「これ、AIでできるかな?」と先に思える人が、結局いちばん速い
先日、世田谷・千歳船橋のコワーキングスペース「Tatami Works」の勉強会で「LINE絵文字を作ろう」という講座を開きました。資料も自分で作り込んで、当日は講師として登壇したんですよ。それなりに準備したつもりだったし、手応えもありました。ところが、その場で店長の冨上さんに、AIの使い方でみごとに完敗してしまったんですよね。店長はまだ20代。AIを使ったエンジニアリングをしている、いわばAIネイティブ世代です。
「ソフトを探す」自分と、「AIでできないか」の冨上さん

何が起きたか、というとですね。
LINEのアニメーション絵文字は、1個につき最大20コマほどのPNG画像を用意して、それをAPNG(エーピング。アニメーションするPNGで、拡張子は.pngのまま)という形式にまとめる必要があります。
僕はこの連続するPNGファイルAPNGにまとめる工程を、フリーソフトを使って説明していました。サンプルのPNGをChatGPTで作るところまでは用意できていたので、「最後のまとめはソフトでやりますよ」と話していたわけです。
そうしたら講座の最中に、店長が実験を始めて、「これ、ChatGPTのままできちゃいましたよ」と。APNGにまとめる工程まで、画像編集の中で実際にやってのけたんです。がーん。
一瞬で「がーん」となったその理由は、技術力そのものより、最初に頭へ浮かぶことの違いに愕然としたからでした。僕は「APNGを作るフリーソフトはどれかな」と、ソフトを探すところから手をつけていた。冨上さんは「これ、AIでできないかな」が先に来ていたらしいんです。Windowsといえばフリーソフト、Vectorや窓の杜がお気に入りサイトだった僕と、AIネイティブの店長の差がここに。
出発点からして、もう違うんですよね。普段からAIが仕事に馴染んでいる人は、面倒な作業を見た瞬間に「これ、AIに振れないか」と考える。その回路ができているかどうかの差を、目の前で見せつけられました。
人に言っていたことが、自分に返ってきた

これ、僕がいつも勉強会で参加者に言っていることなんですよ。AIが苦手な人には
「何かやりたい作業、面倒くさいなと思った作業が出てきたら、まず"これ、AIでできるかな?"って自分に聞いてみるといいですよ」
とアドバイスしてきました。なのに、当の本人がソフト探しから入っている。人に説いていたことが、そっくり自分に返ってきた格好です。
面倒くさい、手間がかかる、同じことの繰り返しがある。そう感じた瞬間に「AIで試せるかも」と頭が動くかどうか。たったこれだけの切り替えでも、普段からAIを使う人、必要なときだけ使う人、まったく使わない人のあいだには、相当な差がついていくはずです。
しかも、試せる人はその場ですぐ試すから、効率の差はどんどん開いていきます。気づいたら追いつけない距離になっている、ということが起きるんだと思います。
僕は今55歳で、アクティブに働ける人生の終盤に差しかかってからこのAIブームに乗っかった世代です。えっちらおっちら食らいついている自覚はあるんですが、それにしても差が大きいなと痛感しました。
ちなみに今回、店長はLINE絵文字作りの作業の多くをChatGPTで一括処理できそうだと気づいたらしく、勉強会終盤の自由作業時間には「これ、かなり自動化できますよ」と言っていました。
もっとも、自動化すればいいというものでもなくて、品質の低いものを量産しても意味がありません。そこから先、どう質を上げるかは、これからの実験課題だと思っています。
だから、まず一度立ち止まる

じゃあ、これから僕はどうするか。「これ、AIでできるかな」と一度立ち止まる癖を、今まで以上に体にたたき込むしかありません。そのうえで、実現できそうなAIが何かあるか、ほんの少しだけ調べてみる。この2ステップを習慣にできれば、できることはまだまだ増えていくはずです。
ちなみにこの原稿、悔しいので音声入力AIの「Aqua Voice」で下書きを起こしました。今のところ、なかなかいい感じです。人に言う前に、まず自分が「AIでできるかな」をやってみる。さっそく一個、実践してみました。
