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12万票の衝撃

2024年7月7日に東京都知事選挙が行われ、現職の小池百合子氏が元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、元参議院議員の蓮舫氏らを抑え、3回目の当選を果たしました。

特に衝撃だったのは市民がつくる政治の会所属の内海聡氏で今回の選挙で12万票を超える得票を得ただけでなく、暇空茜氏も10万票あまりの得票を得ました。ちなみに、内海氏は数多くいる泡沫候補の1人であり、せいぜい1万票程度になるのではないかとみられていたため、予想をはるか上回るほどの得票だったとみられますし、暇空氏は予想外の出馬に驚いたうえに政見放送や選挙ポスターを貼っていなかったりと選挙運動を真面目にしていた印象はなかったにも関わらず、10万票を超えたということもあり突然の出馬にしては健闘したといえます。なお、ここでは内海聡氏を取り上げたいと思います。

政治活動に進出した経緯

内海氏は市民がつくる政治の会の前身である日本母親連盟を足掛かりに政治活動へと踏み入れたとみられます。

日本母親連盟は2018年8月に内海氏と甲斐由美子氏らが立ち上げた政治団体で日本の母親たち女性たちによって政治連盟をつくるという実践のもとで立ち上げました。また、立ち上げの際にあたり、内海氏は既存の政治連盟は業種別の利権団体ばかりと主張していたことからこの当時からすでに反権力志向があったとみられます。なお、当時のマニフェストを見たところ、「待機児童の解消」や「高校授業料無償化」などの子育て世代に重点を置いた内容であるものの、「薬に頼らない医療の推進」や「ワクチン及び検診強制の禁止」といった反医療や反ワクチンとみられるものが含まれている感じでした

とはいえ、内科医である内海氏が政治に関心を持ち出したかというと恐らく福島第一原発事故がきっかけではないかと思います。彼は原発問題について、精神科問題と同一視しており、精神科問題については「人間的な問題であり、社会的な問題であって、医学の問題ではない」と主張するとともに精神科医を敵視しており、そのノリで展開しいるとみられます。ちなみに、原発については問題を解決していないのにも関わらず原子力ムラの連中は「日本には原発は必要」とウソをつき、自分たちの利益をむさぼっていると精神科医と同じように敵視しているといった感じです。そして、敵視する対象が精神科医から原子力ムラ、移民などへと変わるにつれて「このままでは日本は外国勢力などによってダメになってしまう。市民の力で変えなくては。」という使命感を抱くようになり、そのためにも同じ考えや似たような考えを持つ地方議員を増やしていく必要があると思い政治活動に進出したとみられます。

ただ、日本母親連盟というネーミングについては子育て世代を中心に市民目線で日本を考えているとはいえ、母親しか入れないという印象を持ってしまうことからより普遍的な政治団体にするため、2021年に「市民がつくる政治の会」へと改称し、現在に至っています。

出馬への経緯

以下のように経緯で政治活動に進出した内海氏だが、なぜ東京都知事選に出馬したのかというと「東京から日本を変えたい」という意思があったとみられます。その点から出馬に関しては本気だったと思います。

内海聡氏のチラシ(出典:市民がつくる政治の会

都知事選出馬にあたり、東京都政の問題を5つ挙げていますが、そのすべてが先のマニフェストに当てはまっており、内海氏における政治思想がここに集約されているといっても過言ではありません。なお、日本を変えていくのであれば国会議員でもいいのではないかと思うが、政治から逃げずに市民から働くこと、地方や身近な生活の重要性を意識し利権にしがらみがない政治を目指すという観点から地方政府のトップである知事を選んだのではないかと思います。といっても、市民がつくる政治の会は国政よりも地方政治に重点を置いて活動しているみたいです。

ちなみに、選挙運動についてはポスターや政見放送だけでなく、街頭演説を行ったりと積極的に活動しており、最終日の7月6日には令和の一向一揆と題して田母神敏夫氏とともに国会周辺で大規模な演説が行われました。

12万票を集めた要因

前述のとおり、都知事選での開票の結果、落選はしたものの12万票を集め、前述の暇空氏を除く4候補と安野貴博氏に次いで6位でした。ちなみに、前回の都知事選では内海氏と同じ反ワクチンを主張する平塚正幸氏が出馬したものの9000票しか集めることができなかったことを鑑みると大躍進といえます。

前回の都知事選で「コロナはただの風邪」と主張した平塚氏のポスター

4年前とは社会情勢が異なるため一概には言えないが、前回の都知事選おいては新生活様式に反対していた人が平塚氏に投票したとみられます。しかし、内海氏に比べると知名度はいま一つだったのは否めません。とはいえ、内海氏は新型コロナ(彼は新型コロナを珍コロと揶揄していた)についてメディアが作り出したウイルスと主張していることからその点は平塚氏と主張が一致していたと言えるが、この当時の内海氏は黒川敦彦氏が率いるオリーブの木(現・つばさの党)を支持していたため、平塚氏と共闘することはありませんでした。

その2年後の参院選では参政党が全選挙区に候補者を擁立し、東京都選挙区においては河西泉緒氏が出馬し、13万票を獲得したうえに元衆議院議員で当時自由共和党に所属していた青山まさゆき氏の得票数を合わせると少なくても15万票あまりが反ワクチンを掲げる候補者に投票していることから、この2年間で反ワクチン派とみられる人が都内だけでも少なくても15万人ぐらいはいたと思います。ちなみに、都内では令和2年国勢調査における有権者数が1154万人に対し、推計で約43万人(※1)が未接種者とみられます。

そのことから、今回の都知事選においては前回、平塚氏を投票した人をはじめ、反ワク派や自然派の大多数が内海氏に投票したのではないかと思います。また、参政党は田母神氏を推す予定だったが、結局のところ自主投票になり、参政党支持者の一部も内海氏に票が流れたとみられます。そうした要因が重なり12万票の得票になったといえます。

※1. 全有権者における未接種者数=有権者数 -(1回接種した回数 -12~17歳で接種した回数)
データについては厚労省の新型コロナワクチンの接種回数についてならびに令和2年国勢調査のデータを使用した。

まとめ

内海氏のネームバリューに加え、元参政党関係者ならびにチーム日本関係者、前回の選挙において平塚氏を投票した人だけでなく、参政党支持者の一部までもが彼に投票したのが12万票であり、反ワクチン界隈が一つにまとまった結果だといえます。また、選挙前には東京の池袋や銀座で反パンデミック条約デモが開かれており、参加者が内海氏を支持していたことからWHO主導のパンデミック条約で主権が奪われるという嘘によって作り出された共通の価値観が反ワクチン界隈を一つにまとめたのではないかと思います。そして、その人こそが林千勝氏だといえますし、一つにまとまってしまったことによって恐怖心が芽生えたのは否めないと思います。

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