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詩は、酸の雨のなかで生き延びる:P. スタッフ

詩は読むものというより、浴びるものとなる。理解するより先に、身体の反応として現れる。

P. スタッフ(P. Staff)は1987年、イギリスのボグナー・リージス生まれ。ロンドンのゴールドスミスで学び、現在はロサンゼルスとロンドンを拠点に活動している。

その制作活動において問われているのは、身体がどのように制度に触れられ、傷つけられ、変えられてしまうのか、ということだ。

ホログラムになる詩

P. スタッフは2025年から2026年にかけてドイツのボン美術協会で個展《Durchdringung》を開催した。ドイツ語の個展タイトルは、浸透、貫通、侵入、透過といった意味をもつ。

この展覧会に合わせて、P. スタッフ初の詩集『Minimum World』が刊行された。2018年から2025年までに書かれたテキストを集めたもので、視覚詩、具体詩、タイポグラフィの実験が前面に出ている。

面白いのは、この詩集が出版にとどまらないことだ。

同名のインスタレーション作品《Minimum World》は、24台のホログラムファンを使った無音の映像作品として展示された。5分ほどのループのなかで、詩の断片は空中に回転し、点滅し、現れては消える。

P. Staff《Minimum World》, 2025.

詩は、読むための安定した文字列ではなくなる。光になり、回転し、消え、また戻ってくる。言葉は意味を運ぶだけではなく、光として視界に侵入する。

金星で酸にさらされる身体

P. スタッフの代表作として知られる、2019年の《On Venus》は、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーで発表された。映像作品と建築的介入を含む大規模なインスタレーションだった。

展示空間には配管が張り巡らされ、天井から自然物と合成物の混じった液体が鉄製のドラム缶へと滴り落ちる。入口には、酸性雨にさらされたガーゴイルのような存在が置かれる。空間全体が、漏れ、滴り、腐食する身体のようにつくられている。もはや白く清潔な展示室はない。

P. Staff《On Venus》, 2019.

映像作品は二部構成になっている。前半では、動物の肉や毛皮など、産業的に管理される身体の商品化が扱われる。畜産、繁殖、ホルモン、屠殺。生き物の身体は、資本主義のなかで液体や素材やデータのように扱われる。

そして後半で、画面にテキスト詩が現れる。

後半の詩では、金星は酸の雲に覆われ、圧力と熱に満ち、雨は地表に届く前に燃え尽きる場所として描写される。そこでは風があらゆる表面を剥ぎ取る。空気は敵意を帯びている。

P. スタッフにとって金星は、クィア/トランスの身体が制度のなかで置かれる状態の比喩でもある。生きているが、生きられる場所には置かれていない。存在しているが、つねに圧力を受けている。

終盤で「new organs for everyone」という印象的な言葉が反復される。新しい臓器をみんなに。これは救済のスローガンのようにも、身体が制度によって作り替えられる悪夢のようにも聞こえる。それらがひとつの叫びのなかに圧縮されている。

毒は、治療にもなる

P. スタッフのこの身体観は、より早い作品《Weed Killer》にもはっきり現れている。

2017年の《Weed Killer》は、作家・批評家キャサリン・ロードの回想録『The Summer of Her Baldness』に着想を得た映像作品である。この本は、乳がん、放射線治療、化学療法をめぐる身体経験を記したものだ。

作品の中心には、化学療法によって身体がどのように変化し、破壊され、別の状態へ移っていくのかを語るモノローグがある。そこに、熱を可視化するサーマルカメラの映像や、パフォーマンスの場面が重ねられる。

化学療法は、がん細胞を攻撃するために身体へ入れられる、毒にも近い治療である。毒であり、治療でもある。破壊であり、生存の手段でもあるという複雑な状態を見ている。

この複雑さが、のちの《On Venus》につながっていく。P. スタッフの作品では、身体を傷つけるものと身体を生かすものが、同じ化学反応のなかにある。

反応を引き起こす物質

P. スタッフの詩は、すでに傷つけられた身体のなかで、まだ反応し続ける物質である。薬のように、毒のように、黄色い光のように、酸の雨のように。

詩は、酸の雨のなかで生き延びる。

その詩は、決して美しい救済ではないかもしれない。壊れながら、変わりながら、毒を含みながら、それでも生き続ける。

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