医学的に見て過度な安静は不要であり、むしろ適度な運動が必要であることを専門家として説明する必要があります。
【さらに深掘り!関連知識】
妊婦の運動の目安: 「ややきつい」と感じない程度で1回30分〜1時間、週に2〜4回程度が推奨されます。運動中はお腹の張りや出血に注意し、水分補給を心がけるよう指導します。
【問110】Aさんは妊娠24週0日に妊婦健康診査を受けた。体重60kg(妊娠20週の体重は58kg)。血圧138/88mmHg、Hb 10.1g/dL、Ht 31%、尿蛋白(−)、尿糖(±)であった。Aさんは「足が重い気がします」と話すが、脛骨上の圧痕は認めなかった。
このときのアセスメントで適切なのはどれか。
体重増加が過剰である。
妊娠性貧血である。
高血圧である。
浮腫がある。
【正解】2
【30秒でわかる!ポイント解説】
妊娠中は、循環血液量の増加に伴い血液が薄まる(希釈性貧血)ため貧血になりやすい状態です。妊婦の貧血の診断基準は「Hb 11.0g/dL未満」または「Ht 33%未満」であり、AさんのHb 10.1g/dL、Ht 31%は、この基準を満たすため「妊娠性貧血」とアセスメントします。
【なぜ?がわかる詳細解説】
体重増加が過剰である。: 不正解。Aさんの非妊時BMIは22.0(普通体型)。妊娠中期の推奨体重増加は週に0.3〜0.5kgです。4週間で2kgの増加は週あたり0.5kgであり、推奨範囲の上限ですが「過剰」とまでは言えません。
妊娠性貧血である。: 正解。 Hb 10.1g/dLは、妊娠中期(〜27週)の基準値である11.0g/dL未満を満たしており妊娠性貧血と判断します。
高血圧である。: 不正解。妊娠高血圧症候群の定義は「収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上」です。138/88mmHgは高値傾向ですが、基準には達していません。
浮腫がある。: 不正解。「脛骨上の圧痕は認めなかった」とあり、病的な浮腫(圧痕性浮腫)ではないと判断できます。「足が重い」という自覚症状は、妊娠に伴う生理的な変化の範囲内と考えられます。
【さらに深掘り!関連知識】
妊娠性貧血のケア: 鉄欠乏性貧血がほとんどであるため食事指導(赤身の肉、レバー、ほうれん草など鉄分豊富な食品の摂取)や医師の指示に基づく鉄剤の内服管理が中心となります。
【問111】Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。妊婦健康診査では、体重65kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(−)、尿糖(−)。浮腫(±)。子宮底長30cm、腹囲88cmで異常を認めなかった。その後、Aさんは看護師に「夕方になると足がだるくなり、膝の裏を見たら、血管が膨らんで、青く浮き出ていました」と言う。
Aさんへの指導で適切なのはどれか。
「体重を減らしましょう」
「腹帯を強く巻きましょう」
「できるだけ立っていましょう」
「弾性ストッキングを着用しましょう」
【正解】4
【30秒でわかる!ポイント解説】
妊娠後期に増大した子宮が下大静脈を圧迫することで下肢の静脈還流が悪くなり「下肢静脈瘤」ができやすくなります。この症状の緩和と予防には、足を外側から圧迫して静脈の血流を助ける「弾性ストッキング」の着用が最も効果的です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「体重を減らしましょう」: 不正解。妊娠35週の妊婦に減量を指導するのは不適切です。適切な体重管理は必要ですが、急激な減量は胎児の発育に悪影響を及ぼします。
「腹帯を強く巻きましょう」: 不正解。腹帯を強く巻くとかえって腹部の血行を阻害する可能性があります。
「できるだけ立っていましょう」: 不正解。長時間の立位は重力によって下肢に血液がうっ滞し、静脈瘤を悪化させます。
「弾性ストッキングを着用しましょう」: 正解。 弾性ストッキングは、下肢の静脈を圧迫して血液のうっ滞を防ぎ、だるさやむくみ、静脈瘤の悪化を予防・改善する効果があります。
【さらに深掘り!関連知識】
下肢静脈瘤のセルフケア: 弾性ストッキングの着用に加え、長時間の立位・座位を避ける、就寝時や休息時に足を高くして休む(下肢挙上)、足首の運動をこまめに行う、などのセルフケアも有効です。
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApgar〈アプガー〉スコア10点であった。
産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。
【問112】このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
「痛み止めは使用できません」
「授乳をすると痛みが和らぎます」
「経産婦のほうが痛みを強く感じます」
「産後5日くらいまで痛みは続きます」
「子宮が元の大きさに戻るための痛みです」
【正解】3, 5
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