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第113回 看護師国家試験 午後問題【問91~120】徹底解説

こんにちは、なんでなんだナーシングです!
看護師国家試験の過去問を一緒に解いていきましょう!

このシリーズでは、過去問を解きながら正答の根拠と関連知識を確認できます。


正解した問題も解説まで確認し、曖昧な知識や苦手な分野を見つけながら学習を進めていきましょう!

■ おすすめの使い方
①まずは問題に挑戦する → ②正答と30秒ポイントを確認する → ③詳細解説で各選択肢の根拠を理解する → ④DL特典で苦手な問題を拾い直す

■ DL特典(PDF)
問91~120の「正答+30秒ポイント」をまとめた復習シートです。
「覚えた・あいまい・苦手」のチェック欄を使い、復習が必要な問題の整理に活用してください。
記事の一番下にある「ダウンロード」から受け取れます。
 
 

問91~105

次の文を読み 91〜93 の問いに答えよ。

Aさん(58歳、男性、会社員)は、身長175cm、体重73kgである。Aさんは、健康診断の胸部エックス線撮影で異常陰影を指摘され、3週前に胸部造影CT検査を受けた。左肺下葉に約8mmの病変が見つかり、精密検査の結果、肺癌(T1N0M0)と診断され、本日、手術目的で入院した。咳嗽、息苦しさ、喀痰はない。喫煙歴があり、20 年間20本/日、禁煙後18年である。
バイタルサイン:体温36.9℃、呼吸数14/分、脈拍72/分、整、血圧136/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)96%(room air)。
検査所見:赤血球510万/μL、Hb15.6g/dL、Ht47%、白血球6,200/μL、血小板32万/μL、総蛋白7.7g/dL、アルブミン4.2g/dL、空腹時血糖102mg/dL。
呼吸機能所見:%VC76%、FEV1%73%。


【問91】 入院時の所見で正しいのはどれか。

  1. 頸部リンパ節の腫脹

  2. 拘束性換気障害

  3. 低栄養

  4. 貧血
     
     
     
     
     
    【正解】 2

【30秒でわかる!ポイント解説】
本事例では自覚症状はありませんが、肺がん患者では、術前評価として呼吸機能検査が行われます。本事例の呼吸機能所見は%VC76%で80%未満のため、拘束性換気障害(%VC低下)を示します

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 頸部リンパ節の腫脹: 不正解です。病期(T1N0M0)の「N0」はリンパ節転移がないことを示しており、腫脹はないと判断されます。

  2. 拘束性換気障害: 正解です。呼吸機能所見で%VC76%が80%未満であるため、拘束性換気障害を示します。なお、FEV1%73%は閉塞性換気障害の目安(70%未満)には該当しません。

  3. 低栄養: 不正解です。BMI 23.8(73 ÷ 1.75 ÷ 1.75)であり、標準体型(18.5〜25.0)であるため低栄養ではありません。

  4. 貧血: 不正解です。特に記載はなく、肺癌初期で貧血が出現することは稀です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. TNM分類: T(腫瘍の大きさ・広がり)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)の組み合わせで病期(ステージ)を決定します。

  2. 肺癌の術前評価: 呼吸機能(スパイロメトリー)、血液ガス、循環機能、喫煙歴などを総合的にアセスメントします。

  3. 手術適応: 一般的に、臨床病期が初期(I期〜II期の一部)であれば外科的切除が第一選択となります。
     
     

【問92】 Aさんは、入院2日目に胸腔鏡下左下葉切除術を受ける予定である。Aさんは看護師に「全身麻酔で手術を受けるのは初めてです。医師から手術の説明はあったけれど、合併症についてもう一度教えてもらえますか」と質問した。
A さんに生じる可能性が高い術後合併症はどれか。

  1. 気 胸

  2. 反回神経麻痺

  3. Horner(ホルネル)症候群

  4. Pancoast(パンコースト)症候群
     
     
     
     
     
    【正解】 1

【30秒でわかる!ポイント解説】
肺切除術(特に胸腔鏡下)の後は、肺の縫合部や剥離面から空気が漏れる「肺瘻(はいろう)」が原因で「気胸」が生じやすく、胸腔ドレーンによる管理が必要になります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 気胸: 正解です。 肺組織を切り取る手術において、最も頻度が高く、注意すべき呼吸器系合併症です。

  2. 反回神経麻痺: 不正解です。嗄声(しわがれ声)が特徴ですが、下葉(本事例は左下葉)の手術よりも、上葉や縦隔リンパ節郭清を伴う場合にリスクが高まります。

  3. ホルネル症候群: 不正解です。眼瞼下垂や縮瞳が見られるもので、肺尖部の腫瘍が交感神経節を圧迫することで起こります。

  4. パンコースト症候群: 不正解です。肺尖部癌が腕神経叢などを巻き込み、肩や腕の痛みを生じる状態を指します。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 無気肺: 術後の痰づまりなどが原因で肺の一部が潰れてしまう合併症で、気胸と並んで注意が必要です。

  2. 胸腔ドレーン管理: ドレーンバッグ内の「水封」や「エアリーク(気泡)」の有無を確認し、肺の拡張状態を観察します。

  3. 深部静脈血栓症(DVT)予防: 肺の手術に限らず、術後の不動による血栓形成を防ぐため、弾性ストッキングの着用や早期離床が重要です。
     
     

【問93】 Aさんの手術は予定通りの術式で行われ、肺癌は術前診断通りの病期であった。Aさんの術後経過は良好であり、退院日が決定した。Aさんのバイタルサインは、体温36.3℃、呼吸数18/分、脈拍66/分、整、血圧134/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%(room air)であった。
退院後の生活指導で正しいのはどれか。

  1. 「インフルエンザワクチンは接種できません」

  2. 「左手で重い荷物を持たないでください」

  3. 「少しずつ活動量を増やしてください」

  4. 「自宅で酸素吸入を行ってください」
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
肺切除後は、残った肺の機能を最大限に活用するため、無理のない範囲で呼吸訓練やウォーキングなどのリハビリ(活動量の増加)を継続することが大切です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「インフルエンザワクチンは接種できません」: 不正解です。呼吸器合併症の予防のため、むしろ積極的な接種が推奨されます。

  2. 「左手で重い荷物を持たないでください」: 不正解です。左側の手術であっても、過度な制限は不要です。むしろ積極的に腕を動かすことで、術後の拘縮を防ぎます。

  3. 「少しずつ活動量を増やしてください」: 正解です。 体力の回復と肺機能の代償を促すために、段階的な活動範囲の拡大を指導します。

  4. 「自宅で酸素吸入を行ってください」: 不正解です。術後のSpO2 97%と良好であり、在宅酸素療法(HOT)の適応ではありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 疼痛管理: 術後の痛みは呼吸を浅くし、無気肺や肺炎のリスクを高めるため、鎮痛薬を適切に使用してしっかり深呼吸・排痰ができるようにします。

  2. 禁煙指導: 術後の回復を早め、再発や他のがんを防ぐために、継続的な禁煙の重要性を説きます。

  3. 身体活動の目安: 息切れが強くならない程度の散歩から始め、徐々に日常の活動量を戻していくよう指導します。
     
     

次の文を読み 94〜96 の問いに答えよ。

Aさん 43歳、男性、会社員 は、1か月前に右頸部の腫瘤を自覚した。大学病院で非Hodgkin(ホジキン)リンパ腫と診断され化学療法導入目的で入院した。
バイタルサイン:体温37.1℃、呼吸数16/分、脈拍84/分、整。
身体所見:顔面に浮腫を認める。
検査所見:Hb12.8g/dL、白血球6,400/μL、総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.1g/dL。
胸部造影CT:縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫を認める。
 
 

【問94】 A さんの顔面の浮腫の原因で考えられるのはどれか。

  1. 発熱

  2. 貧血

  3. 低蛋白血症

  4. 上大静脈の圧迫
     
     
     
     
     
    【正解】 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
縦隔などのリンパ節が腫れて「上大静脈」を圧迫すると、上半身の静脈血が心臓に戻りにくくなり、顔や首のむくみ、頸静脈の怒張などが起こります(上大静脈症候群)。腫瘍による緊急事態(オンコロジー・エマージェンシー)の一つです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 発熱: 不正解です。浮腫の直接の原因にはなりません。

  2. 貧血: 不正解です。浮腫ではなく、顔面蒼白の原因となります。

  3. 低蛋白血症: 不正解です。検査データでアルブミン 4.1 g/dL と正常であり、今回の浮腫の原因ではありません。

  4. 上大静脈の圧迫: 正解です。 腫大したリンパ節により静脈灌流が妨げられた結果、顔面や上半身に特異的な浮腫が出現しています。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 上大静脈(SVC)症候群: 悪性リンパ腫や肺がんなどで起こる緊急症の一つ。頭部への血流うっ滞により脳浮腫を起こす危険もあります。

  2. 症状の変化: 浮腫だけでなく、呼吸困難、咳嗽、嗄声、胸壁の静脈怒張などが出現することがあります。

  3. 治療: ステロイドの投与、緊急の放射線照射、または化学療法により、速やかに腫瘍を縮小させて圧迫を解除します。
     
     

【問95】 AさんはR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)を受けた。
AさんのR-CHOP療法の初日に生じる可能性がある合併症はどれか。

  1. 脱毛

  2. 口内炎

  3. 低血糖

  4. 好中球減少症

  5. 腫瘍崩壊症候群(TLS)
     
     
     
     
     
    【正解】 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
悪性リンパ腫のように抗癌薬が効きやすい(感受性が高い)腫瘍では、治療開始直後に大量の癌細胞が壊れ、その中身が血液中に溢れ出す「腫瘍崩壊症候群」のリスクが高く、高カリウム血症や腎不全を招く恐れがあります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 脱毛: 不正解です。治療開始から2〜3週間後に出現します。

  2. 口内炎: 不正解です。数日から1週間程度経過してから現れます。

  3. 低血糖: 不正解です。抗癌薬の副作用として一般的ではありません(むしろプレドニゾロンにより高血糖になりやすい)。

  4. 好中球減少症: 不正解です。1〜2週間後の「骨髄抑制」の時期に出現します。初日には起こりません。

  5. 腫瘍崩壊症候群: 正解です。 急激な細胞死により細胞内成分(カリウム、リン、核酸など)が流出し、代謝異常をきたします。予防的な輸液管理が重要です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 骨髄抑制: 抗癌薬投与後、一般的に 7〜14 日後に白血球(好中球)が減少します。この時期の感染予防が極めて重要です。

  2. R-CHOP療法の副作用: 各薬剤特有の症状(リツキシマブの輸注反応、シクロホスファミドの出血性膀胱炎、ビンクリスチンの末梢神経障害など)に注意が必要です。

  3. プレドニゾロン(副腎皮質ステロイド): 腫瘍への攻撃だけでなく、炎症を抑えたり、制吐効果を補助したりする目的で配合されます。
     
     

【問96】 AさんはR-CHOP療法終了後も嘔気・嘔吐が続き、制吐薬の追加投与を受けた。治療後3日、「やっと楽になって食事が摂れるようになったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでも気持ち悪くなります」と話している。
Aさんの次回のR-CHOP療法において、嘔気・嘔吐への対応で適切なのはどれか。

  1. 1 日 1,000 mL の水分摂取

  2. 治療前日の夕食の中止

  3. 治療前の制吐薬の投与

  4. 抗癌薬の減量
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
前回の治療がつらかった記憶(思い出すだけで気持ち悪くなる)による「予期性嘔吐」や、数日続く「遅延性嘔吐」に対しては、治療前から適切な「制吐薬(5-HT3受容体拮抗薬やNK1受容体拮抗薬など)」を計画的に投与することが最も有効です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 1 日 1,000 mL の水分摂取: 不正解です。TLS予防には有効ですが、悪心・嘔吐の抑制として十分な対策ではありません。

  2. 治療前日の夕食の中止: 不正解です。体力を低下させるだけであり、嘔吐の防止にはなりません。

  3. 治療前の制吐薬の投与: 正解です。 症状が出る前に抑える「予防的投与」が抗癌薬治療の鉄則です。

  4. 抗癌薬の減量: 不正解です。副作用対策のために治療効果を落とす減量を最初に行うのは適切ではありません。まずは支持療法(制吐薬など)を強化します。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 悪心・嘔吐の分類: 1. 急性(24時間以内)、2. 遅延性(24時間後〜5日程度)、3. 予期性(治療の前から起こる)に分けられます。

  2. 制吐薬の使い分け: セロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬、ドパミン受容体拮抗薬、ステロイド、NK1受容体拮抗薬などが組み合わされます。

  3. 非薬物療法: 刺激の少ない食事(冷たい、匂いが少ない)、リラクゼーション、口腔ケアなども併用されます。
     
     

次の文を読み 97〜99 の問いに答えよ。

Aさん(71歳、女性)は夫と10年前に死別し、1人で暮らしている。息子は結婚して他県に住んでいる。Aさんは、3か月前に脳梗塞を発症して要介護1となり、介護老人保健施設に入所した。
Aさんは老人性白内障があるがADLに支障はなく、認知機能やコミュニケーションに問題はない。食事は自力で摂取できる。紅茶が好きで、毎日カップ2、3杯は飲んでいる。我慢できない強い尿意があり尿が漏れてしまうため、下着に尿取りパッドを付けている。トイレには自力で移動でき、下着やズボンの上げ下ろしは自立している。排便は2日に1回である。
 
 

【問97】 A さんの尿失禁の種類で考えられるのはどれか。

  1. 溢流性尿失禁

  2. 機能性尿失禁

  3. 切迫性尿失禁

  4. 腹圧性尿失禁
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
「我慢できない強い尿意(尿意切迫感)」と共に尿が漏れるのは、「切迫性尿失禁」の特徴です。膀胱が勝手に収縮してしまう状態(過活動膀胱など)で見られます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 溢流(いつりゅう)性尿失禁: 不正解です。前立腺肥大などで尿が出にくくなり、膀胱から溢れ出すタイプです。

  2. 機能性尿失禁: 不正解です。排尿機能は正常だが、認知症や麻痺などでトイレまで間に合わないタイプです。

  3. 切迫性尿失禁: 正解です。 強い尿意をコントロールできずに漏れてしまう状態で、脳血管障害の後遺症としてもよく見られます。

  4. 腹圧性尿失禁: 不正解です。くしゃみや重い荷物を持った時に、お腹に力がかかって漏れるタイプです。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 脳梗塞と排尿障害: 脳の排尿抑制センターが障害されることで、膀胱に少し尿がたまっただけで勝手に収縮してしまう「脳血管性頻尿」が起こりやすくなります。

  2. 過活動膀胱(OAB): 尿意切迫感を必須とする症候群で、切迫性尿失禁を伴うものと伴わないものがあります。

  3. 下部尿路症状(LUTS): 尿をためる(蓄尿)、出す(排出)、出した後(排尿後症状)の各段階で現れる症状の総称です。
     
     

【問98】 4、5日前からAさんは倦怠感を訴え、ベッドで寝ていることが多くなった。食欲が落ちてきて、1日の水分摂取量も減少した。トイレでの排尿が間に合わないことが多くなり、頻回に尿失禁するようになった。看護師がAさんの尿取りパッドの交換を介助すると尿臭が強く、色も茶褐色であった。Aさんが「おしっこをするとお腹の下の方が痛い。体がだるい」と看護師に訴えたため、体温を測定すると37.5 ℃であった。看護師がAさんの状況を施設の医師に報告すると、抗菌薬を内服するように指示が出された。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 日中に飲水を勧める。

  2. 下腹部をマッサージする。

  3. 抗菌薬は自分で管理してもらう。

  4. 昼間は離床して過ごすように促す。
     
     
     
     
     
    【正解】 1

【30秒でわかる!ポイント解説】
発熱、下腹部痛、混濁尿(茶褐色・臭い)から、尿路感染症(膀胱炎など)が疑われます。治療には抗菌薬の服用に加え、水分を多く摂って尿量を増やし、菌を体外へ洗い流す(フラッシング効果)ことが有効です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 日中に飲水を勧める: 正解です。 尿路の洗浄を促し、症状の改善を早めます。

  2. 下腹部をマッサージする: 不正解です。炎症がある部位を刺激するのは不適切であり、疼痛を悪化させます。

  3. 抗菌薬は自分で管理してもらう: 不正解です。倦怠感があり食欲も落ちているため、看護師が確実に内服を確認するなどの管理が必要です。

  4. 昼間は離床して過ごすように促す: 不正解です。発熱と体だるさがあるため、まずは安静を優先します。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 高齢者の尿路感染: 典型的な症状(頻尿、排尿痛)が出にくく、「活気がない」「混乱(せん妄)」「転倒」などの非特異的な症状で発症することがあります。

  2. 脱水症との関連: 水分摂取が減ると尿が濃縮され、細菌が繁殖しやすくなるため、両者は密接に関わります。

  3. 糖尿病、ステロイド治療中、悪性腫瘍、尿道カテーテル留置など: 免疫機能の低下や尿路の防御機構が損なわれている場合は、尿路感染が重症化しやすいため注意が必要です。
     
     

【問99】 5日後、Aさんは解熱し、少しずつ食欲が出てきた。下腹部痛は消失し、尿失禁の回数も少なくなった。
症状の再燃を防止するためのAさんへの対応で適切なのはどれか。

  1. 2 時間ごとに排尿誘導する。

  2. 用手圧迫排尿の方法を指導する。

  3. 排尿の度に陰部を洗浄するように促す。

  4. 尿取りパッドの交換回数を増やすように指導する。
     
     
     
     
     
    【正解】 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
症状の再燃を防ぐには、尿や便で湿潤した状態を減らして外陰部の清潔を保つことが重要です。尿取りパッドを適切に交換し、皮膚トラブルと感染リスクを下げる支援が有効です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 2 時間ごとに排尿誘導する: 不正解です。排尿誘導は失禁ケアで用いる方法ですが、この場面での再燃予防として最も適切なのは、パッド管理による外陰部の清潔保持です。

  2. 用手圧迫排尿: 不正解です。これは主に脊髄損傷などによる排出困難(残尿)がある場合に行う方法です。

  3. 排尿の度に陰部を洗浄する: 不正解です。過度な洗浄は皮膚のバリア機能や正常な細菌叢を壊し、かえって感染リスクを高める場合があります。清潔保持は必要ですが「拭く」ことで十分な場合が多いです。

  4. パッドの交換回数を増やす: 正解です。尿で湿った状態が続くと細菌増殖や皮膚障害のリスクが上がるため、こまめな交換で再燃予防を図ります。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 生活習慣の改善: カフェインやアルコールなどの利尿作用がある飲み物は尿意を強めることがあるため、摂りすぎに注意します。

  2. 骨盤底筋体操: 主に腹圧性尿失禁に有効ですが、切迫性尿失禁においても尿意を我慢する際の括約筋トレーニングとして併用されることがあります。

  3. 環境調整: 認知機能や身体機能に合わせ、トイレに行きやすい照明や手すりの設置、ポータブルトイレの活用なども検討します。
     
     

次の文を読み 100〜102 の問いに答えよ。

Aちゃん(7歳、女児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に来院した。1か月前に扁桃炎に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎は抗菌薬を内服し軽快した。検査の結果、溶連菌感染後急性糸球体腎炎と診断されて入院した。入院時、Aちゃんは体温36.6℃、呼吸数20/分、心拍数84/分、血圧130/80mmHgで、床上安静の指示が出された。
 
 

【問100】 A ちゃんの入院時の看護計画で適切なのはどれか。

  1. 水分摂取を促す。

  2. 1 日 3 回の血圧測定を行う。

  3. 食事の持ち込みを許可する。

  4. 腰部に消炎鎮痛薬を貼用する。
     
     
     
     
     
    【正解】 2

【30秒でわかる!ポイント解説】
急性糸球体腎炎(PSAGN)の三大症状は「血尿・浮腫・高血圧」です。特に子どもの高血圧は、急激な上昇により「高血圧性脳症」を引き起こす危険があるため、急性糸球体腎炎では高血圧の管理が重要であり、入院時は1日3回など定期的な血圧測定による管理が必要です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 水分摂取を促す: 不正解です。浮腫がある初期段階では、水分制限(不感蒸泄+尿量分)が行われるのが一般的です。

  2. 1 日 3 回の血圧測定を行う: 正解です。 急激な血圧変動を見逃さないための慎重な観察計画です。

  3. 食事の持ち込みを許可する: 不正解です。塩分制限やタンパク質制限を伴う治療食が必要なため、厳格な管理が必要です。

  4. 腰部に消炎鎮痛薬を貼用する: 不正解です。腎炎と「腰痛」は直接関係ありません。また、腎機能を考慮すると薬剤の使用(特にNSAIDs)は慎重であるべきです。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. PSAGNの病態: 溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)に対する免疫反応により、腎臓の糸球体に炎症が起きます。

  2. 三大症状: 1. 血尿(コーラ色の尿)、2. 浮腫(眼瞼など)、3. 高血圧。さらに乏尿を伴います。

  3. 食事療法の原則: 浮腫が強い時期は「減塩」「水分制限」。窒素血症があれば「タンパク質制限」。
     
     

【問101】 入院3日。両眼瞼の浮腫と肉眼的血尿は続いていた。看護師がAちゃんのベッドサイドを訪れると、Aちゃんは「頭が痛い。気持ち悪い」と訴えた。Aちゃんは体温36.6℃、呼吸数20/分、心拍数92/分、血圧148/88mmHgであった。
この状況からAちゃんに起こりうる症状はどれか。

  1. 眼のかゆみ

  2. 意識障害

  3. 耳漏

  4. 鼻閉
     
     
     
     
     
    【正解】 2

【30秒でわかる!ポイント解説】
腎炎に伴う著しい高血圧により、脳血流量が増大して脳浮腫をきたす「高血圧性脳症」のサイン(頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣)を疑う場面です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 眼のかゆみ: 不正解です。アレルギー等の症状です。

  2. 意識障害: 正解です。 頭痛と嘔気、血圧上昇は脳症の初期症状であり、進行すると意識が遠のいたり、引きつけ(痙攣)を起こしたりします。直ちに医師への報告が必要です。

  3. 耳漏: 不正解です。中耳炎などで見られます。

  4. 鼻閉: 不正解です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 高血圧性脳症の観察ポイント: 血圧値、意識レベルの変化、瞳孔径、頭痛・嘔気の程度を注意深く観察します。

  2. 安静度と看護: 視覚的・聴覚的な刺激を減らすため、部屋を暗くして静かな環境を整える「遮光・遮音」が必要になることもあります。

  3. 急性不全との鑑別: 心不全(呼吸困難)や急性腎不全(乏尿)も重症化の指標であり、全身状態の把握が必要です。
     
     

【問102】 入院して1週が経過した。症状は軽快傾向にあるが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、Aちゃんはイライラしている。Aちゃんの母親は、毎日昼食後から夕食まで面会をしている。
Aちゃんのストレスに対する看護師の発言で適切なのはどれか。

  1. 「すぐに退院できるから頑張ろう」

  2. 「好きなだけテレビや動画を観ていいよ」

  3. 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」

  4. 「夕食後もお母さんに付き添ってもらおう」
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
学童期の子どもにとって、長期の安静は大きなストレスです。身体的な安静(床上安静)を守りつつ、ベッドごと移動して環境を変えることで気分転換を図り、心理的なサポートを行います。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「すぐに退院できる...」: 不正解です。不確かな見通しを伝えることは、期待を裏切った際の不信感に繋がります。

  2. 「好きなだけ...いいよ」: 不正解です。ルールのない放任は、学童期の規範意識の形成として不適切です。

  3. 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」: 正解です。床上安静の指示を守りつつ、環境を変えて気分転換を図れるため、ストレス軽減に有効です。

  4. 夕食後もお母さんに付き添ってもらおう: 不正解です。親の休息や生活も考慮する必要があります。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 遊びやレクリエーション: 学童期は社会性が発達する時期であり、病室での学習支援(院内学級)や遊びの提供が発達課題の達成を助けます。

  2. 安静の段階的拡大: 尿所見(血尿、蛋白尿)や血圧の改善に合わせて、室内歩行、廊下へと徐々に安静度を広げていきます。

  3. 心理的サポート: 同じ病棟の子どもたちとの交流は支えになりますが、本事例のように退院を見送る側には複雑な心境が生じるため、寄り添った傾聴が大切です。
     
     

次の文を読み 103〜105 の問いに答えよ。

A君(5歳、男児)は共働きの両親と3人で暮らしている。2歳6か月で自閉スペクトラム症と診断され、保育所と療育センターに通っている。保育所の健康診断で低身長を指摘され、受診を勧められて両親と来院した。A君は待合室を走ったり診察室の扉を開けたりしていた。診察室に入ると「頑張ろう」と泣きながら叫び、恐怖心を抑えている様子だった。母親は「Aは病院が苦手で、予防接種はAの手足と体を看護師さん3人で抑えて行ってきましたが、繰り返し説明することで、抑えなくても注射ができるようになりました」と話した。
診察の結果、1週後に成長ホルモン分泌刺激試験を行うことになった。母親から「Aが血液検査でパニックを起こすのではないかと心配です」と発言があった。
 
 

【問103】 母親への声かけで適切なのはどれか。

  1. 「検査があることは当日に説明しましょう」

  2. 「予防接種ができるのであれば心配ありません」

  3. 「家で A 君に説明できる絵カードをお渡しします」

  4. 「看護師 3 人で A 君をしっかりと抑えて採血します」
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、見通しが立たないことや急な変化に不安を強く感じます。視覚的な情報(絵カード)を使い、検査の流れを事前に段階的に知らせることで、安心感を高め、パニックを防ぎます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「当日説明しましょう」: 不正解です。不意打ちになり、パニックを誘発する恐れがあります。

  2. 「心配ありません」: 不正解です。母親の不安に寄り添っておらず、ASD児にとって刺激の強い検査(頻回な採血など)への対策として不十分です。

  3. 「絵カードをお渡しします」: 正解です。 具体的な見通しを立てることが苦手なASD児に対して、「見える化」による事前準備は非常に有効な支援方法です。

  4. 「3 人で抑えて...」: 不正解です。拘束はトラウマになりやすく、最終手段です。まずは本人の理解と協力を得る工夫を優先します。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. TEACCHプログラム: ASD児教育で広く使われる、情報を形や絵で伝える「構造化」を重視した支援法です。

  2. プリパラレーション: 子どもの年齢や認知発達に合わせ、心の準備をさせることを言います。ASD児ではこれが特に重要です。

  3. 感覚過敏: 注射の痛みだけでなく、アルコール綿の冷たさや独特の匂いに対しても過剰に反応することがあるため、事前に確認しておきます。
     
     

【問104】 成長ホルモン分泌刺激試験の結果、母親が自宅で毎晩A君に成長ホルモン製剤を注射することになった。外来で母親は注射の手技を習得し、A君も注射に慣れた。
自宅での注射に向けて、母親に確認する事項で優先度が高いのはどれか。

  1. 保育所での A 君の様子

  2. A 君と家族の日課

  3. 家族の経済状況

  4. 祖父母の居住地
     
     
     
     
     
    【正解】 2

【30秒でわかる!ポイント解説】
毎日の自己注射(成長ホルモン剤)を長期にわたり継続するためには、生活リズムの中に自然に組み込む必要があります。ASD児は「いつもの手順(ルーチン)」を好むため、いつ、誰が、どこで打つかという固定された日課を確認することが成功の鍵です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 保育所での様子: 不正解です。重要ですが、毎晩の家庭での治療継続に直結する確認事項としての優先度は低いです。

  2. A 君と家族の日課: 正解です。 寝る前や入浴後など、どのタイミングが最もスムーズに導入できるかを検討するために不可欠な情報です。

  3. 家族の経済状況: 不正解です。小児慢性特定疾病の助成対象になることが多いため、個別の詳細な生活費等の確認は、治療導入時の「日課の確認」よりは優先されません。

  4. 祖父母の居住地: 不正解です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 低身長症の診断: 標準身長より -2SD 以下のものを指します。成長ホルモン分泌不全性低身長症はその一つです。

  2. 成長ホルモン(GH)の生理作用: 代謝を促進し、骨の伸長(軟骨細胞の増殖)を促します。

  3. 治療の効果判定: 定期的な身長測定と骨年齢(手のレントゲン)の確認を行い、成長曲線の推移を評価します。
     
     

【問105】 3か月後、自宅でのA君への成長ホルモン製剤の注射は順調に実施されている。外来受診時に母親から看護師に「Aが通っている療育センターにも相談しましたが、Aは自閉スペクトラム症であるだけでなく、注射もしているので就学のことを考えると心配です。通常の学級に通わせたいと考えているのですが、通常の学級への就学について教えてください」と相談があった。
看護師の説明で適切なのはどれか。

  1. 「お母さんが学校で待機する必要があります」

  2. 「就学する学級は受入れ先の校長が決定します」

  3. 「通常の学級に籍を置くと通級指導は受けられません」

  4. 「A 君の特性に合わせた配慮を学校に求めることができます」
     
     
     
     
     
    【正解】 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
障害のある子どもが通常の学級に在籍する場合、学校側は「合理的配慮」を提供する義務があります(障害者差別解消法)。個々の特性(ASDの特性や自己注射の管理など)に応じた柔軟な対応や環境整備を求めることが可能です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「お母さんが待機する必要があります」: 不正解です。学校生活を支えるのは教育現場の役割であり、保護者の常時待機を条件とすることは原則として認められません。

  2. 「校長が決定します」: 不正解です。就学先(通常の学級か特別支援学級か等)の決定は、専門家の意見を踏まえつつ、最終的には「保護者の意向を最大限に尊重」して市町村教育委員会が決定します。

  3. 「通級指導は受けられません」: 不正解です。通常の学級に在籍しながら、必要に応じて別室で指導を受ける「通級による指導」を併用することが可能です。

  4. 「配慮を学校に求めることができます」: 正解です。 これを「合理的配慮」と呼び、教室の座席位置、視覚的な指示(ボードの使用)、パニック時のクールダウン場所の確保などの相談が可能です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 特別支援教育: 一人ひとりの教育的ニーズに合わせ、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校などの多様な学びの場が用意されています。

  2. 通級による指導: ほとんどの時間を通常の学級で過ごし、必要に応じて一部の時間に別の教室で特別な指導を受ける仕組みです。

  3. 個別の教育支援計画: 医療、保健、福祉等の関係機関と連携し、長期的な視点から作成される支援プログラムです。
     
     

問106~120

次の文を読み 106〜108 の問いに答えよ。

Aさん (32歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。骨盤位のために妊娠38週0日に予定帝王切開術で午前11時に男児を出産した。分娩時出血量は480mLであった。出生後、手術室で男児と面会をして「無事に生まれてきてくれてありがとう」と話した。帰室後、子宮底は臍高、硬度良好、悪露は赤色で20gであった。後陣痛と創部痛があり夜間に鎮痛薬を使用した。
 
 

【問106】 帝王切開術後1日、午前9時、子宮底は臍下1横指、硬度良好、バイタルサインは体温36.9℃、呼吸数18/分、脈拍72/分、整、血圧110/70mmHgであった。夜間に排ガスを認めた。Aさんは「痛み止めを使用した後は眠れましたが、また痛みが出てきました。こんな状態で動けるか心配です。この後の予定を知りたいです」と話した。
このときの A さんへの説明で適切なのはどれか。

  1. 「入院中は毎日、タオルで身体を拭きます」

  2. 「膀胱に入れている管は明日抜きます」

  3. 「今日から歩行を開始します」

  4. 「食事は明日からです」
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
帝王切開を含む開腹術後は、腸閉塞(イレウス)や深部静脈血栓症の予防、子宮復古の促進のために「早期離床」が推奨されます。排ガスも認めており、術後 1 日目からの歩行開始は標準的なスケジュールです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「入院中は毎日、身体を拭きます」: 不正解です。経過が良ければ術後 2〜3 日目からシャワー浴が可能になります。

  2. 「膀胱に入れている管は明日抜きます」: 不正解です。歩行を開始するタイミングに合わせて、通常は当日(術後 1 日目)に抜去します。

  3. 「今日から歩行を開始します」: 正解です。 痛みがあれば鎮痛薬を使用しつつ、離床を進めることが回復を早めます。

  4. 「食事は明日からです」: 不正解です。排ガスも確認されており、術後 1 日目から飲水や流動食などの食事が開始されるのが一般的です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 帝王切開後の術後管理: 硬膜外麻酔の管理、子宮復古(硬さ・高さ)、悪露の量と性状、創部の観察が重要です。

  2. 下肢血栓予防: 早期離床に加え、足首の運動や間欠的空気圧迫装置の使用が行われます。

  3. 後陣痛: 術後の創部痛と区別しにくいことがありますが、子宮が収縮する際の痛みであり、授乳時に強まることが特徴です。
     
     

【問107】 帝王切開術後3日、子宮底は臍下3横指、悪露は褐色であった。乳房に熱感があり、乳管は左右とも3本開通しており、移行乳の分泌を認める。看護師が訪室するとAさんは「まだ、お腹の創が痛くて、動くのはつらいです」と話す。慣れない手付きで児に授乳をしながら「上手にできなくてごめんね」と児の顔を見て語りかけている。Aさんと児の目と目が合う様子がみられる。
アセスメントで適切なのはどれか。

  1. 子宮復古が遅れている。

  2. 乳汁分泌が遅れている。

  3. 母子相互作用がみられる。

  4. マタニティブルーズである。
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
母親が児に優しく語りかけたり、視線を合わせたり(エンフェイス)、児の状態に合わせて関わろうとする様子は、良好な「母子相互作用(アタッチメントの形成)」の現れです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 子宮復古が遅れている: 不正解です。術後 1 日目で臍下 1 横指、3 日目で臍下 3 横指(記載はありませんが順調な経過の文脈です)であり、特に遅延の兆候はありません。

  2. 乳汁分泌が遅れている: 不正解です。術後 3 日目で移行乳の分泌があり、乳管も開通し始めているのは正常な経過です。

  3. 母子相互作用がみられる: 正解です。 「ごめんね」という言葉は、児を一個の人格として尊重し、ケアがうまくいかない自分を反省する親心の現れであり、視線が合うことと合わせて良好な関係性を示しています。

  4. マタニティブルーズである: 不正解です。涙もろくなったり、強い不安や抑うつを呈する状態ですが、本事例の言動は正常な愛着形成の範囲内です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. エンフェイス(Enface): 母親が児を抱き、正面から視線を合わせようとする行動で、アタッチメントの重要な指標です。

  2. 移行乳: 分娩後 3日目頃〜10日目頃 に分泌される乳汁。初乳から成乳への過渡期で、脂肪分が増え白っぽくなります

  3. 母子同室の意義: 早期から児のリズムを知り、親としての実感を育むとともに、頻回授乳により乳汁分泌を促進します。
     
     

【問108】 帝王切開術後5日、診察の結果、明日退院することになった。Aさんの乳房は緊満しており、乳管は左右とも5、6本開通している。母児同室を行い、児の哺乳の欲求に合わせて1日10回の授乳を行っている。「母乳で育てたいと思っています。でもおっぱいが張ってつらいです。この子も上手に吸ってくれません」と看護師に話した。
このときの看護師の説明で適切なのはどれか。

  1. 「授乳の回数を減らしましょう」

  2. 「授乳前に乳輪を柔らかくしましょう」

  3. 「授乳と授乳の間は乳房を温めましょう」

  4. 「乳房の緊満が強くなるのはこれからです」
     
     
     
     
     
    【正解】 2

【30秒でわかる!ポイント解説】
乳房が緊満して硬くなると、児は乳輪部を深くくわえることができず、うまく吸えません。授乳前に軽く圧搾して乳輪を柔らかくしておくことで、児が吸い付きやすくなり、トラブルを防げます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「授乳の回数を減らしましょう」: 不正解です。張りがつらい時こそ、頻回に授乳して乳汁を排出させることが基本です。

  2. 「授乳前に乳輪を柔らかくしましょう」: 正解です。 乳輪部を柔軟にすることで、深いくわえ込み(ラッチオン)を助けます。

  3. 「授乳の間は温めましょう」: 不正解です。緊満による痛みがあるときは、冷湿布などで軽く冷やす方が苦痛緩和になります。温めるのは授乳直前が効果的です。

  4. 「乳房の緊満が強くなるのはこれからです」: 不正解です。術後 5 日目頃は乳汁生成が盛んになり、緊満のピークであることが多く、今現在のつらさへの対応が求められます。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 生理的緊満(正期的緊満): プロラクチンの働きにより乳管に乳汁が充満し、周囲の組織が浮腫を起こして硬くなる状態です。

  2. 乳頭トラブル予防: 浅いくわえさせ方は乳頭亀裂を招くため、正しい姿勢(抱き方)やラッチオンの指導が重要です。

  3. プロラクチンとオキシトシン: 吸啜刺激によりプロラクチン(乳汁を作る)とオキシトシン(乳汁を押し出す/子宮を収縮させる)が分泌されます。
     
     

次の文を読み 109〜111 の問いに答えよ。

Aさん(65歳、男性)は、妻と自営業を営んでおり、2人で暮らしている。2か月前に仕事で大きな失敗をし、謝罪と対応に追われ、あまり夜に眠れなくなり、食欲不振が続いている。1か月前から気分が落ち込み、仕事で妻から間違いを指摘されたことで自信をなくしていた。Aさんは死んでしまいたいと思い、夜に自宅でロープを使って自殺を図ろうとしたところを妻に見つけられた。妻に付き添われ、精神科病院を受診し、うつ病と診断された。受診当日に入院し、抗うつ薬の内服が開始された。Aさんは「生きていても仕方がない。どうせ誰も分かってくれない」と看護師に話した。
 
 

【問109】 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 「生きていれば良いことがありますよ」

  2. 「薬を飲むと数日で効いて楽になります」

  3. 「悲しいことが続くときは誰にでもあります」

  4. 「A さんがつらい状況にあることを私は心配しています」
     
     
     
     
     
    【正解】 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
自殺念慮がある絶望状態の患者に対して、「励まし」や「安易な保証」は禁物です。まずは患者のつらさを認め、看護師が「あなたのことを大切に思い、心配している」という関心を伝えることが、孤立感を防ぐ第一歩となります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「良いことがありますよ」: 不正解です。根拠のない励ましは、今の絶望感とのギャップを強め、かえって患者を追い詰めます。

  2. 「数日で効きます」: 不正解です。抗うつ薬の効果発現には通常 1〜2 週間以上かかります。不正確な情報は不信感に繋がります。

  3. 「誰にでもあります」: 不正解です。個人の固有の苦しみを一般化(矮小化)する発言であり、理解を得られていないと感じさせます。

  4. 「私は心配しています」: 正解です。 「I メッセージ」を用いて、患者の存在を肯定し、支える姿勢を示す共感的なアプローチです。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. うつ病の急性期看護: 自殺防止(安全の確保)が最優先です。十分な休息がとれる環境を整え、決断を迫らないようにします。

  2. 希死念慮のアセスメント: 「死にたい」という直接的な言葉だけでなく、身辺整理を始める、急に明るくなるなどの行動変化にも注意を払います。

  3. 心理教育: 脳の機能的な不調であることを説明し、本人の努力不足ではないこと、治療により回復することを伝えます。
     
     

【問110】 Aさんはその後しばらく会話をしたり、食事も少し食べられたりしていたが、入院3日から、臥床したままで1日中全く動かず、昏迷状態になった。検査の結果、軽度の脱水以外の異常はなかった。治療として修正型電気けいれん療法が開始されることになり、実施後20分でAさんは覚醒し、その後の観察中にけいれん発作は認めなかった。実施後30分、Aさんは突然起き上がり興奮し、大きな声で「仕事に行く」と言って病室から出ていこうとした。看護師が制止し、一緒に座って話を聞いたところ、見当識障害、記憶障害、注意障害が認められた。
Aさんの状態で正しいのはどれか。

  1. せん妄

  2. 躁状態

  3. 不安発作

  4. 前向性健忘
     
     
     
     
     
    【正解】 1

【30秒でわかる!ポイント解説】
電気けいれん療法(mECT)などの処置や、入院という環境変化のストレスにより、一時的に意識の混濁や見当識障害、興奮が生じる状態を「せん妄」と呼びます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. せん妄: 正解です。 急激に発症し、意識の曇り(意識混濁)や幻覚、興奮を伴う。処置後の精神状態の変化として典型的です。

  2. 躁状態: 不正解です。気分が異常に高揚し、万能感や活動性の昂進が長く続く状態で、急性の意識障害とは異なります。

  3. 不安発作: 不正解です。強い恐怖やパニック、動悸などを伴うもので、見当識障害を主とする興奮とは異なります。

  4. 前向性健忘: 不正解です。新しいことが覚えられなくなる症状で、ECT の長期副作用として見られることがありますが、この場面の興奮状態を説明するものではありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 修正型電気けいれん療法(mECT): 全身麻酔と筋弛緩薬を使用し、通電による骨折などの合併症を抑えた安全性に配慮した治療法です。

  2. 用途: 薬剤抵抗性のうつ病や、食事摂取が困難な昏迷状態など、高い即効性と確実性が求められる場合に実施されます。

  3. 実施後の看護: 麻酔からの覚醒に伴う呼吸管理、転倒・転落防止に加え、記憶障害などの認知機能の変化を継続的に観察します。
     
     

【問111】 入院1か月が経過し、Aさんは夜間の睡眠がとれるようになり、食事は全量摂取している。妻から間違いを指摘されたことを思い出し、「何をやってもきっと失敗するだけだ。今度はもっと大きな失敗をして仕事を辞めることになる。だから自分はだめな人間だ。努力しても意味がない」と看護師に言った。
Aさんへの治療法で最も適切なのはどれか。

  1. 森田療法

  2. 集団精神療法

  3. 認知行動療法

  4. 社会生活技能訓練(SST)
     
     
     
     
     
    【正解】 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
「自分はだめだ」「失敗するに決まっている」といった極端で否定的な思考パターン(認知の歪み)を修正し、現実的な捉え方や対処法を身につける治療法が「認知行動療法」です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 森田療法: 不正解です。強迫神経症などを対象に、「あるがまま」を受け入れ、目的本位の活動を促す日本独自の療法です。

  2. 集団精神療法: 不正解です。他者との関わりを通じて自己理解を深めるものですが、個別の認知の歪みを扱うには認知行動療法の方が具体的です。

  3. 認知行動療法: 正解です。 うつ病の再発防止や、自己肯定感の回復に極めて有効な治療法です。

  4. SST: 不正解です。統合失調症などの患者が、社会生活で必要な対人スキルを練習する訓練です。

【さらに深掘り!関連知識】

  1. 認知の歪み(自動思考): 「全か無か思考」「過度の一般化」「心のフィルター」など、うつ状態の人が陥りやすい極端な捉え方のことです。

  2. 曝露反応妨害法(ERP): 認知行動療法の一つで、不安が生じる状況に身を置き(曝露)、強迫行為(反応妨害)を我慢することで、不安が自然に消えることを学ぶ技法です。

  3. 受容と共感: 治療的アプローチの前段階として、看護師との信頼関係(ラポール)が不可欠です。
     
     

次の文を読み 112〜114 の問いに答えよ。

Aさん 24歳、女性は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があった
ことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRIが処方された。
 
 

【問112】 内服を始めて1週後、Aさんは看護師に「鍵を閉めたかどうかの確認が増え、睡眠時間が減ってつらい」と訴えている。
看護師の声かけで適切なのはどれか。

  1. 「主治医に薬の変更を相談しましょう」

  2. 「睡眠状況を具体的に教えてください」

  3. 「B さんに別の部署に異動したいと伝えてみましょう」

  4. 「鍵を閉めたかどうか気になるときは別のことを考えましょう」
     
     
     
     
     
    【正解】 2

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