第115回 看護師国家試験 午前問題【問31~60】徹底解説
こんにちは、なんでなんだナーシングです!
看護師国家試験の過去問を一緒に解いていきましょう!
このシリーズでは、過去問を解きながら正答の根拠と関連知識を確認できます。
正解した問題も解説まで確認し、曖昧な知識や苦手な分野を見つけながら学習を進めていきましょう!
■ おすすめの使い方
①まずは問題に挑戦する → ②正答と30秒ポイントを確認する → ③詳細解説で各選択肢の根拠を理解する → ④DL特典で苦手な問題を拾い直す
■ DL特典(PDF)
問31~60の「正答+30秒ポイント」をまとめた復習シートです。
「覚えた・あいまい・苦手」のチェック欄を使い、復習が必要な問題の整理に活用してください。
記事の一番下にある「ダウンロード」から受け取れます。
問31~40
【問31】 法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。
児童福祉法 ─ 医療的ケア児が在籍する学校への看護師の配置
母子保健法 ─ 経済的に困窮した妊産婦の助産施設入所
アルコール健康障害対策基本法 ─ 20歳未満の飲酒の禁止
障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律) ─ 市町村への通報義務
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)では、養護者(家族等)・障害者福祉施設従事者・使用者(雇用主)による虐待を発見した者に通報義務が規定されています。養護者・障害者福祉施設従事者等による虐待は市町村へ、使用者による虐待は市町村または都道府県へ通報します。各法律の内容・役割の組み合わせは頻出事項です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
児童福祉法 ─ 医療的ケア児が在籍する学校への看護師の配置:不正解です。医療的ケア児が在籍する学校への看護師配置等は「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」(令和3年施行)に規定されています。児童福祉法は児童の福祉増進全般を目的とした法律で、保育所・児童相談所・里親制度等を規定します。
母子保健法 ─ 経済的に困窮した妊産婦の助産施設入所:不正解です。経済的な理由で入院・助産を受けられない妊産婦への助産施設入所の措置は「児童福祉法」に規定されています。母子保健法は妊娠届・母子健康手帳交付・乳幼児健診・保健指導などを規定します。
アルコール健康障害対策基本法 ─ 20歳未満の飲酒の禁止:不正解です。20歳未満の者の飲酒禁止は「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」(旧称:未成年者飲酒禁止法)に規定されています。アルコール健康障害対策基本法はアルコール依存症等の予防・対策の基本理念を定めた法律です。
障害者虐待防止法 ─ 市町村への通報義務:正解です。障害者虐待防止法(平成24年施行)では、養護者・障害者福祉施設従事者等による障害者虐待は市町村へ、使用者による障害者虐待は市町村または都道府県へ通報する義務が規定されています。
【さらに深掘り!関連知識】
虐待に関連する法律の通報先:児童虐待→市町村または児童相談所(都道府県等)、高齢者虐待→市町村、障害者虐待→養護者・施設従事者等による虐待は市町村、使用者による虐待は市町村または都道府県
高齢者虐待防止法(高齢者の虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律):類似した構造で「市町村への通報義務」が規定されています。
虐待の5分類(障害者虐待防止法):身体的虐待・放棄(ネグレクト)・心理的虐待・性的虐待・経済的虐待
【問32】 廃棄物とその処理に関する記述で正しいのはどれか。
産業廃棄物は都道府県の責任で処理される。
在宅医療に伴う廃棄物は医療廃棄物として取り扱う。
事業活動に伴って生じる廃棄物は全て産業廃棄物として取り扱う。
使用済みの注射針は、専用廃棄容器を用いれば一般廃棄物とすることができる。
【正解】 なし(採点対象除外)
【30秒でわかる!ポイント解説】
第115回看護師国家試験の公式正答表では、問32(A032)の正答欄は空欄であり、採点対象除外です。厚生労働省は、設問文が不明瞭であることを採点対象除外の理由として公表しています。そのため、本問では特定の選択肢を正解として扱いません。
【なぜ?がわかる詳細解説】
公式正答表ではA032の正答番号が示されていないため、選択肢2を含むいずれの選択肢も公式正答とは断定できません。厚生労働省は、設問文が不明瞭であるため採点対象から除外すると公表しています。
廃棄物の分類や処理方法を学習する際は、排出場所、排出主体、廃棄物の性状、自治体ごとの回収方法などを区別して確認する必要があります。
【さらに深掘り!関連知識】
採点対象除外の問題:公式正答表で正答欄が空欄の問題は、特定の選択肢を正解として採点しません。
学習時の扱い:採点対象除外の問題に独自の正答番号を付けず、公式の取り扱いを優先します。
制度の確認:廃棄物の法的分類や具体的な回収方法を解説する場合は、現行法令と自治体・医療機関の最新の案内を別途確認します。
【問33】 禁酒を指導されている患者が「禁酒できたらもっと健康的な生活になるね。自分は我慢強いところがあるからやれると思う」と話し、3週間禁酒を続けている。患者の行動変容を促したのはどれか。
自己洞察
自己効力感
自己中心性
自己同一性
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
「自分は我慢強いところがあるからやれると思う」という発言は「自己効力感(self-efficacy)」を示しています。自己効力感とは「自分はこの行動を達成できる」という自信・信念であり、バンデューラ(Bandura)が提唱した概念です。行動変容理論の重要なキーワードです。
【なぜ?がわかる詳細解説】
自己洞察:不正解です。自己洞察とは「自分の感情・動機・思考・行動パターンを深く理解すること」です。「禁酒できたら健康的な生活になる」という言葉には自己洞察の要素もありますが、行動変容(3週間の禁酒継続)を促したより直接的な要因は自己効力感です。
自己効力感:正解です。「自分は我慢強いところがあるからやれると思う」という言葉は「この行動(禁酒)を自分は成功できる」という自己効力感を表しています。自己効力感は健康行動を開始・継続させる最も強力な心理的要因の一つです。
自己中心性:不正解です。自己中心性とは他者の視点を取れず自分の視点中心で物事を見る傾向です(ピアジェの発達理論では前操作期の特徴)。行動変容の促進要因ではありません。
自己同一性(アイデンティティ):不正解です。自己同一性とは「自分が何者であるか」という一貫した自己認識です(エリクソンの発達課題:青年期)。行動変容を促す直接的な要因ではありません。
【さらに深掘り!関連知識】
自己効力感を高める4つの源泉(Bandura):①遂行経験(実際にやってみて成功した体験)②代理的経験(他者の成功を見て「自分にもできそう」と思う)③言語的説得(「あなたならできる」という励ましの言葉)④生理的・情動的状態(緊張・不安の低減)
健康信念モデル(Health Belief Model):行動変容を予測する代表的なモデルで、疾病への罹患性・重篤性の認知・行動の有益性と障壁の認知・行動のきっかけ(cue to action)・自己効力感が行動を決定するとされます。
行動変容ステージモデル(TTM):前熟考期→熟考期→準備期→実行期→維持期の5段階で行動変容のプロセスを表したモデルです。この患者は「実行期」に相当します。
【問34】 臥床して右股関節と右膝関節を90度屈曲位にした図をAに示す。Aの状態から右下肢を矢印の方向に動かしてBの状態になった。このときの股関節の運動はどれか。

外旋
外転
内旋
内転
【正解】 3
【30秒でわかる!ポイント解説】
仰臥位で股関節と膝関節をそれぞれ90度屈曲し、右下腿(足部)を身体の外側へ倒すと、右股関節では「内旋」が起こります。股関節屈曲位では、下腿の動きと股関節の回旋方向が反対に見える点がポイントです。
【なぜ?がわかる詳細解説】
股関節と膝関節を90度屈曲した状態で考えます:
外旋:股関節が外旋すると、屈曲した膝の位置を保ったまま下腿は身体の内側へ動きます。
外転:股関節の外転は、大腿部全体を身体の中心線から外側へ離す動きです。
内旋:正解です。股関節90度屈曲位では、下腿を身体の外側へ動かすと大腿骨が内向きに回旋します。
内転:股関節の内転は、大腿部全体を身体の中心線へ近づける動きです。
【さらに深掘り!関連知識】
関節可動域(ROM)の正常値(股関節):屈曲125度・伸展15度・外転45度・内転20度・外旋45度・内旋45度
変形性股関節症と内旋:変形性股関節症では股関節の内旋・外転が制限されることが多く、リハビリで可動域訓練を行います。
トーマステスト(Thomas test):股関節屈曲拘縮の評価法で、健側下肢を胸に引き付けた際に患側下肢が持ち上がれば屈曲拘縮があると判断します。
【問35】 Fowler〈ファウラー〉位で膝窩に枕を挿入する理由で正しいのはどれか。
頸部の前屈を防ぐ。
上半身のずれを防ぐ。
脊柱の生理的弯曲を保つ。
尖足を防ぐ。
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
ファウラー位(床上30〜90度の頭部挙上体位)では、重力により身体が足元方向に「ずれ」やすくなります。膝窩(膝の裏)に枕を挿入することで下肢が固定され、上半身のずれ(ずり落ち)が防止できます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
頸部の前屈を防ぐ:不正解です。頸部前屈を防ぐには頭部・頸部に枕を適切に当てることが有効です。膝窩への枕挿入とは関係ありません。
上半身のずれを防ぐ:正解です。ファウラー位は上体を起こした体位であるため、重力の作用で身体が足元方向へずれ(shear:ずり)やすくなります。膝窩に枕を挿入することで膝関節が軽度屈曲され、足部がベッドに踏ん張れることで身体のずれを防ぎます。これにより褥瘡予防(ずり力の軽減)にもなります。
脊柱の生理的弯曲を保つ:不正解です。腰背部の生理的弯曲(腰椎前弯)を保つには腰椎部への腰当て枕を使用します。膝窩への枕挿入の目的とは異なります。
尖足を防ぐ:不正解です。尖足(足が足底屈したまま固定される状態)の予防には足底をフットボードや足枕で支持することが重要です。膝窩への枕挿入の主目的ではありません(間接的に足が地に付きやすくなる効果はあります)。
【さらに深掘り!関連知識】
ファウラー位の角度分類:半ファウラー位(15〜30度)・ファウラー位(45〜60度)・高ファウラー位(60〜90度)と分類されます。
ファウラー位の適応:呼吸困難患者の呼吸補助・経腸栄養中の誤嚥予防(30度以上)・心不全患者の前負荷軽減・腹部手術後などに用います。
ずり(shear)と圧迫の二重苦:ファウラー位では皮膚表面への圧迫に加えてずり力(皮膚が引っ張られる力)が加わることで褥瘡リスクが高まります。ずれの防止が重要です。
【問36】 腹部の打診で観察するのはどれか。
鼓音
反跳痛
筋性防御
腫瘤の硬さ
【正解】 1
【30秒でわかる!ポイント解説】
「打診」で観察できるのは「鼓音(空気が入った臓器で生じる太鼓のような響く音)」と「濁音(実質臓器・液体貯留部位で生じる鈍い音)」です。反跳痛・筋性防御・腫瘤の硬さはすべて「触診」で評価します。診察法(視診・聴診・打診・触診)の使い分けを整理しましょう。
【なぜ?がわかる詳細解説】
鼓音:正解です。腹部打診では腸管内の空気(正常)が多い部位では鼓音(drum-like sound)が得られます。腹水貯留・腫瘤・実質臓器では濁音となります。腹部打診により腹水の存在(移動性濁音)や腸閉塞(著明な鼓音)などを評価します。
反跳痛(Blumberg徴候):不正解です。反跳痛は「触診」による所見です。腹壁をゆっくり圧迫した後急に離した際に痛みが増強する場合を反跳痛といい、腹膜炎のサインです。
筋性防御:不正解です。筋性防御(involuntary guarding)は腹壁の筋肉が不随意に緊張する「触診」所見で、腹膜刺激症状(急性腹膜炎・消化管穿孔)を示します。
腫瘤の硬さ:不正解です。腫瘤(しこり)の硬さ・大きさ・形状・可動性・圧痛の有無などは「触診」で評価します。
【さらに深掘り!関連知識】
腹部診察の順序:腹部では「視診→聴診→打診→触診」の順で行います(触診が腸蠕動音に影響を与えるため、聴診を先に行います)。
移動性濁音(shifting dullness):腹水があると腹部の側腹部で濁音域が体位変換とともに移動します(腹水500mL以上で検出可能)。
腸蠕動音(ボルボルグル音):腸閉塞では初期に亢進した高調性の金属音様蠕動音(Borborygmi)が聴取され、晩期には消失します(麻痺性イレウス)。
【問37】 尿比重が低くなるのはどれか。
糖尿病
尿崩症
水欠乏性脱水
ネフローゼ症候群
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
尿比重が「低下(1.010未満)」するのは「尿崩症」です。尿崩症ではADH(抗利尿ホルモン)の欠乏・作用不全により大量の希薄な尿が排出されます(多尿・低浸透圧尿)。尿比重が低いということは「尿が薄い(水分が多い)」ことを意味します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
糖尿病:不正解です。糖尿病では尿中にグルコース(糖)が大量に排泄されるため、尿比重は「上昇」します(糖の比重が高いため)。また浸透圧利尿により多尿となりますが、尿比重は高くなります。
尿崩症:正解です。尿崩症(中枢性・腎性)ではADHの欠乏または腎での反応不全により、腎尿細管での水の再吸収が障害されます。大量の低張尿(希薄な尿)が産生されるため、尿比重は低下します(1.005以下など)。
水欠乏性脱水:不正解です。水欠乏性脱水(高張性脱水)では体内の水分が不足して血漿・尿が濃縮されるため、尿比重は「上昇」します(尿が濃くなる)。
ネフローゼ症候群:不正解です。ネフローゼ症候群では大量の蛋白尿が排泄されるため、尿比重は「上昇」する傾向があります。また浮腫により循環血液量が低下し、RAA系の活性化でNa・水の再吸収が増加し尿は濃縮されます。
【さらに深掘り!関連知識】
尿比重の正常範囲:1.010〜1.025(早朝尿では1.020以上)。食事・飲水量・発汗量などにより変動します。
尿崩症の2種類:①中枢性尿崩症(脳腫瘍・頭部外傷・サルコイドーシス等によるADH産生・分泌障害)→デスモプレシン(人工ADH)が治療に有効 ②腎性尿崩症(ADHへの腎の反応不全)→デスモプレシンは無効
SIADH(ADH不適切分泌症候群):逆にADHが過剰に分泌される病態で、尿が濃縮(高比重)・血漿が希釈(低Na血症)となります。
【問38】 睡眠の特徴で正しいのはどれか。
新生児の睡眠は単相性である。
乳児の1日の総睡眠量は7時間前後である。
成人期では一晩で睡眠周期を10回程度繰り返す。
老年期では早朝覚醒が起こりやすい。
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
老年期(高齢者)の睡眠の特徴として「早朝覚醒」「中途覚醒の増加」「深睡眠(徐波睡眠)の減少」「就寝・起床時間の前倒し」などがあります。加齢とともに睡眠の質・量ともに変化します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
新生児の睡眠は単相性である:不正解です。新生児の睡眠は「多相性」です。1日の睡眠時間は16〜20時間と長いですが、3〜4時間の短い周期で睡眠・覚醒を繰り返す多相性(polyphasic)睡眠です。昼夜のリズムが確立されておらず、体内時計が未熟なためです。成人の夜間のみに眠る「単相性」とは異なります。
乳児の1日の総睡眠量は7時間前後である:不正解です。乳児(3〜12か月)の1日の総睡眠量は14〜16時間程度です。7時間は成人の睡眠時間に近い値で、乳児では大幅に少なすぎます。
成人期では一晩で睡眠周期を10回程度繰り返す:不正解です。成人の睡眠では1周期(ノンレム睡眠+レム睡眠)は約90〜120分で、一晩(7〜8時間睡眠)では4〜5回程度繰り返します。10回は多すぎます。
老年期では早朝覚醒が起こりやすい:正解です。高齢者では体内時計(サーカディアンリズム)の位相が前進し、早い時間に眠くなり早い時間に目覚める「睡眠相前進」が生じやすくなります。また深睡眠の減少・中途覚醒の増加なども特徴です。
【さらに深掘り!関連知識】
年齢別睡眠の変化:新生児(多相性・REM多い)→ 乳幼児(14〜16時間)→ 学童(9〜11時間)→ 成人(7〜8時間・単相性)→ 高齢者(中途覚醒増加・深睡眠減少・早朝覚醒)
高齢者の不眠のタイプ:入眠困難(なかなか眠れない)・中途覚醒(夜中に目が覚める)・早朝覚醒(早い時間に目が覚めてしまう)・熟眠障害(眠った感じがしない)の4タイプ
睡眠薬と高齢者:高齢者への睡眠薬投与は転倒リスク・認知機能への影響があるため慎重に行います。非薬物療法(光療法・睡眠衛生指導)を優先します。
【問39】 歯ブラシを用いたブラッシングで歯周ポケットの清掃に適しているのはどれか。
バス法
フォーンズ法
ローリング法
スクラビング法
【正解】 1
【30秒でわかる!ポイント解説】
「バス法(Bass method)」は歯ブラシの毛先を歯肉溝(歯周ポケット)に45度の角度で当てて細かく振動させる方法で、歯周ポケット内の清掃に最も適しています。歯周疾患(歯肉炎・歯周炎)の予防・治療に使用されます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
バス法:正解です。バス法は毛先を歯と歯肉の境界(歯肉溝・歯周ポケット)に45度の角度で当て、小さく前後に振動させる方法です。歯周ポケット内のプラーク除去に最も効果的であり、歯周病の予防・治療に推奨されます。
フォーンズ法:不正解です。フォーンズ法は歯ブラシを歯に対して垂直に当て、大きな円を描くように回転させる方法です。小児・幼児に教えやすく、歯面全体のプラーク除去に適していますが、歯周ポケットへの清掃効果はバス法より劣ります。
ローリング法:不正解です。ローリング法は歯ブラシを歯肉に当てた後、ころがすように歯面に向かってブラシを動かす方法です。歯面全体の清掃には適しますが、歯周ポケットへの清掃効果はバス法より劣ります。
スクラビング法:不正解です。スクラビング法は歯ブラシを歯面に対して垂直に当て、横方向に往復させる方法です。歯面のプラーク除去には効果的ですが、歯周ポケット清掃には向かず、楔状欠損(歯頸部の摩耗)を引き起こすリスクもあります。
【さらに深掘り!関連知識】
歯周ポケットとは:歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)が炎症により深くなったものです。正常の歯肉溝の深さは1〜3mm、4mm以上を歯周ポケットといいます。
口腔ケアと誤嚥性肺炎予防:口腔内の細菌数を減少させることで誤嚥性肺炎のリスクを有意に下げることができます。特に要介護高齢者の口腔ケアが重要です。
電動歯ブラシ:手動のバス法に比べて機械的なプラーク除去効果が高く、障害のある患者や高齢者でも使用しやすいです。
【問40】 右腕に点滴静脈内注射をしている成人患者の寝衣(パジャマ)の交換について正しいのはどれか。
寝衣(パジャマ)は右袖から脱がせる。
右袖を脱ぐ際に、点滴ボトルはベッド上に置く。
清潔な寝衣(パジャマ)は左袖から着せる。
清潔な寝衣(パジャマ)の右袖には、先に点滴ボトルを通してから腕を通す。
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
点滴中の寝衣交換の基本原則は「患側(点滴側)を最後に脱がせ、最初に着せる」です。清潔な衣服を着せる際は、まず袖に点滴ボトルを通してから腕を通します。「健側から脱いで患側から着る(脱健着患)」を応用した手順です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
寝衣は右袖から脱がせる:不正解です。点滴が入っている患側(右側)の袖は最後に脱がせます。先に健側(左側)の袖を脱がせてから、最後に患側(右側)の袖を脱がせます(点滴ラインを外さないようにするため)。
右袖を脱ぐ際に、点滴ボトルはベッド上に置く:不正解です。点滴ボトルをベッド上に置くと刺入部より低くなり、血液が逆流するおそれがあります。点滴側の袖を脱がせる際は、点滴ボトルをスタンドから外し、刺入部より低くならないように保持しながら袖に通します。
清潔な寝衣は左袖から着せる:不正解です。清潔な寝衣を着せる際は「患側(右側)から先に着せます」。健側(左側)は後から通せるため、まず患側に着せることが原則です(着患脱健)。
清潔な寝衣の右袖には、先に点滴ボトルを通してから腕を通す:正解です。清潔な寝衣の右袖(患側の袖)に、点滴のボトルとラインを先に通した後、患者の腕を通します。こうすることで点滴を正常な状態を保ちながら安全に寝衣交換ができます。
【さらに深掘り!関連知識】
脱健着患(だっけんちゃっかん)の原則:麻痺患者の衣服交換では「健側から脱いで、患側から着る」のが基本です。これにより関節可動域の制限がある患側の負担を最小にします。
点滴中の注意点:寝衣交換時は点滴のライン・刺入部の確認(固定の状態・漏れ・発赤の有無)も必ず行います。
点滴ボトルの高さ:点滴は通常、刺入部から50〜80cm程度高い位置にボトルを吊り下げることで、重力によって液が流れます。高さが変わると流速が変化するため注意が必要です。
問41~50
【問41】 頭部の切創からの出血で選択する止血法はどれか。
止血帯法
タンポン法
間接圧迫止血法
直接圧迫止血法
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
頭部(皮膚の切創)からの出血に対する第一選択は「直接圧迫止血法」です。出血部位を清潔なガーゼや布で直接押さえる方法で、最も基本的で安全な止血法です。頭部の解剖学的特徴として頭皮には血管が豊富であるため、切創では出血が多くなりやすいですが、直接圧迫で対応できます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
止血帯法:不正解です。止血帯法は四肢(上腕・大腿)の動脈性出血で、他の方法で止血できない場合の最終手段です。頭部には適用できません(頚部・体幹には止血帯を巻けません)。また止血帯法は一定時間以上の使用で神経・筋肉の虚血障害を引き起こすため慎重に扱います。
タンポン法:不正解です。タンポン法はガーゼなどを体腔内(鼻腔・腟など)に充填する止血法です。頭部の切創(外表面)の止血には用いません。
間接圧迫止血法:不正解です。間接圧迫止血法は出血部位より中枢側の動脈(鎖骨下動脈・大腿動脈など)を圧迫して血流を遮断する方法です。頭部の切創では解剖学的に適用が難しく、直接圧迫が第一選択です。
直接圧迫止血法:正解です。出血部位をガーゼや清潔な布で直接押さえて止血する最も基本的な方法で、頭部の切創に対して第一選択として用います。出血が止まるまで、持続して圧迫することが重要です。
【さらに深掘り!関連知識】
頭部外傷の特徴:頭皮は血管が豊富なため、小さな切創でも大量出血しやすい特徴があります。
AHA(米国心臓協会)の救急処置:市民救急では直接圧迫止血法が基本です。四肢の生命を脅かす出血では、訓練を受けた救助者が止血帯を使用する場合があります。
止血帯の注意点:使用する場合は装着時刻を記録します。装着後は自分で緩めたり外したりせず、医療者に引き継ぎます。
【問42】 在宅療養中の高齢者のケアマネジメントで正しいのはどれか。
サービス提供は専門職の判断を優先する。
高齢者本人はサービス担当者会議の構成員である。
インフォーマルサービスはサービス計画に入らない。
地域包括支援センターが施設サービス計画を作成する。
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
介護保険のケアマネジメントでは「本人の自己決定の尊重」が基本原則です。サービス担当者会議には本人・家族も構成員として参加します。ケアプランは専門職のみの判断ではなく、本人・家族の意向を反映して作成されます。
【なぜ?がわかる詳細解説】
サービス提供は専門職の判断を優先する:不正解です。ケアマネジメントの基本原則は「利用者(高齢者本人)の自己決定の尊重」です。専門職の判断が優先されるのではなく、本人の意向・希望を最大限尊重することが求められます。
高齢者本人はサービス担当者会議の構成員である:正解です。サービス担当者会議(ケアカンファレンス)には、本人・家族・ケアマネジャー・各サービス提供者が参加します。本人も会議の構成員であり、自分のケアプランについて意見を述べることができます。
インフォーマルサービスはサービス計画に入らない:不正解です。インフォーマルサービス(家族・友人・近隣・ボランティア・自治会などによる非公式なサポート)もフォーマルサービス(公的介護保険サービス)と並んでケアプランに組み込まれます。地域包括ケアシステムではインフォーマルサービスの活用が重視されています。
地域包括支援センターが施設サービス計画を作成する:不正解です。施設サービス計画(施設入所者のケアプラン)は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設等に配置された「施設のケアマネジャー(介護支援専門員)」が作成します。地域包括支援センターは主に地域の支援・総合相談・包括的マネジメントを担います。
【さらに深掘り!関連知識】
サービス担当者会議の目的:ケアプランの内容についての専門的意見の聴取・関係者間の情報共有・連携強化が目的です。
地域包括支援センターの役割:①総合相談・支援 ②権利擁護 ③包括的・継続的ケアマネジメント支援 ④介護予防ケアマネジメント の4つが主な業務です。
フォーマルとインフォーマルの組み合わせ:地域包括ケアシステムでは医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されるよう、公的サービス(フォーマル)と地域の助け合い(インフォーマル)を組み合わせることが重要です。
【問43】 訪問看護指示書について正しいのはどれか。
訪問看護開始後に発行される。
使用中の医療機器が記載される。
訪問看護指示期間は最大5か月である。
訪問看護ステーションの管理者が交付できる。
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
訪問看護指示書には「使用中の医療機器(在宅酸素・人工呼吸器・ペースメーカー等)」が記載事項の一つです。訪問看護指示書は主治医が訪問看護の開始前に発行し(原則)、指示期間は最大6か月、交付者は医師(主治医)です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
訪問看護開始後に発行される:不正解です。訪問看護指示書は原則として訪問看護「開始前」に主治医が発行します。指示書なしに訪問看護を開始することは原則できません(緊急の特別訪問看護指示書を除く)。
使用中の医療機器が記載される:正解です。訪問看護指示書の記載事項には、①病状・治療状況 ②注意すべき症状・対応 ③訪問看護の必要性・指示期間 ④使用中の医療機器(人工呼吸器・在宅酸素・ペースメーカー等)などが含まれます。
訪問看護指示期間は最大5か月である:不正解です。訪問看護指示書の有効期間(指示期間)は最大「6か月」です。5か月ではありません。なお、特別訪問看護指示書は最大14日間(急性増悪時などに交付)です。
訪問看護ステーションの管理者が交付できる:不正解です。訪問看護指示書を交付(発行)できるのは「医師(主治医)」です。訪問看護ステーションの管理者(多くは看護師)が交付することはできません。
【さらに深掘り!関連知識】
特別訪問看護指示書:急性増悪・退院直後などの場合に医師が交付するもので、週4日以上の頻回な訪問看護が可能となります。有効期間は最大14日間です。
精神科訪問看護指示書:精神科の医師が交付できる指示書で、精神障害者を対象とした訪問看護に適用されます。
訪問看護の利用制度:介護保険(要介護・要支援認定者が主に利用)と医療保険(難病・末期がん・精神障害などで医師が必要と判断した場合)の両制度があります。
【問44】 訪問看護師が利用者の手段的日常生活動作〈IADL〉を確認するための質問で正しいのはどれか。
「自分で洗濯ができますか」
「着替えは1人でできますか」
「ご飯は自分で食べられますか」
「1人でお風呂に入ることができますか」
【正解】 1
【30秒でわかる!ポイント解説】
手段的日常生活動作(IADL:Instrumental ADL)は買い物・調理・洗濯・電話・服薬管理・交通機関利用など、生活をしていくうえで必要な「より複雑な動作」を指します。選択肢1の「洗濯」がIADLに該当します。着替え・食事・入浴は基本的ADL(Basic ADL)です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
「自分で洗濯ができますか」:正解です。洗濯は「IADL(手段的日常生活動作)」の項目の一つです。LAWTONのIADL尺度の項目(電話の使用・買い物・食事の準備・家事・洗濯・交通機関の利用・服薬管理・財産管理)に含まれます。
「着替えは1人でできますか」:不正解です。着替え(更衣)は「基本的ADL(BADL)」の項目です。バーセルインデックス(BI)やカッツ指数(Katz Index)に含まれる基本的日常生活動作です。
「ご飯は自分で食べられますか」:不正解です。食事摂取は「基本的ADL(BADL)」の項目です。バーセルインデックスにも「食事」として含まれる基本的な動作です。
「1人でお風呂に入ることができますか」:不正解です。入浴は「基本的ADL(BADL)」の項目です。カッツ指数の最初の項目(最も複雑なADLの一つ)として挙げられますが、IADLではありません。
【さらに深掘り!関連知識】
LAWTONのIADL尺度:電話の使用・買い物・食事の準備・家事・洗濯・移送(交通機関利用)・服薬管理・財産管理の8項目を評価します(女性は全8項目、男性は5項目のことが多い)。
IADLとBADLの関係:BADLが障害される前にIADLが障害されることが多いです(認知症の早期などで特に顕著)。IADLの低下は生活機能低下の早期サインとなります。
要支援・要介護の判断:IADLおよびBADLの評価が介護認定調査の重要な部分を占めます。
【問45】 Aさん(80歳、男性)は人工肛門造設術を受けて自宅に退院した。ストーマ管理のため、訪問看護を週に1回利用している。Aさんは電車で隣県に住んでいる孫に会いに行きたいと希望している。
Aさんの外出に向けた目標で最も適切なのはどれか。
食物繊維を避けた食事が摂れる。
装具が剝がれた場合に対処できる。
起こりやすい皮膚障害が理解できる。
装具交換に必要な物品の購入先がわかる。
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんの希望は「電車で隣県の孫に会いに行く(外出)」ことです。外出中にストーマ装具が剝がれるというトラブルに自分で対処できることが、この目標を達成するために最も重要です。目標は「患者の生活目標(QOL)」に即したものを設定することが大切です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
食物繊維を避けた食事が摂れる:不正解です。食事の工夫は日常生活管理として重要ですが、Aさんの「外出」という目標に直接関連した援助内容ではありません。
装具が剝がれた場合に対処できる:正解です。外出中(電車内・移動中)に万が一装具が剝がれたり液漏れした場合に、Aさん自身が適切に対処できることが「外出」という目標達成に最も必要なスキルです。外出先での緊急対処法(替え装具の持参・仮の対処法)を習得することが目標として最適です。
起こりやすい皮膚障害が理解できる:不正解です。皮膚障害の知識は重要ですが、「外出(電車で隣県へ)」という具体的な目標に直接対応した内容ではありません。
装具交換に必要な物品の購入先がわかる:不正解です。物品の購入先を知ることは長期的な自己管理に役立ちますが、外出という目標達成に直接結びつく内容ではありません。
【さらに深掘り!関連知識】
ストーマ保有者の外出時の工夫点:替えの装具・袋・テープ類・清拭用品・ビニール袋(廃棄用)・消臭スプレーなどを持参します。
ストーマのセルフケア教育:①装具交換の手技 ②皮膚トラブルの対処法 ③食事・生活の工夫 ④社会復帰(外出・旅行・スポーツ)が主な内容です。
オストメイト対応トイレ:大きなストーマケアスペースと汚物流し台を備えたトイレです(ピクトグラム:人型マークに腹部の装具が描かれています)。外出先での利用が可能です。
【問46】 ノーリフトケアに該当するのはどれか。
車椅子の後ろから患者を抱えて座位を整える。
患者を抱きかかえてポータブルトイレに移動する。
スライディングシートを使って患者をベッド上で移動する。
ボディメカニクスを活用してベッド上で患者の上体を起こす。
【正解】 3
【30秒でわかる!ポイント解説】
「ノーリフト(No Lift)ケア」とは「患者を人力で持ち上げない(lift)」ケアの考え方で、スライディングシート・スライディングボード・リフトなどの福祉用具を活用して患者を移動させることを指します。選択肢3のスライディングシートの使用がノーリフトケアの典型例です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
車椅子の後ろから患者を抱えて座位を整える:不正解です。患者を「抱えて(人力で持ち上げて)」いるためノーリフトケアに該当しません。看護師・介護士の腰部への負担が大きく、腰痛発症のリスクがあります。
患者を抱きかかえてポータブルトイレに移動する:不正解です。患者を「抱きかかえる」行為は人力での持ち上げ(リフト)であり、ノーリフトケアに反します。
スライディングシートを使って患者をベッド上で移動する:正解です。スライディングシートは摩擦が極めて少ない素材で、ベッド上での患者の体位変換・移動を小さな力で行うことができます。患者を持ち上げることなく移動でき、ノーリフトケアの代表的な方法です。
ボディメカニクスを活用してベッド上で患者の上体を起こす:不正解です。ボディメカニクスは介護者が自分の身体を効率よく使うための技術ですが、患者を人力で持ち上げること自体(リフト)がなくなるわけではありません。ノーリフトケアは「持ち上げる行為そのもの」をなくすことが目的です。
【さらに深掘り!関連知識】
ノーリフトケアの主な用具:スライディングシート・スライディングボード・移乗リフト(電動・手動)・移乗ベルト・ターンテーブルなど
ノーリフトポリシー:オーストラリア・スウェーデンなどで先進的に導入され、看護師・介護士の腰痛予防と患者の安全移動の両立を目的とした組織的な取り組みです。
看護師の職業病と腰痛:看護師の職業上の健康問題として腰痛は最も多く、ノーリフトケアはその予防に大きく貢献します。
【問47】 職業に伴う作業や環境と健康障害の組合せで正しいのはどれか。
紫外線の曝露 ─ 緑内障
情報機器作業 ─ 眼疲労
工具や機械の振動 ─ 手指の熱感
重量物の取り扱い ─ 骨粗鬆症
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
情報機器(PC・スマートフォン・タブレット等)の長時間使用による作業(VDT作業:Visual Display Terminal)では「眼疲労(眼精疲労)」が最も一般的な健康障害です。眼のピント調節筋(毛様体筋)の過負荷によるものです。
【なぜ?がわかる詳細解説】
紫外線の曝露 ─ 緑内障:不正解です。紫外線曝露による職業性健康障害は「白内障(水晶体の混濁)」です。屋外作業者・溶接工・スキーヤーなどに多い眼科疾患です。緑内障は視神経が障害され、特徴的な視野障害を生じる疾患で、眼圧上昇は重要な危険因子です。紫外線曝露との直接的な因果関係は確立されていません。
情報機器作業 ─ 眼疲労:正解です。情報機器(VDT:Visual Display Terminal)を長時間使用することで、眼のピント調節(毛様体筋の持続的収縮)・まばたきの減少による目の乾燥(ドライアイ)・眼精疲労が生じます。また頸部・肩・腰の筋骨格系障害(頸肩腕症候群)も多く認められます。
工具や機械の振動 ─ 手指の熱感:不正解です。振動工具(チェーンソー・削岩機など)の長時間使用による職業性健康障害は「振動障害(レイノー現象:白蝋病)」です。振動刺激による末梢血管・神経障害のため、手指が白くなる(血管収縮による虚血)・しびれ・冷感が特徴です(熱感ではなく冷感)。
重量物の取り扱い ─ 骨粗鬆症:不正解です。重量物の取り扱いによる職業性健康障害は「腰痛症(腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症など)」です。骨粗鬆症は加齢・女性ホルモン低下・カルシウム不足などが主な原因で、重量物取り扱いとの直接的な因果関係はありません。
【さらに深掘り!関連知識】
VDT作業ガイドライン:厚生労働省のガイドラインでは、連続作業時間(1時間を超えないこと)・休憩時間(10〜15分程度)・照明・作業姿勢などが規定されています。
職業性疾患の代表例:じん肺(粉塵吸入)・騒音性難聴・熱中症(高温作業)・中皮腫(石綿/アスベスト曝露)・振動障害(振動工具)・職業性皮膚炎(化学物質曝露)
レイノー現象(振動障害)の診断:寒冷刺激・振動刺激により手指が白→紫→赤に変色する(三相性変色)のが典型的です。
【問48】 意思決定が困難な成人患者の代理意思決定で適切なのはどれか。
意思決定者を医療者が指名する。
患者の意思を推定して判断する。
意思決定した内容は変更できない。
意思決定者に親しい友人は含まれない。
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
意思決定が困難な患者の代理意思決定では、まず「患者の以前の意向・価値観から患者の意思を推定(substituted judgment)」します。これは患者の自律を最大限尊重したアプローチです。
【なぜ?がわかる詳細解説】
意思決定者を医療者が指名する:不正解です。代理意思決定者を医療者が一方的に指名するのではなく、患者が事前に定めた信頼できる人や家族等と医療・ケアチームが話し合い、患者の意思を推定して方針を検討します。
患者の意思を推定して判断する:正解です。代理意思決定の基本は「推定意思の尊重(substituted judgment standard)」です。患者の以前の言動・価値観・信念などから、患者が今ここにいたらどのような選択をするかを推定して判断します。
意思決定した内容は変更できない:不正解です。意思決定した内容は状況の変化に応じて変更できます。インフォームドコンセント(IC)の原則として、患者(または代理人)はいつでも同意を撤回・変更する権利があります。
意思決定者に親しい友人は含まれない:不正解です。代理意思決定者は必ずしも法定代理人(配偶者・親族)に限らず、患者が信頼する親しい友人(重要他者)が含まれる場合もあります。患者の価値観を最もよく知る人物が代理意思決定者として適切です。
【さらに深掘り!関連知識】
代理意思決定の3段階の優先順位:①患者が事前に表明した意思(事前指示書・ACP)②推定意思(患者の価値観から推定)③患者の最善の利益の原則(patient's best interest)
アドバンス・ケア・プランニング(ACP):患者が意思決定能力を持っているうちに、将来の医療・ケアについての希望を医療者・家族と話し合っておくプロセスです。
成年後見制度:判断能力が低下した成人の権利を守るための法的制度です。成年後見人等は財産管理や生活・療養に関する支援を行いますが、医療行為への包括的な同意権はありません。
【問49】 慢性疾患がある成人のアドヒアランスを高める要因はどれか。
自覚症状がない。
治療費が高額である。
療養方法が複雑である。
療養方法の利益と害が分かる。
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
アドヒアランス(adherence)とは「患者が療養法を能動的・自主的に守ること」です。治療法の利益(メリット)と害(デメリット)を患者自身が理解・納得していることは、アドヒアランスを高める重要な要因です。
【なぜ?がわかる詳細解説】
自覚症状がない:不正解です。高血圧・糖尿病などの慢性疾患では、自覚症状がない場合に「症状がないから薬は飲まなくていい」と思い込みやすく、アドヒアランスが低下する要因となります。
治療費が高額である:不正解です。治療費の高額はアドヒアランスを「低下」させる要因です。経済的な負担感から治療の中断につながりやすくなります。
療養方法が複雑である:不正解です。療養方法が複雑(多剤服薬・複雑な食事制限など)であるほど、アドヒアランスは「低下」します。シンプルで理解しやすい療養法の方がアドヒアランスが向上します。
療養方法の利益と害が分かる:正解です。患者が「なぜこの治療が必要か(利益)」「何をしないとどうなるか(リスク)」を正確に理解・納得していることは、自発的な療養行動(アドヒアランス)の維持・向上につながります。
【さらに深掘り!関連知識】
コンプライアンスとアドヒアランスの違い:コンプライアンスは「医療者の指示に従う(受動的)」であるのに対し、アドヒアランスは「患者が能動的に治療に参加する」概念です。現代では患者主体のアドヒアランスが重視されています。
アドヒアランスを高める方法:①分かりやすい説明(リーフレット・図解) ②服薬回数の単純化(1日1回製剤など) ③副作用の事前説明 ④定期的なフォローアップ ⑤患者自身による目標設定への参加
セルフエフィカシー(自己効力感)との関係:「自分はできる」という自己効力感が高い患者ほどアドヒアランスが高い傾向があります。
【問50】 廃用症候群の説明で適切なのはどれか。
がん患者ではみられない。
尿管結石を発症しやすい。
加齢とともに進行は遅くなる。
二次的に高血圧を発症しやすい。
【正解】 2
【30秒でわかる!ポイント解説】
廃用症候群(disuse syndrome)は、長期臥床・不動による身体機能低下の総称です。尿管結石(尿路結石)は廃用症候群でみられる泌尿器系の合併症の一つです。長期臥床により骨からカルシウムが溶け出し(廃用性骨萎縮)、尿中カルシウム濃度が上昇して結石が形成されやすくなります。
【なぜ?がわかる詳細解説】
がん患者ではみられない:不正解です。廃用症候群はがん患者・脳卒中後遺症・骨折患者など、長期臥床・安静が必要なあらゆる患者で生じます。がん患者でもしばしばみられる重要な合併症です。
尿管結石を発症しやすい:正解です。長期臥床による骨吸収(廃用性骨萎縮)により血中・尿中カルシウム濃度が上昇します。また尿の停滞(尿の流れが悪くなる)も加わり、尿路結石(腎結石・尿管結石)が形成されやすくなります。
加齢とともに進行は遅くなる:不正解です。高齢者は筋力低下・骨量減少・恒常性の変化などにより廃用症候群の進行が「速い」傾向があります。若年者に比べて短期間で著明な廃用症候群が生じます。
二次的に高血圧を発症しやすい:不正解です。長期臥床・廃用症候群では心機能の低下・循環血液量の減少・起立性低血圧(立つと血圧が下がる)が起こりやすくなります。高血圧ではなく低血圧(特に起立性低血圧)が問題となります。
【さらに深掘り!関連知識】
廃用症候群の主な症状:筋力低下(筋萎縮)・骨粗鬆症・関節拘縮・褥瘡・尿路感染症・尿路結石・起立性低血圧・肺塞栓症・認知機能低下・抑うつなど
廃用症候群の予防:早期離床・早期リハビリテーション・適切な栄養管理・水分摂取が重要です。
日本では「生活不活発病」とも呼ばれ、災害後の避難所生活(閉じこもり)でも生じることが問題となっています。
問51~60
【問51】 細菌性の肺炎と診断された慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉患者の酸素療法で正しいのはどれか。
酸素中毒を避けるために高流量にする。
鼻カニューレでの最大投与量は 8 L/分である。
CO2ナルコーシス予防のために酸素濃度を高くする。
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が投与量の指標となる。
【正解】 4
【30秒でわかる!ポイント解説】
COPD患者の酸素療法では、低酸素血症を改善しつつ、高炭酸ガス血症の悪化を避けるように酸素投与量を調整します。血液ガスの結果が得られるまではSpO2 88〜92%を目標とし、その後はPaCO2やpHなども確認して目標値を調整します。
【なぜ?がわかる詳細解説】
酸素中毒を避けるために高流量にする:不正解です。酸素中毒や高炭酸ガス血症の悪化を避けるためには、過剰な酸素投与を避け、目標SpO2に合わせて酸素濃度や流量を調整します。
鼻カニューレでの最大投与量は 8 L/分である:不正解です。鼻カニューレでの酸素投与量は一般的に最大5〜6 L/分とされています。それ以上の流量では鼻粘膜が乾燥・刺激され、また吸入酸素濃度も頭打ちとなります。
CO2ナルコーシス予防のために酸素濃度を高くする:不正解です。高炭酸ガス血症のリスクがある患者に過剰な酸素を投与すると、換気血流比の不均衡やHaldane効果などによって体内に二酸化炭素(CO2)が蓄積し、意識障害などを引き起こすことがあります。
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が投与量の指標となる:正解です。COPD患者に酸素療法を行う際は、酸素化の指標としてSpO2を継続的にモニタリングし、血液ガスの結果が得られるまではSpO2 88〜92%を目標に酸素投与量を調整します。その後は血液ガスの結果も踏まえて目標値を調整します。
【さらに深掘り!関連知識】
酸素投与と高炭酸ガス血症:すべてのCOPD患者が慢性的な高炭酸ガス血症を呈するわけではありません。過剰な酸素投与によってCO2が上昇することがあるため、SpO2と血液ガスを確認しながら投与量を調整します。
CO2ナルコーシスの症状:頭痛・発汗・手指の羽ばたき振戦(flapping tremor)・傾眠から昏睡に至る意識障害。
ベンチュリーマスク:COPD患者の酸素療法において、吸入酸素濃度(FiO2)を正確にコントロールできるため推奨される酸素投与器具です。
【問52】 患者にペースメーカー植込みの有無を事前に確認すべき検査はどれか。
エックス線撮影
磁気共鳴画像〈MRI〉
超音波検査
脳波検査
【正解】 2
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