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クセのあるボケの正体

カメラで撮影しているとボカしたいときってよくあります。
特に人物ポートレートを撮影していると、ボケって重要な役割を持っています。

このボケですが、レンズによっていろんなパターン、クセみたいなものがあります。
今回はそんなお話です。


・硬いボケ

ボケが硬いという表現をよくしますが、これはどんな現象か。

EOS 5Dmk2 + EF50mm F1.8
撒き餌レンズとして一世を風靡しました

この写真で使用したレンズは一眼レフ時代のキヤノンの単焦点、EF50mm F1.8です。
明るいレンズなのですが、ボケがなだらかではなく、段階的にカクカクしたボケになっています。
価格が安いレンズや中華レンズに多いボケ方で、あまり好まれるボケではないです。
ただ距離や背景によって出ないポジションもありますので、上手く使いこなせば同じレンズでも綺麗にボケてくれます。

E-M1mk2 + Zuiko 35mm Macro
この背景だとボケが硬い
E-M1mk2 + Zuiko 35mm Macro
背景を選べば同じカメラ+レンズでもボケは違う


・二重(2線)ボケ

硬いボケの一種ではあるのですが、ブラーがかかったような2重像のようなボケになるレンズがあります。

E-M1mk2 + Kamlan 50mm F1.1
背景のボケがとてもがちゃがちゃしている

これを二重ボケと呼んでいますが、かなり背景がうるさくなるので、嫌われることが多いです。
ボケの量でかなり変わるので、背景は綺麗にボケても被写体側の小さな光源だけが2重ボケになってる、なんてことも。

E-M1mk2 + Kamlan 50mm F1.1
2線ボケもすごいがフレアが画面の9割を囲っているw
E-M1mk2 + M.Zuiko 45mm F1.8
素直な描画でもボケも綺麗な玉に


・柔らかいボケ

一般的に好まれるボケのかたちで、程よく滲むように背景がボケていると、柔らかいという表現をします
段階的ではなく、スムーズにボケていくので、被写体から背景にかけて違和感がありません。

OM1 + M,Zuiko 45mm F1.2 PRO
ボケの滲み方がエグいレンズ

この状態で撮影できるレンズが良いレンズだ、と言われているかと思います。


・ドーナツ(リング)ボケ

レフレックスミラーレンズと言う望遠レンズでのみ発生するボケです。
レンズ内で反射させて短いレンズで2倍の望遠性能を出すための設計がされています。
このレンズは前玉というか、レンズの入り口にミラーがあるのでその形が玉ボケなどに映り込みます。
その結果、真ん中が抜けてドーナッツ状のボケになります。

持ってないのでAI生成でw
ちょっと違うけど、まぁ雰囲気で察してください

表現として使うこともできるので、けっこうおもしろいです。


・なぜボケに差があるのか

球面収差の補正の仕方でボケの質が変わります。
周辺から入射した光線の焦点が近軸焦点と合致すると、フルコレクションと言われる状態になります。
この補正を過剰にするとオーバーコレクション補正を緩くするとアンダーコレクションと呼びます。
ピント面を綺麗に写すために、シャープネスを簡単にあげるならオーバーコレクションな設計を行うのですが、これが2重ボケなどの硬いボケを生み出してしまいます。
逆にアンダーに設計すると、背景のボケは綺麗になりますが、ピント面の描写が弱くなります。
昨今のレンズは非球面レンズという球面収差を抑えながら、ボケも綺麗にできるような特殊レンズで補正するので、かなりボケも綺麗なものが多いです。
ただ、安いレンズや中華レンズには非球面レンズが搭載されていないことが多いので、ボケ味が落ちる原因になります。
とはいえ、最近の中華レンズはけっこう進歩してきていて、侮れなかったりするものもあります。

OM1 + M,Zuiko 45mm F1.2 PRO
描画、ボケ感もすばらしい
OM1 + Brightin Star 50mm F0.95
フリンジの量がとんでもないし色のバランスもおかしいけど
中華レンズもボケの質は良くなってる


・前ボケと後ろボケは二律背反

この球面収差には前ボケにも影響があります
ボケが発生する位置によってボケの量や質が変わるのですが、この位置に差があるので、前ボケは綺麗だけど後ろボケが硬い
逆に後ろボケが綺麗だけど前ボケがちょっと汚い、なんてことになります。
この距離は被写体のピント面の位置、背景の距離、前ボケ対象の位置で変わりますし、レンズ性能でも変化します。
このボケを完璧にコントロールできるレンズなんてものは存在しないので、いろんなレンズで試してみて、自分の撮影にあったレンズ、カメラ、そして撮影時の距離などを判断する必要があります。

E-M1mk2 + M.Zuiko 45mm F1.8
良いレンズだけど、前ボケは少しゴチャつく
被写体から前ボケ対象をもう少し離す必要がある
OM1 + M.Zuiko 45mm F1.2 PRO
同じ45mmでもここまで前ボケの質が違う
価格差5倍以上あるけど、意味がある
どんな距離でも前ボケも後ろボケも綺麗な稀有なレンズだ


・像面湾曲収差とボケ

最後は少し特殊なボケについて。
像面湾曲収差という収差があり、この収差があるとピント面が湾曲するので、ボケ質が中央付近と周辺で変わります。

OM1 + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.
周辺と中央でボケ質が変わるのがほんと面白いレンズ
ただ中央付近の被写体はなぜか湾曲しない?不思議・・・

オールドレンズに多い現象ですが、ライカのレンズはこの収差を意図的に残しています。
なので独自の空気感が生まれる写真になったり。
パナライカでも一部のレンズでこの現象が出るので、パナ勢は探してみるといいかもしれません。


今回はいろんなボケに関するお話でした。
理解した上で使っていけば、安いレンズでも高級レンズに負けない描画をさせることはできます。
ただ、そのレンズの性質を見極める必要があるので・・・難しいのです。
高いレンズは何も考えなくても写せてしまうので、ラクではありますw
何をどうしたいか、これも撮影意図に含まれるのかも?

ではでは。

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