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カ。 ─ ポルトガルからの贈り物について ─

はじめに (イントロダクション)

※全方向にごめんなさい。
※ただの一カステラ好きの個人的な感想です。
※ 本記事のタイトルおよびロゴ、イントロダクションは、魚豊様『チ。―地球の運動について―』へのオマージュを込めてデザインしました。チ。大好きです。「地球(いわ)が動く」も観に行きました。



硬貨を捧げれば、カステラを得られる。
消費税を捧げれば、カステラを得られる。
労働を捧げれば、より美味いカステラを得られる。
なら一体何を捧げれば、この世で一番美味いカステラを知れる ── ?

── 16世紀 P王国某所 ──

「これからJ国に行くけど、何か持っていくものアル?」
「オーゥ、ソウネ … タネガシマと、間違えたテッポウと、コップと、コンペイトウ、あそうだ、これも持っていくといいヨ! "ボーロ・デ・カステイラ"!」
「ファ?」
「"ボーロ・デ・カステイラ" ヨ!知らん?」
「知らんけど、まあいいや、持ってくヨ!お土産いっぱい買ってくるからネー」

船は港を出港し、大海原を渡る。途中、嵐に遭い、数名の乗組員の犠牲を出したりもしたが、とても長い時間をかけて、なんとか目的地である黄金の国 ── J国にたどり着いたのだった。

── J国、N崎港 ──

「ギブミー!ギブミーチョコレート!」
「色々と間違ってるヨ!…はい、ポルトガルからきたヨー。南蛮のもの、色々もってきたヨー」

港は今日も騒がしい。J国人たちが、物珍しさにわらわらと群がってきていた。野次馬というやつだ。その波をかきわけて、J国人の男 ── 刀を差し、いわゆるサムライぽい格好の男が一人、船から降り立った南蛮人と対峙した。サムライ男の背丈は、頭ひとつ抜けていた。

「入港証や、様々な手続きがあるゆえ、奉行所までお越し願いたい。許可が降りるまで、勝手な荷下ろしなどは禁ずるお」

「カタイ事言うなしー。あ、そうそう、まずこれ、友好の証ネ。よかったらドゾ」

そういって南蛮人が、ふわふわした、黄色いスポンジ状のものを一切れ、皿に乗せて男に差し出した。ふわふわしているかどうかは、食べてみないと本来わからないはずなのだが、でもこれは絶対ふわふわしているとサムライ男は見た目で思った。これでもし固かったら、もう世の中の何も信じたくない。認めない。ふわふわであれ。

「むむむ、これは贈賄にあたるやもしれぬが… どれ、ちょいと味見でもしてみようか」

野次馬たちの好奇の視線を無視し、サムライ男は二本の指で、それをつまんだ。
 口に入れた瞬間、まるで「Fa…」と口に出してしまいそうに、サムライ男はなっていた。あまりに美味すぎる。そして美しい。美しいと思ってしまう。こんなスイーツは、島国ジパングにはない。あっという間にサムライ男は黄色いふわふわをペルリとした。

「入港を…許可する」
「マジ?マジデ…ジマ? デジマ?」

「マジ。それより、もっとないのか、このスイーツは」
「アルヨ〜!ちな名前は "ボーロ・デ・カステイラ"だヨ!」

「ほほう、カステラとな!これは素晴らしい。色も黄金色だし、我が国にぴったりのスイーツだ!きゅん!感謝感激、P王国!」

こうしてJ国に入ってきたカステラ(※諸説あり)は、現代においてもお菓子界隈の重鎮あるいは大御所、また贈答用お菓子の定番、あるいは横綱として君臨している。


── カステラ好きによる一考察

さて。ここからはただのカステラ好きによる一考察である。カステラを望むすべての人々の一助になれば幸いだ。

カステラの基本的な構成材料は以下となっている。
・卵(全卵使用が基本)
・小麦粉(強力粉を少々)
・佐藤
・水飴(しっとり感の決め手となる)
・はちみつ(風味づけに使われたりもする)

ほとんどのカステラは、上記の材料で作られている。つまり、かなりシンプルなのだ。なのになぜ ── 各メーカーから販売されているカステラは、こんなにも味や風味、かたさなどが違ってくるのだろう。
なぜか佐藤さんが紛れ込んでしまった事は、切にお詫びしたい。砂糖だ。

「五三焼き」という言葉を聞いたことはあるだろうか。カステラ界隈では有名なのだが、これは卵のうち卵黄5:卵白3の割合で作られる贅沢な配合のカステラに使われる、いわば称号のようなものだ。確かに、五三焼きカステラは通常の全卵使用カステラよりもしっとりとしていて重厚、濃厚な味わいがある。

しかし、私はここに一石を投じたい。

5と3。これは本当に美しいだろうか?足して8にしかならない。
5と5。あるいは、7と3。そういった割合は、存在しないのだろうか?
本当に、しっとり重厚・濃厚=美味しいカステラ、なのだろうか?
濃厚ではある、しかし重たすぎる、ということにはならないだろうか?
カステラは、お菓子だ。パンのように、主食にはなり得ないと、私は、そう思う。
つまり、カステラは腹を満たす為にあるのではなく ── これはあくまで"仮説"だが、おやつとして、どちらかと言うと心を満たすものとして存在しているのではないか。

さっぱり軽やか・程よいパサパサ感=美味しいカステラ、こんな式があっても良いのではないか?

また、しっとり重厚・濃厚+さっぱり軽やか・程よいパサパサ感を併せ持ったカステラは存在し得ないのだろうか?

対立を招いたり、煽るつもりはない。私はただ、神(職人さん)が作りし前述の二つの特徴を持つカステラを探し出したい。それだけなのだ。そして…そのカステラはきっと美しいはずである。

そうだな…。しっとり系を「卵黄説」と呼ぶのなら、さっぱり系は「卵白説」とでも呼ぼうか。

そろそろ本題に入ろう。私はある時ふと思いつき、全国からカステラを集めた。全国といっても主に楽天市場なる電子世界の店舗から収集したのだが、それらを実際に比較・実験した。つまり、食べた。美味しかったです。
その記録を、以下に記そうと思う。どうかこの文献が、カステラを愛する地上の人々に届くようにと、願ってやまない。私が死んでも、人々のカステラへの飽くなき探究心の火が途絶えることはないだろう。そう、信じている。

文明堂総本店 文明堂のカステラ

パッケージ

まず、パッケージに注目したい。これは、本当にかっこいいと思う。おそらく超優秀なデザイナーが、制作したのだろう。
日本を代表するカステラに相応しいパッケージデザインといえる。包装紙を開けた瞬間、声を上げてしまったほどだ。
いちおう私もグラフィックデザイナーの端くれではあるが、こんなにかっこよさと上品さ、おしゃれさを兼ね備えたデザインは絶対できない。

そして文明堂といえば、思い浮かぶのはあのCMだろう。カステラ一番、電話は二番のあれだ。余談になるが、私は銀座に行くと必ず寄るところがある。文明堂カフェだ。飲食後、コースターを頂いて帰る事が通例となっている。店員さん、いつも無理を言ってしまいすみません。

厚紙のコースター。文明堂"豆"劇場。
"豆"が入ることによる唯一無二感

二十代の子に、文明堂のCMを知っているか聞いた事がある。今のところ九割の確率で「知らない」と答えられている。残りの一割は無視だ。嫌われてるのかもしれない。ちなみに添付したコースターに写る彼らは「カンカンベア」という名前らしい。銀河系を突き抜ける可愛らしさだと思う。

鮮やかなイエロー

食べてみた所感は、やはり、かなり美味しい。見た目は意外なほど明るめなイエロー。もちろん程よくしっとりしているが、重すぎることはない。口当たりも、とことん優しい。全てのパラメータがバランスよく高水準にあると言える。
ザラメもしっかり残っていて好印象だ。
食感を擬音で例えるなら「ファ…」だろうか。「ふわっ」ではない。ファはファイトのファではなく、文明堂カステラのファだ。
「ファ〜は文明堂カステラのファ〜」
ドレミの歌は今後そう歌おうと思う。
まさに、おやつタイムに合致するカステラといえる。カステラ難民たちは、文明堂のカステラを選んでおけばとりあえず間違いはない。そういった印象だ。本当に美味しい。止まらない。

しっとり感:★★★★★★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★★★★
カンカンベア:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

セブンイレブン「しっとり上品な味わいカステラ」

パッケージ

私の自宅付近には、セブンイレブンが二軒ある。方向こそ違うが、どちらも車で二、三分といったところだ。つまり、いつでも行けるのである。便利な世の中になったものだ。そしていつでも行けるということは、いつでもこのカステラを手に取れるということなのである。気軽さ、お手軽さでいえば、群を抜いている。

驚くほどずっしりしている

実食してみる。肝心の味は、これは、参った。普通にうまい。まず手に持った時、ずっしりとした重みを感じるのだ。本体に色ムラができるほど、しっとり感が溢れんばかりに滲み出ている。
これは、かなり「卵黄説」を支持しているカステラだということがわかる。こんなにカジュアルに卵黄説に出会えていいのか、とさえ思う。正直、驚いた。セブンイレブンには、感謝の意を伝えたい。

しっとり感:★★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★
甘さ:★★★★★★★
パッケージ:★★★★
ご近所感:★★★★★★★★★★★

ファミリーマート 卵の風味豊かなもっちりカステラ

パッケージ

ファミリーマート、通称ファミマ。私の自宅付近に、ファミマは無い。いや、あったのだが、今は和食屋さんになってしまった。なので、気軽にフラッと行けるわけではない。ちなみに片道で二十分程度をかけて行ったファミマにカステラは無く、隣の町までハシゴした。だから、出会えた時は嬉しかった。

ところでパッケージに注目していただきたい。一切れが、個包装されている。これまで様々なカステラを見てきたが、実はこの形態はあまり無いのだ。本当にちょっとだけ、わずかに小腹がすいたときに食べるおやつ。あるいはダイエット中で、お昼ご飯の代わりに一切れだけ。そういった使い方ができるファミマのカステラは、実は本当の意味で手軽な、カジュアルなカステラなのではないかと思った。女性やお子さんたちには特に嬉しいのではないかと思う。

もっちりを謳う
ちなみに2個買った

さて、味だ。問題はそこだ。カジュアルさに振りすぎてしまって、味がイマイチなら本末転倒、というやつである。
指でつまみ、持ってみた第一印象は、ちょっと軽い。そして食感は、おお確かにこれは「モチっ」としている。その名に偽りはない。しっとりさも確かに感じる。セブンイレブン程ではないが、どちらかといえば「卵黄説」の方に該当すると思う。
これは、手軽さも含め大いにアリだ。うまい。

しっとり感:★★★★★★★★
さっぱり感:★★★
甘さ:★★★★★
パッケージ:★★★
お手軽さ:★★★★★★★★★★★★★

井村屋 国産小麦のこだわりカステラ

パッケージ

私はコストコのエグゾディ…エグゼクティブ会員である。コストコには、二ヶ月に一度くらいの頻度で出かけるのだが、買うものといえばだいたい決まっている。新商品だ、買っちゃお〜みたいな冒険者にはなれない。そしてそのいつもの買い物リストの中に、この井村屋のカステラは入っている。
刮目すべきは、パッケージだ。写真には写していないのだが、五切れが三本、入っている。これは非常に大きい。さすがアメリカン・パッケージ、とでも言うべきだろうか。食いしん坊バンザイサイズである。

しっとり、ずっしり

いっぱい入ってるだけで、美味しくないんでしょ?
質より量なんでしょ? と思ったあなたは、今すぐ考えを改めたほうが良い。
井村屋さん、さすがである。味のクオリティも非常に高い。セブンイレブンのカステラに、ちょっと近いような気がする。しっとりしていて、重厚感もそこそこある。「卵黄説」の提唱者が、ここにもいる。ああ、神よ。なぜあなたはこの世界に二つの説を生んだのか。
ちなみに井村屋さんは、あの「あずきバー」なども製造している、和菓子界に燦然と煌めく会社だ。こんな素晴らしい会社がある日本に、生まれてよかったと思う。

しっとり感:★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★★
甘さ:★★★★★★★
パッケージ:★★★★★
コストコの感じ:★★★★★★★★★★★★★★

近所のスーパー おやつかすていら

パッケージ

けっこうお腹いっぱいになってきた。

さあ、次へいこう。近所のスーパーは、いつでも混み合っていて、老若男女問わず地域のみんなに愛されている場所である。食品、新鮮なお野菜はもちろんのこと、ちょっとした日用品、例えば電池や電球など、そういったものも扱っている、頼りになる存在だ。
そんなスーパーにも、もちろんカステラはある。
商品名を見てほしい。「かすていら」だ。こだわりを感じる。山積みになっていたので、その頂点にあったものを取った。

今までで一番軽い

開封して、指でつまんで持ってみる。これまで紹介してきたもののなかで、一番軽い。食感も、かなり、軽いものだった。驚いたのは、ここから先である。ちょっと水分が欲しいかなと思い、私は豆乳を取ったのだが(牛乳飲むとおなかこわしちゃう)口の中で豆乳とカステラが混ざった瞬間、私の身体はまるで、雷に打たれたかのような衝撃を受けた。味の確変が起きたのである。

これは、うまい。豆乳で流し込むように、私はこの「かすていら」を食べた。うまい。うん。けっこう、お腹いっぱいになってきた。

しっとり感:★★★★
さっぱり感:★★★★★★
甘さ:★★★★
パッケージ:★★★
満腹度:★★★★★★★

ローソン しっとり五三焼カステラ3切入

パッケージ

ローソン。これで今回の記事でのコンビニで買えるカステラの紹介は最後となる。恥ずかしながら、私はこれまでの人生で、ローソンを利用することはあまりなかった。やはりセブンイレブンの方が近いということで、どうしてもそちらに行ってしまうのだ。たまにローソンに行っても、買うものといえばからあげクンで、カステラは今回初の購入となった。

パッケージがまず、シンプルでおしゃれ、洗練されていると思う。手軽さを全面に押し出しているコンビニだから、重厚感のある箱など、必要ないのだ。この袋こそ、機能美と言える。

これもしっとりずっしり

ピリリと袋の切れ込みから開封する。カステラの匂いがただよう。たまらず、思わず、私はかじりついた。
── ちょっと待ってくれよ。そう、声をあげてしまった。
これ、コンビニで出してええんか? うますぎんか?
まず、そう思った。しっとり、かつ、強めの甘さが口いっぱいに広がる。ちょっとあざとさを感じるくらいに甘い。逆に、さっぱり感はかなり少なめだ。「卵黄説」全振りと言える。
何より伝えたいのは、底についたザラメだ。実をいうと、セブンイレブンのカステラにもザラメはあった。しかしローソンのザラメは、もっとジャリジャリある。これはさしずめ、夜空の星屑だろうか。私は今、ローソンのカステラを食すことによって、真理の袖に触れたのかもしれない。

しっとり感:★★★★★★★★★★
さっぱり感:★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★
今後はからあげクンとカステラを買おう:★★★★★★★★★★★★

(株)サンラヴィアン ちょっとが、うれしい。カステラ

パッケージ

まじで、ちょっとが、うれしい。なんでこんな事始めちゃったんだろう。お腹いっぱいになってきた。お腹いっぱいになってきた。

こちらのカステラ、私の自宅の近所にあるスーパーその2で購入したものだ。このスーパーには置いてないのかな、そう思って帰ろうとした時、レジの比較的近く、ワゴンの中に陳列されていた。
電気屋さんとかだと、レジの近くに電池が置いてあったりする。
「お買い忘れはありませんか?」そういうノリだ。
だからこのスーパーのこのカステラも、もしかしたらその感じで、よかったらおやつにどう?のノリで置いているのかもしれない。

軽やかすぎるほど軽やか

食べてみた。いやいや、普通においしい。お買い忘れコーナーとかじゃなく、メイン通路にあっても良いクオリティだ。一軍メンバーのお菓子たちと一緒にどうか、並べてあげてほしい。そう思う。
ほのかにバナナの風味を感じたのは、気のせいだろうか。

いや待って本当にお腹いっぱいになってきた。どうしよう。

しっとり感:★★★★★
さっぱり感:★★★★
甘さ:★★★★
軽やかさ:★★★★★★★★★★★★
満腹度:★★★★★★★★★★★★

琴海堂 長崎和三盆かすてら

パッケージ

お腹パンパン。

いや、こんなところで、好奇心の火を絶やすわけにはいかぬのだ。これは、私が始めた物語なのである。繋いでいかなければならない。パッケージを見てほしい。正直なところ、この化粧箱を見た時、「日本酒でも入ってんのかな?」と思った。しかし左上、見えるだろうか。「長崎カステラ認定証」のシールが、眩しいほどに鎮座している。これは期待できる。そう思った。この箱から出てくるカステラは、絶対に綺麗だ。

ちなみに私は、カステラカステラと騒いでいるわけであるが、そのメッカである長崎には、行った事がない。まじかよこいつ呆れるわ、そう思ってくれても構わない。だって九州、遠いんだもん。そして本当に失礼極まれりだが、「琴海堂」の名を、私はこんにちまで知らずに生きてきてしまった。大変申し訳ない。しかし今回、この企画をやることによって、私の脳に確かに刻まれたので、ご容赦願いたい。

驚くほどに深いイエロー

開封すると、そこにはこれまで紹介してきたカステラの中では群を抜いて、深いイエローが目に映った。オレンジに近いイエローだ。まるで金星の如き美しさ。
見た瞬間に、これは「卵黄説」、それもかなり極めていると直感した。

頬張る。これは、これは、これは、美味しい。信じられないくらい、しっとりしていて、重厚感がある。一切れでいい。それは悪い意味ではなく。たった一切れで、並のカステラ五本分の満足感を得られる。そういう意味だ。
ザラメも凄い。宇宙の星々を表しているかのようだ。まるで天の川。
ザラメを欲する民は、このカステラを買うのが一番良いかもしれない。
成分表を見てみる。
一体なにを使うと、このようなカステラが生まれるのか。
【"長崎県愛野産"太陽卵使用】
この文字列を見た時、私は悟った。
── そうか君は…このイエローは…
金星ではなく、太陽だったのか ──。
これが、長崎カステラ認定証の実力。
私は、感動のあまり身体が震えていることに気付いた。

しっとり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★
さっぱり感:★★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★★★★★★★★
名前の美しさ:★★★★★★★★★★★★

ふらん・どーる 山科カステラ

パッケージ

パッケージ、それはカステラの住む家とも言える。
こちらのふらん・どーるのカステラが入ったパッケージ、化粧箱は、先ほど紹介した「琴海堂」のものとはデザインの方向性が180度違う、可愛らしさを全面に押し出していると感じた。パステルカラーが用いられていて、丁寧に紙紐で結んである。
私はこういう系統は嫌いではない。むしろ、可愛いものが好きなおじさんとしては、ちょっと自室に飾っておきたいくらい好きだ。筆入れにしても良い。

小ぶりで可愛い。
石川県は金沢市から

中身を取り出すと、これまで紹介してきた中では一番、小ぶりだった。これまた可愛い。ちいさきものはみなうつくし、本当にそう思う。可愛さの中に、ちゃんと黄色と茶色の美しさを兼ね備えていた。

私の右手の指が、カステラをつまむ。これは、また「ファ…」が出てしまった。
繰り返す。「フワっ」ではない。「ファ…」なのだ。「フワっ」などはとうに通り越している。
「卵白説」…まず、そう思った。これは、これまで食してきたカステラとは明確に違う。しっとりは、している。しかしそれ以上に、さっぱりもしている。
待ってくれ、いかないでくれ。口の中であっさりとろけてしまうそのカステラに、思わずそう声をかけてしまいそうになる。
「卵白説」の完成は近いのかもしれない。
今思い返しても、まるで流れ星のようなカステラだった。

しっとり感:★★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
かわいい:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

黒船カステラ

パッケージ

よしっ!よしっ!よしっ!よしっ!
ちょっと、シャドウボクシングをしてきた。これでまだ、食べられる。

さて、これまでカステラを順不同に紹介してきたが、いよいよきてしまった。
黒船の登場である。
マシュー・ペルリ(ペリー)提督。黒船といえば、彼である。
つまりアメリカからやってきたカステラなのだろうか。そう思った私は、公式サイトで確認を試みた。東京都は自由が丘に本店を構える菓子店、とのことだった。なるほど。
しかしそれ以上に、公式サイトに記載のある「職人が一枚一枚手焼きしています」の言葉に心が躍った。
もちろん手焼きにこだわるカステラはいくつもあるだろうが、この黒船は別格に美しいと思ってしまった。
「こ…これを…手焼きで…?」
まさに神(職人さん)が創りしカステラである。

堂々としている

惚れ惚れするほど美しい。
いざ、実食。── 待って、超美味い。
卵黄説と卵白説。私はこの二つの説の、いわば「いいとこどり」を探し求めてきた。

神様…あったかもしれません…!

しっとり+重厚感+サッパリ感。
これが、かつてないほど絶妙に均衡している。

【鶏卵(国産)、砂糖、小麦粉、水飴、クリーム、牛乳】
↑これが、黒船が公開している原材料だ。
一般的なものである。
しかしこの味…文明堂総本店に、肉薄する。
いや、人によっては、黒船を推すかもしれない。
ペルリ提督、これが、あなたがもたらした文明開化なのでしょうか。ありがとう…ありがとう…!

しっとり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★
ペリー提督へ捧ぐ:★★★★★★★★★★★★★★★★

須崎屋 長崎五三焼かすてら

パッケージ

紺色と、金色。
私はこの二色の組み合わせが、一番高級感が出ると思う。
パッケージを見た瞬間、心はときめきを感じた。
── これは、良いとこのやつだ、と。
すでに指先は震え始めていた。
お前に、私を食う覚悟はあるか。そう問われているような気に、私は、なっていた。

太陽のような色味。
すっごく深いサンシャインイエロー

開封した直後、私の身体は硬直した。
ずっと暗い檻に閉じ込められていた動物が、太陽を初めて見た時、きっと同じようになると思う。
小さな太陽が、そこにはあった。
人はあまりに大きな感動を覚えた時、身体の動きが止まることを、私はこの日、初めて知った。

実食。もはや、なにが正解で、何が不正解なのか、わからなくなってくる。ただ美味しい。太陽のように眩い光を放つそのカステラに見惚れながら、私は一切れを食べ切った。もちっ、ねちっとした、ただならぬしっとり感がある。
原材料は、【鶏卵、砂糖、小麦粉、もち米水飴、和三盆糖、ざらめ糖】と書いてあった。
もう、わからない。これらをただ組み合わせることなら、私にだってできる。
長年の経験則に基づく配合と、神技のような焼き加減。
そういった様々なものが組み合わさり、長い工程・出荷検査を経て、この美しきカステラが出来上がり、私の口に届いているのだなと思うと、心底、感動する。
ありがとうございます。
お腹はもう、はちきれんばかりである。
ちょっとつつかれたら、全部出ちゃうな。


しっとり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★★★★★★★★
太陽度:★★★★★★★★★★★★★★★★
満腹度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

福砂屋 カステラ

パッケージ
手描き風が可愛らしい
王者の貫禄

うますぎワロタw

いや、すみません、素が出ちゃいました。
いやいや、これはうまいって。知ってる。知ってるよ。
あの、けっこう僕、いろんなところで「カステラ好き」を公言しているので、お客さんからこの福砂屋のカステラ、いただいたりするんですよ。もうね、格別です。
特にザラメね、ザラメ。カステラのふわっふわの感じとザラメのカリッとしたコントラストが最高。
他にもザラメを使ったカステラはあるけど、福砂屋は「ちょうど良さ」が違う。
ちょっと笑っちゃうくらい美味しい。

しっとり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ザラメ:★★★★★★★★★★★★★★★★
満腹度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

松翁軒 五三焼

パッケージ

まずはこのパッケージを見て頂きたい。
「松翁軒 五三焼」と、そう書いてあり、カステラの文字はない。
カステラ素人からすれば、この中には一体、何が入っているのだろうと、混乱してしまうだろう。
答えはそう、カステラだ。松翁軒。その歴史は古く、最初の店舗は1681年(天和元年)に始まったというのだから驚きだ。
もはや「松翁軒」こそが「カステラ」だと言っても過言ではない。

王道の極み

荘厳ささえ感じるパッケージを開ける。中から出てきたのは、実にシンプルなカステラだった。
文明堂のように明るいイエローではない。深みのあるイエローだ。佇まいが美しく、王道をひた走ってきた貫禄を感じさせる。

味も…シンプルだ。
原材料は、【砂糖、卵、小麦粉、水飴】となっている。
取り立てて特徴があるわけではない。
おや…これは…。
正直、期待感が高まりすぎていたのかもしれない。そう思った時、衝撃が走った。
後味で、殴られたような感覚。
余韻、とでも言おうか。
じんわりと、後から甘さがやってきた。
── こんなことがあるのか。
なんというか、味の深みが違う。
カステラを構成する全ての材料が、奇跡のように調和している。
お腹はもう、はちきれんばかり、いやもうはちきれた。はちきれたのだが、右手が、松翁軒に伸びてしまう。あの余韻をもう一度味わおうとしてしまうのだ。
シンプルゆえに、ハマる。これがいわゆる沼、というやつか。
やはり、時の洗礼を受けて生き残っているものは、強い。それを痛感した。

しっとり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★★★★★★★★★★★
パッケージ:★★★★★★★★★★★★★★
満腹度:死ぬほど満腹(測定不能)

業務スーパー パティシエのカステラ

パッケージ

業務スーパーにはよく行く。
私はポータブルピザ窯、略してポタ窯を所有しているので、しょっちゅうピザを焼くのだが、冷凍ピザ生地が買えるのは非常に嬉しい。ピザ生地は発酵させたりするのがちょっと面倒くさくて、どちらかというと私は生地よりもトッピングに命を懸けたい派なのだ。
他にも冷凍食品の豊富さには目を見張るものがあるし、何より安い。
庶民にとって心強いお店だ。

そんな業務スーパーにも、カステラはある。
それがこのパティシエのカステラだ。袋タイプのパッケージなので頑丈さがないためか、今回購入したものは、けっこう潰れてしまっていて、見た目にはちょっと悪かった。しかし、大事なのは味だ。さっそく、食べてみる。

ちょっといびつなところもご愛嬌

これまで紹介してきたカステラの中でも、一、二を争うほどのさっぱり軽やか・程よいパサパサ系だ。もしや、と思い、私は豆乳に手を伸ばした。

やはりそうか、と思った。
ちょいパサ系は、ミルクとあわせ飲むことで、味が確変するのである。
うまい、これもまた、うまい。
ピザ生地からカステラまで、幅広く取り揃える業務スーパーの守備範囲には、本当に脱帽する。

しっとり感:★★★★
さっぱり感:★★★★★★★★★★
甘さ:★★★★★★
パッケージ:★★★★
ミルクとあう:★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【まとめ】

日本という国は、狭いようで、広い。
今回、私が集めたカステラは十四種類程度だが、世の中にはまだまだ銘カステラがごまんとあるはずだ。
しかも今回紹介したカステラは、すべてプレーンにこだわっている。
抹茶味やチョコレート味など、カステラの表現方法は多岐に渡り、すべて神々(職人さん)が創り出した、血と汗と涙の結晶である。
お腹がはちきれてしまった私の研究は、どうやらここまでになりそうだ。
この文献は、noteという石箱にしまっておく。
どうかこの意思が、次の世代に引き継がれることを願う。

ここまで読んでくださった方、どうだろう。カステラを食べたくなってきたのではないだろうか。
改めて考えてみて、私のカステラへの感想は、どれもこれも「うまい」(おいしい)か「超うまい」(超おいしい)しかなかったと思う。
そう、私の味覚は、その二つしかないのだ。
マジでバグってる。
嫌いなものもないし、なんでも美味しく食べることができるのだ。
こんな私が食レポをするなど、はじめから無理な話であった。
だが…私がカステラを食べて感じた感動を、少しでもあなたに伝えられたなら本望である。

そもそもだ。カステラに、優劣などないのである。
しっとり度やさっぱり感に★をつけてきたものの…比較するものでもない。
みんな違ってみんな良い。そんな月並みな感想に帰結してしまう。

強いていうなら…
愚かにも比較を始めてしまった私が…この物語の、悪役だったんだ…。
どのカステラにも魅力があるし、それぞれかけている手間も違う。
愛も情熱も、それぞれのカステラに、満遍なく注がれている。

そしてどれもこれも、同じ時代に売られているカステラなのだ。
そんな幸せを噛み締めながら、私はカステラから"力"をもらい続ける。
明日からも、おやつにはカステラを食べる。
そう決めて、終わりにしようと思う。ありがとう、カステラ。


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