背伸びしながら生きている
わたしは、わりとずっと背伸びをして生きてきた。
声を張るわけでもなく、
大きな目標を語るわけでもないけれど、
「これくらいはできる人でいたい」と、
つま先立ちをするような気持ちで日々を過ごしている。
本当は、休みたい日でも。
本当は、よくわかっていない話でも。
「大丈夫です」と言ってしまう癖が、なかなか抜けない。
背伸びは、がんばりというより反射に近い。
そうしないと、その場にいられない気がしてしまうから。
周りを見ては、
「みんな、もう少し先を歩いている気がするな」と思い、
自分も同じ高さに立とうとして、かかとを浮かせる。
でも不思議なことに、
ずっと背伸びをしていると、
どこまでが本当の自分なのか、わからなくなってくる。
余裕がないのに、余裕があるふりをして。
疲れているのに、平気な顔をして。
そうやって積み重ねた時間の中で、
気づいたら、自分のサイズ感を見失っていた。
最近になって、やっと思う。
背伸びをしていたから、見えた景色も、たしかにあった。
知らなかった世界に触れたり、
思ってもみなかった場所に立てたり。
背伸びは、悪いことばかりじゃなかった。
ただ、ずっとは続かなかっただけだ。
いまは、背伸びをしたり、かかとを下ろしたりしながら生きている。
調子のいい日は、少し高いところを目指してみて、
しんどい日は、無理に届かなくてもいいことにする。
この場所では、
そんな日々のことを、静かに書いていきたい。
好きなものに救われた話や、
何もできなかった日のことや、
うまく言えなかった気持ちの整理。
背伸びをやめる宣言はしない。
でも、背伸びしている自分にも、
ちゃんと気づいてあげたいと思っている。
