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南国旅行で読むのに適した本を書評家が全力で考えてみた

そんなわけで小笠原諸島へ旅行に来ている。現在気温は30℃。真夏である。

旅行においてもっとも楽しい行為。それはどう考えても――「何の本を持って行くか考える準備」ですよね!!!!

……と思っている人が世の中で少数派らしいのは知っているのだが、それにしたって私は旅に持って行く本を考えるのが好きである。そもそもとっくの昔にkindleユーザーになっていて、正直、紙の本は持って行かなくてもkindleで適当に気になっている本をDLしていけばいい話ではあるのだが。それでもやっぱり紙の本を選んで持って行きたい、という欲望が消え去らない。たとえ荷物が重くなっても、持って行く本を厳選する作業をやりたくなってしまうのだった。

それに、普段はゆっくりじっくり読む時間が取れないような本でも、旅先だったら読めるのではないか、というかすかな期待があるのも否めない。ロシアに旅行したときはドストエフスキーのながあい小説を持って行ったし(今思うとロシアでドストエフスキーを読むの、信じられない贅沢になってしまった……)。イギリスに旅行したときは英文学のながあい本を持って行った記憶がある。だいぶ前だけど。というわけで旅先のスケジュールと期間とテンションを加味して読む本を選ぶのは、はっきり言って旅行本体よりもずっと楽しい娯楽なのだった。

私のこの「旅行するとき読む本を真剣に選びたい欲」を作り出したのはどう考えても恩田陸の『酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記』である。

この本のなかに「恩田陸がイギリス旅行するときに持って行く本3選」を何パターンか用意してうんうん唸っている章があるのだ。ぜひ興味がある人は読んでみてほしい。ジラールの欲望の三角形を引用してくるまでもなく、やっぱり欲望は伝染するので。きっとあなたも旅行に持って行く本を選びたくなることでしょう……。

というわけで私も『恐怖の報酬日記』の真似事ではないが、私も今回の旅行にもっていく本の選出トーナメントをご紹介してみたいと思う。二週間という長旅なので、じっくりゆっくり選ばなくてはならない。ちなみに「お、お前、こんなに積読を溜めているのか」というツッコミは置いといてください……。


パターン①離島には離島で対抗。

基本的にどこかへ旅行するときは、旅行先にちなんだ本を一冊は持って行く……のが習慣なのだが、小笠原諸島を舞台にした小説で興味が惹かれるものはなかったので、離島ものはどうかなあと思って自分の積読のうち離島ものを探してきたのであった。シェイクスピアに至っては全体的に「あらすじは知っているがしっかり読んだことがない」作品ばかりなので永遠に積読状態なのである。こういう状態、いざ読むぞというタイミングが見つからないよね……。

『なんくるない』(よしもとばなな)
『テンペスト』(シェイクスピア)

パターン②暖かい気候こそがっしりした人文書を読むべき。

今回、長旅である。2週間。2週間をもたせるということは、要は「読むのに時間がかかる本」が一番重要だ。というわけで時間のかかりそうな人文書を選出。集中力がいる本とでもいいますか。デメリットは南国の雰囲気にまったく合わないことくらいかしら……。

『答えのない世界を生きる』(小坂井敏晶)
『セックスロボットと人造肉 テクノロジーは性、食、生、死を“征服"できるか』(ジェニー・クリーマン (著), 安藤 貴子 (翻訳))
『乱視読者のSF講義』(若島正)


パターン③読んだことない作家を読もうスペシャル。

読んだことのない作家。それは地味に積読になってしまう本たちである。いや、完全に言い訳なんですが。読んだことのある作家さんだとなんとなくテンションの想定がつくというか、「あ~これくらいの軽さの小説だから今読もうかな~~」と思えるのだが、読んだことのない作家さんというのはあまりにすべてが未知なので、ついつい手を伸ばすのが後回しになってしまうのだ。しかしここは旅先、本を読むには持ってきている本を読まねばならぬ状況。というわけで積読解消にはぴったりのシチュエーション! 今こそ読もう、未読の作家!

『母の遺産 新聞小説』上・下(水村美苗)
『三つ編み』(レティシア コロンバニ (著), 齋藤 可津子 (翻訳))
二木先生 (夏木志朋)


選出結果

……というパターン①~③のトーナメントを行った結果、今回持って行くことになったのはこちらの本である。じゃんじゃかじゃん。

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