時差ボケが玉手箱級だった話
連日の暑さと疲労から身体は結構、いや、正直に言うとかなりキツイ。
そんな状態でもなんとか持ちこたえていたのは、「今年は販売できる」という希望がモチベーションだったからだ。
しかし、その精神的な支えも失った。
去年より実付きはいい。
だが、いざ収穫してみると、何かおかしい。時間差で色づいていくが、すべてを収穫して、どのくらいの量になるのか。不安が頭をよぎった。
案の定、販売するには全く話にならない量だった。
ブルーベリーは3年目から少し実を付け、5〜6年でぐっと収量が増え始め、7〜8年で成木になると言われている。
ただ、これが「植え付けしてから」の話だとは知らなかった……。
今年は5年目の年だと思っていた。確かに、苗としては5年目になる。2年生の苗を植えたのだから。
しかし、植え付けてからだと、まだ3年半しか経っていない。
今さらながら、驚愕の事実と厳しい現実をまざまざと目の前に突きつけられた。
ショックだった。
そして、よくよく考えてみると、自分の歳を1歳多く勘違いしていたことにも気が付いた。
気付いたときには、ちょっと得したような、微妙な幸せを感じたのだが、収量が少ないというショックの方が大きかった。
実際の時間と脳内の時間差が1年もあったせいで、感覚的には結構な時間を費やした気でいたのだ。
2年生の苗を植えたのだが、その2年はカウントに入らない。
植えてから3年半なら、今の収量にも納得がいく。
ずっと成長が遅いのではないかと思っていたのだが、やっと腑に落ちた。
カウントされない魔の2年に、脳内時差の1年が加わり、玉手箱級の時差ボケを味わってしまった。
まだあと2年くらいは販売できないと思うと、一気に力が抜けた。
でも、それは自分の勝手な都合でしかない。
木は確実に成長している。1年1年、前進している実感はある。
販売準備期間を長めに頂いたと思うしかない。
「北の国から」の五郎さんの言葉を思い出す。
ここには何もないが自然だけはある。自然はお前らを死なない程度には充分毎年喰わしてくれる。自然から頂戴しろ。そして謙虚に、つつましく生きろ。
ここは富良野ではない。
でも同じように、何もないが自然だけはある。
短期間で自然から頂戴しようとすることが、そもそも図々しい考えなのだ。
自然の力を借りて、地植えで育てると決めたのだ。
私も五郎さんのように、謙虚でつつましくありたいい。
