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財務省のプロパガンダを暴く。30年のデータから見えた日本の財政の「本当の逆転劇」と「真の危機」

高市政権が進めようとしている食料品の消費税減税と「責任ある積極財政」。

これに対してマスコミや緊縮財政派は、財源はどうする、このまま国債発行をつづければハイパーインフレになって日本は破綻する、というセンセーショナルな言葉を叫んでいます。

「本当に日本は潰れてしまうのだろうか…?」 老後の生活や子供たちの未来を思って、こうした漠然とした不安を抱いている方は非常に多いはずです。実際、財務省が発表する「一般会計の推移」といった公式資料を見ていると、日本の財政は一刻の猶予もない崖っぷちに立たされているように思えます。

財務省:我が国財政は歳出が税収を上回る状況が続いています。

実務的なレベルで物事を語るためには、私たちは感情論ではなく冷徹な「データ」に立ち返る必要があります。

結論から申し上げます。私たちが日々耳にする「国の借金、財政破綻」という脅し文句は、国家の巨大な帳簿の「ごく一部のお財布」だけを意図的に切り取って危機感を煽る、巧妙なプロパガンダに過ぎません。

私は、こうした世間の言説に強い違和感を覚え、政府の公式統計ポータル(e-Stat)から内閣府の「国民経済計算(SNA)」の過去30年分の生データを直接ダウンロードしました。さらにIMF(国際通貨基金)の国際比較データも合わせ、自分自身の手で国家財政の実態をグラフ化し、徹底的に分析してみました。

すると、そこにはマスコミが決して報じない、日本の財政の驚くべき「健康状態」と、逆に冷徹なデータだからこそ暴かれてしまった「隠された本当の危機」がくっきりと浮かび上がってきたのです。

  • なぜ「借金が1000兆円あっても日本は破綻しない」と言い切れるのか?

  • 世界一の富豪イーロン・マスクの「サイフのからくり」と日本財政の共通点とは?

  • 私たちが本当に恐れるべき「30年で激変してしまったインフラ投資の真実」とは?

この記事では、小難しい数式や専門用語は一切使わず、企業会計のキャッシュフローの目線を用いながら、誰もが「なるほど!」と納得できるよう、日本の財政の表と裏を科学的に解き明かしていきます。

読み終えたとき、あなたがテレビや新聞の経済ニュースを見る目は、180度変わっているはずです。

第1章:イーロン・マスクで考える「大富豪の サイフ」のマジック

まず、私たちの「借金=悪」「借金=破滅」という固定観念を綺麗に揺るがす、現代の 超大富豪(ビリオネア)たちの驚くべき資金繰りの話から始めましょう。

夜空にそびえるロケットの影と、手のひらに載る小さな通帳

世界でただ一人の「トリリオネア(兆万長者)」として知られる、テスラやスペースXの創業者イーロン・マスク氏。彼は毎日のように莫大なお金を動かし、宇宙ロケットを宇宙へ飛ばし、電気自動車(EV)の巨大工場を建て、最新のAI技術へ何兆円もの果敢な投資を続けています。さらに私生活でも極めて贅沢な暮らしを送っています。

ここで、一つ素朴な疑問が浮かびます。彼はこれほどまでの大金(キャッシュ)を、一体どうやって手に入れているのでしょうか?

「自分が持っているテスラ株を売却して、現金を作っているのだろう」と思うかもしれませんが、それは違います。

実は、彼を筆頭とするアメリカの超大富豪たちは、「自分の莫大な資産(自社株)を一切売らず、それを担保にして銀行から巨額の『借金』をして暮らしている」のです。

なぜ株を売らないのか。理由は極めて合理的です。株を売却すれば、巨額の「株式売却益課税」が発生します。さらに、株を手放せば企業の経営支配権(議決権)を失ってしまいます。しかし、自分の株を担保に銀行からお金を借りるだけなら、税金は1円もかかりません。銀行側も、世界で最も価値のあるテスラやスペースX の株という「最強の担保」があるため、超低金利でいくらでもお金を貸し出してくれます。

もしマスコミが「イーロン・マスクの通帳だけ」を晒したら?

さて、ここで日本のテレビや新聞のようなマスコミが、彼のこのユニークなお財布事情を嗅ぎつけ、ニュースで報道したと想像してみてください。 彼らは, イーロン・マスク氏の背後にあるテスラ株などの巨大アセット(資産)を一切無視し、彼の「毎月お金が出入りする個人通帳(キャッシュカードの 利用明細)」だけを画面に晒して、センセーショナルにこう書き立てるでしょう。

「大変だ!イーロン・マスクの預金通帳を調べたところ、今月も銀行から何百億円も借金している!彼の毎月の実質的な給与収入はほとんどないのに、借金だけを雪だるま式に増やして贅沢な暮らしをしている。近い将来、彼が自己破産するのは間違いない!」

これを聞いて、あなたはどう思うでしょうか? 「バカバカしい、そんなわけがない」と一瞬で一蹴するはずです。

なぜなら私たちは、彼の個人口座のマイナス(負債)の背後に、テスラやスペースXという「天文学的な価値を持つ本物の資産(アセット)」がそびえ立っていることを知っているからです。

銀行も、彼の持つ「資産の実態」と「未来への投資(ビジネスの成長力)」を完璧に信頼しているからこそ、返済期限が来ても「はい、また新しい借金に借り換えましょうね」と、喜んで融資を継続します。つまり、イーロン・マスク氏の「借金」は破滅へのカウントダウンなどではなく、より巨大な富を未来に生み出すための、極めて強気で戦略的な投資手段なのです。

この「ビリオネアの手品」こそが、日本の財政問題の正体

実は、いま日本の財務省やテレビ、新聞が「国の借金1000兆円超!」「このままでは日本は破綻する!」と叫んで消費税の増税や緊縮財政を煽っている手口は、このマスコミによる「イーロン・マスク叩き」と寸分違わず同じ構造です。

日本という国は、世界一のインフラ(道路、橋、スマートグリッドなど)を保有し、世界最大規模の外貨準備(米国債など)を抱えています。さらに、国内のさまざまな公的・民間団体への出資金や、政府関係機関への巨額の貸付金(財政融資資金)、さらには国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの国際機関への出資、中央政府が保有する数々の国内企業・金融機関の株式に代表される膨大な「金融資産」を国内外に広く保有し、加えて「円という自国通貨を発行できる通貨発行権」まで持っている、世界最強クラスの資産家です。

にもかかわらず、日本の財政規律派やマスコミは、この巨大な「資産(アセット)」の欄を完全に黒塗りにし、親会社である国単体の『借金通帳(一般会計)』だけを国民に突きつけて、「おカネが無い、破綻する!」と大騒ぎしているのです。

では、なぜそう言い切れるのか。 次の章からは、私が自ら内閣府の公式データから紐解いた、日本国グループ全体の本当の連結決算シートを白日の下に晒し、日本の財政の「本当の現在地」を科学的に証明していきましょう。

第2章:財務省とマスコミが隠す「親会社の単体通帳(一般会計)」の罠

この「巨大なアセットを意図的に隠し、特定のお財布のマイナスだけをクローズアップして見せる」という手口が、日本の実際の国家財政でどのように実行されているのか。その仕組みを詳しく解き明かしましょう。

大きな木の根っこが静かに街全体を支えている

国家の財政状態を客観的に評価する上で、まず私たちが知るべき大前提は、「国(中央政府)のお財布」と「日本という国家全体の連結のお財布」は全く別物であるということです。

財務省やマスコミが「財政破綻だ!」と大騒ぎするとき、彼らが指し示しているのは決まって「中央政府の一般会計」という、国単体の一つの口座に過ぎません。しかし国際基準(SNA:国民経済計算)に則って、国家全体の財政力を評価する場合には、以下の3つのセクター(部門)をすべて合算した「一般政府(General Government)」という連結決算で見るのが絶対のルールです。

  1. 中央政府(国)

  2. 地方政府(各都道府県や市区町村)

  3. 社会保障基金(年金や医療、介護などの基金)

なぜ連結で見なければならないのか。それは、この3つの財布の間で、極めて大規模な「おカネの仕送り構造(資金融通)」が行われているからです。

毎年80兆円以上!国から地方と社会保障へ流れる「仕送り」

私たちが地域で受けている行政サービス、学校などの教育インフラ、老後の生活を支える年金、病気をしたときの医療、介護保険。これらを日々運営するためには、毎年天文学的なおカネがかかります。

しかし、地方自治体が集める地方税や、私たちが支払う年金・健康保険料(社会負担)だけでその全額を賄うことは到底不可能です。

そこで、すべての泥(借金)をひとりでかぶる役割を果たしているのが「中央政府(国)」です。 内閣府のデータ(GFS)から、仕送りを受け取る側の口座である2024年度の最新「交付金(受取)」のリアルな金額を覗いてみましょう。

  • 地方政府(自治体)が受け取った仕送り約43.5兆円(地方交付税交付金や、学校・インフラ整備などの国庫補助金)

  • 社会保障基金が受け取った仕送り約37.9兆円(お年寄りの医療・年金・介護を破綻させないための、国や地方からの公費投入分)

なんと、地方政府と社会保障基金の2つの部門だけで、年間合計約81.4兆円もの巨大な「仕送り(交付金の受取)」を中央政府などから受け取っています。

この巨大な仕送りマネーがあるからこそ、地方政府や社会保障基金は、自前で集める税金や保険料が足りなくても、収支を「黒字」や「トントン(均衡)」に保ち、国民生活を最前線でしっかり支え続けることができています。

つまり、地方や社会保障が潰れずに持ちこたえられているのは、大元の国(中央政府)が代わりに「国債(借金)」を発行して、毎年約80兆円もの莫大な生存資金をせっせと仕送りし続けているからに他なりません。

単体決算の赤字を理由に「グループ倒産」を煽る滑稽さ

ところが、緊縮財政派やマスコミは、この「仕送りの表裏の構造」を完全に無視します。 彼らは、中央政府が国債を発行して地方や社会保障の赤字をすべて自分の口座(一般会計)に吸い上げ、いわば「身代わり」となって泥をかぶっている姿を捉えて、こう叫ぶのです。

「中央政府の一般会計を見たら、こんなに赤字(国の借金)が膨らんでいる!もうこの国はおカネがない!増税するか、支出を切り詰めなければ日本は破綻する!」

これは企業会計に置き換えると、あまりにも滑稽で恥ずかしい議論です。

親会社(中央政府)が、自ら身を粉にして資金を調達(国債発行)し、年間約80兆円を超える巨額の現金を社会保障や地方という「優秀なグループ子会社」へ仕送りしている。おかげで子会社の金庫には、使い切れなかった年金積立金などの金融資産が約200兆円規模(社会保障基金の金融資産)もたっぷりとプールされ、健全に機能している。

このような状態であるにもかかわらず、「莫大なキャッシュを貯めこんだ優良な子会社やグループ全体の連結アセットを意図的にすべて無視し、仕送りのせいで赤字になった『親会社の単体通帳(一般会計)』だけを理由に、このグループ全体が明日にも倒産すると騒ぎ立てている」のです。

これが、日本の「財政危機」の正体です。 国単体のお財布(一般会計)だけを切り取って破滅を煽るプロパガンダは、連結決算の視点、そして「誰かの支出は、誰かの収入である」という会計の絶対ルールを持てば、一瞬でその嘘が剥がれ落ちます。

では、中央政府が泥をかぶった結果としてのボロボロの通帳ではなく、国・地方・社会保障基金をすべて連結した「日本国グループ全体(一般政府連結)」の本当の成績表を見たらどうなるでしょうか?

次の第3章では、世界が驚く日本の財政の「本当の現在地」と、その「圧倒的な回復力」を、国際基準のビジュアルデータを用いて白日の下に晒していきましょう。

第3章:国際標準(一般政府財政収支)が示す、日本の驚異的な回復力

中央政府という親会社、地方政府という子会社、そのお互いを連結した日本国グループ全体の本当の家計簿(お財布)の収支は、いまどうなっているのでしょうか?

嵐のあとの海に虹がかかり、船が力強く波を進んでいく

それを示す国際的な決定版の指標が、IMF(国際通貨基金)などでも標準として使われる「一般政府財政収支(General Government Fiscal Balance:対GDP比)」です。

これは、国のインフラ老朽化や道路維持などの実物投資(資本形成)にかかるコストまで、すべての連結帳簿を織り込んだ「グループ全体の純粋なフリーキャッシュフロー」を意味します。

私はe-Statから国民経済計算(SNA)の生データを取得し、この「日本国グループ全体の本当の収支の推移(対GDP比)」を30年にわたる長期スパンでグラフ化してみました。まずはその衝撃的な結果をご覧ください。

一般政府の収入
一般政府の支出
一般政府の収入と支出
一般政府財政収支の対GDP比

3大危機の「谷」と、足元で起きている「垂直のV字回復」

上に、一般政府(国、地方、社会保障基金)の収入と支出をまとめたグラフを示します。そして最後のグラフが、収入から支出を引いた差額のGDPに対する比率です。

このグラフを見ると、過去30年間で日本の財政が大きくへこんだ「3大危機」が、冷徹なまでに記録されていることがわかります。

  1. 1998年度前後:山一証券の破綻などに代表される、バブル崩壊後の「平成金融危機」

  2. 2009年度前後:世界中を大不況に陥れた「リーマンショック」

  3. 2020年度前後:経済活動が強制ストップした「新型コロナ感染拡大」

いずれも実体経済が激しいショックを受け、政府が積極的な財政出動(国債発行)を行ったため、収支は対GDP比でマイナス8%〜10%近くまで大きく急転下落しています。これらは歴史的な大災害ですから、泥をかぶる国が赤字を拡大させるのは、グループを全滅させないための至極当然の行動です。

しかし、このグラフの最も注目すべき「真実」は、コロナ禍が収束した直後(2022年度〜2024年度)に描かれている、猛烈な「垂直回復トレンド」にあります。

底をついたコロナ禍の危機から、日本の一般政府財政収支は、文字通り崖をよじ登るようなすさまじい角度で「V字回復」を遂げているのです。このグラフを見る限り、日本の財政は破綻に向かうどころか、信じられないほどの驚異的な健全化プロセスを一気に突き進んでいることがわかります。

なぜ、ここまで急速に回復したのか?

この劇的な回復の理由はシンプルです。 日本国グループ全体の「稼ぐ力(名目GDP)」が、歴史的な円安トレンドやマイルドな物価上昇(インフレ)を背景に、急速に拡大したからです。

この「一般政府の収入と支出」グラフを見れば一目瞭然です。 コロナが収束に向かうにつれ、右肩上がりに膨らんでいた「総支出(青のライン)」は急速に引き締まり(補正予算などの非常時支出の終了)、一方で実態経済の活発化に伴って「総収入(赤のライン)」は過去最高税収を毎年のように塗り替えながら一気に上昇しています。

「名目GDP(経済のパイ)が大きくなれば、税率は変えなくても税収の絶対額が勝手に激増し、財政は自ずと健全化する」

この経済学の絶対ルールが、いま日本で完璧に実証されているのです。

主要7カ国(G7)と比較しても、日本は「優等生」である

「でも、それは世界中がコロナから回復しているからで、日本は他国に比べてやっぱりボロボロなのでは?」と思われるかもしれません。 その疑念を完璧に晴らすために、私はIMF(世界経済見通し)の国際標準データから、G7(主要7カ国)の一般政府財政収支(対GDP比)の回復軌道を同じ期間で比較したグラフも作ってみました。

一般政府財政収支(対GDP比)の国際比較

これを見れば、財務省の「日本だけが突出してボロボロである」というプロパガンダがいかに不誠実であるかが一瞬で暴かれます。

コロナ後の日本の回復角度(上向きのベクトル)は、G7の中でも極めて力強く、世界の優等生たちと何ら遜色のない位置にあります。日本を「今にも沈没しそうな泥船」のように表現する言説は、この国際比較データのファクトの前に、完膚なきまでに論破されるのです。

IMF(CY)と内閣府(FY)の数字のズレ

自分でデータを熱心に分析される方のために、少しだけマニアックな話。 IMFが発表する国際比較グラフの「カレンダー年(CY:1月〜12月)」のデータと、内閣府が発表する「日本の会計年度(FY:4月〜翌3月)」のデータを見比べると、微妙に数字が異なっていることに気づくはずです。 決算データのズレによる誤差に過ぎず、「コロナ後に猛烈なV字回復を遂げている」というマクロな大トレンド自体は全く同じですので、安心してデータを信頼してください!

ワンポイント・コラム

ここまで見てきた通り、国・地方・社会保障をすべて連結した「日本国グループ」の財布は、財政危機のどころか、非常に力強く復調しています。

しかし。 この完璧とも思える「財政の健全化データ」の裏側をさらに深く、そして冷酷に分析していくと、財務省が叫ぶ『お金が足りない』という偽物の危機ではなく、日本がこの30年間で知らず知らずのうちに陥ってしまった、背筋が凍るような「本当の危機」が浮かび上がってきたのです。

次の第4章では、私がこのデータ分析の中で最も衝撃を受けた、「インフラ投資の質と固定資本減耗の30年間の異常事態」について、実態を語るグラフを突きつけていきます。

第4章:データが突きつける「本当の危機」:30年で激変したインフラ投資の質

日本の財政は、おカネの帳簿の上では驚異的なV字回復を遂げています。 しかし、その綺麗に整えられた決算書の裏側で、「日本の物理的な実体(インフラ)」が音を立てて崩れ落ちようとしているという衝撃の事実を、あなたはご存知でしょうか?

古びた橋の欄干に寄りかかる少女が、遠くの新しい街を見つめている

私は、内閣府「国民経済計算(SNA)」のデータを分析するなかで、戦慄を覚える「30年間の推移グラフ」を作成してしまいました。

日本のインフラ投資のあり方が、この30年で「物理的な意味で、恐るべきレベルで劣化している」ことを示す、まぎれもない証拠です。

この壊れゆくインフラの実態を深く理解するために、企業や家庭の「建物(アセット)」に例えた極めて重要な2つの指標を解説します。

  1. 「固定資本減耗(青のライン)」= 建物の老朽化スピード(雨漏りが発生する量)
    道路や橋、上下水道、学校などのインフラが、年月の経過とともに劣化し、価値が減っていく物理的なスピードをおカネに換算したものです。企業会計の「減価償却費」にあたります。

  2. 「非金融資産の純取得(赤いライン)」= 雨漏りを直した上で、部屋をさらに増築・補強する量
    老朽化した分を「修繕」するだけでなく、未来をより便利にするために新しくインフラを「純増(ネットのプラス)」させた投資額を意味します。

この2つのラインを30年にわたって並べたとき、日本という国家の「物理的な衰退の歴史」が残酷なまでに浮かび上がってきます。

インフラの減耗と純投資の推移

グラフが示す「30年間におよぶ国力衰退のビジュアル」

30年間の推移グラフを見ると、この国の実態投資の歪みが一瞬で看破できます。

① ピーク時の1990年代半ば:未来に向けて、国を爆発的に強化していた

1990年代半ばまでは、道路や橋の老朽化スピード(固定資本減耗)が年間約12兆〜13兆円だったのに対し、未来に向けた新しいインフラの純増分(非金融資産の純取得)は年間20兆円を遥かに超え、圧倒的に老朽化を上回っていました。 劣化して壊れる量よりも、新しく未来のために作り出す量の方がはるかに多かった。だからこそ日本は、国力を猛烈に強化し、世界一便利で安全な実物アセットを築くことができたのです。

② 終わらない緊縮とデフレマインド:壊れていく国を、ただ指をくわえて眺める現在へ

ところが、そこからの30年間のトレンドを見てください。 過去に造りまくった巨大なアセットが経年劣化し、老朽化のスピードを示す青いラインは、年間21兆円を突破するまで一直線に右肩上がりで激増しています。日本中あちこちで「雨漏り」が大発生している状態です。

にもかかわらず、その雨漏りを補修し、さらに未来を強くするための「新規の純増投資(赤いライン)」は、1990年代半ばを境に坂道を転がり落ちるように減少し続け、足元ではほぼ「地を這う(ゼロに肉薄する)」レベル(約3兆円規模)にまで壊滅的な暴落を遂げているのです。

これが「緊縮財政」が犯した、最大最悪の罪である

「財政が赤字だから」「国の借金を減らさなければならないから」という『おカネの帳簿の都合』だけを優先し、30年間インフラ投資を削り続けてきたデフレマインドの結果が、このグラフの「地を這う赤いライン」です。

今の日本政府は、先代が造ってくれたインフラの「メンテナンス(延命処置)」を施すだけでお財布が手一杯になっており、次の世代の生存に必要な、新しいスマートインフラや先端テクノロジーのリアルな富を蓄積する投資(純増)が、ほぼ完璧にストップしてしまっているのです。

このまま「おカネの記号の帳尻合わせ(緊縮財政)」を続ければ、日本の道路や水道は朽ち果て、橋は落ち、災害に極めて脆弱な「物理的に貧しい国」へと確実に衰退していきます。

本当の財政危機とは、政府のサイフから国債が消えることではありません。 おカネという「ただの記号」を守るために、私たちの命と生活の基盤である「物理的な実物インフラ(実態)」を消滅させてしまうこと。これこそが、データが突きつける日本の「真の危機」なのです。

この絶望的なリアルアセットの枯渇を救い、日本をもう一度「未来への投資大国」へと引き戻すためには、一体どんなビジョンが必要なのでしょうか?

次の第5章では、日本が長年抱える「少子高齢化」という最大の重荷を、一瞬にして世界をリードする最強の武器へと変貌させる、「少子高齢化×フィジカルAI」という新時代の逆転国家投資戦略について提言します。

第5章:日本の未来を変える「少子高齢化×フィジカルAI」投資戦略

日本のリアル投資が30年間にわたり削減され続けてきたこと、そして日本が現在進行形で急激な「少子高齢化」に直面していること。 一見すると、この2つは日本を衰退させるダブルパンチのように思えます。しかし、これこそが日本を再び「世界最強の経済大国」へと押し上げる、一生に一度のプラチナチケット(チャンス)なのです。

おばあちゃんの車椅子を押す小さなロボットと、満開の桜並木

キーワードは、「少子高齢化×フィジカルAI」です。

フィジカルAIとは、単にパソコンの画面上で文章や画像を生成するだけのAIではなく、現実の物理的(フィジカル)な世界で動き、作業を代替するAIロボティクス技術を指します。

このテクノロジーへ、国を挙げて「非金融資産の純取得(物理的な新規投資)」を集中的に行うべき明確な理由が、3つの戦略にあります。

1. 「課題先進国」という世界一障壁の低い最強の市場

アメリカや欧州で高度な労働ロボットを導入しようとすると、労働組合や市民から「AIに自分たちの仕事が奪われる!」という強烈な反発が起こります。 しかし、ここ日本は世界で最も人手不足が深刻な高齢化大国です。介護・医療現場、物流、建設、インフラメンテナンス。どこを見ても、物理的な「働き手」そのものが物理的に存在しません。

労働者が奪い合いになるのではなく、「ロボットでもAIでもいいから、早く助けに来てくれ!」と、誰もが導入を切望している。これほどAIロボティクスを実地配備する上で、社会的・法的な障害が低い国は、世界中で日本以外に存在しません。日本こそが、フィジカルAIの「世界最大の実験場(Sandbox)」になれるのです。

2. 企業に眠る「死蔵された現預金(内部留保)」の最高の受け皿

日本企業は、バブル崩壊後の30年間のデフレと緊縮財政によって完全に弱気になり、投資先を見失ったまま、手元に巨額の現預金(いわゆる内部留保の現預金部分だけで300兆円以上)を積み上げて凍結させています。 政府がやるべきなのは、この凍結された巨額の民間資金を、日本の最も得意な「精密なものづくり(センサー、アクチュエーター、ロボット筐体)」と、最先端の「AI(人工知能)」を融合した【フィジカルAIインフラ】へと流れ込むように誘導することです。

3. コストから「最強の輸出産業」への大化け

現在、私たちの社会保障(介護や医療)は「莫大なおカネを消費するだけのコスト部門」と見なされています。 しかし、日本がこの凄まじい人手不足を解決するために、介護ロボットや、医療ロボット、自動インフラ点検ロボットを世界に先駆けて実用化・標準化したらどうなるでしょうか?

今後、日本を追いかけるように急激な少子高齢化に直面する中国、韓国、台湾、そして欧州諸国が、こぞって「日本の開発したフィジカルAIシステム」を爆買いすることになります。 かつて自動車が日本を世界一の富国に押し上げたように、少子高齢化という社会的コストが、外貨を稼ぐ「最強の超先端輸出産業(富の源泉)」へと大化けするのです。

結論:実態主義への回帰と「責任ある積極財政」

私たちは、もう一度「おカネの本質」に立ち返らなければなりません。

国債の発行残高や財政赤字というものは、突き詰めれば政府が発行した「おカネの記帳履歴」に過ぎません。それ自体が勝手に物理的な富を生み出すこともなければ、私たちを物理的にお腹いっぱいにさせることもありません。

イーロン・マスクが、自社株という膨大な「資産」を背景に果敢に借金をし、そのおカネを使ってテスラ車を量産し、スペースXで新しい宇宙ロケットを開発して世界全体の物理的な実体(技術・アセット)を豊かにしているように。 日本国という国家が真に心配すべきなのは、帳簿のマイナス(記号)の数字ではなく、国全体に「次の世代が豊かに暮らせるための、実物インフラや最新テクノロジー(実態アセット)をどれだけ残せるか」なのです。

子どもたちが丘の上から、朝日に輝く未来の街を指さしている

高市政権の「責任ある積極財政」が呼び覚ます、日本の未来

国債発行額を減らすという「記号の美しさ」を追い求め、30年間インフラを削り倒し、新規の純増投資(非金融資産の純取得)をゼロ付近まで滑り落とさせてしまった過去のデフレマインドの政治は、今こそ明確に終わりを告げなければなりません。

だからこそ、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」による、大胆な未来への国家投資に、私は大いに期待しています。

政府が成長分野への「呼び水」として、国債を財源にフィジカルAIやスマートインフラへ積極投資を断行すること。それこそが、企業に眠っている巨額の手持ち現預金を呼び覚まし、日本経済全体のパイ(名目GDP)を大きく拡大させる最高の点火プラグ(トリガー)となります。

日本国グループ全体の「連結のお財布(一般政府財政収支)」は、すでにコロナ後、猛烈なスピードで健全化に向かって自力回復を始めています。 ここに政府の「実態への積極投資」という最高のポリシーが噛み合ったとき、日本の未来の軌道は、IMFの示すような機械的で弱気な下落予測を力強く跳ね除け、かつての成長の頂点へと再び突き抜けていくに違いありません。

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