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早く利確するほど、利益は減った——「ルール通りだと損な気がする」を約9,700回の記録で確かめた

自動売買でも、手で決めたルールでも、同じことを思ったことはありませんか。

「もう十分に利益が乗った。ここで確定してもいいのでは」

そう思いながらルール通りに持ち続けて、結局わずかな利益、ときにはマイナスで終わる。それが何度も続くと、こう思えてきます。

「ルールを守っているせいで、損をしているのでは?」

私もたまに思うことがあります。なので、実際に運用しているルールの取引記録約9,700回ぶん(16年分)を全部使って、確かめました。

結論は2つあり、どちらも意外でした。

  • 感覚は正しい。 乗った利益は、本当によく戻される

  • それでも従うほうが得。 早く利確するほど、最終的な利益は減る

① あなたの感覚は、数字でも正しい

まず「乗ったのに戻された」がどれくらい起きているか。

ここでの「乗った」は、決済したときの利益ではなく、持っている間に一番良かったところを指します。「あのとき利確しておけば」の"あのとき"です。

※「マイナスで終わった」は「減って終わった」の内訳です。+0.05%まで乗った取引の52%が利益を減らし、そのうちほとんど(全体の48%)はマイナスまで戻りました。
約半分は、本当に戻されています。
「あのとき利確しておけば」という記憶は、思い込みではありません。実際に半分の確率で起きています。だから悔しいのは当たり前で、そこを我慢しているのは立派なことです。
※ここでの%は、建値からの値幅です。通貨や商品が違っても比べられるように、pipsではなく%で表しています。ご自分の記録に当てはめるときも、この形が便利です。

② それでも、早く利確すると損をする

では「半分は戻されるなら、その前に確定したほうがいいのでは?」——これも計算しました。
「含み益が+X%に達したら、そこで利確する」というルールに変えたら、最終的な利益はどうなったか。

※計算方法: 保有中に一度でも+X%まで含み益が乗った取引は「そこで指値が刺さった」ものとして扱い、届かなかった取引は実際の結果のままにしています。決済の回数は変わらないので、往復コストの前提も同じです。

早く利確するほど、素直に減ります。

+0.1%(たとえば1ドル150円のとき、15銭ほどの値幅にあたります)で利確していたら、利益は4分の1になっていました。半分は戻されるのに、です。

③ 理由:利益は「ごく一部」から来ている

なぜこうなるのか。利益がどこから来ているかを見ると分かります。

上位5%だけで全利益の116%。つまり残り95%の取引は、合計するとマイナスです。

この構造だと、何が起きるか。

「もう十分乗った」と感じる場面こそが、その上位5%になりかけている取引です。早めに利確すると、大きく伸びるはずだった取引だけが選択的に消えて、小さく負ける取引はそのまま残ります。

半分が戻されるのは事実です。しかし残り半分の中に、全部を取り返す取引が混ざっている。戻される痛みは、大きく伸びる取引の入場料だった、ということでした。

④ 「もうさすがに戻すだろう」も測ってみた

もうひとつ、よく思うことがあります。

「ここまで一方向に走ったなら、さすがに調整が入るだろう」

これも検証しました。ここからは私の取引記録を離れて、市場そのもののデータで確かめます。主要6通貨ペアで「直近6時間/24時間/72時間の値動きが大きかった後、次の24時間はどうなるか」を測りました。18通りです。

結果は、18通りすべてで有意な関係なし。「行き過ぎたら戻る」は、少なくともこの測り方では確認できませんでした。

補足しておくと、最初の集計では強い数字が出ていました。ただし計算方法に誤りがあり、直したら消えています。この手の「自分の計算を疑う」話は、それだけで1本になるので改めて書きます。

⑤ あなたも確かめられます

大事なのは「私の場合はこうだった」ではなく、ご自分の記録で確かめられることです。手順は3つだけです。

手順1: 記録を用意する

過去の取引の「建てた値段・決済した値段・保有中の最高値(または最安値)」があれば十分です。取引ツールの履歴から出せます。

手順2: 「もし+X%で利確していたら」を計算する

保有中に+X%まで乗った取引は「+X%で終わったこと」にして、届かなかった取引はそのままにします。それを合計して、実際の成績と比べるだけです。

手順3: 上位5%を抜いてみる

利益の大きい順に並べて、上位5%を除いた合計を出します。ここがマイナスなら、あなたの利益も「ごく一部の大きな取引」が支えています。その場合、早期利確は高くつきます。

逆に、上位5%を抜いてもプラスなら、あなたの手法は「コツコツ型」です。その場合は早めの利確が合うかもしれません。答えは手法によって変わります。だから自分で測る価値があります。

おわりに

「ルールを守っているせいで損をしている気がする」——この感覚は、少なくとも私の場合は半分正しくて、半分間違いでした。

戻されるのは本当。でも、戻される痛みを避けようとすると、利益の源泉ごと失う。

もし同じ気持ちを抱えている方がいたら、ぜひ一度ご自分の記録で確かめてみてください。我慢が正しいと数字で分かっていると、次の「もう十分乗った」に耐えやすくなります。

私はこの表を、判断に迷ったときに見返す場所に置きました。


*本記事の数値は、私が実際に運用している複数のルール(中身は非公開)の全取引記録から計算したものです。値幅はpipsではなく建値に対する%で表しています。取引の中身に関わらず比較できる形にするためです。*



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