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【あなたの“心”は盗まれている】ケンブリッジ・アナリティカ事件が暴いた「心理戦争」の恐怖

あなたがSNSで押した「いいね!」。
それが、あなたの心を突く「心理兵器」に変わる。
そして、選挙の結果さえも左右していたとしたら…?

これは陰謀論ではありません。
数年前に世界を震撼させた事件。
「ケンブリッジ・アナリティカ事件」という事実です。


こんにちは、文翔です。

私たちは日々、GAFAMに個人情報を提供しています。
Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft。
便利な生活との引き換えだと、私も思っていました。
しかし、その考えは甘かったのです。

これは、あなたの個人情報があなたを攻撃する物語。
現代の、新しい戦争の話です。


第一章:盗まれた5000万人の“心”

物語は2014年に始まります。
Facebookで、あるアプリが流行しました。
「thisisyourdigitallife」。
よくある性格診断アプリです。

実際にニュース映像内に映る通知画面(スマホ表示の例)
出典 The Atlantic

多くの人が、軽い気持ちで利用しました。
しかし、その裏では恐ろしい計画が進んでいました。

開発者は、ケンブリッジ大学の学者。
アレクサンドル・コーガン。

アレクサンドル・コーガン(Aleksandr Kogan)
上院公聴会にて
出典 Getty Images

彼はユーザーの個人情報を集めていました。ここまでは、規約上の話です。

本当の恐怖はここからです。
当時のFacebookの仕様は、ザルでした。

コーガンは、その穴を悪用します。
アプリ利用者の「友人」の情報まで抜き取ったのです。
もちろん、本人の許可などありません。

考えてみてください。
あなたはアプリを使っていません。
友人が使っただけ。
それだけで、あなたの情報が盗まれました。

実際のアプリがFacebookデータに
アクセスしていたことを示す検証動画の静止画
出典 CBS News

あなたの趣味。
あなたの交友関係。
あなたの政治的な考え。
心の奥にある不安までも。
見知らぬ誰かの手に渡ってしまったのです。

こうして、5000万人以上のデータが集まりました。
(最終的には8700万人とも言われます)
人類史上でも類を見ない、静かなるデータ強奪でした。

そして、この盗まれた「心のデータ」は売られます。
ある政治コンサルティング企業へ。
その名は、ケンブリッジ・アナリティカ。

ケンブリッジ・アナリティカ社
出典 wikipedia

彼らの目的はただ一つ。「選挙に勝つこと」でした。


第二章:「心理兵器」の作り方

ケンブリッジ・アナリティカ(CA社)は普通の会社ではありません。
軍事転用される「心理戦」のプロ集団でした。
いわば“情報の傭兵部隊”です。

彼らは「心理兵器」を製造しました。
その手口を、内部告発者が後に語ります。
ピンク色の髪をした若きデータ科学者。
クリストファー・ワイリーです。

クリストファー・ワイリー
出典 e-marketing.fr

まず、盗んだデータを分析します。
一人ひとりの性格を丸裸にするのです。
「変化を恐れるタイプだな」
「強いリーダーを求めているな」
何千万人分もの、心のカルテが作られました。

次に、ターゲットを絞ります。
選挙の勝敗を分ける、激戦州の住民。
まだ投票先を決めていない人々です。
彼らは「攻略対象」でした。

そして、ここからが最も恐ろしい手口です。
ターゲット一人ひとりに、広告を打ちます。
その人の心に最も響くように作られた広告です。
フェイクニュースも含まれていました。
Facebook上で、集中的に表示させ続けたのです。

例えば、こうです。
仕事を愛する父親には、恐怖を煽る広告を見せる。
「民主党があなたの労働を奪いに来るぞ」と。

移民に職を奪われたと感じる人には、怒りを煽る記事。
「また移民が犯罪を犯した」と。

投票に行くか迷っている若者には、無力感を植え付ける。
「どちらの候補も同じくらい腐っている」と。

これはテレビCMとは全く違います。
あなただけを狙い撃ちにする爆弾です。
あなたの性格、不安、怒りを正確に把握した上での攻撃。
あなたは、自分の意思で考えているつもりでした。
しかし、実際は彼らの意図通りに心を操られていたのです。

この禁断の手法が、2016年の米大統領選で使われました。

イギリスのEU離脱(Brexit)でも使われました。
ワイリーの告発で、世界はついに闇を知ったのです。


第三章:見えざる支配者、GAFAM

事件が発覚し、批判の矛先はFacebookに向かいました。

創業者のマーク・ザッカーバーグは議会に呼ばれます。
彼は謝罪し、再発防止を約束しました。

マーク・ザッカーバーグ
議会にて
出典 BBC

しかし、その公聴会は「茶番」でした。
議員たちはSNSの仕組みを理解していません。
ザッカーバーグは、巧みに質問をかわし続けました。

本当に問われるべきは、GAFAMの存在そのものです。

Googleは、あなたの検索履歴を知っています。
Amazonは、あなたの買い物を知っています。
Appleは、あなたの健康状態を知っています。

私たちは、彼らのサービスなしでは生きられません。

私たちは「無料」で使っているつもりです。
しかし、本当は「私たち自身が商品」なのです。

CA事件は、氷山の一角でした。

いつでも第二、第三のCA社が現れる土壌はあります。

私たちは便利さと引き換えに、
心を支配されているのかもしれません。

エピローグ:裁かれざる者たち

事件の後、登場人物たちはどうなったのでしょうか。

その後コーガン氏は、Facebookからは永久に利用を禁止され、研究者としてのキャリアは事実上閉ざされました。

「アレクサンダー・スペクター」と改姓、米国で民間企業のCTOなどを務めました。

学術界からは距離を置きつつも、心理学やデータ利用のあり方について、現在もインタビューで発言を続けています。

事件の中心人物として記憶される一方、本人は「自分はスケープゴートにされた」と主張しています。

CA社、CEOのアレクサンダー・ニックス。
2018年に破産しました。

アレクサンダー・ニックス
出典 wikipedia

彼は刑事罰を問われませんでした。今もデータの世界で活動していると言われます。

内部告発者のクリストファー・ワイリー。
彼は時代の寵児となりました。

データ倫理の重要性を訴え続けています。
しかし、彼もかつては兵器の開発者でした。


結局、この巨大なスキャンダルで誰も逮捕されませんでした。

CA社は消えました。

しかし、彼らが作った「心を操る手法」は世界中に拡散しました。

今もどこかの選挙で使われています。

問題は、より見えにくくなっています。
AIが、さらに効率的に人の心を操る時代です。
ディープフェイクが、嘘の映像を作り出します。
SNSのアルゴリズムが、私たちの考えを偏らせます。

ケンブリッジ・アナリティカ事件は、終わっていません。
それは「情報戦争」時代の、始まりの号砲だったのです。


今日からできる3つの行動

  1. SNSのプライバシー設定を見直す。不要なアプリ連携は解除する。

  2. 感情を煽るニュースを疑う。すぐにシェアせず、情報源を確認する。

  3. 自分の意見と違う情報にも触れる。心地よい情報だけの世界から抜け出す。


出典

  • Netflixドキュメンタリー『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』

  • クリストファー・ワイリー著『マインドハッキング』

  • Facebook社およびケンブリッジ・アナリティカ社に関する各種報道

  • GAFAMのプライバシーポリシーとビジネスモデルに関する分析レポート


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
この記事が、あなたが情報社会と向き合う羅針盤となれば幸いです。

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