【ハッピーライティングマラソン25】子どもの頃から変わらず好きなことは何ですか? ~ステージアップ~
ごあいさつ
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本田健さんのハッピーライティングマラソンに
参加させていただいています
◆◆◆
子どもの頃から変わらず好きなことは何ですか?
「探検」
私は小さい頃から、探検することが大好きでした。
小学生の頃、理科の授業で「豆電球を使って何かを作りましょう」という課題がありました。
私はそのとき、豆電球キットと工作用紙と輪ゴムで、頭に装着できる“探検ライト”を作ったのですが、どうしてもそれを使ってみたくて、あるとき、ステージ裏から入れる体育館の床下にお昼休みに潜り込んだのです。
探検ライトをつけ、這いつくばって進む体育館の床下。そこに広がっていたのは、薄暗く、しかしとても静かな世界でした。
乾ききった地面の砂がサラサラと舞い、そこを息を潜めながら這いつくばる少年。
黒い制服は真っ白に。砂の上には蟻地獄の巣、進む先に大きな蜘蛛が巣を張っていて「うわっ!」となっても、少年の好奇心はまったく収まる気配を見せませんでした。
床下に開けられている換気孔から見える、決して自分に気づくことはない校庭で走りまわる友達の姿。頭上の床から響くバスケットボールの「ドンドンドン」という音。
その全部が、“自分だけの秘密の世界”のように思えてたまりませんでした。
初めて床下を探検したときのあの胸の高鳴り。
誰も知らない世界を自分だけが覗いている感覚。
それが、少年の好奇心に火をつけるきっかけとなったのです。
◆◆◆
中学生になった少年は、夏休みの自由研究で、友達3人と「溶岩トンネルの地図」を作ることになりました。学校から自転車で1時間ほどの場所に、自由に入れる溶岩トンネルがあったのです。
トンネルといっても天井高さ2メートル、幅は広いところでも2メートルほどの、まるで洞窟。入口から徐々に狭くなっていくその先はぐるりと回り、もう一方の出口に抜ける構造でした。
しかし、小学生の頃の体育館の床下と決定的に違うのは、そこに“冷たい水”があること。腰まで水に浸かりながら進むのは想像以上に厳しく、見たことのない水中生物がいてゾッとすることもありました。
頼りは懐中電灯ひとつ。天井はだんだん低くなり、トンネルは狭くなっていきます。地図を作るためには何回もトンネルをくぐらないといけません。
「出口の光よ早く見えて…!」
そう祈るような気持ちでいつも進んでいました。
今思えば、トンネルの中は空気も薄かったと思うので、事故の危険もあったかと思えば信じられない無茶をしていました。実際、何年後かにそこで人が亡くなったようで、以来、トンネルには人が入れなくなったと聞きました。
毎日のように洞窟へ通い、往復2時間の自転車も苦になりませんでした。少しずつ地図ができていくと、どうしても完成させたい気持ちが勝ってきたのです。
けれど、
そんな探検で忘れられない出来事がありました。
ある日、データを取るために、いつものようにトンネルの中で最も狭く天井の低い場所に差し掛かったときのことでした。
突然、懐中電灯の光が消えたのです。何をしても点きません。しかもその時、外では雨が降り始めてきました。
真っ暗闇の中、どこからか誰かの"声"が聞こえてきたような気がして、泣きそうになりながら必死にもがきました。自分が進んでいる方向さえわからなくなり、祈りながらただ前に這うように進み続けました。
そして、ついに出口の光が見えた瞬間――
「助かった!」 少年は叫んでいました。
あの時の恐怖は、今でも忘れられません。
それでも、ある意味命がけで作り上げたトンネルの地図は、忘れてしまいましたが、何らかの賞をいただくことができました。
賞をいただけたことは嬉しかったのですが、それ以上に「やり遂げた」という達成感と、あの時に感じた恐怖が、その後の私の心の大部分を占めることになりました。
◆◆◆
あれから40年の月日が流れ、大人になった今では、あの頃のような無茶はしなくなりました。それでも旅先の見知らぬ土地を歩いていると、ふとこう思うことがあります。
「この道から少し外れたところに、何か特別な景色が待っているかもしれないーー」
そんな予感がよぎった瞬間、あの少年が顔をのぞかせるのです。
心の奥底に変わらず息づく“探検する心”。
私は無意識に、自分の知らない世界を求めているのだと思います。
子どもの頃、薄暗い床下や冷たい溶岩トンネルで感じたあの胸の高鳴りは、単なる思い出ではありません。今も静かに、確かに私の中に生き続けています。
あの頃とは違う形であっても、“未知への一歩”に心が惹かれるたび、少年の自分がそっと背中を押してくれる。そしてその一歩が、新しい出会いやひらめきを運んできてくれるのです。
私の「探検」する心は、大人になった今もなお、新しい世界へと私を導いてくれる羅針盤です。
皆さまの心の中にも、「探検」している自分の姿はありますか?
素敵なお題をありがとうございました。
