第113回 看護師国家試験 午前問題【問31~60】徹底解説
こんにちは、なんでなんだナーシングです!
看護師国家試験の過去問を一緒に解いていきましょう!
このシリーズでは、過去問を解きながら正答の根拠と関連知識を確認できます。
正解した問題も解説まで確認し、曖昧な知識や苦手な分野を見つけながら学習を進めていきましょう!
■ おすすめの使い方
①まずは問題に挑戦する → ②正答と30秒ポイントを確認する → ③詳細解説で各選択肢の根拠を理解する → ④DL特典で苦手な問題を拾い直す
■ DL特典(PDF)
問31~60の「正答+30秒ポイント」をまとめた復習シートです。
「覚えた・あいまい・苦手」のチェック欄を使い、復習が必要な問題の整理に活用してください。
記事の一番下にある「ダウンロード」から受け取れます。
問31~40
【問31】 健やか親子 21(第2次)の基盤課題 A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の目標はどれか。
児童虐待による死亡数の減少
十代の人工妊娠中絶率の減少
妊娠・出産について満足している者の割合の増加
マタニティマークを妊娠中に使用したことのある母親の割合の増加
【正解】 3
【30秒でわかる!ポイント解説】
「健やか親子 21(第2次)」の目標設定に関する問題です。基盤課題 Aでは、単に病気や事故を防ぐだけでなく、妊産婦が「満足して出産・育児」ができるような心理的な支援、切れ目のないケアを重視しています。そのため、「満足している者の割合」を増やすことが具体的な指標として掲げられています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
児童虐待による死亡数の減少:不正解です。これは重点課題 B「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」に関連する側面が強いです。
十代の人工妊娠中絶率の減少:不正解です。これは重点課題 A「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」に含まれます。
妊娠・出産について満足している者の割合の増加:正解です。基盤課題 Aにおいて、サービスの質の向上や心理的ケアの成果を測る指標の一つです。
マタニティマークを妊娠中に使用したことのある母親の割合の増加:不正解です。健やか親子 21の具体的な「目標値」として設定されている主要な指標ではありません。
【さらに深掘り!関連知識】
健やか親子 21(第2次)の構成:3つの基盤課題(妊産婦、学童・思春期、健やかな成長)と、2つの重点課題(10代の健康、児童虐待)で構成されています。
推進期間:平成 27 年度から令和 6 年度まで、10年間の運動です。
切れ目ない支援:母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)などの設置が推進されています。
【問32】 健康寿命の説明で適切なのはどれか。
生活習慣病の予防は健康寿命を延ばす。
令和元年(2019 年)の健康寿命は女性より男性の方が長い。
令和元年(2019 年)の健康寿命は平成 28 年(2016 年)よりも短い。
平均寿命と健康寿命の差は健康上の問題なく日常生活が過ごせる期間である。
【正解】 1
【30秒でわかる!ポイント解説】
「健康寿命(日常生活に制限のない期間)」の定義と統計に関する問題です。健康寿命を延ばし、平均寿命との差(介護が必要な期間)を縮めることが国の大きな目標です。生活習慣病を予防することは、当然ながら自立した生活期間を延ばすことに直結します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
生活習慣病の予防は健康寿命を延ばす。:正解です。脳卒中や糖尿病などの合併症を防ぐことは、身体機能を維持し、自立した生活を守る鍵です。
令和元年(2019 年)の健康寿命は女性より男性の方が長い。:不正解です。平均寿命と同様に、健康寿命も女性の方が長いです(2019年:男性72.68歳、女性75.38歳)。
令和元年(2019 年)の健康寿命は平成 28 年(2016 年)よりも短い。:不正解です。健康寿命は算出開始以来、男女ともに延伸し続けています。
平均寿命と健康寿命の差は健康上の問題なく日常生活が過ごせる期間である。:不正解です。それは健康寿命自体の説明です。「差」は、日常生活に制限がある「不健康な期間(介護や支援が必要な期間)」を指します。
【さらに深掘り!関連知識】
健康寿命の目標:現在、「健康日本 21(第 2 次・第 3 次)」において、平均寿命よりも大きな幅で健康寿命を延ばすことが目標とされています。
平均寿命と健康寿命の差:男性は約 9 年、女性は約 12 年あります。この期間の短縮が課題です。
都道府県格差:健康寿命には都道府県間で差があり、その要因分析(食生活や運動習慣など)も行われています。
【問33】 入院中のAさんの親族と名乗る者から「急用があるためAさんと話をさせてほしい」と病棟に電話があった。看護師の対応で正しいのはどれか。
「用件を教えてください」
「このままおつなぎします」
「Aさんにかけ直してもらいます」
「Aさんという方が入院中かどうかはお答えできません」
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
個人情報保護とプライバシーの権利に関する問題です。医療機関において、ある患者が「入院している」という事実そのものが機密性の高い個人情報です。電話口の相手が自称「親族」であっても、本人確認ができない以上、入院の有無を含めた一切の情報提供を断るのが、現代の法的・倫理的な原則です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「用件を教えてください」:不正解です。用件を聞くことは、Aさんが入院していることを暗に認めてしまうことになります。
「このままおつなぎします」:不正解です。本人の同意なく、かつ身元不明の第三者に電話を繋ぐことはプライバシー侵害に当たります。
「Aさんにかけ直してもらいます」:不正解です。これも「Aさんがここにいる」と伝えているのと同じであり、不適切です。
「Aさんという方が入院中かどうかはお答えできません」:正解です。たとえ親族を名乗っていても、電話という手段では確実な本人確認が困難であるため、一律に回答を控えるのが正しい対応です。
【さらに深掘り!関連知識】
個人情報保護法:医療分野では特に厳格な取り扱いが求められます。患者本人の意向を確認した上で、どこまで情報を開示するかをあらかじめ決めておく運用が一般的です。
守秘義務:看護師には、正当な理由なく業務上知り得た他人の秘密を漏らしてはならない法的義務があります。
電話対応の原則:原則として、入院の有無や病状についての電話回答は行わない規定を設けている病院が多いです。
【問34】 成人の心音の聴取部位を図に示す。

心音の聴診における、僧帽弁領域はどれか。
ただし、聴取部位は●で示す。
①
②
③
④
【正解】 3
【30秒でわかる!ポイント解説】
心臓のどの「弁」の音がどこで最もよく聞こえるか(聴診部位)を問う定番問題です。僧帽弁(左房と左室の間)の音は、心尖部(しんぜんぶ)である「第5肋間の左鎖骨中線付近」で最もはっきり聴取できます。113回国家試験の図では、この部位が「③」として示されています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
①:不正解です。大動脈弁領域(右第2肋間胸骨縁)です。
②:不正解です。肺動脈弁領域(左第2肋間胸骨縁)です。
③:正解です。僧帽弁領域(左第5肋間鎖骨中線付近)です。心尖拍動を感じる部位とほぼ一致します。
④:不正解です。三尖弁領域(左第4肋間胸骨縁)です。
【さらに深掘り!関連知識】
第2心音(S2):大動脈弁領域と肺動脈弁領域で最も大きく聞こえます。
第1心音(S1):心尖部(僧帽弁領域)で最も大きく聞こえます。
聴診の順序:一般に、大動脈弁→肺動脈弁→三尖弁→僧帽弁、あるいはその逆の順に漏れなく行います。
【問35】 滅菌手袋を図に示す。

右手から装着する場合に、左手の母指と示指でつかんで持ち上げる位置で適切なのはどれか。
①
②
③
④
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
滅菌手袋を「滅菌状態を保ったまま」装着する手順の問題です。最初に装着する手(この場合は右手)については、滅菌されていない素手(左手)で触れていいため、手袋の「手首の折り返された内側(装着後に自分の肌に触れる部分)」を持ちます。手袋の外面(清潔な部分)を素手で触れてはいけません。
【なぜ?がわかる詳細解説】
①(指先):不正解です。素手で触れると不潔になります。
②(外面):不正解です。素手で触れると不潔になります。
③(手首外面):不正解です。ここも清潔な面であるため、素手で触れてはいけません。
④(折り返された内面):正解です。この部分は装着後に自分の肌に密着する面であるため、まだ装着していない左手(不潔)で触れても、手袋外面の清潔を保つことができます。
【さらに深掘り!関連知識】
2枚目の装着(左手):すでに滅菌手袋をはめた手(右手・清潔)で、左側の「折り返し部分の外面(清潔な袋状の部分)」に指を滑り込ませて持ち上げます。
【問36】 仰臥位の患者の良肢位で正しいのはどれか。
肩関節外転 90 度
肘関節屈曲 90 度
膝関節屈曲 90 度
足関節底屈 90 度
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
長時間の安静による関節の拘縮(固まること)を防ぐための「心地よく、かつ機能的な姿勢(良肢位)」を問う問題です。肘関節は、90度程度に軽く曲げておき、前腕を中間位に保つのが最も日常生活に戻りやすい「良肢位」とされています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
肩関節外転 90 度:不正解です。肩を90度外転させたまま固定すると、筋肉が不自然に緊張し、拘縮の際に日常生活が困難になります。通常は20〜30度程度の軽度外転が良肢位です。
肘関節屈曲 90 度:正解です。食事などの動作に最も適した角度であり、良肢位の代表例です。
膝関節屈曲 90 度:不正解です。90度曲がったまま固まると、歩行ができなくなります。0〜10度程度の軽度屈曲(ほぼ伸ばした状態)が良肢位です。
足関節底屈 90 度:不正解です。「底屈」は足先を下げた状態で、そのまま固まると「尖足(せんそく)」になり、歩行が不可能になります。良肢位は「背屈0度(足首を直角に曲げた状態)」です。
【さらに深掘り!関連知識】
尖足予防:足底にクッションを置いたり、フットボードを使ったりして足首を直角に保ちます。
関節可動域(ROM)訓練:拘縮を予防するために、意識的に関節を動かす支援が必要です。
【問37】 病室で読書をする際に適した照度はどれか。
100 ルクス
300 ルクス
500 ルクス
1,000 ルクス
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
療養環境における「光(照度)」の基準に関する問題です。JIS(日本産業規格)等の基準では、病院の全般照明(普段の部屋の明るさ)は100ルクス程度で良いですが、読書や書き物をするなど目を細かく使う場合は、手元を「300〜500ルクス」程度にするのが適切とされています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
100 ルクス:不正解です。病室の全般的な照明としては適していますが、読書をするには少し暗すぎます。
300 ルクス:正解です。読書に必要な明るさとして適切です。
500 ルクス:不正解です。この設問では、読書に適した照度として示される代表値は 300 ルクスです。
1,000 ルクス:不正解です。病室での読書としては過大な照度です。
【さらに深掘り!関連知識】
夜間の病室照度:患者の睡眠を妨げないよう、足元灯や夜間巡回時は1〜2ルクス程度が適切です。
羞明(しゅうめい):光を眩しく感じること。白内障や眼疾患のある患者への配慮が必要です。
【問38】 成人男性への膀胱留置カテーテルの挿入で適切なのはどれか。
挿入時は腹圧をかけるように促す。
カテーテルを挿入する長さの目安は 12~14 cm である。
尿の流出の開始と同時に固定用バルーンを膨らませる。
陰茎を頭側に向け、カテーテルを下腹部に固定する。
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
男性への導尿・カテーテル挿入手順と管理の問題です。男性は尿道が長く屈曲しているため、挿入時には陰茎を垂直に持ち上げるなどの配慮が必要です。また、カテーテルを留置した後は、尿道の屈曲を少なくし、粘膜への負担を減らすために「下腹部(上向き)」に固定するのが一般的です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
挿入時は腹圧をかけるように促す。:不正解です。腹圧がかかると尿道括約筋が緊張し、挿入しにくくなります。リラックスして口呼吸を促します。
カテーテルを挿入する長さの目安は 12~14 cm である。:不正解です。成人男性では、一般に 18~20 cm 程度を目安に挿入し、尿流出を確認後にさらに数 cm 進めてからバルーンを膨らませます。
尿の流出の開始と同時に固定用バルーンを膨らませる。:不正解です。尿が出始めた時点では、チップがまだ尿道内にあるかもしれません。必ずさらに2〜3cm進め、確実に膀胱内に入ったことを確認してから膨らませます。
陰茎を頭側に向け、カテーテルを下腹部に固定する。:正解です。尿道の屈曲部位(恥骨下弯曲)の負担を取り除き、褥瘡や炎症を防ぐために推奨される固定方法です。
【さらに深掘り!関連知識】
カテーテル関連尿路感染(CAUTI):留置カテーテルは感染のリスクが非常に高いため、必要がなくなれば速やかに抜去します。
閉鎖式ドレナージ:尿をためるバッグとの接続を外さない「閉鎖系」を保つことが感染予防の鉄則です。
蓄尿バッグの位置:常に膀胱よりも「低い」位置に保持し、逆流を防ぎます。
【問39】 排痰を促す目的で行うのはどれか。
タッチング
スクイージング
漸進的筋弛緩法
持続的気道陽圧(CPAP)療法
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
痰を効率よく出すための「呼吸理学療法」に関する問題です。患者の呼気(息を吐く時)に合わせて、看護師が胸郭を手で圧迫し、空気の流れを強めて痰を中枢(のど)の方へ移動させる手技を「スクイージング」と言います。
【なぜ?がわかる詳細解説】
タッチング:不正解です。安心感を与えたり苦痛を緩和したりするコミュニケーション技術の一つです。
スクイージング:正解です。直接的に痰を移動させるための排痰援助技術です。
漸進的筋弛緩法:不正解です。筋肉の緊張とリラックスを繰り返すリラクゼーション法です。
持続的気道陽圧(CPAP)療法:不正解です。睡眠時無呼吸症候群や心不全などで、気道に圧力をかけて広げておく治療です(直接の排痰法ではありません)。
【さらに深掘り!関連知識】
体位ドレナージ:重力を利用して、痰が溜まっている部位を上にして痰を流し出す方法です。スクイージングと併用すると効果的です。
ハフィング:強く「ハッ、ハッ」と息を吐き出すことで、痰を移動させる方法です。
加湿:痰が硬くなると出しにくくなるため、ネブライザーなどで加湿することも排痰には有効です。
【問40】 鼻中隔前方からの出血への対応で正しいのはどれか。
仰臥位にする。
ベロックタンポンを挿入する。
キーゼルバッハ部位を圧迫する。
咽頭に流れてきた血液は飲み込むよう説明する。
【正解】 3
【30秒でわかる!ポイント解説】
鼻出血の大部分を占める「キーゼルバッハ部位(鼻の入り口近くの中隔)」からの出血への対応を問う問題です。鼻翼(小鼻)を両側から強くつまんで圧迫し、血を止めます。体位は、血液がのどに流れないように「坐位または前傾姿勢(頭を軽く下げる)」をとります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
仰臥位にする。:不正解です。仰向け(仰臥位)にすると、血液がのどに流れて誤嚥したり、飲み込んで胃を刺激し嘔吐の原因になったりします。
ベロックタンポンを挿入する。:不正解です。後鼻孔からの重篤な出血(鼻の奥からの出血)に用いる専門的な処置であり、通常の前方出血の第一選択ではありません。
キーゼルバッハ部位を圧迫する。:正解です。鼻出血の約9割はこの部位からです。5〜10分間しっかり圧迫します。
咽頭に流れてきた血液は飲み込むよう説明する。:不正解です。血液を飲み込むと気分が悪くなり嘔吐を誘発するため、飲み込まずに静かに吐き出すよう説明します。
【さらに深掘り!関連知識】
冷却:鼻の付け根を冷やすことで血管が収縮し、止血を助けることができます。
安静:止血後もしばらくは鼻をかんだり、激しい運動をしたりしないよう指導します。
受診の目安:圧迫を続けても30分以上止まらない場合などは、耳鼻科受診が必要です。
問41~50
【問41】 成人のがん患者が痛みの程度を数値で回答するスケールはどれか。
フェイススケール
NRS
VAS
VRS
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
痛みの強さを客観的に評価するツール(ペインスケール)の問題です。「数値で回答」という点がポイントです。NRS(Numerical Rating Scale)は、0(痛みなし)から10(最悪の痛み)までの11段階の数字で患者に選んでもらう方法で、簡便なため臨床で最も広く使われています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
フェイススケール:不正解です。顔の表情(笑顔〜泣き顔)で選んでもらう方法です。主に言葉での意思疎通が難しい小児や、認知機能が低下した患者に用いられます。
NRS:正解です。11段階の「数値」で痛みを表現してもらいます。
VAS:不正解です。10cmの線上のどこに痛みが位置するかを「指し示す(または印をつける)」方法です。数値ではなく視覚的なアナログ尺度です。
VRS:不正解です。「痛くない」「少し痛い」「かなり痛い」といった「言葉(記述)」の中から選んでもらう方法です。
【さらに深掘り!関連知識】
除痛ラダー:WHOが提唱する3段階の鎮痛薬等使用の目安。痛みの強さに応じて非オピオイドから強オピオイドへと進めます。
痛みのアセスメント:発生機序(内臓痛、体性痛、神経障害性疼痛)と、強さ、持続時間、変化のパターンを確認します。
看護の役割:数値としての強さだけでなく、痛みが日常生活(睡眠や食欲)にどう影響しているかを聞き取ることが重要です。
【問42】 肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。考えられる原因はどれか。
黄疸
出血
腹水
胆汁漏
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
術後のドレーン排液の「色」から合併症を推測する実戦的な問題です。肝臓や胆道の手術後に、「黄褐色〜緑褐色」の液体が出てきた場合は、胆管から胆汁が漏れている「胆汁漏(たんじゅうろう)」を第一に疑います。胆汁漏は腹膜炎などを引き起こす可能性があるため、早期の発見が求められます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
黄疸:不正解です。黄疸は血液中のビリルビン濃度が高まり、皮膚や眼球が黄色くなる状態であり、ドレーン排液の色のみで判断する術後合併症ではありません。
出血:不正解です。出血であれば、鮮紅色〜暗紅色の排液が見られます。
腹水:不正解です。腹水(漿液性液)は、通常は淡黄色で透明感のあるさらさらした液体です。
胆汁漏:正解です。胆汁特有の色(黄褐色〜緑色)を呈しており、肝切除術において特に注意すべき重大な合併症です。
【さらに深掘り!関連知識】
ビリルビンの色:胆汁の主成分であるビリルビンは、酸化されると緑色(ビリベルジン)に変化するため、排液が緑色に見えることもあります。
術後出血:術直後に血性排液が急増した場合は、再出血を疑い、バイタルサインの確認(低血圧、頻脈)を急ぎます。
ドレーン管理:排液の「量」「色」「性状(さらさら、どろどろ)」、および「臭い」の観察が基本です。
【問43】 減感作療法を受ける患者への説明で適切なのはどれか。
「治療期間は1か月です」
「静脈内注射でアレルゲンを投与します」
「治療後はアレルゲンを気にせず生活できます」
「投与後 30 分はアナフィラキシー症状を観察します」
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
アレルギーを根本から治すことを目指す「減感作療法(アレルゲン免疫療法)」の注意点です。あえてアレルギーの原因物質を少しずつ体内に入れるため、稀に激しいアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる危険があります。そのため、注射後は院内で一定時間(30分程度)安静にし、経過を観察することが義務付けられています。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「治療期間は1か月です」:不正解です。減感作療法は数か月から、通常は3〜5年という長い期間をかけて徐々に体を慣らしていく治療です。
「静脈内注射でアレルゲンを投与します」:不正解です。皮下注射、または近年では舌の下に薬を置く「舌下免疫療法」が主流です。
「治療後はアレルゲンを気にせず生活できます」:不正解です。症状が劇的に改善することも多いですが、完全にアレルゲンとの接触を無視して良いわけではなく、あくまで「症状を抑える・出にくくする」ための治療です。
「投与後 30 分はアナフィラキシー症状を観察します」:正解です。注射から30分以内に急激なショック症状が現れる可能性があるため、厳重な観察が必要です。
【さらに深掘り!関連知識】
適応:スギ花粉症やダニ(ハウスダスト)によるアレルギー性鼻炎などが代表的です。
作用機序:アレルゲンを繰り返し投与することで、体内に「ブロック抗体(IgGなど)」ができたり、免疫を抑える細胞が働いたりするようになり、反応が軽減されます。
アドレナリン:アナフィラキシーが疑われる場合には、直ちにアドレナリンの筋肉注射が行える体制を整えておく必要があります。
【問44】 尋常性乾癬の患者への説明で正しいのはどれか。
患部に日光を当てない。
搔痒感があるときは患部を温める。
機械的刺激が加わらないよう患部を覆う。
落屑が多いときは蛋白質の摂取を減らす。
【正解】 3
【30秒でわかる!ポイント解説】
乾癬(かんせん)の生活指導における「ケブネル現象」の予防がポイントです。乾癬の皮膚にこすったり叩いたりといった刺激(機械的刺激)が加わると、そこからさらに新しい発疹が広がってしまいます。そのため、衣類による摩擦や、掻きむしるなどの刺激を避けるように指導します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
患部に日光を当てない。:不正解です。尋常性乾癬にはむしろ「日光浴(紫外線照射)」が治療法の一つとして有効です。ただし、日焼けしすぎるのは逆効果(刺激)になるため注意が必要です。
搔痒感があるときは患部を温める。:不正解です。温めると血流が良くなり、かゆみが強まってしまいます。かゆい時は冷やすのが基本です。
機械的刺激が加わらないよう患部を覆う。:正解です。物理的な刺激(摩擦、圧迫)によって病変が拡大する「ケブネル現象」を防ぐため、ゆったりした服を着るなどの対策を勧めます。
落屑が多いときは蛋白質の摂取を減らす。:不正解です。落屑(皮膚が剥がれ落ちること)でタンパク質が失われることはありますが、摂取を制限する必要はありません。バランスの良い食事が大切です。
【さらに深掘り!関連知識】
尋常性乾癬の症状:銀白色の鱗屑(りんせつ)が付いた紅斑が特徴で、肘や膝など刺激を受けやすい場所によく見られます。
感染性:乾癬はアレルギーや免疫バランスの異常によるものであり、他人にうつることは絶対にありません。
外用薬:副腎皮質ステロイド軟膏や、ビタミンD3外用薬などが主に用いられます。
【問45】 喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者にみられるのはどれか。
難聴
嗅覚低下
咀嚼困難
誤嚥
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
喉頭がんなどで喉頭を全摘出した患者の「気道の変化」を理解する問題です。全摘出(気管孔造設)をすると、鼻・口と気道が完全に切り離され、呼吸は首の「穴(気管孔)」から直接行うようになります。鼻に空気が通らなくなるため、匂いを感じる「嗅覚」が著しく低下します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
難聴:不正解です。喉頭摘出が直接耳の機能(聴覚)に影響を与えることはありません。
嗅覚低下:正解です。臭い分子は鼻を通る空気の流れとともに感知されます。気管孔呼吸になると鼻呼吸ができなくなるため、嗅覚はほとんど失われます。
咀嚼困難:不正解です。顎や歯、舌の動きには影響がないため、噛むこと自体は可能です。ただし、喉頭がないため発声方法が変わるなどの影響はあります。
誤嚥:不正解です。ここが重要です。気道と食道が完全に分離されるため、食べ物が気管に入る「誤嚥」は構造上起こらなくなります。
【さらに深掘り!関連知識】
食道発声:声帯を失った後、食道に空気を送り込んで音を出す発声法です。
鼻呼吸の機能消失:鼻を通らないことで、吸気の「加温・加湿・異物除去」ができなくなります。そのため、気管孔から乾燥した冷たい空気が入りやすく、痰が増えやすくなります。
気管孔の保護:エプロンやガーゼなどで気管孔を覆い、異物の侵入や乾燥を防ぐ必要があります。
【問46】 自助具を図に示す。関節リウマチによって肩関節に痛みがある患者の関節への負担を軽減する自助具で適切なのはどれか。

①
②
③
④
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
関節の痛みや変形があっても、日常生活を自分で行えるように助ける「自助具」の選択問題です。肩の関節が痛くて動かせない(可動域が制限されている)場合、一番困るのは背中を洗ったり、髪を整えたりする「高い位置・遠い位置」への動作です。これを解決するために、柄を長くした「長柄ブラシ」などが適合します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
①(万能カフ):不正解です。手指の関節の変形や握力低下があり、細いものを握るのが難しい場合に適しています。
②(長柄ブラシ):正解です。肩を大きく上げなくても、長い柄を利用して頭を整えたり背中を洗ったりできるため、肩関節の負担を大幅に軽減します。
③(コップホルダー):不正解です。握力が弱くても、手全体や腕を通して持てるように工夫されたものです。
④(ボタンエイド):不正解です。指先の細かい動き(緻密動作)が困難な場合に用いる道具です。
【さらに深掘り!関連知識】
関節保護の原則:大きな関節を使う、強い力をかけない、長時間同じ姿勢をとらないといった工夫を指導します。
リーチャー:マジックハンドのようなもので、遠くのものを取ったり靴下を履いたりするのを助けます(肩や腰の負担軽減に有効)。
作業療法士(OT):患者の心身の状態に合わせて、最適な自助具の選定や使い方の指導を行います。
【問47】 A さん(47 歳、男性、会社員)は、尿管結石による疝痛発作で入院した。入院翌日、自然に排石され、疼痛は消失したものの、結石が残存している。入院前は、ほぼ毎日、飲酒を伴う外食をしていた。A さんへの退院指導で適切なのはどれか。
「シュウ酸を多く含む食品を摂取しましょう」
「1日 2L 程度の水分を摂取しましょう」
「排石までは安静にしましょう」
「飲酒量に制限はありません」
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
尿路結石の再発防止と、残っている結石の排出を促すための生活指導です。基本的な対策は「大量の水分摂取」です。尿を薄めることで、新しい結石が作られるのを防ぎ、かつ尿流によって小さな結石を押し流す効果があります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「シュウ酸を多く含む食品を摂取しましょう」:不正解です。尿路結石(特にシュウ酸カルシウム結石)の原因になるため、シュウ酸(ほうれん草、お茶、チョコレートなど)の摂りすぎは控えるよう指導します。
「1日 2L 程度の水分を摂取しましょう」:正解です。1日の尿量を2L以上に保つことが推奨されるため、食事以外で2L程度の水分摂取を目指します。
「排石までは安静にしましょう」:不正解です。極端な激しい運動は避けますが、適度な運動(ウォーキングなど)はむしろ結石の下降・排出を助けます。
「飲酒量に制限はありません」:不正解です。アルコールは尿酸値を上げたり、尿を濃縮させたり(利尿作用の結果)するため、結石のリスクを高めます。
【さらに深掘り!関連知識】
疝痛(せんつう)発作:尿管が結石で詰まって急激に膨らむことで起こる、のたうち回るような激痛です。
カルシウム摂取:昔は制限されていましたが、現在は「食事でカルシウムを摂ることで、腸内でシュウ酸と結びついて便として排出される」ため、適度の摂取が推奨されています。
就寝前の食事:寝ている間は尿が濃縮されるため、就寝直前の食事は避け、寝る前にも軽く水分を摂ることが望ましいです。
【問48】 マンモグラフィを受ける成人女性への説明で適切なのはどれか。
「仰臥位で行います」
「検査前は絶食です」
「造影剤を使います」
「二方向から撮影します」
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
乳がん検診で用いられる乳房専用のエックス線検査「マンモグラフィ」の特徴です。乳房を上下・左右から圧迫板ではさみ、平らに広げて撮影します。通常、診断の精度を高めるために、垂直方向(CC:頭尾方向)と斜め方向(MLO:内外斜位方向)の「二方向」から撮影します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「仰臥位で行います」:不正解です。立位(または坐位)で行い、撮影装置に乳房を乗せて圧迫します。
「検査前は絶食です」:不正解です。消化管の検査ではないため、食事制限は一切ありません。
「造影剤を使います」:不正解です。造影剤は一般的には使用しない単純エックス線撮影です。
「二方向から撮影します」:正解です。重なりで見えにくい病変を見逃さないために、方向を変えて撮影するのが標準的です。
【さらに深掘り!関連知識】
乳房の圧迫:痛みを伴うことがありますが、組織を薄く広げることで放射線量を抑え、かつ写りを鮮明にするために不可欠です。
注意:妊娠中(または妊娠の可能性がある場合)は検診としてのマンモグラフィは原則避け、必要性がある場合は医師判断で実施します。ペースメーカー使用や豊胸手術(インプラント等)がある場合は、撮影時の圧迫や体位に配慮が必要なため、事前に申告します。
超音波検査(エコー):若年者などでマンモグラフィでは乳腺が高濃度(デンスブレスト)で見えにくい場合に併用されます。
【問49】 A さん(86 歳、女性)は、生まれ育った地域で、近所に住む友人と交流しながら1人で暮らしていた。買い物へ行く途中に転倒し、腰椎圧迫骨折で入院治療を受けた。退院後は他県に住む長女夫婦と同居している。暮らし始めて間もなく、A さんは「私はここで暮らして、新しい友人ができるかしら」と長女に訴えるようになり、徐々に口数が少なくなった。このときの A さんの状況はどれか。
閉じこもり
廃用症候群
セルフ・ネグレクト
リロケーションダメージ
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
高齢者が住み慣れた環境から急に別の場所(病院、施設、子供の家など)へ移ることで受ける、精神的・身体的な健康障害を「リロケーションダメージ(移転による混乱)」と言います。うつ状態、混乱、活動性の低下などが見られ、認知症と間違われることもあります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
閉じこもり:不正解です。外出しない状態を指しますが、Aさんの訴えの背景にあるのは「環境の変化による苦悩」です。
廃用症候群:不正解です。長期間動かないことで起こる筋力低下や関節拘縮などの身体的変化です。
セルフ・ネグレクト:不正解です。自分の生活や健康に関心を失い、ゴミ屋敷化したり医療を拒否したりする状態です。
リロケーションダメージ:正解です。86年間住んだ土地を離れ、人間関係も断絶されたことで、適応障害やうつ状態に陥っている典型的なケースです。
【さらに深掘り!関連知識】
予防:可能であれば短期間の体験入居を挟む、なじみの家具や写真、愛用品を一緒に持っていくなどの配慮が有効です。
社会的環境:高齢者にとって「ご近所さん」とのゆるやかな繋がりは、QOLを維持する非常に重要な社会的資源です。
看護の役割:変化に対する不安を傾聴し、前の環境での思い出を肯定的に捉えられるように関わります。
【問50】 高齢者の歩行時につまずきが見られる場合、筋力低下が考えられる筋肉はどれか。
大殿筋
前脛骨筋
下腿三頭筋
大腿四頭筋
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
高齢者の転倒原因の一つである「つまずき」のメカニズムです。つまずく最大の原因は、歩く時につま先が上がらなくなることです。足首を手前(上)に曲げる「背屈(はいくつ)」を司っている筋肉は、すねの前にある「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」であり、ここが弱くなるとわずかな段差で足を取られるようになります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
大殿筋:不正解です。お尻の筋肉で、股関節を後ろに引く(伸展)働きがあり、姿勢の保持や階段の上り下りに重要です。
前脛骨筋:正解です。足関節の背屈を行い、歩行時の遊脚期につま先が地面に擦れないように持ち上げます。
下腿三頭筋:不正解です。ふくらはぎの筋肉で、足首を下げる「底屈」を行い、地面を蹴り出す力を生みます。
大腿四頭筋:不正解です。太ももの前の筋肉で、膝を伸ばす働きがあり、立ち上がりや歩行の安定性に欠かせません。
【さらに深掘り!関連知識】
尖足(せんそく):前脛骨筋の麻痺や拮抗する下腿三頭筋の緊張により、つま先が下がったまま固定された状態です。
外反母趾:高齢者の歩行不安定の要因になります。
筋力トレーニング:高齢者には、椅子に座ったままつま先を持ち上げる運動(前脛骨筋の強化)などが転倒予防として推奨されます。
問51~60
【問51】 高齢者の医療の確保に関する法律の内容で正しいのはどれか。
医療の給付は市町村が行う。
高齢者は一律 3 割の医療費を自己負担する。
40 歳以上の被保険者と被扶養者にがん検診を行う。
後期高齢者の医療給付の内容は国民健康保険と同じである。
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
後期高齢者医療制度などを定めた「高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)」に関する問題です。75歳以上の後期高齢者が受ける医療給付の「内容(診察、処置、手術など)」自体は、国民健康保険や職域保険(健康保険)と変わりません。窓口での自己負担割合や、運営主体(広域連合)などの仕組みが異なります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
医療の給付は市町村が行う。:不正解です。運営主体(保険者)は、都道府県ごとのすべての市町村が加入する「後期高齢者医療広域連合」が行います。
高齢者は一律 3 割の医療費を自己負担する。:不正解です。原則 1 割(現役並み所得者は 3 割、一定以上の所得がある場合は 2 割)負担です。
40 歳以上の被保険者と被扶養者にがん検診を行う。:不正解です。この法律に基づき行われるのは「特定健康診査(メタボ健診)・特定保健指導」です。がん検診は「健康増進法」に基づきます。
後期高齢者の医療給付の内容は国民健康保険と同じである。:正解です。給付される医療サービスの内容そのものに差はありません。
【さらに深掘り!関連知識】
対象者:75歳以上(後期高齢者)、および一定の障害があると認定された65歳〜74歳(前期高齢者の一部)です。
財源構成:患者負担を除き、公費(国・都道府県・市町村)が約 5 割、現役世代からの支援金が約 4 割、本人の保険料が約 1 割で賄われています。
健康日本 21 との関連:生活習慣病の予防を通じて、健康寿命の延伸を目指すこともこの法律の目的の一つです。
【問52】 高齢者のコミュニケーション障害の要因と状態の組合せで正しいのはどれか。
歯牙の欠損 — 言葉が出てこない。
耳垢の蓄積 — 音が小さく聞こえる。
想起能力の低下 — 相手の表情が読み取れない。
語音弁別能の低下 — はっきり発音できない。
【正解】 2
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