読書は本から始まらなかった
──ゲーム、漫画、そして小説へ。息子が本を好きになるまで
息子はよく本を読む。
最近は図書館で借りてきた本を、あっという間に読み終える。
借りてきた7冊を2週間で読み切ったこともあった。
でも正直に言うと、私は「読書好きな子に育てよう」と思って子育てをしてきたわけではない。
むしろ振り返ると、本を読ませた覚えがあまりない。
もちろん絵本を読んだり、本を渡したりはしていた。
でも、「本好きに育てよう」と計画していたわけではなかった。
小さい頃から絵本は読んでいた。
ただ、いわゆる読み聞かせというより、一緒に遊んでいた感覚に近い。
登場人物ごとに声を変えたり、絵本を動かしたり。
読み終わったあと、そのままごっこ遊びになることもよくあった。
息子は昔から、物語を読むというより、その世界に入って遊ぶのが好きな子だった。
最初に何度も読んでいた漫画は、私が子どもの頃に読んでいたチョコボのギャグ漫画だった。
ある日、部屋を片付けていた時に、引っ越し以来開けていなかった段ボールが出てきた。
中には私が子どもの頃に読んでいた漫画が入っていた。
息子はチョコボのゲームが好きだった。
だから、
「そういえばこれ、好きかもしれない」
と思って渡してみた。
当時、ひらがなは読めていた。
でも漫画の読み方には慣れていなかった。
効果音も漫符も全部セリフだと思って読んでいた。
それでも何度も何度も読み返していた。
突然走ってきて、
「ママ!見て!」
と本を広げる。
そして私が読む前に、自分でその場面を読み始めてしまう。
効果音まで含めて一生懸命読み上げながら、自分で大笑いしていた。
本を読んでいたというより、面白かったことを共有したかったのかもしれない。
その後、小児矯正で通っている歯医者の待合室で、サバイバルシリーズを読むようになった。
私が勧めたわけではない。
待ち時間に手に取っただけだったと思う。
でも気づけば、
「今日読んだところがね」
と内容を説明してくれるようになっていた。
面白かった場面を話しながら、自分で吹き出してしまうこともあった。
目を見開いて身を乗り出し、
「それでね!」
「そのあとね!」
と話が止まらない。
気づけば10分、15分と話し続けていることもあった。
私はその本を読んでいないのに、いつの間にか内容をかなり知っていた。
カービィの児童書も同じだった。
たまたま本屋で見かけて、買ってほしいとねだられた。
ゲームで好きになった世界の続きを知りたかったのだと思う。
今思えば、息子にとって初めての「小説らしい本」だったのかもしれない。
面白い場面があると、その前後を読み上げてくれたり説明してくれたりした。
車の中で読んでいた時には、一人で急に吹き出して家族を驚かせたこともある。
そして家に着くと、
「ねえ聞いて!」
と、その場面を最初から説明し始める。
面白かったところを話している時の息子は、本当に楽しそうだった。
カービィシリーズを読み終えた頃、私は試しに図書館へ誘ってみた。
特に何かを読ませたかったわけではない。
ただ、
「好きな本を選んでいいよ」
と言った。
息子が最初に手に取ったのはポケモンの絵本だった。
サバイバルシリーズも見つけていた。
そのほかにも、目についた本を何冊か抱えていた。
その中にマジックツリーハウスシリーズもあった。
その時は、どれが気に入るのか私にも分からなかった。
でも気づけば、マジックツリーハウスシリーズを次々と読むようになっていた。
そういえば、ある撮影の待ち時間でも本を読んでいた。
他の子たちがゲームをしている中で、息子はカービィの児童書を読んでいた。
スタッフさんに
「何読んでるの?」
と聞かれると、うれしそうに説明を始める。
「本読むなんて偉いね」
と言われても、
息子は少しも誇らしそうではなかった。
「だってすごく面白いよ!おすすめだよ!」
と、ただ面白さを伝えようとしていた。
振り返ると、息子は本を読むこと自体が好きだったというより、
面白いと思ったことを誰かに伝えるのが好きだったのかもしれない。
だから私は今でも、
「読書好きな子に育てる方法」を知らない。
本を読ませようと思って何かをしてきた記憶もあまりない。
振り返ると、意図して作ったきっかけより、偶然の出会いの方が多かった気がする。
ただ、好きなものの隣にある本を渡してきた。
ゲームの隣に漫画があった。
漫画の隣にサバイバルシリーズがあった。
その隣に児童書があった。
そして気づけば、本を読むことが日常になっていた。
もちろん、これが正解だったとは思わない。
たまたま息子に合っていただけかもしれない。
それでも一つ思うことがある。
子どもに本を好きになってほしいと思う時、
「何を読ませるか」より、
「今その子が何を好きなのか」の方が大事なのかもしれない。
少なくとも我が家では、
読書は本から始まらなかった。
ゲームから始まった。
漫画から始まった。
「これ面白いよ!」
と話したくなる気持ちから始まった。
そして気づけば、本へ繋がっていた。
息子が本を好きになったのか、
面白いものを好きになったのかは分からない。
でも今でも何か面白いことを見つけると、
本を抱えたまま走ってきて、
「聞いて!」
と話し始める。
たぶん、その姿はチョコボの漫画を読んでいた頃から変わっていない。
📖 観察レポート
「もっと深く読みたい方へ」
息子を約8年間観察してきた記録を、テーマごとにまとめています。
ゲーム、読み聞かせ、ごっこ遊び、漫画、小説。
一見バラバラだった出来事を振り返ると、そこには一つの共通点がありました。
